檸檬 〜影絵亭ノスタルジヤ〜
<こんなゲーム>
前作「DEVOTE」に続いて、純粋なるオカズゲーを目指した作品、らしい。「らしい」と表現したのは、後述するけど、企画段階で目指したほどオカズゲーにはなっていなかった、という理由によるもの。
基本的には「DEVOTE」同様、日常パートとエロパートの繰り返しで、キャラ毎に複数のシチュエイションでエロが用意されていて、こなせばこなすほどエロの度合いを増していく、という、まあ言ってみれば王道中の王道の構成をしている。不必要なダンジョン、くだらない前置き、意味のない攻略手順、一切なし。タイミングも何も関係なく、ただひたすら、あるキャラをずっとこなしてれば勝手にエンディングに辿り着く、という、オムニバス系のエロ本を思わせる構造。こういう割り切りって、実は結構難しいんじゃないかなあ。ブランドイメージとか製作者としてのプライドとか自負とか、そういう(プレイヤーにとっては)全く意味のないしがらみ、ありますよねえ?
一応、舞台設定は大正時代の日本。森鴎外が「舞姫」を発表してから、15年くらい後の話。だもんで、男のことを「殿方」って呼んでくれるのが俺的には非常に嬉しかった。<こんなところが13p>
実は俺、レビューの方の採点で、この部分(「13p度」ってヤツです)には7点しかつけなかった。つけられなかった。この採点は、13pの方々にもご理解頂けると思います。だって多分、確信犯だもん。コアだった購買層を思いっきり広げるために、もしくは13pがメジャーになるために、これはどうしても必要なステップだったんです。「俺の13pはこんなんじゃない」とはもはや言うまい。13pだって営利企業なんだから、売れなきゃスタッフがみんなして路頭に迷うんだから、そうそうマニアックなもんばっかりは作っていられないもんねえ。
でーもなあ。コアなファンも数少ないけどいるんだから、もう少しコアな作りが欲しかったなあ。もうちっとSMっぽい世界に振る、とか。せっかく大正浪漫系の舞台なんだから。いちばん魅力的な舞台だろうに。
そういう訳で、ぱっと見での13pらしさってのは、正直、ないです。声優さんが頑張ってるのも最近は結構見かけるし、淫語たっぷり、ってんだったらもっとすっげえのもある、らしいし。あ、唯一残ってる13pらしさと言えば、CGが少ないことかなあ。もう少しバリエーションがあれば、後述するような評価にはならなかったんだけど。<俺的評価>
全体的なバランスっていうイミでは、非常によくまとまった、いいエロゲー、佳作、だと思います。
でもね。これまでの13pのゲームって、バランスはともかく、今回はこんなところで魅せてみました、ってのがウリだったんじゃなかったっけ? だからこそ、こんだけ無数にひしめいてる有象無象のエロゲ界で、その特異な地位を築き上げられたんだと思うんだけどなあ。
どうやら結構売れてるようだし、商業的には成功なんだろうけど、13pらしさを忘れちゃうと、ずっとついてきてくれるコアなファンが離れて、移り気で流行り追っかける浮遊層しか買わなくなっちゃうんじゃないかなあ。それって結局、ちょっと完成度が落ちたら、潮が引くような勢いで一気に売り上げが落ちて、気がついたら「昔は良かったブランドその七」くらいの呼び方されるようになっちゃう、ってことですよ? いいの? ホントに。
曖昧なけなし方ってのは失礼だから、細かく追っかけてみましょう。あ、念のために言っておきますけど、俺、この「檸檬」、決してキライじゃないです。めっちゃ楽しみました。でも、13pのエロゲー、というより、たまたま見つけた佳作、つー感じでしか楽しめなかったんで、その辺を語る訳です。
エロゲーの顔と言えば、もちろんCG。他がどんなにダメでも、これが素晴らしければ、「まあCG集のつもりで買うよ」という買い方をしてくれる方も、実は結構いらっしゃいます。
最近の13pは、この辺が極めて弱い。さっぽろももこさんは別に悪くないんだけど、13pと言えば、っていう絵師がいないのが非常に気がかり。俺的にはあんみつ草さんでいいんじゃないかって思うんだけど、次回作「発情カルテ」の絵師16人(だっけ?)って暴挙を見ても、その後の「DEVOTE2」の絵師を見ても、どうやらあんみつ草さんは13pの仕事はしばらくやらないみたいだし。だったら新しい絵師を育てればいい、と思うんだけどなあ。勝手な話だけど。
エロの突き詰め方も、前作「DEVOTE」に比べて、かなり弱かった。娼館って設定は、実は「あんまり激しいのはやらない」って方向にも理解できるんだよね。AVより素人の方がよっぽどとんでもないことしてる、ってよく言うじゃないですか。年齢設定もちと無理があって、もう少し幅広くしてくれればもっと楽しめたのに、と歯噛みしたクチです。ヅマいないじゃん。どう見てもみんな10代だし。俺は年増のヅマもやりてえんだよお。
エロに関してはもうひとつ。娼館って俺経験ないんですけど、舐めるだけでおしまい、ってのもあったの? 今のピンサロみたいなの。なーんかちょっと物足りなかったんだよなあ。
音楽は及第点以上。あのアコーディオン系の音は好きです。ムリにボーカル入れなかったのも○。あれはあれでいいと思いました。シナリオについては、全く目新しい部分がなくて、それはもちろん設定とゲームの構成上やむを得ないもので、なのにあんなにキャラを立てられていて、しかも破綻らしい破綻はないし、えー、評価高いです。オリジナリティはこの際必要ないから、職人芸としてのシナリオライティングが求められていて、それを職人芸でこなしたうつろあくたさんに大きな拍手を送りたいです。もちろん、何位かはこれから考えますけど、久し振りに、「カウントダウンエロゲシナリオ」にもランクインしてもらおうと思ってます。
次回作以降の13pの行く末が本当に気になっている俺です。頼むよお。(2000.5.20)