『雫』







なんかこの『雫』って字、「雨」と「下」で成り立ってますね。

うげって感じですね。

どうでもいいですけど。

かつて『痕』のレビューでも書きましたけど、温故知新って言葉があるじゃないですか。

この作品もそうです。

ことエロゲの分野においては『ときメモ』『同級生』なんかの流れを汲む、いわゆる恋愛シミュレーションとかアドベンチャーの形態が多かったわけで。

そこにこの『雫』です。

『痕』よりさかのぼる事、半年。

ノベルという形態を世に知らしめた偉大な作品です。




古きを尋ねて…。





…新しきを知る。




…まあ、それ以前に『かまいたちの夜』とかありましたけど。

エロゲにおいてはハシリですね。

余談ですが、『かまいたちの夜』というタイトルを初めて耳にした時。

「かまいって…何?」とか思いませんでした?




ヤツらが来る。



日比谷線なみに脱線したので戻しましょう。

まずはストーリーです。

主人公は高校に通う妄想癖バリバリの青年です。

この妄想というのがサンコンみたいに暗いんです。

いつも人類滅亡とか考えている自閉症野郎です。

こんな奴はマグロ漁船にでも叩きこんでやった方が世のためなんですけど、主人公の独白で話が進むので逃げられません。

我慢して進めましょう。

さて、ゲーム序盤、衝撃的な事件が起こります。

ある日突然クラスメイトの女の子が、グレート・ムタばりに自分の顔面をかきむしる!

妄想ときて今度は狂気です。

すごいダークです。

想像してみましょう。

クラスメイトが「狂乱の貴公子」に!

突然リック・フレアーですよ。

30代以下の方は置き去りですが、ともかく衝撃のスタートです。

この物語は、その狂気の謎を探るべく、主人公が調査に乗り出すお話です。

ただし、単独では危険です。

エロゲに付き物の展開として、一緒に行動する女の子が選べます。

主人公とタッグを組むのは、以下の3人。

当然美少女です。
















…んなバカな。

本当はこっちです。






この中から一人を選んで、夜の学校に潜入捜査をするわけですが。

しかし何でしょうね。

このアゴのない硬骨魚類みたいな少女たちは。

進化の過程で振り落とされなかったんでしょうか。

この作品は、今で言う所の「ぷにろり」のハシリ的なキャラが出てくるんですよ。

私は姉属性ですけど、確かに可愛いツラしてやがりますね。

作品世界とまったく合っていないのが惜しい。

語られる内容が電波ですからね。

「妄想」ときて「狂気」ときて、とどめに「電波」です。

「強姦」「鬼畜」「陵辱」ですからね。

「もうどうにでもして」という感じです。

かなり救いのないお話に感じるかも知れませんが、実際途中まではそうなんですが、この作品はそれだけに留まらないんです。

一度クリアするたび、新たな選択肢が増えていくんですね。

あの『痕』にも採用されたシステムです。

これは素晴らしい手法だと思います。

やり込み要素が高いです。

そしてすべての真相が明らかにされる時。

あなたは何を思うでしょう?

「彼」もまた、被害者なのでしょうか?

彼らにおける救いとは、何なのでしょうか?

私たちの隣にも…ないとは言い切れない。

能力の話ではありません。

ノートの片隅に落書きをしていたあなた。

自分が「正常」であることを、あなたは何によって確認していますか?




この作品を作った会社は「Leaf」といって、今さら説明するまでもなくエロゲ界では知らぬ者のない巨人です。

知名度の高い作品としては『To Heart』なんかが有名ですね。

この『雫』によって「Leaf」は立ち、『痕』で加速し、『To Heart』で爆発し、『誰彼』で鎮火し、『うたわれるもの』で再燃したのです。

温故知新。

すべての始まりがここにあります。

16色ですけどね。






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