檸檬 〜影絵亭ノスタルジヤ〜
種別 音声 アニメ メーカー・ブランド 発売日
AVG あり なし 13p 2000.4.14

【いっせいの評価】

シナリオ システム 音楽 CGレベル エロ度
9 9 9 8 9
ハマり度 期待度 音声 13p度 特別加点
7 8 10 7 9
総合点 俺のキャラ
85 李 明夏

【コメント】
 いまさらこんなことを言うのも気が引けるけど、相変わらず昨今のエロゲ界は、ソフトエロ(なんて言葉が存在するのも不思議な話だけど)中心に展開してますねえ。泣かせるシナリオ、終盤一気でたった一度のソフトエロ、途中にましますパンチラショット、キイワードは「初恋、記憶、幼馴染みに処女喪失、もひとつおまけに“忘れられない痛み”」。買うヤツがいるから売る、ちっとははける、はけりゃあ儲かる、次の柳の下にドジョウを探しに行く、とこれまた見事なまでの流れ作業。おかげで、どこかで読んだようなフレーズ、どこかで見たよなカット割、どこかで聴いたようなBGM、ああなんと素晴らしき哉積みゲーマー、今日もやります大いなるワンパターン、ご老公の印籠に遠山桜と来たもんだ。
 ちょっとちょっと。なーんか、おかしくありません?
 って、こういう書き出しのレビュー、皆さん、結構読んだでしょ。
 実は俺もなの。ここまで書いたところでちょっと読み返してみて、ありゃまあどうしたもんかいのう、と頭を掻いて、結局消さずに、先に進めることにしました。ま、この「檸檬」に限らず、そういうソフトエロ路線とは違うベクトルを得たエロゲー、最近、増えてるような気がするんです。一時の葉っぱ万歳傾向にようやく限りが見えたと喜んでいいのか、はたまた、俺の視野がそっち方向に向けて狭められているからなのか。
 ま、どーでもいいや。
 閑話休題。
 要するに俺が言いたいのは、「これは買い」ってこと。13pの部屋の方でも述べますんで軽めに語り入れると、結局のところ13pのエロゲーって、極論的存在なんだよね。「こういう感じ」、じゃなくて、「こうよこう、はっきりとこう、これしかないの」、というか。今回にしても、開発当初の段階で、「エロやりますエロ、とにかくエロだからね、お楽しみにね」くらいの勢いで自分トコのBBSに書き込んでたし。ま、「好き好き大好き」から「フロレアール」までの路線で、エロをひとつの道具立てとしてしか使わないエロゲーってものを、彼らとしては、もう思う存分やりきりました、ということなんでしょう。だからその後は、「DEVOTE」にしろこの「檸檬」にしろ、次回作「発情カルテ」も「DEVOTE2」も、もう何しろひたすらエロエロエロエロエロエローーーーっっっっ、というコンセプトに落ち着いた訳ですね。
 でもね。だからエロ以外の部分は適当でいいか、というと、そんなことは絶対にない、と俺は思うんです。
 エロティック、という感覚は、本能的な(もしくは動物的な)側面と、その後に形成された、文化的な側面と、大まかにはこの二面性で成り立っている、と俺は考えます。で、PCを使ってやるこのエロゲーというメディアは、あくまでも主に文化的な側面を刺激することをその存在理由にしているんではないかなあ、と。裸の絵だから動物的、ではないはず。声もそう。全ては想像、ないし妄想の材料として、使う訳だ。オカズってのはそういうもんだよねえ?
 ならばそこには、妄想世界への低い敷居、感情移入を容易にするためのきっちりとした材料が用意されていなければならない。
 用意されてます。特に。声優さん、お疲れさまでした。ホントに。
 舞台設定、音楽、どれをとってもほぼ過不足なし。満足の行く仕上がりです。
 目立たないところでは、カウントダウンエロゲシナリオにランクインする予定のシナリオ。
 惜しむらくは、予算の関係でしょうか、いつものとおりちょっと枚数の物足りないCG。質は結構いいだけに、なおさら惜しまれます。でも、欲を言えば、もっと生々しい絵柄の「檸檬」も見てみたいような。さっぽろももこ氏の絵柄は優し過ぎて、どろどろのぐちょぐちょのべちゃべちゃ、というシーンではさすがに浮いてます。ま、アイキャッチの5人の絵が絶品なので、評価は落ちませんが。ちなみに俺はこのソフト、某ソフ○ップのネット通販で購入しましたんですが、なんだかよく判らないうちに、予約特典であろうファイルケースが同封されてきました。雪緒の絵のオリジナルもの。明夏かカレンだったらもっとよかったけど、まあいいや嬉しいから。
 総じて言えば、攻略性をほぼ100%捨てた結果、ますます本当の意味で、オカズソフトに昇華されたエロゲー。だからこそ、ひとつだけ、どうしても納得できない部分が残ってしまうのです。
 陰語。台詞の「おちん○ん」「おま○こ」、ちゃんと言わせてよ。あとでいっくらピー音で消したって構わないから、きちんと言わせて、前後の言葉に不自然さが残らないようにして欲しかった。点数としては10点つけたけど、この部分は次回作できっちり見せて(つーか聴かせて)もらいますぜ。(2000.5.19)