Kanon
種別 音声 アニメ メーカー・ブランド 発売日
AVG なし なし KEY 1999.6.4

【いっせいの評価】

シナリオ システム 音楽 CGレベル エロ度
10 8 10 6 2
ハマり度 期待度 感情移入度 切な度 特別加点
9 9 9 10 9
総合点 俺のキャラ
82 沢渡真琴

【コメント】
 夏のゲームを夏に発売、冬のゲームを冬に発売。マーケティングという側面から見たらあまりにも当たり前過ぎて注目されることなどあり得ないこういうことが、ことエロゲー界では全くもって難しいようです。この「Kanon」も、当初のアナウンスでは年末発売、すぐに1月発売となって、大体予定日のひと月前になると発売日がひと月延びる、という一種「子猫の尻尾」状態になってましたが、半年延びたところでようやく落ち着きましたね。プレイできてよかった。内容はともかく、まずは手に取ることができた、というのが収穫でしょう。
 いうまでもなく、このゲームのクリエイターさんたちはかの「ONE 〜輝く季節へ〜」を作り上げた面々。ま、正直言ってCGという面ではそれほど期待しておらず好みでもないんで、シナリオと音楽に尽きるんだろうなあ、とは思っておりましたが、好みはともかく、CGも美しいです。絵としては。エロはないけど。もっと言っちゃえば、そのまま全年齢推奨で発売しても全く問題ないと思うけど。シナリオに関しては、「カウントダウンエロゲシナリオ」への上位入賞が俺の中で内定したので、あんまりこっちで書き過ぎるとあっちのネタが涸れちゃうかなあ。とりあえず、KEYさんのHPと相互リンクさせてもらったんで、プレイ前にここをご覧になる方が増える(希望を含む表現ですが)と、ネタバレはマズいかな。別頁にまとめとこうっと。楽しみに待っててくださいね。

 ネタバレレビュー(各キャラ別)ページ、オープンしました。こちらよりどうぞ。

 さて、ひとことでくくるならば、「彼らはようやくリーフの呪縛から逃れた」、これに尽きます。もともと、文章力そのものならリーフよりあるいは上を行っていたかもしれないほどの彼らが、いくらリーフが売れたからといって、いくら高校時代の同級生だったからといって、いくら故意ではなかったからといって、リーフの本歌取りを(というより「To Heart」の本歌取りか)する必要は全くなかった。ま、その意思がなかったにせよ、結果として「ONE 〜輝く季節へ〜」は「To Heart」の本歌取りとなり、俺的なランクはひとつ下がっちゃった訳です。あちこちのレビューで見かけたけど、こういう考え方はそう珍しくないみたい。簡単に言えば、大損してた訳ですね。
 で、今回、彼らは見事、そこから脱却しました。
 目指しているものはもともとリーフとはちょっとズレていたから、その目指しているものに一歩近づくことで、彼らはリーフとの違いを明確に示してみせた訳です。
 リーフは恋愛小説。あ、F&Cの連中は別ね。だから「こみパ」はリーフとは思ってないから、俺。あくまでも高橋龍也+青紫というチームでのリーフ。
 で、彼らKEYは、ファンタシイ。あ、念のために申し添えますと、俺はファンタシイという言葉を、本当に様々なイミで使用します。空想、理想(実現可能)、理想(実現不可能)、夢物語、夢そのもの。昔のハリウッド映画のような、冗談のように綺麗にまとまる大団円、というイミにも、俺はこの「ファンタシイ」という言葉を使ってます。大好きな言葉でして。
 ここでの「ファンタシイ」は、もちろん、夢物語。現実の痛みを最後にひとつだけ無くしてくれる、最高のハッピイ・エンド。彼らが文中でしつこいほど繰り返した言葉、「奇跡」は、このつらい痛みを癒してくれる特効薬、あるいは免罪符、なのだと思います。
 各キャラのシナリオについての詳細は、「カウントダウンエロゲシナリオ」、あるいはネタバレレビューの方で。

 さて話は変わりまして、音楽。こいつは、いい意味で、リーフでいう「To Heart」→「WHITE ALBUM」と同じ、いい進化を遂げてます。包み込むような優しく柔らかい節回し、そしてアレンジ。自分達のいい部分をしっかり認識している彼らだから、初回特典にああいうオリジナル・サントラを付けたってのは○。でも俺的には、ゲームから直接拾った音楽が、バランス的にもアレンジ的にも、最も優れていると思いました。折戸さんしかいないのは今後の心配の種だけど、ま、統一性があるからいいのかな。

 しっかし、何でこれが18禁なんだろ。エロゲーとしては、はっきり言って、サギです。つーか、エロゲーじゃありません。別にコンシューマを視野に入れて開発してる訳でもないだろうから、うーん、ちょっとそこは引っかかるなあ。評点が下がったのも、何しろエロ度が低いのがいちばんの原因ですからねえ。あんなおざなりのHシーンなんかハナっから取っ払って、最初っから全年齢推奨という土俵で戦う訳には……行かないよなあ。最近のソフト路線流行りの中でも、このゲームなんか、もろど真ん中だもんなあ。



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