『TOON』(その2)








やっていい事と悪い事があります。




こんばんは。
語る言葉の寒い豪腕はりーです。

今回ご紹介する、この『TOON』。

もしひとつだけ願いが叶うのなら、このゲームに関する記憶をすべて抹消して欲しいです。

いやあ、すごいですねこれ。
聞きしに勝る作品です。

私、勉強になりました。

地雷は踏むと爆発します。







OH,NO!!!!




60年代の高度成長期から80年代のバブル期を経て、そして迎えた21世紀。
日本は技術大国として世界に君臨しています。

されど、技術というのは諸刃の剣です。

使う側によっていかようにもできてしまうのが、恐ろしい所なんです。

そしてこの『TOON』。

技術を無駄に垂れ流しています。

尻切れトンボっていう言葉があるじゃないですか。
これ、実際にいたら内蔵垂れ流して死んじゃうと思うんですけど。



そんな作品です。



内容を説明する前に、「トゥーンレンダリング」という技術の事をお話しましょう。

これは簡単に言っちゃえば「アニメ絵が3次元で動く」という奴です。

いわゆるポリゴンではなく、あの2次元の絵のままで立体感を出す技術の事ですね。
大変素晴らしい技術だと思います。

今の所、ヲタクを満足させる以外に使い道のない技術なんですけど。

かつて『ときめきメモリアル3』という、映画で言うと「スーパーマン3」みたいなゲームがあったそうで。
初めて家庭用ゲームに「トゥーンレンダリング」が採用されたのが、これだったように記憶しています。

鳴り物入りで発表会をしたそうで。

会場を取り巻く失笑の渦が、なかなかに壮観だったという事です。

要するに、こういう事だと思います。

別にいいじゃん2次元で。

わざわざ平べったいままに突き抜けた技術の蓄積がある2次元の絵を、無理に膨らませてもねえ、という感じではないでしょうかね。

いや、技術は日進月歩。
ほどなく自然にそういう時代が来るんじゃないかという気もしますが。

やっぱりヲタクを満足させるだけの技術に終わるような気がします。

さて。
そこでようやく『TOON』が出てきます。

オープニングから技術のカタマリです。

すみません。
ちゃんと鑑賞に堪え得るレベルです。

原画を担当しておられるのは、メイド好きの間では知らぬ者のない村上水軍氏。

あの絵が動くんです。

厚みがあるんです。

これはもう、中身に期待しない方がおかしいでしょう。

すぐに裏切られます。



私のこの拙いボキャブラリーで、どうにかして内容をお伝えしたい所なんですが。

なかなか難しいんですよ。
無から有を生み出すのは。











これができるのは着ぐるみに入ったリトル・フランキーさんくらいです。
仕方がないので、まずは登場人物からいってみましょう。

主人公の名前は望月祐(もちづき・ゆう)。
交通事故で長期の休みを取っていたため、夏休みに3日間の補習を受けます。

教えてくれるのは、なぜか保健室の女医さん。

…………………………。

いや、いいんです。

もうこれだけでいいんです。

ひょっとしたら何かあるんじゃないかな、とか。
感動とか熱血とかあるんじゃないか、なんて。

思った私がのび太でした。

他には、こんなキャラたちがいます。

「幼なじみツインテール元気娘」
「ウザ系おどおど黒髪ボブ」


てか、出てくるのはこれだけです。
どうか強制的に満足してください。

まあ何ですか。
ウザ系が泳げるように頑張ったり、幼なじみがうるさかったりしますけど、基本的にまったく何の意味もないです。

女医さんはおっとりドジボケ系でこれまた平和です。
しかし意味もウンコもありません。

なぜなら。

どんな選択肢を選ぼうと、結局最後は決められているからなんです。

皆さん、これどう思います?
ゲームをやっている気になりますか?

ここで行われている事は、要するにシーンを埋めるための作業のみです。
分岐もへったくれもありません。

さらに恐ろしい事に。

女の子の攻略の順番まで決められています。

一周するのに1時間かからないほど薄っぺらい内容ですけど、「やらされている感」がどうしても拭えません。

実際やらされてるだけです。

攻略はこの順番です。



ウザ系おどおど黒髪ボブ



幼なじみツインテール元気娘



女医さん







…女医さん最後かよ…。



いーや悪夢はまだこれから。


攻略の条件というのが、またすごいんです。

親の敷いたレールに錆びたナイフで抵抗したい15の青春は分かりますけど、姉属性をつらぬき通したいならさらなる苦行が待っています。

それは。

すべてのえっちシーンを埋め尽くす事なんです。

これ、言葉で言うより実際に体験した方がいいと思います。
本当にきっついです。

さてここで、例のトゥーンレンダリングがまた出てきます。
今からどんなものか書きますけど、素直な方は感心してしまいそうで罪の意識が強いです。

まず、視点が変えられます。

カメラビュー形式で、実に3つもの視点が選択できるわけです。

正面からアップで見る。

下から舐めるように見る。

窓の外からノゾキ見る。









田代もビックリ!!




パターンも、3〜4種類選べます。

くわえさせたり。

前から後ろから立ったり座ったり。


そしてもちろんアニメーション。
動いたりするわけなんですけど。



ひどいです。



これでオナニーできる方は、きっと仏壇でオナニーできるに違いありません。

少なくともこの私は、たかが3秒くらいの繰り返しをアニメとは呼びません。

普段の私なら、こんなハチの求愛みたいなえっちシーンは飛ばしに飛ばす所なんですけども。

そりゃ当然です。
仏壇には婆ちゃんの遺影があります。
されどしかし。

コンプリートしないと次に進めないのです。



婆ちゃん泣きそうだよ俺!!!!




ちょっと冷静に考えてみましょうよ。
カメラビューが3パターンの、シーンが同じパターンあるとしますよね?

それだけで、3×3=9パターンあるわけでしょ?

んで、制服だったり体操服だったり、もう無駄に果てなく多いんですよこれが。

私、最初のウザ系で、えっちシーンだけ10回近くやらされました。



誰か地平線の向こうまで連れてってくれよ!!!!




400mリレーに出たのに、なぜかトラック全体にハードルが置かれまくっている気分になります。

これぞ地雷です。

そして、そのシチュエーションというのがまた飛び抜けています。

この手のゲームなんで、えらく簡単にえっちができるわけですが。
周りはみんな処女なんですが。

ウザ系が終わった後の幼なじみも、もはや狂人のレベルに達しています。

だってあなた、処女なんですよ。

処女なのに。

えっちの前に。







あそこに縦笛突っ込みます。




できねえ…。


縦笛に感じる娘がチンコ突っ込まれて痛がる。




…この世には、まだまだ科学で解明できない謎があります。

何なんでしょうね、こいつらは。
ちくわですか?

作成者は、どう考えても真面目にやってるみたいで涙を誘います。

また、これだけ苦労したのに、えっちが終われば即座に終了です。

エンディングも何もありません。


余韻がどうとか、そんな事はもはや言うだけ無駄なんです。

トゥーンレンダリング。
お金のかかる最高の技術です。

そして結局このゲームは、ただそれだけで終わってしまった悲しい作品なのです。

確かに試みはいいでしょう。
エロゲーでは初の試みであり、何事も最初は実験的なのは当然です。

ただし。
これじゃ体験版でいいって。

原画さんの村上水軍氏に罪はありません。
この人だったら何でもいいという方に、ひっそりとお勧めいたします。

アニメが動く技術力。

どうせ動かすなら、人の心を動かして欲しかった。






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