【コメント】 初めて、１３㎝で失望した。旧作を発掘してきてプレイするってのは、これがあるからイヤなんだよね。ま、この「飼」とこれから購入を予定している「４８」は、失礼ながら、ハナっからそういう完成度を期待してプレイする訳ではなくて、その後の「好き好き大好き！」でのブレイク後のラインアップを予感させるような、いわば男意気への先行投資のつもりで、買ったんですよ。だから全く、損した、地雷踏んだ、という思いはない。ただ、ちょっとがっかりはした。男意気はともかく、楽しめないのには閉口しましたわ。やってて苦痛なんだもん。よく言えば単純作業、悪く言うなら「行」。俺は苦行僧か？ などと自問しながら、無理矢理先に進める、つーノリでした。
まず言えるのが、なんだこの薄味は？という哀しい疑問。およそ調教ＳＬＧと呼ばれるタイプのＳＬＧは、普通数人（１人～３、４人）の調教対象を確保して、数十日間でこの調教を完成させる、つーのが王道。どんなふうに育つか、をいろいろアレンジしたゲームが毎年星の数ほど出てるようだけど、結局は、この手順を「同じく伊坂重蔵」みたいに偉大なるワンパターンで繰り返す、という部分にはいささかの相違もない。俺が最近やった「東京九龍」もそんな感じの育成ＳＬＧだったし。恋愛感情を育てるタイプとＳＭ調教をするタイプでメニューは違うけど、違うのはそこだけ。だってそうだよね、それ以外にやりようがないんだから。
で、多分１３㎝の企画担当者は、そこに目をつけた。（ここからは多分に筆者の想像が臆面もなく並べられてますんで、そういう風に読んでください。まあ、事実がこうだったらそれはそれで嬉しいんだけど。）
「それ以外にやりようがない？ ――やったろうじゃねえか」。
つー訳で、まずこの企画担当者、ちょっと長ったらしいので仮にきーちゃんとしましょう、きーちゃんは、育成（あるいは調教）メニューに目をつけた。恋愛系なら「愛撫」「舐める」「入れる」、ＳＭ系なら「いたぶる系」「辱める系」「快楽に溺れさせる系」でそれぞれ細かい項目をずらりと揃え、それによってこの数値がこう、この数値がこう、とパラメータ変動の設定をこしらえる。これが基本、つーか、これ以外にはやりようがない。はずだった。目のつけどころが○ャープでしょ、じゃなかった１３㎝でしょ、を地で行くところのきーちゃんは、この細かい項目をすべてなくしてしまおうと思い立った。
「突っ込むだけ、しばくだけが調教じゃない、そうだろ？」
じゃあどうやって調教を進めようか。何もやらないで調教が進む訳はない。言葉だけで責める？ 現実ならあり得るけど（ホントか？）、ゲームでそこまで作りこむのはまあムリだ。うーん、どうしよう。――そうだ、薬だ。薬を３種類作って、それぞれ「被虐系」「恥辱系」「快楽系」に当てはめ、飲ませていくことで調教完成。いいじゃん。
かくして基本システムはできあがった。ただ、３０日ないし６０日、ずっと毎日薬飲ますだけじゃ飽きる。これはどうする？ 簡単なこと、調教日程を短くすればいい。でも短いとゲームがすぐに終わっちゃう。じゃあ対象を増やせばいい。こんなふうにして、十数人の中から調教対象を選ぶという特異なシステムは出来上がった訳です。
でもね、申し訳ないけど、このシステムはつまんない。対象の女の子を「ちちうし」って表現してるけど、ほんとに家畜を育ててるような感触。ときめきも達成感も何もない。人数が多いんで一人当たりのCG枚数が抑えられちゃうし、キャラ設定もどうしても突飛なものになってくる。何より、主人公が何もしない（指令を出すだけ？）のがイヤ。何でいつも、助手が犯すの？ （ゲーム中の）俺は？ （ゲーム中の）俺って、インポ？
見るべきところが少ないゲームですね。今更ながらにプレイしたのがいけなかったのかな。唯一の男意気としては、これだけ薬物にうるさい昨今に、ここまでストレートに薬物中毒者作成ソフトを作る、というその比類なき無謀さを挙げときます。まだプレイしてないけど「フロレアール」は一歩間違えば幼児ポルノだし、「DEVOTE」は女子高生の淫行で埋まってるということだから東京都の淫行条例に引っかかるし、反体制派集団・１３㎝の面目躍如か？みたいなまとめ方もアリかな、と思ったんで、まあこの辺でお開き。
早く「フロレアール」やりたい。（99.7.25）