好き好き大好き!
<こんなゲーム>
僕は彼女をいとおしく思う、その素直な瞳に見つめられるだけで狂おしいほど、だから僕は彼女に、僕の愛するゴムの服を着てもらおうと考えたんだ。彼女のか細くしかししなやかに伸びるあの肢体にあのいとおしい音と刺激的な香りのゴムの服が被さりみっちりと貼りつくことを、そしてそのたまらない感触を彼女が必ず好きになってくれるに違いないことを想像するだけで、僕の切ない胸は今にも張り裂けそうになって……
ふう。書いてても寒気がしますね。これだけ句読点なしに文章を書いたのは久しぶりです。昔は俺の書く文章に「長い」だの「しつこい」だの、いろいろと文句を頂いたもんですけど。このシナリオに比べれば、俺の文なんざ片岡義男ですね。好きな方いたらごめんなさい。昔よく、原稿用紙の上半分で稼ぐ男、という異名をあちこちで聞いた覚えがありまして。
さてこのゲーム、形式としては純粋極まりないNVL、一応CG一覧くらいはあるけど、それ以外のほとんどの機能は廃されてたように覚えてます。ま、Hシーンを再生されてもあんまり実用的じゃないんで、どこでもセーブができてシナリオスキップができる、それだけでOKでした。システムだけなら、オンラインソフトで出てる「エロゲーメーカー」(こんな名前じゃないけど、目的はこんなんでしょう)とか、アスキーが出してる(これから出す? よく知らないんだけど)「恋愛ゲームツクール」とか、その辺でも充分カバーできる程度のモノですけど、このゲームの場合それはほとんど注目に値しない。手軽に楽しめる電脳紙芝居で充分。一部に反対意見はあるけど、エロゲーは総合力だけで見るんじゃなくて、突出したパーツでも評価してあげていいと思う。全部が全部それでも困るし、パーツだけのメーカーが王道を名乗るのもちょっと「?」だけど。
音楽も、音楽としての独立した存在感は決して主張しておらず、本当の意味でのBGMとしてのみ役割を果たそうとしてました。ま、ギター1本ですべて、つーのは、シナリオとあいまってあっという間に極限に追い詰められてしまうんで、俺的にはキツかったスけど。
特筆すべきは、その後の13pのデファクト・スタンダードとなってしまった、CG数の少なさ。メーカーの方もその辺は自覚されてるようなんですが、例えばこのゲームの場合、CGを見せるのが主眼ではなくなってる(言葉だけの紙芝居ってのを想像してみてください)訳で、解決策があんまりないんですよね。俺はこの「好き好き大好き!」と、つい先日発売された「フロレアール 〜すきすきだいすき〜」のつながりをほとんど知らないんですが、「好き好き大好き!」用に描かれたCGをすべて使おうとするとシナリオのテキスト量があまりにも膨大になってしまうので、メルンの部分だけを切り離しておいて、今回の「フロレアール」でシナリオを新たに書き直して使った、などという噂を耳にしました。ま、それだけこの「好き好き大好き!」のテキスト量(もちろん質も)が圧倒的だった、ということでもあるんですが。<こんなところが13p>
なんといっても、営業をハナっから無視した、この設定。
以前、かの別冊宝島でエロ本について語ったのが出てまして、思わず買っちまったんですが、エロ本界について言うなら、かなり細分化しているんだそうです。思い出せるだけでも、年齢別(ロリ、マゴギャル、コギャル、女子大生、OL、若妻、熟女、その他)、職業別(制服組なら学生、ファミレスのウェイトレス、看護婦、スッチー、制服OL。制服なしならOL、若妻、その他)、シチュエイション別(合意の上か強姦か、など)。もう書くのやだ。こんなもんじゃないのよほんとに。
で、そういう中の、ホントに小さなスペースを占めているに過ぎない性癖に、フェチがある訳です。このフェチってのは、またここから凄い数に細分化される訳ですけど、その中でも特異な世界に生きてる人達の中に、このゴムフェチがいます。まあ、ほんのちょっとゴムが好き、から、ラバーマスクがないと息をするのもイヤ、までいろいろな度合いがあるんでしょうが、この主人公はいちばん強烈なマニアです。バイトにまで、このゴムに触れていられる職場を選んでる。で、主人公がゴムフェチってことは、プレイヤーも(主人公のロールプレイをするということで)ゴムフェチにならないかん。
なれるかっての。主人公に感情移入しないと呑み込みきれないほど濃ゆいシナリオなんだけど、主人公に感情移入した瞬間、耳元に鼻先に、あの音あの臭いが広がる訳ですわ。たまりませんて。
で、それだけとんでもない設定なのに、きちんと切ないキモチを生じさせる、この文章力。
もうひとつ、ヒロインの顔を最後まで出さずにエンディングを迎えさせてしまう、この勇気。
いやあ、13pだなあ。<俺的評価>
好きキライ、という観点では語っちゃいけないエロゲーなんですよねこれ。作りとかCG(顔が出てる分ね)とか、好きな部分はあるんだけど、何しろゴムですから。
でもね、すべて普通の学園萌え系、すべてお兄ちゃんモノ、すべて一方的な鬼畜モノ、だったら、エロゲー界なんてつまらないだろうし。胸を張って「おらあメジャーだ」って言いきれるメーカーが限られていて、中堅とか異端児とかそういった位置付けのメーカーが多い業界だからこそ、こんなふうにどこかに特化した作品が許容されるんだよね。清濁併せ呑む、すばらしいことじゃあありませんか。「濁」が多すぎるようにも思えるけど。
一言言わせてもらえば、フェチはいいんだけど、別にゴムじゃなくてもよかったような気が。ヒロインに簡単に主人公を受け容れさせないための道具立てだと言われれば判るけど、うーん。スカトロもイヤだけど、それ以外なら、俺的にはゴムよりはマシだったような気がするんだよなあ。
フェチってのは難しいね。マニアックやし。「黒シュミーズ+ガーターベルト+義母=高竜也」、「黒シュミーズ+ガーターベルト+実母+乗馬鞭+スパンキング+中学生の従妹もしくは実妹=館淳一」、判ります? 汁フェチの知り合いもいるけど、彼はフェチっつうよりは汁好きなフツーの人だし。
そういえば今度、PILで「W.A.M」ってのが出ますね。フェチはこれから主流になりそうね。(99.8.14)