カナリア 〜この想いを歌に乗せて〜
種別 音声 アニメ メーカー・ブランド 発売日
AVG あり なし Front Wing 2000.8.4

【いっせいの評価】

シナリオ システム 音楽 CGレベル エロ度
8 8 8 9 6
ハマり度 期待度 音声 青春度 特別加点
9 8 8 9 9
総合点 俺のキャラ
82 美香かなあ。迷う。

【コメント】
 皆さんから「地雷予感度ダントツNo.1」のお墨付きをいただいた、新興ブランドのデビューソフト。俺、いつも言ってるとおり、アニメとか声優とかそういう部分には思いっきり暗いもんで、このゲームの原画師さんが実はどういうアニメのキャラデザインをやってるとか、声優さん達が実は表の世界でも超メジャーな方々ばっかりだとか(これは実際そうらしいんだけど。かない○かさんとか、俺でさえ名前知ってるし)そのへんはあんまり評価の基準に入れてないし、この「カナリア」についてもその基準を変えるつもりは毛頭ないんだけど、公式ホームページってのを見に行ってみたら、なんかやたらと力入ってることは判りましたよ。メディアミックスつーんですか、サントラとか小説くらいならまあ珍しくないんだろうけど、オリジナルドラマCDが2枚にトレカ、しかもバックにはあの角川書店がびったりくっついてる、らしい。
 うーむ。多分これこそが、皆さんがこのゲームを地雷だと感じてしまうそもそもの原因なんじゃなかろうか。コンプティークの表紙になったエロゲーって、たいていコケてるし。
 ま、それはさておいて。じゃあ俺の評価はどうかというと、これが困ったことに、地雷とは思えません。あくまでも俺の評価ですけど、地雷じゃありません。角川の戦略にどっぷりはまってしまった訳です。いや、別にゲーム以外の何かをさんざん買い集めるつもりもないんだけどさ。もしこのキャラでオリジナルアニメが出たら、俺、DVD買います。きっちり買います。
 いちばん高い敷居は、多分(BBSでオノンさんも言ってたけど)あの絵柄。色気つーかエロ気が、確かにこの絵柄からは感じにくいんですよ。好き嫌いがかなり出てしまうタイプの原画で、アニメ塗りも賛否両論、高解像度だとアラが目立ってしまうゆえいくつかのレビューサイトでもさんざんこきおろされてましたし。思うにこの絵柄、やっぱり、最終的にアニメ化することを前提にしたものなんではないんでしょうか? つーか、そうあって欲しいんだけど。あんまり話題にもなってないし売上もそれほど伸びてなさそうなんで、そこまで行けるかどうかは心配ですけどね。動いていて自然に思える、動かないことが非常に不自然な、この絵ですから。いやね、俺もこの絵柄、多分あんまり好きじゃなかったんだよ実際。アニメ絵はパス、が基本なんで。じゃあ何でこのゲーム買ったのかって言うと、それが自分でも判らない。メガストアで紹介記事見て、購入を決めたんですけど、別にそこに極端な誉め言葉があった訳でもないし。ふうむ。
 で、エロの少なさ。あそこがまるで宇宙人みたいにつるつるに描かれていて、それは多分原画師さんの矜持なんだろうけど、それゆえにエロっぽさがまた減ってるんですよ。ただでさえ少ないのにね。今のところヒロインとサブヒロイン、妹の3人をクリアしてまして、エロシーンは4つ。誰が2つかはナイショ。けど、やっぱり少ないよねえ。1プレイ最低2時間、初回は4時間くらいかかるゲームとしては、実用度は限りなく低いし、手間の割に喜びが少ない、んでしょう多分。ここも、いくつかのレビューサイトでめちゃくちゃ言われていた部分。
 もいっこ。システムが古い。特にメッセージスキップがCtrlキー押しっぱなしだけ、ってのは、さすがにつらい。もっとびゅんびゅん飛ばしたいんだよねえ。時間の少ない社会人としてはさ。選択肢が出現した瞬間に(行く場所とか台詞とか)セーブできなくなるのも、これはシステムで大損してるよ。全く。つらいつらい。
 んでも。でもね。
 俺、このゲーム、すっげえ気に入っちゃったんですよ。
 今度こそ久々に「カウントダウンエロゲシナリオ」にランクインするんですけど、それは主に、コメディ部分がかなりレベル高いから。整合性、とか、複数キャラの描き分け、とか、そのへんはちと弱い。特に整合性ね。キャラの名前間違うようなミスは、ことこういう「どっぷり浸ろう青春エロゲ」タイプのゲームだと、致命傷にもなりかねません。モニタ調査をもっとしっかりやらんとねえ。
 で、じゃあどうして、それでもランクインを約束されてしまったのか。それはひとえに、ヒロインキャラ・佐伯綾菜のシナリオがアレだからです。アレ? いや、ここはできるだけネタバレ避けようかなあと。カウントダウンエロゲシナリオの方で、久々にばっちりネタバレさせながら、このシナリオの(俺的な)高評価の理由を語っちゃいます。ええ、語っちゃいますとも。つーか、語らせてください。嬉しくてさ。
 後はね、ちょっと今頭に血が上ってて、何でも気に入っちゃうんで、あと2人の攻略を終えてから、改めて評価し直そうと思ってます。
 あ、そうそう、次は「GREEN」との対比でお話しようかな。似てると思うんだ俺。(2000.9.18)

 えー、一応、H可能なキャラ5人については完了いたしました。ので、完了版のレビューをば。
 結局、綾菜と美香の2人に9割がたの知力体力を尽くしてこしらえたゲームだった、というのが正直な感想です。いや、それが間違ってるとか、不満とかいうんではなくて。ヒロインと脇役に差がなかったらおかしい訳だし、比重が逆になっちゃうといわゆるメジャー路線からはどうしても外れてしまう訳で(しかし何で俺は言い訳してるんだろう)。ロングのおしとやかなヒロイン、セミロング(つーかショート)でボーイッシュなサブヒロインときたら、あとは「お姉さんキャラ」と「ロリキャラ」が絶対条件なんだよね。学園モノ企画の王道ってヤツですか。じゃあまゆみは何かっつーと、ま、スパイス。他のキャラのストーリイにはまるで絡んでこないし。あるいは、純粋なおまけ。エロシーンの総数がちと物足りない感じがするんで水増しした、なんてのも。
 もうひとつの王道ってのが、イタいシナリオですか。綾菜シナリオはいわゆる「イタい」シナリオです。もちろん、イタいから認めたんではないんですが。ワンカノ含め、俺が今までに望まずともやってしまったイタいシナリオの中でも、こいつは群を抜いたイタさでした。将来にわたるイタさっつーのかな。そのあたりはカウントダウンエロゲシナリオの方もご覧いただければ幸いかと。
 ま、イタさの綾菜、爽やか恋愛モノの美香、この2本をやれば、このゲームはもうOKです。
 前回も触れたけど、この「カナリア」、「GREEN」とちょっとタイプが似てます。高校生活を土台にしていて、中でも部活動を中心に据えて、さらにその内容が文科系、つーところが。で、その活動の中で出来上がった作品が、ゲームのクライマックス、あるいはエンディングで使われる、ってのも共通してる部分。どうしても動画にしないとカッコつかない「映画研究会」よりは、この「カナリア」みたいに曲流せば一応の形がつく「軽音楽部」の方が、ゲームを作る予算としては少なくて済むんじゃないでしょうか。ならもう少し、例えばライヴをプロモビデオみたいにまとめて最後に流す、みたいな演出があっても演出過剰にはならなかったのに。有名声優とヴォーカル曲5曲で金使い果たしたみたいだけど、本来なら本編中にもアニメシーンバリバリで、何回もライヴ(あるいはスタジオ練習風景)のアニメが流れて、さらにおまけCDで別テイクのプロモビデオ、くらいのがないと、エロゲ以外のレベルでは勝負できないだろうね。作品の出来も思い入れも俺はこっちの方がぜんぜん上だけど、ことエロと作品中作品の力の入り方は「GREEN」のが圧倒的に上、かな。頑張ってほしいもんです。
 最後になりましたが、せっかくキャラ別に曲を用意してくれているので、その寸評を。
「カナリア」 : 結構気に入ってますが、まあ及第点といった出来でしょうか。エロゲの主題歌だし。
「シールド」 : 曲としての出来ははっきり言ってよくはありません。ただ、本篇を終えた後に聴くと、結構「じ〜ん」とかきてしまうのが俺の簡単なところ。「壊れかけた体」とか歌われたらねえお客さん。参りますよホント。
「ナニカ」 : オーソドックスなロック。エロゲーのエンディングとしては結構イイ出来なのでは? 俺的には「カナリア」とこの曲がお気に入り。Rio500に突っ込んで聴いてます。
「リトル・フォーティーンズ・スイング」 : 名曲「メイドさんロックンロール」を思い出させる曲調とヴォーカル。「絶対死刑」とか歌わないでよー。疲れちゃうから。ところでシナリオ上は(多分)15歳になったところなんだけど、歌では14歳になったの、だって。1年ずれてるのはわざと?
「とまどいのなかで」 : これぞエロゲー挿入歌。そんだけ。もういいかげんにして。
「All of things for you」 : ロックンロールがどうとか、こういう曲歌いながら語るなよー。冒頭部分だけスプリングスティーンの劣性コピーで、後はどうでもいいです。

 で、ちと心配なのが、次回作がちゃんと出るのかどうか。つーかまだそのアナウンスもないし。出すつもりがあるのかどうかも判らんのですけどね。俺としては、このスタッフで、今度はアニメバリバリでやってほしいんだけど、やっぱり、無理ですかねえ。
 カドカワついてるからダイジョブだとは思うんだけど、……潰れないよねえこのブランド?(2000.9.25)