『肉喰怪獣キラーツリー』
(中編)


木なら木らしく
アカゲラあたりに
営巣されてろと。



 はい、今回も始まってしまいました『肉喰怪獣キラーツリー』。
 環境破壊の叫ばれる昨今。
 大自然にたくましく生きる肉喰怪獣を描ききった、CO2産出大国アメリカの良心。

 ちきゅうにやさしい映画です。






全部嘘です。





 禁断の扉を開いてしまった今。
 その扉には「うんこ」と書かれているわけですが、わたくし豪腕も括約筋をふり絞って頑張ります。
 ヒネリ出そうじゃありませんか。

 レビュー中盤戦、それでは一気に垂れ流してみましょう。



 激しいどんぐりに失神寸前の中。

 場面はいよいよ前作の主役2人が出会います。
 無精ヒゲのアクション担当、のび太と邂逅。

 世間ではクリスマスです。
 ヒゲは休暇を利用し、のび太一家に会いに来た様子です。

 まあ「ヒゲ」じゃ何ですね。
 呼び方を決めましょう。







とりあえず
チャックと呼びます。









ヒゲの白人は
全部チャックかと。







別に本家にはぜんぜん似てませんが。



混乱させて申し訳ありません。

「アクションするヒゲ」は基本チャックで行きます。






しかしジャイ子は浮気中。




 こいつの性根は除草剤でもぶっかけないと治りそうにありません。

 それより酷いのはポールです。

 わざわざのび太に見せ付けるように、ジャイ子の肩を抱いたり頬をすり寄せたり大変です。
 お前はムツゴロウさんか。
 駄目なニューマンもいたもんです。

 しかしなんと。
 ここでチャック、ポールに正面切って喧嘩を売りました。

 チャック対ポールの夢の対決です。



 あれ、意外にカッコいいよチャック。
 ポールの肩を小突いてますよ。

 今までに無いチャックなので不安になります。
 なんでカッコよく見えるのでしょう。錯覚でしょうか。
 基本チャックは走りまくって指圧なんですが。



 しかしご安心下さい。






チャックがカッコいいのは
ここだけです。




本日のチャックはすべて終了しました。







 簡単に裏切られるので次行きましょう。



 この手の映画でキャラの増加はそのまま生け贄の増加である場合が多いんですが、今作も途中でいろいろと出てきました。
 例えばこいつ。

 盲目の少女です。



 盲目である必然性がまったく無い
のが驚愕です。




 あまつさえ。

 妙に顔が谷山浩子です。

 もちろん谷山と呼ぶわけですが。
 「あみん」の片っ方にも似てます。
 その上ポールの娘です。

 「あみん」と言っても大統領ではありません。



待てよ。






シャワーを浴びる巨乳は
どこへ行ったんでしょう。







 大自然の中では、私の悲鳴など誰の耳にも届かないんですね。
 何か違うような気がします。

 さてこの谷山ですが。
 盲目であるというペナルティーを跳ね返し、なんとリフトに乗ってスキーを楽しんじゃいます。

 座頭一もビックリ。

 まるで目が見えているかのような演技ですね。



 こんなに必死な谷山なのに、父親のポールは赤の他人に世話を任せて自分はさっさとジャイ子と不倫。

 首吊って死にゃいいのにと深く感じます。



 そして。

 そして。

 そして。






…皆さん。覚悟は良いですか?



いよいよ出るんです。



スキーヤーが襲われます。



白昼堂々。














どっしぇーっ!!!!






小さい!!!!
小さすぎる!!!!







ガニ股で歩く
盆栽です。







その2つの瞳に僕らのハートはメロメロです。






本当に21世紀の映画でしょうか。







 人が宇宙に行き、人同士がネットで繋がる中。

 お前はいつまで壁にラクガキしてるんだ。



 販売当初のプレステどころかバルサ切って貼ったみたいな木。

 これが肉喰怪獣の正体です。

 おふくろの昔の写真を発見してしまった無情感があります。
 もうね。
 「ワキャキャキャ」とか言うし。

 怪獣って言うから期待してたら、高さはせいぜい1メートル半。



お前は『ザ・キャット』か。









 この映画を作った人は正気なんでしょうか。
 耳からタンポポの綿毛とか飛んでませんか。

 ともかく、この歩く盆栽がキラーツリーのようです。
 わざわざ木にした努力のすべてが灰燼と化しています。

 あまりにも高いハードルが我々の知性に迫る。

 残り1時間、脱糞せずに観きれる自信が今の私にはありません。



 何やらこの盆栽、スキーを楽しむオッサンに襲い掛かります。

 ぴょ〜んと華麗にジャンプしてね。

 古今東西、怪獣と呼ばれる存在がジャンプするのは非常にレアなケースです。
 オナニーを親に見つかったような敗北感が体を包みます。

 結局、モンスター映画ってのは迫力があってナンボなんです。

 脱力があってどうする。

 遠い昔に遊んだ公園の風景など思い出しながら、次のシーンに耐える準備をしておきましょう。



 さて、主役ののび太です。
 盆栽がオッサン襲ってる頃、無人となったキャンプ跡を調査しています。

 どうやら「奴ら」がまた出たらしい。
 その直感に戦慄を覚えるのび太です。

 手がかりを探してスキー場を行くのび太。






いきなりコード抜いて
リフトを止めます。




スキー場の警備監督です。




 調査のために止めたんじゃなく、単に間違えて止めちゃったみたいです。

 「何だ? このコードは」

 お前はスキー場の警備監督だ。



 そもそも、当たり前のようにゲレンデ内に無造作にコンセントがあるという時点で終わってます。
 実にデンジャーなスキー場です。

 しかもそれに気付かないのび太。

 終わるにしても程があるぞと。
 アコムの社員がドアノブ壊して回るような行為です。

 結局ラスト前まで止まりっ放しという、この映画のクオリティの低さを思い知らされました。



 こんなんで手がかりが見つかるはずもなく。
 黒人のおばちゃんがツリーを買ったり、そういう適当なシーンを挟んで夜になりました。

 この夜のシーンも凄いんですよ。
 登場人物たちの、寝室のシーンが連打されるんですが。






ドラえもん・のび太の
大放尿。



並みの水量では
ありません。





シーツとマットレス、その上ベッドまで貫通し、

玉だれの滝のように夜尿します。






放水車のレベルです。







 うんこ映画だと思っていたら、おしっこ映画だったとは。
 豪腕もまだまだ勉強が足りません。

 もちろん一緒に寝ていたジャイ子には烈火のごとく怒られるのですが、さすがにここは仕方ないと思いました。
 のび太の体は優しさとスポンジでできているようです。

 そして他の登場人物たちの寝室も出てくるわけですが。
 盲目娘・谷山なんかサングラスしたまま寝てますからね。
 明日は嵐になりそうです。



 もちろん夜ですからね。
 事件が起きないはずがありませんよ。

 さっきチラッと出てきた黒人のおばちゃんの家。
 次の死体はこいつで決まりですね。



まるで樹海のような濃霧が

家の中に漂っています。




この映画にリドリー・スコットは
含まれておりません。




 ここまで来るとツッコミにも慣れ、さながらオナニー後の賢者タイムのような気分で画面を観る事ができます。
 後は消化試合です。

 真っ赤な嘘ですけどね。



 さ〜て、いよいよ翌日ですよ。
 さすがに続けて殺人事件が起きたとあって、地元の警察も動き出しました。
 黒人おばちゃんの家には警察とのび太、そして未だに何の役にも立っていないチャックがやって来ました。

 のび太とチャックは知っています。
 この事件の犯人を。
 しかし警察は信じません(当たり前だ)。

 仕方が無いので、チャックは証明の為に帆走する事となりました。






ここでこういう方々が出ます。



男の方はすぐ死にます。






 彼らが噂のNFS、いわゆる連邦森林管理局だか何だかそんなの本当にあるのかよという方々です。
 今までにも適度にちょっかいを出してきてたんですが。
 何がしたいのか分かりません。

 男の方がチャックに向かっていきなり発砲してきた後、なんか根っ子に巻き付かれて死んじゃいました。

 何しに出てきたのか分かりません。

 きっと死にに出てきたんでしょう。
 根っ子と言っても汚いゴムホースにしか見えないんですが、今さらこの映画のショボい所をツッコンでも明日は見えません。

 女の方は後でまた出てきますからね。
 皆さん憶えておいてください。

 すごい方向性を間違えたおっぱい補完が見られますよ。



 一方その頃。

 驚愕のCG技術に全米が泣いたあの盆栽。

 それに殺されたオッサンの死体が発見されまして。
 物語は加速します。



 そしてその時。



 のび太は子供のお遊戯会に出席。








危機感がねぇよ。





 加速どころかドラッグシュートなみのフルブレーキなんですけど、この場面だけは凄いです。
 壇上では、可愛い少女が詩の朗読中です。



 その背後には綺麗なクリスマスツリー。

 どの角度から見ても単なるツリーなんですが、のび太の顔は青ざめました。

 もしアレが奴だったら…!



 そこで、のび太が取った行動は。






突然ケツを上げての猛ダッシュ。






舞台の上に踊り出て。






そしてツリーを押し倒す!!!!






馬乗りになってパンチパンチパンチパンチパンチパンチパンチパンチパンチパンチパンチパンチ!!!!








・・・観客ぽか〜ん。








そのツリー、造花ですが。







 …世の中、あまりに必死になりすぎて、まるで風車のようにカラ回りしてしまう人を見かけます。

 今ののび太がそれです。

 これで完ッッ全にジャイ子から愛想を尽かされ、ポールからは追い討ちをかけられて、すっかりのび太は孤立してしまいました。
 そりゃ当然なんですが。

 確かにね。
 子供の晴れ舞台を台無しにして、ツリー相手にマウントポジションから半狂乱に殴りまくる姿なんか見せられたらね。
 タオルの1つも投げたくなりますわ。

 まあ、でもね。

 女房だったら、夫のそんな姿を見て何か思うんじゃないですか?
 心配にならないんですか?

 そこがジャイ子たる所以ですね。




さんざ夫を罵倒して浮気相手と抱き合って去る。



この腐れビッチが!!!!





 こんなのと一緒に寝てたんじゃ夜尿もするわ。

 のび太の頭がおかしいのは、半分くらいはこのクソビッチのせいであるような気がしますね。




早く死なねぇかな
このババア。





 別にカルシウムが足りないわけじゃありません。

 足りないのはジャイ子の脳です。

 豪腕は、たとえこんな映画にでも愛をそそぎたいんですけどジャイ子だけは無理です。
 こいつとポールとセットで毒ギョーザでも食わせてやりゃいいんですよ。
 要するにジャイ子とポールが駄目なんです。
 この2人のせいで、のび太まで駄目に見えます。
 つまりジャイ子とポールとのび太は駄目という事です。
 だからチャックも全然カッコよく無い。
 よってジャイ子とポールとのび太とチャックは駄目です。






要は全員駄目なんです。








キャストとシナリオは駄目ですけど、演出と効果はさらに駄目です。






つまり作品が
駄目でした。







 明日を信じて今日まで生きてきました。
 そろそろ挫けそうな自分がいます。

 『肉喰怪獣キラーツリー』。



 『肉喰』でも『怪獣』でも『キラー』でも『ツリー』でもありません。



 だけど2作目なんです。



 こういう映画に資金を提供するルートを何とかできないもんでしょうか。
 うんこ映画を作るくらいなら孤児にバスケを教えるとかに活用したらいいと思います。



 しかし私はそのおかげでレビューが書けます。

 こんな映画に、何より大量の尿に感謝しないといけませんね。
 今の私にとって、のび太の尿こそ聖水です。



 アホな事言ってないで続けましょうか。

 そろそろ佳境に入ってくれないと困りますね。
 嫁が寝てる間に観てますからね。
 別に何にも悪い事はしてないんですが、精神的に隠れてエロ動画観るよりよっぽど敷居が高いです。

 画面はついに開き直って襲ってきたキラーツリーたち。

 盆栽の群れが涙を誘います。



 「ウキャキャキャキャ」とわめきながら、道行く人々を襲い始めるのです。






すっげえ楽しそうです。



ウキャキャキャキャ〜ッ!!!!





 何でこのタイミングで襲ってきたのか、言い換えるとなぜ今まで単なる木に化けていたのか。

 何の説明もありません。

 強いて挙げるなら、スキー場のイベントで人が多くなったからでしょうか。
 だったら前作の真夏の回想シーンは何だったんでしょうか。
 第一、普段はどうやって繁殖してるんでしょうか。
 『肉喰』と言いながら肉を喰ってるシーンが1つも出て来ないのは何故なんでしょうか。

 様々な謎を無視して映画は進みます。



 こんな時、のび太ならどうするでしょう。
 この騒ぎの真相を知る数少ない男です。



 何やらバーに飲みに来ました。



 この男は警備監督です。



 まるでパチンコマン並みに働かない男ですが、テレビのニュースでやっと何が起きているのか知りました。
 町は騒然としています。
 そしてバーの中にもツリーが1本…。

 ここまで引っ張ってしまい、大変申し訳ありませんでした。
 私が謝る所じゃないですが。

 ようやく。
 ようやくのび太が男になるか。



 動き出すツリー。

 悲鳴を上げるマスター。

 ついに立ち上がるのび太。



 マスターが危ない!
 襲い掛かるツリーを相手に、のび太は。






マスター見捨てて
逃げました。




どっしぇーっ!!!!





 ・・・あの。
 信じられないかもしれませんけど、これマジですから。
 子供のお遊戯会場では桜庭なみの胴タックルでツリーを破壊した男が。



 のび太の贈る兄弟船。

 木には弱いが造花にゃ強いぞ!!!!



 まるでタケチャンマンのような倫理観です。

 マスターのご冥福をお祈り申し上げます。



 もうキャラの行動がワヤクチャですな。
 今さら驚きませんが、ここでのび太は新事実を発見するのです。

 造花の後ろに隠れれば見つからないぞ!



 何じゃそら。



 あの盆栽たちの弱点は、どうやら目が悪いという事だったのです。

 化け物視点関係ねぇよ。

 かくして秘密を手に入れたのび太。
 愛する家族と町の人々を救うため、孤軍奮闘の旅立ちです。
 どうせ駄目なのは分かってますが。



 その頃、家族は。

 ポールとジャイ子がまだ生きてる事に大きな憤慨を覚えながらも、能天気にクリスマスです。
 この辺になると念じてますもん。

 死ね! 死んでまえ! 盆栽に襲われて尻の穴に松ぼっくり突っ込まれて死ね!!

 どうやら私は病気ですが、この作品を冷静に観るには涅槃の境地が必要なんです。

 すると願いが神に通じたのか。
 会場内で、とうとう盆栽たちが牙をむくのでした。

 盆栽に牙は無いけどね。



 しかしポールはやっぱりポールでした。

 襲い掛かる盆栽に対し。






子供を盾に自分が逃げる。





これで死ぬ準備は
整いましたね。





 残念な事にポールもジャイ子も生き残っちゃうんですが、ポールが途中で良い奴にならずにホッとしました。
 よくあるでしょ?
 嫌われ者がたった1回の善良な行為でヒーローに化けちゃうの。

 私は本気でこれ嫌い。

 悪人が悪人となった理由があるならいざ知らず、単なる悪人がたった1回良い事ってか普通の事をした程度で許せるかバーカと。

 要するに。
 何でそいつを「良い奴」にしようとしたのか、作り手側の安直さが透けて見えるのが嫌いなんです非常に。
 そんな薄い理由で簡単に中身が変わるもんかと。



 妙な部分でリキが入ってしまいました。

 どうしてこんな事を書いたのか。
 すぐにお分かりになるでしょう。



 画面は建物内に追い詰められる町の人々です。
 ここからは篭城戦です。
 どうせ外にいるのはウキャキャキャ言ってる盆栽なんですけど、そういう映画ですからね。

 ここでようやくのび太合流。
 傷付いた我が子を心配するのび太です。
 それだけなら良いシーンなんですが。

 空気の読めないジャイ子が一言。






「あなたが正しかったわ」






そしてジャイ子の罪は
許されました。









…待てや。





 ウバザメのように口を開けてしまいました。
 何をされても言い返せず、ただ耐えるしかなかったのび太がさすがに浮かばれません。

 大体、のび太に対してどれほど酷い事をしたと思ってるんでしょうか。
 たぶん何も考えてませんよ。
 旦那や子供の目の前で、他の男と浮気してやがったわけですけど。

 それのどこが悪いのか本気で気付いてませんでしたし。



 まあ何ですか。
 最初からそのつもりだったなら、まだいいんです。
 酷い行為ですけどね。

 しかし少なくとも、それがどういう事か分かってやっていたならね。

 その場合は単なるクソビッチで済むんですけど。
 そうじゃないのね。
 ナチュラルにのび太空気でしたから。
 「相手がどう思うか」ってのを、想像もできないタイプの人間のようです。



 よってジャイ子の改心には異議を唱えます。

 大変に薄っぺらい人物描写の光るシナリオですが、嫌な奴を本当にイヤな奴に書くという点ではブッチギリの高得点です。
 こういう発見、どーでもいいですね。
 なんか最近ビッチものしか観てないような気がしますが、モノがうんこ映画だけに仕方の無い所です。



 などと書いてる間にもう退社時間ですね。
 それでは恒例の次回予告などして締めましょうか。






<<次回予告>>






忘れてたよチャック。






忘れてたよリフトの客。






盆栽だらけの大運動会。






ポロリがねぇよ。






…と思ったらキターッッ!!!!








次回、レビュー最終回。






ポロリ、一瞬。






・・・期待しないでお待ちください(笑)。











next →


back


HOME