用具について  ボール編

理奈 「カントク、早速なんだけど」
一平 「お、きたな。はい、どうぞ」
理奈 「ボールとかバットとかあるじゃない。あれってサイズとか決まってんの?」
一平 「なるほど、基本的なことからきましたね」
理奈 「で、どうなの?」
一平 「じゃ、まずボールから行こうか」



一平 「硬球の場合だがな、コルクもしくはゴム(あるいはそれに類するもの)を芯にして
     糸を巻きつけて、そこに牛または馬の白い皮2枚を縫い合わせて作るわけだ」
理奈 「ふーん、牛とか馬の皮なんだ。どっちが多いの?」
一平 「基本的には牛だね。理由は単純、馬より牛の方が多いから。一説によると、馬の皮
    はすべりやすいって話もあるね」
理奈 「この縫い目があるじゃない、赤い糸」
一平 「ああ、縫い目の数は108本だよ。除夜の鐘と同じ数だけど、これはまあ単なる偶然
    だろうね」
理奈 「じゃ大きさは?」
一平 「重さは5オンスから5と1/4オンス、グラムなら141.7グラム148.8グラムの間。
    円周は9インチから9と1/4インチ、センチなら22.9から23.5センチ以内となって
    るね」
理奈 「・・・なんでオンスとかインチとか使いなれない単位使わなきゃならないのよ?」
一平 「そりゃ仕方ないさ、アメリカじゃ今でもフィートやインチ、オンスが主流で、キログラム
    やメートルは一般的じゃないんだ。もちろん、メートル法とかも使われてはいるけど
    ね。そういう国のスポーツなんだから」
理奈 「あれ? でもサイズとか重さとかズレがあるんだ」
一平 「そりゃまあな。いくら工業製品とはいえ、若干の誤差は出るさ。精密度を上げること
    は出来るだろうが、コストにはね返るからな」
理奈 「その規定に合えばいいんだね?」
一平 「もうひとつ重要な要素がある。反発力だ」
理奈 「なにそれ?」
一平 「要はボールの弾み具合、飛び具合ってとこさ。計測方法も決まってて、高さ13フィ
    ート(約4メートル)の位置から大理石の板の上に試験球を落とすんだ。これで4フィ
    ート7インチから4フィート9インチ、メートル換算で1.396から1.447メートルあれ
    ばOKだ」
理奈 「細かいね・・・」
一平 「でも、この規則は大事なんだぞ。おまえは知らんだろうが、昔、プロ野球でも問題に
    なったことがあったんだ。この規定以上に弾みのいいボールが意図的に使われてホ
    ームランが量産されたことがある」
理奈 「それ、ズルじゃないの」
一平 「そうさ、だから問題になって、厳密に検査が行なわれて、合格球にはコミッショナー
    事務局が認定印を押すことになったくらいだ。ただこれも、昨今は改善されたとして
    規則から外されたようだね」