目指せ強肩!


理奈 「またも12歳! こういう子からの質問はホントにうれしいね」
一平 「そだな。ますますもって責任を感じるな。いい加減なこと言えないよ」
理奈 「じゃ行くからね。「中学校では野球部に入って外野をまもりたい!!と思っている
    けど40メートルぐらいしか飛びません。ヤバイ守備も(-_-;)こんなんでも外野
    守れるか
心配です。だから,肩を強くするさべを教えてくださいm(_ _)m
    ていうの。ITOUクンからの質問だね」
一平 「ほう、外野手になりたいのか」
理奈 「やっぱイチローの影響かな」
一平 「まあ、そうだろうな。外野になりたい、なんて子が出てきただけでもイチローの偉大さ
    を認めたいね。外野なんて、地味なポジションなんだけど」
理奈 「やっぱさぁ、あのレーザー・ビーム返球とか見たら、イチローかっこいい!とか、ああ
    いう返球がしたい、とか思うよね」
一平 「だよな。でもな、肩の強さというのは天賦の才によるところも大きいからなあ」
理奈 「あ、素質なの?」
一平 「そういう面もあるね。長打力とか速いタマを投げる能力とか、そういうのは努力だけ
    じゃどうにもならないものも確かにあるからなあ」
理奈 「じゃ肩の強さもそうなんだ」
一平 「あ、いやいや、努力でもある程度のところまでは行くんだよ。これからそれを伝授し
    よう」
理奈 「あんた、えらそーなのよ。で、どーすんの?」
一平 「基本的な練習でいいんだけどね。ムリはしない程度でいいが、腕立て伏せ。これは
    肩や腕力がつくからね」
理奈 「腕立て伏せ、嫌いだなあ」
一平 「少しはやれ(^^;)。あと、ランニングだね。これは足腰を鍛えるためだ。ボールを投げ
    るというのは、決して肩や肘だけを使ってるわけじゃない。腰の捻りもかなり使ってい
    るんだ。踏みだしも大事だな。つまりランニングは効果的なんだ」
理奈 「ピッチャーみたいだね」
一平 「ああ、そうだ。ピッチャーってのは速いボールをコントロール良く投げるのが仕事だ。
    つまり、肩を鍛え、コントロールをつけるにはピッチャーのよくやる練習をやってみるの
    も、いい方法なんだ」
理奈 「もっとわかりやすいのはないの?」
一平 「じゃ基本的なのをやろう。キャッチボールね」
理奈 「キャッチボールやってりゃいいの?」
一平 「少し工夫しよう。この子の場合、40メートルくらいの肩だと言ってるね」
理奈 「そだね」
一平 「なら25メートルくらいは普通に届くはずだな」
理奈 「でしょうね」
一平 「じゃ、こうしよう。最初は肩慣らしで10メートルくらいの軽いキャッチボールをやろう。
    そして、肩が暖まったら、5メートルほど距離を伸ばしてみる」
理奈 「15メートルか」
一平 「うん。ここでも普通にキャッチボールをやる。慣れてきたら、今度は少し強く投げて
    みるんだ」
理奈 「はー、だんだんにね」
一平 「そうそう。何事もムリはいけない。これで徐々に距離を伸ばして、ITOUクンの限界
    である40メートルまでやってみるんだ」
理奈 「で、また伸ばすの?」
一平 「まてまて、焦るな。その40メートルの距離を、無理なくコントロールよくキャッチボール
    が出来るようになるまで我慢して頑張ってみるんだ。それが出来たら少し強く投げる。
    基本はこの繰り返しだ」
理奈 「つまり遠投か。で、伸ばすのね?」
一平 「そうだ。これを毎日、練習するたびに繰り返す。この間、きちんとランニングや腕立て
    をやってれば、自然と筋力もついているはずだ。そうして、40メートルをムリなく投げら
    れるようになったら、今度は45メートルに挑戦してみる。あくまで徐々にだよ。
     いいかい、こうして少しずつ距離を伸ばすんだけど、長い目で見て欲しいんだ。
    1年かけて10メートル伸ばせば上等。普通はそんなに伸びないと思うよ」
理奈 「気の長い話だなあ」
一平 「いきなりムリな鍛え方をしても、身体を壊すだけだ。この子はまだ12歳だろ?
    だったら、1年ごとに10メートル伸ばしたとして、15歳で中学を卒業する頃には70
    メートル投げられるようになってるはずだ。これだけ投げられたら立派な外野手だ。」
理奈 「そっかー。18歳になったら100メートル投げられるのかー」
一平 「まあ、そこまで順調かどうかはわからんがね(^^;)。それと、外野手になりたいので
    あったとしても、それほど強肩を意識することはないぞ」
理奈 「そなの? だって肩は強い方がいいじゃん」
一平 「もちろん、そうだとも。だが、今、理奈が言ったように、肩は強い方がいい、というだけ
    であって、必ずしも強肩でなければならない、ということでもないんだ」
理奈 「どしてよ?」
一平 「仮に、100メートルの強肩だが、コントロールがない選手がいたとしよう。一方、キミ
    は70メートルの肩だがコントロールだけはいい。さて、監督はどちらをレギュラーにす
    るだろう?」
理奈 「そっか。ノーコンじゃ、いくら強肩でも意味がないってのか」
一平 「そういうことだ。多少、肩が弱くたって、中継の内野手に対してコントロールよく返球
    できれば、それで充分なんだよ。外野手が直接バックホームして走者を刺すのは派手
    でカッコいいけど、そういうプレーが必要なことは滅多にあるもんじゃない。
     強肩外野手の前に打球が飛ぶと、走者が進塁を自重することもあるな。あれもカッコ
    いいけど、肩のない外野手でも、打球を素早くさばいてすぐに返球できれば、走者とし
    ては、同じように自重せざるを得ないんだ」
理奈 「おんなじ効果があんのね」
一平 「そうさ。肩が弱いと嘆くよりも、肩が多少弱くても出来るプレーを目指す方が建設的
    だ。もちろん、訓練次第で肩も少しは強くなる。そういう意味で、さっき言ったような
    キャッチボールは大事だぞ。肩も強くなるしコントロールもつく」
理奈 「そういうことよ、ITOUクン。中学でも野球、頑張ってね!」