とらいあんぐるハート2 -さざなみ女子寮-
種別 音声 アニメ メーカー・ブランド 発売日
AVG あり なし アイボリー 1999.7.30

【いっせいの評価】

シナリオ システム 音楽 CGレベル エロ度
8 5 6 7 8
ハマり度 期待度 音声 切な度 特別加点
9 7 7 8 10
総合点 俺のキャラ
75 十六夜と仁村 真雪

【コメント】
 予想外に(失礼!)いい出来だった前作「とらいあんぐるハート」からたったの7か月。しかもその間に、ここのメーカーはなんと2本の新作を発売しています。発売日が延期されるのはこの業界では当然のこと、だからこの作品もまず最初のアナウンスどおりに発売される訳はない。普通はそう考えます。で、もうひとつの考え方として、JANiSだから、発売日は守るんじゃないか、バグフィックスはともかくとして、という観測も流れます。
 そんな逆風の中、とりあえず発売日は守られて、この作品は発売されました。誰も期待していなかった前作に比べ、今回は「駄作だったらコロす!」という期待が渦巻いてまして、ホントのところは知りませんけど、そりゃあもう戦々恐々となすっておられたんでしょう。特にOsaku☆氏あたりは。
 で、第1回結論。「もっときちんと開発してください」
 1回目のプレイの後味は、少なくとも前作よりは、ずっとよかった。主人公の位置付けが前作よりずっと自分好みだったということもあるだろうし、類型的とはいえ、前作より自分の理想に近い舞台設定が嬉しかった。俺の独断と偏見で決めつける「いいひと」「いい夫」の条件の第一は、「おさんどんができること」だから。
 ここまでも、ここから後も、前作との比較が主な判断基準になってます。続編、という位置付けなので当然だとは思うんですが、念のため。
 キャラクター設定は、相変わらずぶっ飛んでます。大体、前作のぶっ飛び方を踏襲してる感じですかね。で、表向きはぶっ飛んでるんですが、それぞれのキャラの性格設定とか、細かい趣味等のディテール、相関図の確立のさせ方、あたりは、見事、の一言でした。都築真紀さんて方は、これだけでも食ってけるんではないでしょうか。前作ではぶっ飛んでる部分だけが目立って見えましたが、今作では、例えばこの人は実はこんな体なんだけどこういう女性で、とか、こういう能力を持ってるとんでもない人なんだけどこんなふうにごく普通のかわいい女の子で、とか、それぞれのキャラクターの内面が強調された、より一歩進んだキャラ設定、舞台設定ができあがってたように思えました。うーん、簡単に言えば、都築さんのレベルが数段上がったんじゃないか、と。
 で、設定のレベルは上がったんだけど、それを生かしきれなかった。前作に比べても、それぞれのキャラのシナリオは、正直、つまらなかった。愛さんシナリオの「何でもない日常」のシーン、真雪シナリオの姉妹関係変遷、知佳シナリオのちょっとSF、くらいしか楽しめなかった。いや、厳しく言えば、だけどね。ここんとこ、俺、このゲームにどっぷり浸かってるもん。好きキライなら「大好き」なんだけど、好きだけにどうしても、厳しい意見が出てきてしまう訳ですよ。
 シナリオの「練り」が足りない。もっと時間をかけて、もっと多くの人の目で推敲して、もっと多くの人がバグ(というか間違い)取りをして、初めて商品としてのレベルに達することができるんだと思うんですけど、みなさんどう思われます? シナリオに関しては、今回は、残念ながらランクインはさせられませんわ。あまりにも魅力的なキャラ設定なのに、それを全然生かせていない。ボリュームは前作のプレイ1回より今回のプレイ1回の方があるはずなのに、感触は逆。ゆうひシナリオは、もっとずっと濃くできたよねえ。例えばHシーン。例えばいちゃいちゃするシーン。8か月も恋人同士なのに、あんなに何にもなく日々が過ぎるの? だめだよそれじゃ。愛シナリオの愛の台詞、「お酒、注ぎましょうか?」を声優に「おさけ、そそぎましょうか?」と読ませてしまう情けなさ。日本語をもっと大事にしてよ。がっくりくるよ。10分に1回は目にする、入力ミスのテキスト。「luv wave」のところでも書いたけど、入力ミスってだけのテキストの間違いは、恥ずかしいし情けないからやめてください。商品でしょ? 作ってる方々、プロでしょ?
 システムについても文句はたっぷりあるけど、何よりいちばん腹立ったのが、エンドロール。PS版の「To Heart」、誰かプレイしなかった? 攻略したキャラによって、セピア色で出てくるCGは変えてあったよねえ。最後(というか最後はさざなみ女子寮の絵なんでラス前)に出るCGくらい、プログラムで制御して、攻略してたキャラのラストの絵でも出してくださいよお。でなきゃ、「WHITE ALBUM」みたいにオリジナルのCG出す、とか。いっつもおんなじじゃあんまりでしょ? 加えてあの歌。あれは一部にファンもいるんでしょうけど、ゆうひエンドであの歌出た時、俺、暴れたくなりましたよ。世界的なオペラ歌手の歌じゃないだろーがよ。そこまで凄い人は使えないんだろうけど、きょうび素人でも、あの歌の100倍は上手く歌えますよ?
 さんざん悪口並べましたけど、好きキライで言えば、繰り返しになりますけど、大好きです。ひたすら毒のないキャラ設定、毒のないストーリイ、毒のない主人公、毒のないH。それが幸せってもんです。寮としての一体感、同じノリで時間が過ぎてゆく快さ。うる星とかめぞんとか、そのへんの感触もちょっとはありますねえ。でも何より似てるのが、故・みず谷なおき氏の名作、「人類ネコ科」。南山荘、という、あの漫画の舞台のアパートの雰囲気とこのさざなみ女子寮は、かなりオーバーラップします。意識したのかな?
 CGが大幅減量していることについては、開発期間の短さが理由だと信じています。ま、CGが少ないこと=エロが薄いこと、とは思ってないんですけど、リスティのHシーンと薫のそれがほとんど同じだったのには怒りを覚えました。あれはやっちゃいけません。
 さて、後はみなみちゃん。それと、ななかと瞳先輩。望も。サブキャラですね。ま、楽しませていただきますです。(99.8.26)

 ここんとこ、発表のしかたに差はありますけど、レビュー書きには時間をかけるようにしてます。誉めすぎてて後でけなせなくなるのが悲しいんで熟成させてる、つー理由がひとつ、それと、けなす一方じゃ申し訳ない「男意気」が実はサブキャラのシナリオに仕込んであった場合の対応策として、つー理由がひとつ。2度に分けて、という書き方は、そういう意味じゃいちばん目的に合ったものなんですねえ。
 けどまあ、それほど結論が変わることはありません。基本的に、イイものはイイし、ダメなものはダメなんです。この「とらハ2」について言えば、第1回で書いた内容に変更を加える箇所はありません。第2回結論、やっぱり、「開発はきちんとしてください」。これに尽きますねえ。作りかけを発売してるような印象が、やればやるほど強くなる。システム自体が中途半端だし。これは一体、ADV? SLG?
 寮の住人から用事を頼まれる、それをこなすと好感度アップつー仕組みは、もしかしたら「Piaキャロ2」あたりのSLGパートを意識したんじゃないかなあ。内部パラメータは3種類(炊事・洗濯・掃除)あるらしいんで、それを上げて、一緒に仕事をしたらその子についての好感度がアップして、ある程度以上になっとかないとシナリオの分岐が発生しない、てな感じ。パラメータを整理して、システム的にすっきりさせれば、このシステムは悪くない。はずなんだよ。でもほとんどこの要素は削られてるから、あってもなくても関係ないし、ない方が100倍マシで、印象がそのせいでかなり悪くなっちゃった。
 ADV部分の難易度が異様に低いのも、却ってマイナスポイントかなあ。攻略対象とお話ししてればストーリイは必ず進むし、選択肢はよほどのことがないと間違わないようなものだから、プレイ感はむしろNVLに近い。おまけキャラの攻略にはちょっと小細工が必要なんで、まだななかをクリアしてない俺としてはあんまり偉そうなこたあ言えないんだけど、それにしても簡単だったなあ。助かったけど。悩んでる時間ないんで。
 前回のレビュー執筆時にクリアしてなかったシナリオについては、だからほとんどクリアできました。ななかシナリオはまあおまけなんで、前作の親友の彼女だし、一生懸命クリアしてもあんまり後味よくなさそうだから、どうでもいいや。望シナリオはまあほんとにおまけだし(CGがほとんどない)、瞳シナリオは前作との瞳のキャラの相違にギャップ感じまくりであんまり楽しめなかったし、目の色変えてやるほどのもんでもなかった。
 みなみシナリオは、まあ、好きキライで言えば好きですけどね。熱血正統派スポーツ美少女の活躍、それを支える恋愛、つー感じで。正統派過ぎてつまんないけど。もっと意外な展開を期待してた俺としては、思いっきりすかされた気がしたんだけど。ああいうキャラ設定をしたんだから、それを生かすギャグ部分が、もう少し欲しかったなあ。
 十六夜シナリオには、やられました。これはいい出来だった。似たようなネタはよく見かけるんだけど、考えてみたら、精霊を性欲の対象にしちゃうのって、珍しいんだよ。例えば、俺的な評価は最悪に近い「With You」にしたって、モノに巣食う精霊を姦っちゃったりはしない訳だし。そういえばこのシナリオ、「With You」によく似てますねー。話の組み立て方といい内容といい、キャラの肉づけの上手さといい、こっちの(「とらハ2」の)方が100倍おもしろいけど。十六夜さんのキャラがよく立ってるんだわー。参った。俺、齢とらない(つーかとれない)系統のキャラには弱いんですよ。前作のさくらとか七瀬とかがそう。それゆえの悲しさがシナリオに織り込まれてると、もうあっという間に負けちゃいます。
 誉め言葉はこの辺にして、また気になったことをいくつか。
 音源、どうしてMIDIにしたんでしょうか。CD−DAは始動が遅い? ことこのゲームについては、MIDIのくせにCD−DA並みかそれ以下の反応の悪さで、しかも俺の環境のせいかどうかは判らんけどたまにMIDI音源の曲が崩れて不協和音に満たされたりして、これについてはえらく印象が悪いです。あんだけ開発期間があったんだし、CDも2枚に分けたんだから、両方選択可、みたいなシステムにすればよかったのに。ブルーゲイルの「PiLE DRiVER」はそうなってて、意外と音楽がしっかりしてたから、そのへんのストレスは全くなかった。どんなに凄いボードを載っけてても、CD−DAの再現性には負けるんだし、俺はBGMや主題歌はCD−DAにしてもらいたい。
 それと、やっぱりあの歌はひどすぎる。納得行かない。
 もっと上手い人を使ってください。お願いします。同人じゃないんだから。(99.9.3)