● 「To Heart的」という言葉(99.2.7)
Mくん渾身のエロゲーレビュー第一弾、「とらいあんぐるハート」はお読みになりましたか?
あんだけ高い評価をされちゃうと、やっぱり「やんなきゃ」ってなりますよね。ここんとこやってなくて(繰り言参照のこと)うずうずしてた、ってのもあって、今日は「とらいあんぐるハート」をやろう、と思い立ち、そういやあまだ唯子エンディングしかやってなかったなあ、と今度は小鳥エンディングを目指して黙々と楽しんでおりました。いや、このゲームの話をしようってんじゃないんです。それならレビューで語りたいだけ語ればいい。まあ結論だけ言っちゃえば、おもしろいんですけどね、このゲーム。
言いたいのはそんなことじゃなくて、このゲームをレビューする、もしくは誰かに説明する場合、どんなふうに話せばより正確に伝わるんだろう、ということです。
思えば、かの超新星リーフが「To Heart」を発売してから、かれこれ2年が経とうとしています。「痕」で俄然注目を集めたメーカーの新作、ということで、比較的発売当初から騒がれ、順調に売上を伸ばし、息長く売れ続け、遂にはコンシューマのゲームとして発売が決まってしまうという、まあエロゲー界ではトップクラスの出世頭になったこの「To Heart」ですが、さて我々はこのゲームを、どんなふうに形容したらいいのでしょうか? 発売当時は何て表現されてたんだろう? 押入れを引っ掻き回せば昔の「電撃姫」かなんかが出てくるから、その中のリーフ今年の新作特集コーナーでも見れば一目瞭然なんだけど、見ちゃあつまらんよねえ。想像してみましょう。“学園恋愛AVG”? “高校を舞台にした恋愛SLG”? ほらね、どうもしっくりこないでしょ。
このゲームが世に出て売れて以来、我々はこういうタイプのゲームを見ると、まず「さて今度はどんなふうにあのゲームに挑戦したんだろう」なんていう視線で見るようになりました。「ONE 〜輝く季節へ〜」(余談ですがこのゲームもコンシューマになるんですよね)しかり、「flowers 〜ココロノハナ〜」しかり。「Sonnet 〜こころかさねて〜」も、設定はレビューのとおり「WHITE ALBUM」風ですが、進め方や舞台はどちらかといえば「To Heart」に近いような気がします。で、最初の話に戻りますが、「とらいあんぐるハート」も、言ってみれば「To Heart」的です。いずれレビューで触れますが、狙いが少し「To Heart」と違うような気がして、それは好感が持てるんですが。
多分、こういう表現というのは、もちろん私を含めて、少し表現力が乏しいくせに何かを評価しようという人間が、必ず使いたがるもののようです。それは必ずしも悪いことではないんですが、うーん、ちょっと寂しいし恥ずかしいかなあ。日本語はもっと豊かなもののはずだし、中でも形容詞はえらく変化に富んでて、ちょっと覚えたくらいじゃ使いきれないほどたくさんあるはずなのに・・・・。
そんな訳で、やっぱり私は性懲りもなく、この「To Heart的」という言葉を、あちこちで使うことでしょう。ただ、それがどんなことを意味していて、どう使うべきで、どう使うべきでないかを理解しながら使えば、少しは罪悪感も小さくなるってもんです。
まあ、それぐらい、「To Heart」ってゲームは出来が良かったんでしょうね。いやもちろん私も大好きなんですけど、あんなふうにストライクゾーンをとことん広く作ってもらっちゃうと、独占欲は満たされませんよねえ。誰でも知ってるし、誰でも萌えちゃうもの。どちらかというと私は、みんながあまり注目しなかった、しかも最新作ではなくて発売からちょっとだけ経った(ひと月かふた月)ゲームで、意外や意外こんなにおもしろかったんだあ、というゲームを発掘することを楽しみにしています。そういう意味では、「とらいあんぐるハート」ってのは、意外なほどおもしろいよなあ。ちょっと鼻につく部分はあるけど、例えばあんだけ騒がれた「With You」なんかと比べてみても、もう全然、比べ物にならないくらいおもしろいし、ちゃんとエロゲーだし、絶対買って損したって気分にはならない。あらら、レビューしちゃったよ。後でネタなくなると困っちゃうね。もうやめようっと。
そういえば、他にそんなふうな使い方をされるゲームってないねえ。
そういうゲームがやりたいなあ。