不確定世界の探偵紳士
種別 音声 アニメ メーカー・ブランド 発売日
ADV なし なし デジアニメ 2000.5.

【いっせいの評価】

シナリオ システム 音楽 CGレベル エロ度
8 7 8 9 6
ハマり度 期待度 感情移入度 難度 特別加点
7 8 7 10 7
総合点 俺のキャラ
77 前半限定で綾木麻衣子

【コメント】
 少年ジャンプでやってる当時から、俺は「コブラ」って漫画が大好きでした。アメコミ調が楽しい、って部分ももちろんあったんだろうけど、それより何より、主人公コブラの破天荒なタフさに憧れてました。同じ頃、「狼男だよ」に始まるアダルト・ウルフガイシリーズにもはまり始めてまして、これも人間離れしたタフさが売りの、人狼ルポライター・犬神明のキャラに憧れまくっていたのを覚えています。
 つーか、思い出しました。このゲームが一体何を目指していたんだろう、というあたりに思い巡らせていたとき。
 最近では、えー、ヤンジャンでしばらく連載していて、思わずコミックまで買い集めてしまった(今は売っ払っちまったんですけどね)「ハートボイルド・パパ」の主人公が該当するのかな? 多分他にも、それこそ枚挙に暇がないほどあるんだろうけど、俺の貧困な読書歴からはあんまりこういうのを引っ張り出せないや。
 あ、申し遅れました。つまり、主人公・悪行双麻に与えようとしていた位置付け、つーのは、多分この辺のキャラなんじゃないか、ということなんですよ。2.5枚目。ぱっと見では優秀には見えない、どちらかと言えば三流以下にしか見えないんだけど、実はすっげえの、というヤツですね。コブラは、最近の連載の中では結構ハンサムに描かれちゃってるんだけど、もともとはジャック・レモン系のでか鼻おやじ。若くもないの。犬神明に至っては、文中の表現でも「くたびれたジャン・ポール・ベルモンド」なんて表現が出てきてました。ま、言ってみればサル顔ですかね。そういう冴えないヤツらが、自分の得意分野に入ると凄い活躍をする。で、肉体的にも、トカゲ並みにタフと来てる。犬神明なんか、人狼って設定もあるから、腕とか足がちぎれても、目ん玉潰れても、満月の夜には復活しちゃう。何しろ死なない。ゴキブリもかくやってな生命力ですよね。
 でも、あの絵からは、そういうキャラが浮かんでこないんだよなあ。おかっぱ系の髪型(俺はあれだめだわ)もそうだけど、文中の「切れ長の瞳」なんて表現を目にしちゃうとさ、やる気なくなるんだよね。結婚歴もあるんだし、もう少しこう、ちょっと年齢を高めに設定して、顔ももう少しなんかやりようがあったんじゃないか、と俺は思うんですよ。ホントはAクラスなんだけど表向きはDクラス、見てくれもそう大したことない、ってイメージならなおのこと。じゃあすっごく強そうかってえと、まるでそんなことはない。彼自身、ホントは強いくせに、怖いお兄さんがいるから近寄れない云々、なんてテキストまである。
 あー、イライラしてきた。
 で、何を表現したいの?
 最初はね、結構楽しんでたんです。攻略情報も見ないで、純粋に自力で、時間がないにもかかわらず、コツコツとね。いちばん最初のエロシーンのテキストが結構気に入ったってのもあるんだけど、さっきから書いてるとおり、こういうキャラってキライじゃないのよ。ちょっとおちゃらけてる、ソフト・ボイルド系の(女には手ェ出しちゃうタイプの)探偵。うん、悪くない悪くない。どんどん手ェ出して、エロエロにしてくださいよ。エロゲーなんだし。で、たまにかっこつけてキメてくれればいいや。B級なんだし。そのうちSFっぽくなってくるんだろうなあこのタイトルだし。うん、楽しみ楽しみ。なんて、独りで暴走してました。
 で、なんかすっかり、裏切られちゃいました。
 実は俺、剣乃さんの作品ってやったことないんですよ。このサイトの共同創立者(なんて言うとまたおこるんだろうなあMくん)がその昔、「YUNOはいいですよ、やってくださいよ」ってしつこく言ってたのを思い出しましたけど、実際にはやったことなかった。だから、「まあしょうがないか剣乃だから」って逃げが、自分の中ではないんです。ノーブランドの作品としてしか見てないから、製作者の打算とかその辺は見えないんだけど、作品それ自体の部分的な欠陥ははっきり見えてきちゃう。
 B級を目指して作ったんだろうなあ。じゃなきゃ、あんまりにも悲しすぎるもの。悪の組織といい、裏切ったカミさんといい、下司な刑事といい、あまりにも類型的な敵のボス(ここでは孔龍の方ね)といい、恥ずかしいくらいB級。こんなふうに書くと誤解されるかもしれないけど、俺、B級は大好きなんですよ。SF映画ならジョン・カーペンターみたいな。ちゃっちいんだけど気になる、俺自身の安っぽい感覚には直接響いてくる、っつーか。善悪二元論も、B級だからこそ生きてくる。エロゲーなんだから判りやすい方がいいしね。だから、A級目指してうまくいかなくて落っこっちゃいました、ってのは許せない訳です。B級ならB級、ってきちんと胸張って作れよ、そういう感じですかね。
 でも。じゃあ、このタイトルは? 世界の存在がゆらぐ、とか、そういう何か昔のハヤカワの青背にあったような観念的なSFに発展していくのか、ってワクワクしていたら、何にも起こらないうちにお話が終わっちゃいました。これにはびっくりした。何だ、じゃあ結局、こんなタイトルで誘っといて、SFちっくな内容ってあの「メイドロイド」絡みだけかいっ!?
 繰り返しますけど、最初の入りはキライじゃないんだ。「巻き込まれ屋」、設定としては大いに結構。いきなりHシーンだったのも好感持てた。
 でも、そこまで。サブキャラは中途半端だし(あのアッシュっての、モーニングの「サイコドクター」にそっくりのが出てくるよね?)類型的だし、女の子達は揃いも揃って魅力ないし。エロを前提にしないんなら、実はミント御剣がいちばんお気に入りなんですけど、Hシーンはまるで立たなかったんで俺キャラにはできませんでした。元妻・あやめ、どこがいいのこの女? だめだわ俺、こういう女、疲れちゃうから。
 剣乃さんの、本当の名作ってどれですか? Win版出てますか?
 改めてやってみます。このゲームだけだと良さが判らなかったんで。(2000.6.19)