果てしなく青い、この空の下で・・・。
種別 音声 アニメ メーカー・ブランド 発売日
NVL+AVG なし なし TOPCAT 2000.8

【いっせいの評価】

シナリオ システム 音楽 CGレベル エロ度
9 9 8 9 7
ハマり度 期待度 おまけレベル 「痕」度 特別加点
10 9 8 9 9
総合点 俺のキャラ
87 八車文乃

【コメント】
 多くのレビューサイトがこのゲームを指して「2000年最高のエロゲ」と呼び褒め称える中、臆病な俺はひたすらこのゲームを回避してました。何故か? カンタンです。期待を外されたら、もう立ち直れなくなるから。「いちょうの舞う頃2」で危うくこの世界から足を洗いかけた(つーかこの世界を見捨てかけた)俺にとって、実はこのゲームは、最後の砦だったのかもしれません。ウチの、滅多に書き込んでもらえないBBSにもかつて、このゲームを推薦するカキコをいただいたことがありました。俺が購読するメーリングリストのメンバーの間でも、このゲームはある程度以上の 評価を得ていたようです。で、ホントなら20世紀中にこなしておいて、2000年中のエロゲベスト10とかそういう企画で取り上げるべきだったんでしょうけど、今までほったらかしになってました。今回、ようやく正面切って向かい合う覚悟ができまして、ここでレビューさせていただく次第です(なんだかやたらと低姿勢である)。
 予告どおりというか何というか、やっぱりシナリオの完成度がかなりのものだったので、シナリオカウントダウンの方にも10位以内にきちんとランクインすることが内定してます。なので、ここではシナリオ以外の部分を主に取り上げてみようと思います。
 何だか自分がやたらと殊勝なのでびっくりしている俺でした。

 これが2000年最高のエロゲかと訊かれれば、俺はこう答える。「人によっては、ね」。じゃあ俺にとってはどうかというと、好きな人には誠に申し訳ないんだが、「いや、俺はそこまで評価しない」って言うと思う。
 どの辺がそうか。欠点、というか、最高になり損ねている部分ね。俺はそれを、あえて「シナリオ」と表現します。
 これはホントにおかしな話。シナリオの完成度ゆえに評価されるべき作品の欠点が、何故シナリオなのか。
 致命的な欠陥が、って訳ではありません。もちろん、残念ながら欠陥は見つけてしまったのだけれど、それはここではあまり重要ではありません。その欠陥があってもなくても、俺の評価はあまり変わらない。
 思うに、エロゲーを作る人には、はっきりと2種類の人種が存在するように思います。ひとつは、思い入れたっぷりに、自分の理想なり心象世界なりを表現する人々。この人種のシナリオライターが作り出す世界観は、ある時にはプレイヤーさえ入り込めないほど独りよがりだけれど、上手くすればその作品は、この世界観を追体験できた多くのプレイヤーにひどく高く評価されることになります。俺は、例えば「ONE」がここに分類されると思ってます。
 そしてもうひとつが、企画した人間の設計図に従って、忠実に、けれど最大限の能力を活用して、いわば「職人芸」とも呼べる極致を見せつけるもの。
 俺は、この「果てしなく青い、この空の下で・・・。」は、そういう、職人芸によって作られた、いや成り立っている、エロゲーだと感じました。本当はどうか判らない。まるで見当違いかもしれない。でもそう感じました。シナリオカウントダウンでもっと詳しく述べますが、特にシナリオに、その「職人芸」を感じました。
 だからこそ。だからこそ、そこが欠点にもなり得る訳です。
 こういう伝奇系のシナリオでは、アイデアはあまり目新しいものにはなり得ません。このシナリオも、正直言って、「痕」度がかなり高い。でもそれは、伝奇系を採用している以上、ある程度はやむを得ません。このジャンルでの独創性は、ある種のとっつきにくさしか生まない可能性が高い。やる気も失せてしまう可能性が、ね。
 だからこそ、それ以外の部分、例えばキャラ表現だとか主人公との会話だとか、そういうところに注目するべきだと思います。んで、俺は注目しましたよもちろん。結構なお手並みです。ええ。さすが職人。
 でも、愛がなあ。ちょっとばかり足りないような。あ、いや、過剰な愛が足りないんであって、正直、愛は感じるんですよ。特に原画家との連絡はばっちりと見えて、原画家さんのキャラの捉え方はほぼカンペキに思えます。
 じゃあ何で、もっとそれぞれのキャラの細かいシナリオを、独立して設けなかったのか。この辺がホントに悔やまれる訳です。
 このまま書いちゃうとシナリオカウントダウンのネタがなくなるんで、シナリオに関してはひとまずこの辺で。
 さてその他の点。原画は、これは俺の“ど”好み。残念ながら最近ロリがだめになりつつあるので、藍と明日菜のHCGはカンベンつー感じだが、後はOK。塗りも好み。上手いのかどうか、その辺はもうどうでもよくなりつつあったりする。
 音楽は、及第点は軽く超すんではないでしょうか。ありがちっちゃありがちですけどね。システムは、構造はカンペキ、これで何のバグもなきゃ10点満点なんですが、仮にもノベルを名乗るのならテキストを戻す選択肢があってしかるべきだろうという判断がひとつ、ラストのスタッフロールでエンディングテーマをCD−DAで流すはずのシステムがバグってて音楽が鳴らないってのが響いて7点どまり。怒ってますよ俺は。パッチあてたら開けてた画像のデータまですっ飛ばされたし。職人肌のブランドってイメージがあるんだけど、こういう対応はちょっと悲しいなあ。
 エロ度を高くしたのは、結構そういうシーンがイケたからです。俺はどちらかといえばかなり女汁派なんですが、糸引いた時の描写とか、その辺にかなりいやらしさを漂わせてくれていて、それが高評価につながりました。
 あー長く書いちった。これでシナリオカウントダウンでもかなり語っちゃうんだよ俺多分。ごめんね。(2001.1.29)

 システムについて再評価。2点プラスの9点としました。シナリオ再読がないんで、10点満点にはしません。でもCD−DAが鳴った時には嬉しかったなあ。最初のプレイの時に鳴ってれば、もっと感動しただろうに。あーあ。自業自得とはいえ悲しい限りですだ。悪いのはRaiteのDVD−ROM。皆さん、あれは、リー○ョン○リーだそうですけど、少なくともエロゲーには向いてませんでした。俺の買ったのは「はずれ」だったと見えてもうクラッシュしちゃったし。お気をつけくださいまし。(2001.2.14)