【Succu!!】日本編ぷらす

完成記念打ち上げ
−その1−

2007.8.5 新宿


ここに一人の馬鹿がいる。

打ち上げ前日に花火大会を見物し、

返す刀で今度は麻雀大会を。

ここまでなら、大した問題ではない。

終了時刻が朝の5時でなければ。

集合は昼の1時30分。

気温はすでに30度を超えている…。


 そんなわけで打ち上げです。
 昨夜の花火のような大輪の花を咲かせるため、ハナから頭に花の咲いた男どもが集まりましたよ。
 ここは大都会・新宿です。
 電光掲示板には35℃と出ています。
 何でしょうねこれ。
 昔なつかしTV番組『ザ・ガマン』の関東予選みたいなテイストに溢れています。

 さて、完成しました【Succu!!】日本編ぷらす。
 前作と同じ1000円という所にワナ的な何かを感じますが、ボリュームは実に3倍に増えております。
 新たな声優さんも加わりました。
 いずれ劣らぬ素晴らしい技量の皆さんです。
 豪腕のシナリオは得てして煙草の注意書きのようにセリフ量が多いわけですが、そこはやっぱりプロですよ。
 いやな顔ひとつせずに納入してくれました。
 顔見えないけどね。
 ひょっとしたら、モニタの向こうで油風呂に浸かってる富樫みたいに血管浮き出てるかも知れませんね。
 だったらどうしよう(笑)。

 そうなのです。
 この同人ゲームという世界は、顔が見えないのが当たり前の世界なんですよね。
 たとえ引きこもりやネット中毒でも。
 たとえ億康の親父でも。
 ファイルのやり取りさえ可能なら、出来てしまうのがゲームなんです。

 しかして。されば。だからこそ。
 伝える言葉の機微こそが命です。
 言葉ひとつで信頼を得たり、悲劇を招いたりするのです。
 顔が見えないから。
 モニタを通してのみ己の心を伝える事ができるのです。

 今は21世紀ですけどね。
 まるで平安時代の恋ですね。
 牛車の袂の小袖から、奥に座する愛しの君を想ふのですよ。
 素晴らしい想像力であるが故、当時のお貴族様たちはきっと【Succu!!】がなくてもオナニーに支障は無かったと思われます。
 顔が見えなくても、通いあえる何かがあるのです。
 ボイスなんか聞いたらもうKOだった事でしょう。

 当時の文(フミ)は今のメールになりました。
 香をたくしたり小梅の枝を添えたりと、一枚の和紙に有り得ないほどの変化球にて攻めていたわけですよ。
 私たちも先人を見習うべきだと思うのです。
 お香や小梅のようなメールをね。
 そりゃモニタから匂いがしたら即座に業者に電話ですけど、文字だけのメールだって頑張るべきです。
 共にゲームを作る仲間なのですから。

 ついつい長い枕になっちゃいましたが。
 ここで書きたいのは、ネットナンパの心得ではありません。
 ライターとして、絵師として、声優として、そしてお客として、最低限これくらいは心がけましょうよというポイントなのです。
 顔が見えないからいいやではなく、顔が見えないからこそ、文章だけで伝える努力を…。

 どこが打ち上げレポなんですかね。

 ぜんぜん伝わっていませんね。

 すみません。
 全部夏が悪いんです。





 真面目に書きます。
 え〜と、新宿でしたっけ。
 近くを見れば、ヒゲのそり跡も青々しい筋肉質のミニスカートとかも歩いてまして、さすがにここは新宿だなぁと痛感する豪腕であります。
 どう考えても頓子です。
 お前の家の鏡を量産できれば億万長者も夢ではないというレベルです。
 暑さで幻覚を見ているのかも知れません。
 あんなのが真っ直ぐ来て「豪腕さん初めまして」なんて言ったら恐怖で流産しそうです。
 顔が見えないからって想像の翼広げすぎです。
 すみません。夏がみんな悪いんです。

 そうこうしているうちに、来ましたね。
 熱射病が。
 いや、マジにこのまま暗いトンネルに飲み込まれるかと思いました。
 一緒にいた方は気付かれなかったかも知れませんが、この時の私は本当に視力の一切を悪いお日様に奪われた状態でした。
 あの炎天下で30分以上も立ってりゃ当たり前ですね。
 このままでは座頭一になるしかありません。

 この状況においてまだそんな事考えてます。
 どうやら心配は杞憂のようです。

 すると、ようやく集まり出しましたよ。
 総勢7名の人間と1匹のMAGです。
 ご紹介いたしましょう。
 メイン絵師の弥音さん。
 声優、ミルシェ役の深月さん。
 声優、謎の姉(笑)役の耶神さん。
 デバッガー集団のあ〜る、MAG、nimiteru各氏。
 まったく何もやってないカズヤ。
 何しに来たんですか君は。

 3人の女性と5人の野郎(うち1MAG)。
 なかなかに華やかですね。
 あの筋肉スカートじゃなくて命拾いをしたわけですが、女性陣は皆さん素敵な方でしたよ。
 映像をお見せできなくて残念です。
 もちろん筋肉スカートのね。
 うちはそういうサイトですから。

 なんかね。こういうのって好きなんですよね。
 その道のプロフェッショナルたちが一堂に会するみたいな。
 ぜんぜんアマチュアなんですけどね。
 それまで全国各地に散らばっていた戦士たちが、今日初めて白日の下に集まったと。
 たかがエロゲーにえらいアオリですが。

 まあ、烈海王だって「たかが1拳法家」ですから。
 それでも私たちはその作品によって、迷える若者たちを導いているのですよ。
 やってる事はエロでもね。
 崇高な心根をもって低俗な男根を持つ。
 あなたも今夜からぜひ実践してください。

 それでは移動を始めましょうか。
 黄色いレンガの道を通って脳みそを詰めに。





 深月さんだけは2次会からのご参加という事で、まずは新宿ライオン会館へ。
 会って5分でもうビールです。
 我々が神様だったら二日目でもう安息日でしたね。
 この私も上記の通り、たかが打ち上げでバンタム級まで落とすまでありましたから。
 男連中は力石よりも駄目ですな。
 「白木のお嬢さん」ってのは白木屋の店員だと思ってるような連中ですから。

 ところで絵師の弥音さんですけど。
 実はご懐妊中でして。
 それ自体は大変におめでたい事なんですが、こんな炎天下にこんな馬鹿な連中と会って胎児に影響が無いか心配です。
 まるでローズマリーの赤ちゃんです。
 生まれて初めてしゃべった言葉が「イデ」とかだったら大変です。
 そんな状態にもかかわらず、参加してくれてありがとう弥音さん。
 私は「女」に1000円ね。

 耶神さんとお会いするのは初めてだったんですけど、こちらもすごい経歴の持ち主でして。
 4000以上の団体が参加したある大会にて、全国ナンバーワンの実績を勝ち得た方です。
 これは大変な名誉ですよ。
 さすが声がレヴィと一緒。

 初の18禁作品という事で、【Succu!!】を足がかりにしてくださったわけですが。
 その選択が間違っていない事を祈ります。
 皆さん、彼女の事をぜひ憶えておいてくださいね。
 今にきっとすごい声優さんになるはずです。

 男の紹介はどーでもいいですね。

 まずは和やかに自己紹介などいたしまして。
 カズヤ一人だけ何にも言う事が無くて困ったりもしましたが、ここはみんな大人なので優しくスルーできました。
 彼が私の貸したタオルを勝手に頭に巻いて勝手にそのまま帰った事実は黙っておきます。
 今回、参加できなかった方々からメッセージなんかも届いておりましてね。
 前々から不参加という断りを入れてくださった方には、私の方からアンケートなどお願いしましてね。
 こんな感じで。

 Q:「こいつとは一緒に組めない」と思うような人間は、豪腕はりーを除いてどんな人間ですか?

 …皆さん本当に正直です。
 アンケートの内容と答の傾向については、言っちゃって良い分だけいずれこの場で書きましょう。





 そしていよいよお約束。
 恒例「こんな○○は××だ!」コーナーです。
 これ、直近のうちのオフ会にご参加くださった方はご存知でしょうけど、毎度ものすごい人気のコーナーです。
 具体的にはアレですね。
 鉄拳のモロパクリですね。

 今回はまたえらい盛り上がりましたよ。
 まず1発目にこれでしたからね。

 こんな声優は勘弁だ!!(18禁編)

 恩を仇で返すようなコーナーです。
 声優さんの目の前でこれを行っちゃう豪腕クオリティ。
 今回はこんなネタで行きました。

 【字が読めない】
 …論外です。しかし実際に私自身が体験した事でもあるのです。
 うちの台本は一応、難しい単語やゲーム固有の言葉にはルビを振ってあるのですが、にも関わらず…というか普通にカタカナとかが読めないのね。
 宇宙言語に訳してくださる方もいて。
 言っちゃっていいのかどうか分からないので言っちゃいますけど、例えば謎姉の役を応募した時の課題の中に「シルバーチップ」って単語がありましてね。
 「シルバーチョップ」と言われた日にゃのけぞりましたよ。
 必殺技っぽくて素敵ですね。
 大変素晴らしい声の方でしたが、残念ながらご縁がありませんでした。

 【二度とサンプルの声が来ない】
 これも私の実体験です。
 できない声をサイトアップされてる方がいるんです。
 きっと頑張りすぎちゃったんでしょうかね。

 ライターとしては、サンプルの声を頼るしかないんです。
 その声が良かったからその声でお願いするんですよね。
 それが出せないと別のキャラになっちゃいますから。
 これはまあ当然なんですけど、こうした事態が起きてしまうのも分からなくは無いんですよ。

 すなわち、仕事を得るためには、様々な声をアップした方が有利という点があるのでしょう。
 声優さんだって人間ですから、得意な声域や口調というものがあるわけで。
 誰もが野沢雅子ではありませんからね。
 そうした理由で、たまたま調子のいい時に収録した相当頑張っちゃった声が採用されて、いざ台本を読むと玄田哲章に(ならねぇよ)。

 苦手な声を克服したい心意気は素晴らしい。
 その時こそ、ぜひ一緒にお仕事をしましょう。

 【声小さすぎ】
 自宅録音の場合、他の声優さんとその場で合わせる事はできません。
 各々の機材や環境が違うため、声優さんごとに音量レベルが変わってしまうのは、ある程度までは仕方が無い事なんですよ。
 だがそれにも限度がある。

 【Succu!!】では、いただいたボイスを全数こちらで波形チェックしているのですが、2時間後には凍死するであろう老人の心電図みたいなものが時々届いてしまうのです。
 こんな場合、音量のレベルをこっちで上げて対処しているのですが。

 しかしそれにも限度がある。
 せっかくの良いボイスが、音量を上げた事によって割れたり歪んだりするのですよ。
 だから程度というものがあるんです。
 それ故に、基本的にボイスというのは音量の低い方に他を合わせざるを得ない場合が多いんです。

 ゲームには、BGMというものがあるわけで。
 これのないゲームはコーヒーの無いクリープみたいなもんでして、そりゃもう青空文庫からエロゲーに至るまで普通は採用されているシステムです。
 んで、大抵の場合、ボイスが届く頃にはBGMの配置はずべて終わっているんですよ。
 これが何を意味するかと言うと。

 上記の通り、ボイスは低い音量におおむね合わせるわけで。
 するとね。
 どうしてもBGMに負けてしまうんです。
 これが何より致命的なんです。
 せっかくボイス付きのゲームを作っているのに、ボイスが聞こえないんじゃ話になりません。
 いきおい泣く泣くBGMを一つ一つ下げて合わせるしか無くなります。

 笑いと涙とえっちなゲーム【Succu!!】。
 別の意味でも涙が詰まっております。

 【雑音多すぎ】
 これはもう機材と環境を何とかしていただく他ありません。
 後ろで天ぷら揚げてんじゃねぇかというボイスも世の中には存在します。
 幸い、今回のボイスはみなクリアで助かりましたが、声優さんご自身の失敗談を聞くと中々すごいですよ。
 バックでお父ちゃんの呼び声が心霊現象のように重なってたとか。
 エロシーンで家庭内不和が起きない程度に頑張ってください。

 【変わりすぎ】
 声優さんの成長はとても喜ばしい事です。
 それを同じゲーム内では避けましょう。
 【Succu!!】のような長〜い尺のゲームでは、常にこうした危険があると思います。
 何度も分けて送っていただきましたからね。
 先ほどの「サンプルの声が来ない」とも重なりますが、常に初心を忘れずにお願いします。
 孫悟空がコンボイ司令に変わったら息子も息を引き取ります(それはない)。

 【変えなすぎ】
 これは説明が必要でしょうね。
 かつて課題を出して応募させていただいた時。ある応募者に対し、ちょっとだけテンポを早くして欲しいと注文を出しました。
 これは幸い快諾してくださった…のですが。

 まったく同じボイスで単語間を切り詰めただけのものが送られて来ましてね。
 いや、気持ちは分かります。
 分かるのであります。
 しかし私が言いたかったのはそうじゃないんですよ。
 そうした作業はこっちでやります。
 伝える言葉の拙さを詫び、再度、詳しく説明させていただきまして。

 …するとね。
 こんなお返事をお受けしまして。

 「あの声が最高なんだから変える気は無い」

 とんでもないビッグウェーブが私を飲み込みました。

 あの…何と申しますか。
 製作者側の指示はまったく意味が無いようなのであります。
 私はものすごい暴風圏内に立っております。
 これほど好き勝手に暴れまくる台風は初めてであります。

 【Succu!!】というちっぽけな宿を建てるのにも、それなりに苦労はしてるんですよ。
 訪ねてくれるお客さんが、多少なりともくつろいでくれるようにね。
 いよいよ壁をペンキで塗りましょうという段階で、こちらが意図しない色に塗られちゃいましたよと。

 「この色が最高なんだから変える気は無い」

 そんな業者がどこにいる。

 あなたがその色に絶対の自信を持っているのは分かります。
 次からそういう人とだけお仕事をなさってください。
 その素晴らしい色合いは私も認めます。
 屋根や風景にピタリと合えば、それはそれは素敵な家になるでしょう。
 されどごめん。うちには合わないんだ。

 とても残念な事ですが、この方ともご縁がありませんでした。

 【付け足しすぎ】
 これは実はありがたい事なんです。
 しかし例をあげる前に、アニメとゲームの違いをまず記載させていただきましょうか。

 この二つは似ているようで違います。
 アメリカンプロレスと第二次UWFくらい違います(知らねぇよ)。
 多くのボイス有りのゲームは皆さんご存知の通り、ボイスと一緒にテキストが流れるのですよ。
 これこそアニメとゲームを隔てる高い壁だと個人的には思います。

 これがどういう事かと申しますと。
 ボイスとテキストがズレると違和感を生じるという事になるわけです。

 皆さんも肌で知っていると思います。
 テキストの方がボイスよりも早く表示されるんです。
 その速さでボイスを入れたら早口言葉になってしまいます。
 逆にテキストの方をゆっくりにしたら、確実にボイスはスキップされるでしょう。
 どちらも大切な要素ですが、そうした危うい関係の上に成り立っているのです。

 んで。
 ライターとしては、ちょっとした違和感のせいで流れを止める事は断固として避けたい事態です。
 ボイスとテキストの主張が丁度良い所で融合して、初めて「読ませる」シナリオになると念頭に置いております。
 こう思わない、またはそれに向けて努力しないライターはシナリオ屋ではなくオナニストです。
 ここで例を挙げてみましょう。

 「今日も疲れたなあ」。
 こんなセリフがあるとしましょう。

 ここで声優さんが気を利かせて、より雰囲気が出るようにこう収録したとします。
 「あ〜あ、今日も疲れたなぁ〜」。
 …テキストとして読み比べれば、さして違いはありません。
 意味も一緒です。
 しかしゲームにすると原発火災なみに危険なのですよ。

 まずは状況を想像してみてください。
 テキストでは最初に「今日も…」と出てきます。
 ところが耳には「あ〜あ…」と聞こえて来るのです。
 ここで決定的な違和感が生まれてしまうのです。

 この違和感は、ゲーム全体から見れば小さなものです。
 しかし逆に考えれば、こんな何気ないセリフが無意味に目立ってしまうという事にもなってしまうのですよ。
 シーン全体を透明な水として捉えた場合、たった一滴の黒いインクがそれを損なう可能性だってあります。

 これはですね。
 特に「出だし」であるという点が大きいんです。
 例では後半の「…なあ」を「…なぁ〜」と言うのは、よほど作りすぎていない限り看過できるんですよね。
 なぜなら、プレイヤーは早く次のセリフを読みたいからであり、小さなほころびを追求するよりはクリックする方を(大抵は)選ぶからなんです。
 私の勝手な想像ですが、人間の脳はそんな風にできてるんじゃないかと思います。

 だから、こうして気を利かせてくれるのは嬉しいんですけども。
 まずはシナリオ通りに読んでいただきたいのが本音です。
 ほとんどの場合は大丈夫なんですけどね。
 いくつか違うバージョンで収録してくださったり、本当に頭が下がります。
 ボイスの方が良ければシナリオの方を書き換えるまであります(実際に相当な数を書き換えました)。
 ただし全編この調子ですと、ボイスの配置を行っている身としては簡単に死ねますので、「ほどほどに」お願いしたい次第です。

 【リテイクギレ】
 これは体験談じゃなくて聞いた話です。
 「リテイクも歓迎します」って言ったじゃん。

 指示の方が悪かった可能性もあります。
 ライター側として常に気をつけたいと思う所ですね。
 そして18禁のゲームって事はもういい大人なんだから、売り言葉に買い言葉だけは避けましょう。

 【忙しいくせにブログ毎日更新】

 論外です。
 幸い、こんな冨樫みたいな方には当たってませんが。

 【締め切り間際に必ず風邪を引く】

 論外です。
 もうちょっとマシな言い訳を考えましょう(黙って消えるよりナンボかマシですが)。

 今回、ボイスさんに限らず、風邪はけっこうな猛威を振るいましたけどね。
 皆さん完璧に締め切りまでに仕上げていただきました。
 これぞプロですよ。うんうん。

 【14歳】

 犯罪です。
 お前はどこの梅図かずおだ。
 プラグスーツ着るんじゃねぇんだから。

 …そういう感じで。
 様々な私見や体験談も入れつつ、思いのほか活発な意見の交流ができました。
 とてもじゃないけど書けない内容なんかもあったんですけど、それはまた何かの機会に。

 すっかり長くなっちゃいましたね。
 せっかくコミケも近いので、このままの流れでコミケレポに繋ぐ感じで行きましょうか。
 では近々。









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