さよならを教えて 〜comment te dire adieu〜
種別 音声 アニメ メーカー・ブランド 発売日
NVL あり なし クラフトワーク 2001.3.2

【いっせいの評価】

シナリオ システム 音楽 CGレベル エロ度
6 10 7 10 5
ハマり度 期待度 音声 自己崩壊度 特別加点
6 5 8 5 10
総合点 俺のキャラ
72 目黒御幸

【コメント】 何を書こうか、これほど迷いながら始めるレビューは久々。確かにウチはクラフトワークにリンクさしてもらってるし、「ついていきます」なんて言ってる以上はそりゃもちろん出すゲームはこれからも買い続けるつもりなんだけど、ここらでひとつ、態度をはっきりと表明しとかなきゃいけないような気がする。いや、偉そうな言い方して本当に申し訳ないんだけど、製作者側にも知り合いがいて、「ゲーム購入への道」なんて凄いリンクページにも登録されてる以上、スタンスははっきりさせなきゃ。
 ごめんなさい。つまんなかったです。
 いやつまりね、どんなに尊敬してる人が作ったゲームでも、どんなに親しい人が作ったゲームでも、それが自分の中の期待水準を下回ったら、はっきりそう言わなきゃ失礼なんだと思いまして。少なくともこれまではそう心がけてきたつもりだけど、このゲームに関しても、今後やるゲームに関しても、俺ははっきり言います。そうでなければ、こんなサイトやってるイミはないだろうから。「わたしのありか。」の時にもおんなじようなこと書いたような気がするけどね。
 さて本題。待ちに待ちに待ちに待ちに待ったクラフトワークの新作、長岡画伯の命が塗り込められたCG、金かけた音楽、とくれば期待はいや増していたんだけど、考えてみればエロゲーってのはそれだけの要素で成り立ってる訳ではなくて、例えばシステムなりシナリオなりといった部品、ゲームバランスといったぱっと見には判らない部分、さらにその後の営業に至るまで、数限りなく問題が生じる余地はあって、ことこのゲームに関して言えば、正直言って業界最高レベルのCG以外には取り立てて高いレベルのものはなかったんではないかと感じられてしまった訳です。この、奥歯に何だかばかでっかいゴミが挟まったような物言いで判ってくれる人もいるでしょうが俺はあんまり喧嘩が好きではなくてできれば避けて通りたいくらいなんだけど、CG以外にそれほど持ち上げられる部分のない今回のこの作品については、残念ながら文句ばかりが浮かんできてしまいます。茶化して話そうとも思ったんだけど、少なくともシナリオのことだけはきっちり批評したいんで、馬鹿げた比喩も例え話もなしでいってみます。論理が破綻したらごめんなさい。
 えー、ここから下はネタバレを含みます。残念ながらネタバレなしにこの作品をレビューできる能力が俺にはありません。お許しいただいたうえで、読んでもいいと仰る方は、この下を読み進んでくださいませ。



 俺がこのシナリオを評価できずにいるいちばんの理由は、やはりこのシナリオにリアリティが少なすぎるってことだと思います。リアリティったってあんた、まあキ○ガイが書いてる文章なんだから当たり前だなんて言っちゃあいけません、俺が言ってるのはね、そういうキ○ガイが書いた文章としてのリアリティが足りな過ぎるってことなのよ。
 このゲームのシナリオライターの方は多分、かなりの読書家で、文章力も本当にあって、フツーに書けば破綻しない文章は得意中の得意で、そういう能力がこれだけしっかりしてるライターさんも最近は少なくなってきてるからこれは歓迎すべきことだと思うんだよ確かに。
 だからこそ、このシナリオは迫力を失ってしまった。
 巧いだけの文章は、ことこういうゲームのシナリオとしては、却ってゲームの力を失わせる方向にしか作用しません。巧い文章は読み進む時感覚的に引っ掛からないものだけれど、例えばこのゲームでそういう文章を使えば、引っ掛からなければならないところで滑ってしまう、ということに他なりません。
 巧過ぎるが故、あまりにも人工物の臭いがぷんぷんとしてきて、残念ながら俺はほとんど楽しめませんでした。わくわくしませんでした。何より、エンディングがほぼひとつに限られてしまうのは、あれはさすがに芸がなさ過ぎるんじゃないでしょうか。しかもそのひとつってのがあのオチじゃあ、ねえ。いや、ああいうネタでああいうストーリイをああいうふうに見せようとしたら、確かにオチはああいうふうになるのが当然の帰結とも言えます。でもそれは当然の帰結だけのことで、そこをいろいろ切り口変えて見せるのがライターの腕の見せ所でしょう?
 「好き好き大好き!」(もちろんあのゴムのヤツです)を目指している、と最初は見たんですが、申し訳ない、足元にも及びません。CGレベルとシステム以外は。
 あ、念のため言っときますが、想像で言ってるんじゃなくて、数多くのキ○ガイ(さすがにそろそろやめようかなこの表現)に会った経験があって、さんざん会話したことがあって、文章も嫌と言うほど読んだことがあるんで、言ってるんです。主語と述語がこんなにしっかりしてるんじゃ、この主人公、別に壊れてないです。妄想の世界に埋まってしまうくらいなら、もっともっと破綻してるはずだし、そういう表現はもっとできるはず。もっともっともっともっと面白くできたはずなんです。じゃあ自分でやれなんて言われても困りますが、レビュアーは貪欲なんで。
 CGは、何度も言ってますが、現役絵師の中でも最高峰なのは疑いのないところです。絵柄の好みはともかく、テクニックといい表現力といい想像力(今回はここにも重点があるんですが)といい、何故これほどの絵師がこれだけ寡作なのかが惜しまれます。つーかこれだけのレベルのものを常に描くための寡作って話もあるよね。企画も何もやらないで、絵師に徹してみるってのもいいんじゃないでしょうか長岡画伯? どんな分野でも描けてしまう人ってのは、最近のエロゲー界では稀有の存在でしょうし。
 次回作はいつ、なんて訊くと本当にサイト潰されそうなんで、また気長に待たせていただきます。
 ついていきます、って気持ちには変わりはありません。ホントに。(2001.4.2)