有限会社ロンドン☆スター 〜恋のだぶる・くりっく〜
種別 音声 アニメ メーカー・ブランド 発売日
AVG あり なし アイボリー 2000.4

【いっせいの評価】

シナリオ システム 音楽 CGレベル エロ度
7 7 7 7 6
ハマり度 期待度 音声 キャラ萌え度 特別加点
8 8 7 8 9
総合点 俺のキャラ
74 冬樹こずえ

【コメント】
 エロゲー業界を舞台にしたエロゲーなんて、材料になるはずの女のコがどこにも存在しないんだから頼むやめてくれお願いだからとただ先入観だけでそう思っておりまして、まあこのゲームやるのがこれほど遅くなったのも多分そのせいだったんですきっと(言い訳)。異論反論は数多くあろうかと思いますが、俺の愛するエロゲーメーカーとしては(俺の中で)5本の指の中にしっかり収まってしまうメーカー、有限会社アイボリーの暴露モノ(笑)エロゲーです。そういえばここんトコ、ガイナックスもこーいう暴露モノ作ってたし、あの「すいーとじぇみに」のRipesが出した「ペンシラー☆カナ」ってのも製作現場が舞台だったような。流行りですかひょっとして? 関わってる人数とか現場のキツさとかスタッフ同士の会話とか、関係者の知り合いに訊いてみると、まるで現実的じゃないそうなんですけど。女性がいない、ってのは俺の勘違いだそうだから、もしかしたら恋仲になるスタッフとバイトってのもいるのかも知れないんだけど、でもそれはごくごく少数であって、だいいちこれほどキレイな女の子がそろってる開発現場ってのはさすがに「虚」なんじゃないかなあ。開発スタッフの夢? いや、これが結構事実に近いっていうことでしたら、俺、見学に行きたいんですけど。羨ましいんで。
 さてレビュー本篇。かの「とらハ」のアイボリーですから、プレイ前からある程度のレベルは期待してます。今回同時にUPしました「エロゲー論」の方の「有限会社アイボリー」もぜひ併せてご覧ください。そういう理由での期待、という訳なんですよお客さーん。ここのゲームで失望するとしたらシステム、それも涙が出るほど情けないバグ、というイメージで始めまして、今回はバグらしいバグが全くないことにまず感動しました。一応CG98%くらいまでは自力でやったんで、そこまでやってバグがないってことはまずないんでしょうね。これが当たり前とはいえ、その当たり前が当たり前でないという悲しい常識がまかり通る業界ですから、これは誇るべきなのかもしれません。メニュー表示、セーブポイント、細かいオプション、その辺の操作感は全く問題ない、むしろ優れモノである、という感想です。
 だからこそ。内容の評価の前に、ゲームシステムそのものの評価を。
 こりゃあひどいんじゃない?
 えー、パラメータを4種類持って、この組み合わせで主人公の性格設定をする。だから主人公は9種類の性格を持つことになる。このパラメータ、プロローグ部分の選択肢で90%まで決まっちゃう。その後の選択肢は、登場もランダム、効果も極小で、調整に使えるほどのものでもない。ってこたあ何か、プロローグの選択を間違えたら、一生懸命プレイしてる部分なんて何のイミも持たなくなるのかい? そりゃあんまりじゃないでしょうか。主人公と女の子たちの作り出す「場」がすばらしいだけに、いつもアイボリーのゲームではこのゲームシステムに必ず不満を抱かされる。もう少し、パラメータの修正をゲーム中にできるようにしないと、ゲームとしての体裁さえ保てなくなるような気がするんですけどね。「とらいあんぐるハート2」の中途半端さを思い出しながら、ああやっぱりここの弱点はシステムなんだよなあ、とため息ついちゃいました。
 それと、今回は日々のイベントもほとんどがランダム。ならもっと種類を増やしとけばいいのに、例えば自宅で櫻姉さんと話をする、という日常も、バリエーションが少な過ぎ。こんだけおんなじ日常を繰り返されると、日々を楽しむ気が失せます。ランダムをやめろってんじゃなくて、ランダム使うくらいならあんまりダブらないくらいに種類を作っといてよ、ということ。会社のイベントはかろうじてダブってないみたいだけど、響子さんが辞めた後に響子さんが出てきちゃったこともあったっけ。調整不足かプログラムミスか。開発期間が短いのか無理な設定なのか、アイボリー製作のエロゲーっていつもこうですよね。
 わざとそうしたのか、たまたまそうなっちゃったのかは知らないけど、どのシナリオにも抑揚があんまりないですね。ドラマティックじゃない。ま、いつもいつも事件ばっかり起こるってのはそれこそ現実的じゃないし、こっちの方がホントっぽい、っちゃそのとおりなんだけどさ。エロゲーをやる人間はもう少しドラマティックな話、ちょっと非現実的な話を求めてるかもしんない。あんまりにもフツー過ぎて。どうせフツーにするんなら、「いちょうの舞う頃」(もちろん「1」の方ね、「2」はクソだから)くらい日常描写をみっちりとやってくんなきゃ。
 と、いろいろ文句つけてますが、いや、アイボリーの作るゲームって、どうしてこう、キャラが(つーかキャラ群が)魅力的なんだろ。キャラ萌え、ってのは俺あんまりよく判らないんだけど、こういう集団の中に自分がいたらキモチイイだろうなあ、というのはかならずあるんだよ。性善説は俺も大好きだから、全てのキャラが基本的に「いいひと」って設定も、ことエロゲーにおいては正解、だと思うし。イタいキャラがあんまり出てこないのも、俺好みです。
 さ、次はいよいよ「わたしのありか。」だ。俺、目黒三吉さんの原画好きなんだよねえ。(2000.10.23)