[title] 誓い
[artist] ゴスペラーズ


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 今一番乗っている(と勝手に決めつけてる)ヴォーカルグループ、ゴスペラーズが贈る珠玉のバラード。期待していたクリスマスソングではなかったんだけど、去年の今ごろリリースされたシングル「告白」が「永遠に」と「ひとり」に挟まれて全く存在感を失ってしまったことへの反省からでしょうか、いかにもうけそうなバラードを年末のこの時期に発売してきました。前作「約束の季節」からはたったの2か月しかたってない。こんなに小出しにしてたらアルバムはいつ出るのやらって感じですが、考えてみればオリジナルアルバムこそもう1年空いてるけどベスト盤はまだ半年前だし、今はシングルで興味をつなぎとめながら次のアルバムのセールスに期待、ってのがフツーの考え方だよね。明けて2月、3月くらいかなあオリジナルアルバム。もっと先かしら。
 さて今回の「誓い」ですが、一時期世間で流行った失恋系の歌詞とは全く一線を画した、シアワセ絶頂将来約束ソングの典型です。それが好きか嫌いかはさておいて、どんな場面でも禁忌にならないバラードってのは使い勝手がいいんでしょうねえ。俺は最近(記憶が残ってる状態では)カラオケ行ってないんでアレですけど、もし歌の巧い、高音が自由自在に出せる人なら、これも定番にできる類の曲ですね。行きてえなあカラオケ。あんまし飲まされないで済む飲み会ってないかなあ。誰か企画してよホント。ああ曲の話か。ああもう。全くもう。くそお。
 ゴスペル、もしくはヴォーカルグループの歌う歌、ってものは、もう古くからあるせいもあって(まあ日本では流行り始めたのが最近ですが)そのパターンはまず出尽くしてる感がありますよね。正直言って、アメリカさんにはもっと巧いグループもあるし、あちらさんには本家としての歴史も宗教的な裏付けもある。勝てる要素なんざないんだよ全く。
 それでもゴスペラーズは歌う訳です。語り尽くされた音楽のパターンを組み直して、決して新しくはないけれど、綺麗なハーモニーを作るのが嬉しいから、そりゃあ金儲けの意味はありますけど決してそんだけじゃなくてさ、多分歌いたいから、歌う。おお。なんと美しい。
 思うに、日本に限らず全世界中で、もう「全く新しい」音楽は生まれ得ないと思います。人間の聴覚には限界があって、美しいと感じられるコード(和音)の響きにも限界があって、コード進行のパターンも語り尽くされてきた。後はそのバリエイションをどれだけ増やせるか。どれだけ、その時代の人間を心地よくさせることができるか。そういう条件が出てきた時、彼らゴスペラーズのような、耳障りではなく聴く者を快い状態に置こうとする音楽を作るアーティストが、本当に求められてくるのかもしれません。少なくとも俺はそれを求めてます。単なる「癒し系」じゃなくてさ、心が震えるヴォーカルパフォーマンス。ああ早く次のアルバム出してくんないかなあ。
 あ、この曲自体にはあんまし触れてないインプレになっちゃったね。このシングルは、ゴスペラーズのそれが常にそうであるように、期待を全く裏切らない名曲です。山下達郎の独りアカペラが純粋なハーモニーだけを楽しめるものだとしたら(それもまた好きなんですが)彼らのハーモニーには味と匂いがあります。安心して聴き惚れていられる、一種麻薬じみた味。薫り。何だかベタボメですが、ホントにいいんだから仕方がない。買って買って買って、って感じでしょうかね。(2001.11.22)