LOVE FOREVER
種別 音声 アニメ メーカー・ブランド 発売日
ADV なし なし Bunny Pro. 1999.4?

【いっせいの評価】

シナリオ システム 音楽 CGレベル エロ度
5 6 8 9 2
ハマり度 期待度 切な度 感情移入度 特別加点
3 3 5 2 3
総合点 俺のキャラ
46 姫乃城 小夜花

【コメント】
 このコーナーには珍しく、今回のコメントは完全にネタバレです。申し訳ありません。お気を付けくださいませ。
 さて、つい先刻、このゲーム専用に設けられたBBSを覗いてきました。えらい盛況でした。何人かの女性キャラに萌えた人々が、どのキャラが何だとか、まあ言ってみればどうでもいいようなことで、激論を戦わせていました。そんな彼らを嘲る気持ちは毛頭ありませんが、そこまでまじめに考えてあげるべきゲームではないような気がして、ちょっと彼らが気の毒になりました。同時に、このゲームを作ったBunny Proの方々に、直接いろいろと訊いてみたい衝動に駆られました。
 前置きが長くなりました。こうくどくどといったい何を言おうとしているのかというと、結局、俺はこのゲームを認めたくない、という結論な訳です。「With You」のときの「認めない」とはちょい違うんですが、えー、どういうことかと言いますと、エロゲーにあらず、ではなく、このゲーム自体、俺的にはだめ、ということなんですねえ。
 俺がよく顔を出してるBBSでは、エロゲーはエロが命、エロのない(つーか汁のない)エロゲーはエロゲーにあらず!的な総括がされてまして(ホントか?)、そういう視点から見れば、例えばF&Cは商業主義に走った極悪非道の非エロゲーメーカーということになります。で、そこでこのゲームを俎上に上げれば、こんなのエロゲーじゃねーよ、と明快なお返事が皆さんからいただけること間違いありません。でも俺はそこまで割り切れなくて、いくらエロが少なくても、まあそれはもちろんイヤなんだけど、少ないながらもきっちりとエロを書いてて、できればそれがシナリオの整合性にまで絡んでくるようであれば、エロゲーとして認めちゃいます。んで、この「LOVE FOREVER」つーゲームはどうかっつーと、事実上、エロはありません。もちろん汁もありません。鬼畜系ではなくハッピイ・エンドを目的とするくせに、ハッピイなHはありません。ヒロインのシナリオには、事実上、健康的なお色気もまるでありません。
 とりあえずこのゲーム、エロゲーとは認められません。
 で、じゃあ普通のADVとして、ならどうか。エロがないとなると、それ以外の部分で光るモノがなくてはならないはずですよね。だけどない。まるでない。二元論の安易な引用によるシナリオの浅さ、天使や悪魔の定義の軽さ、地の文の人称認識の欠如(これって一人称? 三人称? はっきりせいっ!)、そして何より、オープニング部分の殺人的な長さ。全てにおいて、許されない完成度。
 で、じゃあただのクソかというと、それも違う。何故かといいますとですね、殺人的長さのオープニングゆえ、いやでもプレイヤーはヒロインと主人公のアツアツぶり(こんなん死語だよねえ)をひたすら見せつけられます。反吐が出るくらい。でもね、キャラとしては、このヒロイン、あざといほどイイ娘で、哀しいほどいとおしいんです。俺は日本のテレビドラマを見てると照れちゃってすぐに消しちゃう方なんですが、ここでも、正直、見てらんなかった。むずがゆくて。でもそれは、羨ましい、なんて気分も含んでる、不思議なむずがゆさ。で、伏線も何も見当たらないような退屈な日常の果てに、しかもさあいよいよ(俺の大好きな)恋人Hだっ!って時に、いきなり、ヒロインが死んじゃいます。しかも主人公は、ヒロインと愛し合ってた記憶を全く失ってしまっています。おいおい。ちょっと待て。そんなに安易でいいのか?
 プレイヤーの気分は最悪です。ダウン系のクスリキメてもこうはいきません。何しろこういうエロゲーをプレイする者は、毎度言ってるように、等しく「ハッピイ・エンドの呪縛」に囚われているからです。
 で、仕方なく進めているうち、ヒロインに関する主人公の記憶が少しずつ甦ります。そのたび、別に記憶を失っている訳ではないプレイヤーは、イタい想いを募らせます。ちなみに記憶が甦るシーンは、完全に、それまでのオープニング部分からの抜粋です。CGも同じ。BGMはさすがに違いますけど。
 この作りのあざとさ、とにかくプレイヤーを魅了でなく呪縛で縛ろうというこの姿勢、俺は大キライです。「ONE」のあざとさなんてメじゃありません。
 で、その辺で俺はもう攻略する意欲なんて持てなくなったんですけど、ストーリイが(つーかヒロインがホントに死んだままで話を終わらせるつもりなのか)気になって仕方ないんで、一応とある攻略ページの情報をもとに、ヒロインのシナリオをクリアしました。
 あんなシチュエイションで他の女の子を攻略する気には、俺は到底なれません。よって、もうこのゲームは売っ払います。跡形もなく消し去ります。不快な気分だけが残ります。
 そういえば、ラストの「想い=精液」の構図なんざ、かの山上たつひこ(「がきデカ」の人。今は山上龍彦って小説家になった)の文芸作品調漫画短編集の、マネキンを本物の女にするためにひたすら暗くて病的な主人公がマネキンの股間にお○○こ作って紅生姜で色つけて突っ込んで想いを遂げる、のと全く同じ。
 プレイヤーの感情を弄ぶゲームは大キライ。
 よって俺はこのゲーム自体を認めません。
 萌えてる皆さん、ごめんね。