いちょうの舞う頃2
種別 音声 アニメ メーカー・ブランド 発売日
NVL なし なし Types 1999.12.24

【いっせいの評価】

シナリオ システム 音楽 CGレベル エロ度
2 4 6 8 4
ハマり度 期待度 感情移入度 切な度 特別加点
2 0 1 1 0
総合点 俺のキャラ
28 いません。Hだけ水那。

【コメント】
 前々作「いちょうの舞う頃」から1年余、前作「SEVEN」は(結局買わなかったんだけど)評判それほど芳しくなく、さらに発売元も変更、さあここからが新しい出発点だ、見てください! 的な気合を周辺の状況から感じ取りつつ、でも俺は、メガストア誌上に突如掲載された新作紹介記事の不思議な内容に、一抹の不安を禁じ得ませんでした。これはホント。結果論ではなく、ね。あの「いちょうの舞う頃」の雰囲気、そしてストーリイと、「水泳部」という単語があまりにも噛み合わなかった、というのがひとつめの理由。もちろんもうひとつの理由は、あの腐れコスプレ女。不気味な猫耳(鼠耳? よう判らんが)のかぶりもの。
 でもまあ、それ以外のCGは悪くなさそうだし、なんかピンク色のすっごい髪型の女の子の尻がイイ感じに色っぽくて大きくて、これはもしかしたら前作+パワーアップエロか? などとひとりで盛り上がっておりました。どうやらTypesのサイトで主題曲のMP3データを先行ダウンロードさせていたらしいんだけど、それは知らなかった。知ってたら、間違いなく落としてましたね。前作のBGMもこよなく愛している俺なので。
 発売予定日。Typesサイトの延長告知は知らず、クソ忙しい中、滞在時間20分という秋葉原訪問で空振り。で、1週間後の25日(発売翌日)、レビューサイトやら何やらはまるで見ず、当然のように新品購入。6800円くらいでした。同時に「縛鎖」購入。
 この辺りの強烈かつ殺人的な忙しさについては、その頃のBBSなり繰り言なり、もしくはあちこちのサイトのBBSへのカキコをごらんいただけば判るんですが、その中でも、俺はこの「いちょうの舞う頃2」をしっかりインストールしてました。あまつさえ、わざわざ音楽トラックをMP3化してRio500にぶち込んで聴き込んでいたほど。何しろ、期待度300%だった訳です。
 ああ、そろそろ、感想を連ねなければならない段になってしまいました。何て言うか、えー、H系のCGは、前作よりだいぶレベルアップしてたと思います。つーか、前作があまりにもエロ要素に欠けていたんで、ようやくエロゲーの端くれに位置できる程度にはなったのかなあ、と。CGの質もまあよし。絵柄は好みの分かれるところですが、俺的にはOK。パンツCGと尻CGがサイコーでした。あ、それと、BGMでも数曲は、結構気に入りました。前作ほどの盛り上がりには欠けますが、でもまあ、エロゲーのBGMとしては、充分に合格点以上のレベルです。
 以上、誉める要素、終わり
 さて。
 どこから書いていいのか困るほど、このゲームはけなす要素に満ち溢れております。基本的には好意的なスタンスでレビューしているつもりの俺でも、今回ばかりは「それはムリ!(優香風に)」。全くもって、よくもまああの「いちょうの舞う頃」の続篇というかパート2として、こんなひでえのを出したよね。
 最低。誉める要素として並べた部分以外の全てが、考えられ得る最低のエロゲー。
 しかも、前作の名前だけで売ろうとしている、という点に、さらに幻滅。唾棄すべきかなこの姿勢。ブランドとして、どうやらいろいろあったらしいですけど、それはそれ、これはこれ。前作のシナリオとか開発姿勢、つまり金にならないけど日々の学生生活の風景を忠実に詳細に表現することでリアリティを持たせよう、あくまでも誇張は避けて感情移入してもらおう、同じシナリオの使い回しは可能な限り避けてみよう、という謙虚な部分を、かれらTypesはどぶに投げ捨ててしまったようです。
 もう、やめろよ。
 もっと詳細かつ具体的につつかせていただきます。
 水泳部と美術部を兼部する主人公なんて、多分前代未聞だよね。これって結局、スポーツ系の女の子と文科系の女の子をダブルヒロインで用意したかったから作ったってだけの、スーパーご都合主義の設定なんだと思う。ご都合主義はもちろんフィクションには必須のものだから否定こそしないけど、ここまであざといと見ている方はすっかり嫌気がさしてしまって、もうそれだけでやる気はしぼみまくる。
 おしとやかな文科系の憧れの先輩と、その妹で姉に少なからずコンプレックスを抱きつつ姉に憧れる主人公に憧れる後輩。これだけ見れば悪くないキャラ設定で、これをどうやって料理するかでシナリオライターのセンスと力量が試されるってなもんだけど、結局、料理も何もしてない。会話もないし。何のために姉妹って設定にしてるのか、まるで判らん。
 で、とどめがあの腐ったコスプレかぶりもの女。この女の立ちCGが出た瞬間、俺は思わず、「いいからお前は死ね」と口走ってしまいました。何でこの話にこのキャラかなあ。もう、(内情は知らないけど)もしわがすりあ狂介氏がシナリオやその設定周辺にあまりタッチしてないんだとしたら、氏は多分、依頼されたキャラの設定を見て頭を抱えたと思いますよ。いや、好きであーゆーのを作っちゃったんなら、もう何もいいませんけどね。
 もうひとつ。とどめは普通ひとつなんだけど、このゲームに限っては、まだあるんだよとんでもないのが。
 もうネタバレでも何でも構わんよね。えー、主人公は話の後半に一度寝込むんです(そういや「いちょうの舞う頃」でもあったなあそういうシーン)が、その前に、病をおして登校します。で、美術部に顔を出したとき、例の憧れの先輩に「顔色悪いよ」とか言われて、返事をする訳ですわ。「1.調子悪いんで今日は帰ります」「2.大丈夫大丈夫」。これで2を選べば、「いちょうの舞う頃」の時と同じように、ぶっ倒れて自宅で寝込む、というシーンに移れます。じゃあ、うっかり1を選んじゃったら?
 即死できます。いや、冗談でも暗喩でもなくて。次のシーンは病室。なぜか主人公はいきなり、強烈な病気になってしまいましたとさ。夢に2、3度出てきた青い目の妹が横で看病してます。これも訳判らんのですけど、主人公は何を血迷ったか、その(血のつながらない)妹に、「一発やらせろ」と持ちかけ、途中でやめます。で、その次のシーンは、ありません。「僕は終わりになってしまった。さようなら」。これでおしまい、バッドエンド。
 おいおい。小学生の日記か? 「今日は朝起きて、昼外で遊んで、夜寝ました。」これと同レベルじゃん。
 カンベンしてよ。誇りってもんはないの?
 えー、もっと細かく、例えば「いちょうの舞う頃」には見られた、数多くのパターンの日常生活描写が、本作ではもう両手の指があれば足りる程度にまで圧縮されている、とか、相変わらずチャイムと目覚ましの(えっらい不快な)アラーム音がスキップできないとか、文句はあるんですが、もうどうでもいいや。
 俺、二度とここのゲームは買いません。誓います。
 こんな超ウルトラ地雷を発売してしまうメーカーは、早く消えて欲しいです。それだけです。(2000.1.26)