『パレット』






窓を開け放って寝ていたら、赤ん坊の火が付いたような魂のシャウトに叩き起こされた豪腕はりーです。
私は今、何かの事件に立ち合っているんでしょうか。

ちなみに夜中の3時です。
赤ん坊は泣くのが仕事です。とはいえ、あんまり仕事熱心なのも考え物です。

悲しいのはお前だけじゃねえんだと、愚痴の一つもこぼしたくなりました。

さて。
こういうドゥームな気分の時に、最適のゲームをご紹介しましょう。

どんなゲームかを説明する前に、まずこのゲームのすごい所をひとつお教えします。

このゲームは、1000万円の価値があるのです。

20世紀最後に行われた「第4回アスキー・エンタテインメント・ソフトウェア・コンテスト」において、堂々のグランプリを受賞した作品なのです。

その賞金が1000万円ですよ奥さん。

こんな所でレビューなんか書いてる場合じゃない気がしてきました。

俺も泣きたいよ赤ちゃん。




では背景など。
主人公の名前はシアノス・B・シアン。著名な精神科医という設定です。

仕事が終わって家に帰ろうとすると、いきなり銃で脅されて無理やり仕事させられます。

この姿の見えない謎の女性の言葉に従い、B・Dという名前の少女の過去を解き明かして行くのですが…。

のっけからすごい緊迫感です。

さすが1000万円。

その後は基本的にB・Dを操作して、彼女の記憶を取り戻すわけなんですが。

過去に恐ろしい体験をした彼女は、赤という色しか認識できないのです。

モノトーンで語られる恐怖の記憶。
時おり現れる鮮明な赤。
壁に付いた手形の赤。ナイフに付いた赤。血の赤。

終始、色を成さない暗〜い画面で進みます。

表示画面の切り替えで、たまにフルカラーになっちゃうのはご愛嬌ですが。

されど1000万円。

そして、音楽が耳血出そうなくらいイイんです。

「RPGツクール95」という古〜いプラットフォームを使っているにも係わらず、もうSE思い出しただけで過呼吸起こしそうになります。

いいものはいつまでもいいんです。
21世紀だというのに未だに初代ガンダムから抜け切っていない感じの昨今の業界を感じさせます。

嗚呼悩ましのアルテイシア。
このネタは30歳以上の方にのみ有効です。

これ、形を変えたパズルゲームみたいな感覚ですね。
B・Dが記憶を取り戻すたび、移動範囲が増えていくんですよ。
精神世界を漂ううちに、「記憶のかけら」というアイテムを入手していくわけですが。

これが全然進めない。

最初のうちは簡単に「頭痛を起こして」初期画面に戻されます。

悲しいのはお前だけじゃねえんだと、愚痴の一つもこぼしたくなりました。

しかし。これがまた変なキノコを食べたみたいに中毒性バリバリな感じで。
先延ばしにできない、もうちょっとでいいから先を見たい、そんな感覚ですか。

どうせ先っちょだけじゃ満足できないでしょ?

ついつい、やり込んでしまうタイプのゲームですね。

さすが1000万円。

やがて見えてくる脅威の真相。
B・Dってのは、少女のイニシャルではないんです。

なぜ、少女はB・Dと呼ばれているのか?

なぜ、少女は記憶を失ってしまったのか?

謎の女性の目的は何か?

かつて起こった殺人事件…そのつながりは?

ここは…どこなんだ?

精神科医シアノスは、隠された謎を解き明かす事ができるのでしょうか?

それとも、全然進まねーよ攻略探すのかったりーよと挫折してしまうのでしょうか?

全ての謎が明らかにされた時、あなたはなぜこのゲームがグランプリに輝いたのかを知る事になるでしょう。




ちなみにこのゲーム。
「Forget me not 〜パレット〜」というタイトルで、プレイステーション用に発売もされています。

でも、どーせタダなんだから。

タダで1000万円をプレイする喜びを、素直に噛みしめましょう。






ダウンロードはこちらから。


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