『おまえのなつやすみ』








険しい山は
おのれ道
振り返らずに進め



ということで。

こんばんは。
演歌の花道豪腕はりーです。

冒頭で紹介した文章は、国民的演歌歌手たる八代亜紀さんの「おのれ道」という歌から引用しました。

おのれ道。

鳴き声上げて、人は皆生まれるのです。

あなたも私も日本人。
心に根ざした情念は同じです。

今回ご紹介する『おまえのなつやすみ』は、そんな情念を高らかに歌い上げる至高の逸品です。

ご理解いただけたでしょうか。

なに、分からない?

そういう方は。






ハワイが足りないんだハワイが!

ハワイ不足なんだっての!!

ハワイのためなら俺は妹でも犯るぜ!!!!












…キチガイです。

私たちは今、10年に一度見られるか見られないかの馬鹿を見ているのかもしれません。

まともな神経でこのゲームをプレイするのは無理です。

一生涯の純潔をエロゲームに捧げる勇気のある方のみ、この禁断の作品を手に取ってください。

さて。
まずはストーリーです。

「夏休みはハワイに行くぜ!」

すべての知人から道行く人たち、果てはイヌ、ネコにまで吹聴して回る主人公。
それもそのはずです。
両親からのお墨付きがあったわけで。

しかし。
ハワイに行ったのは両親だけ。

てっきり自分も行けるものだと思っていた主人公は、燃え盛る炎のように後悔するのでした。

大ミエを切ってしまった手前、もうどこにも行けません。

「この情けない事実を絶対に悟られてはいけない」

そんなわけで。
これから続く夏休みの間。

家から一歩も出ない!

でも日焼けする!

ハワイ通になる!


このような、端から見ると正気の沙汰とは思えない計画を実行するのです。


辛い事など 何もないと
笑うその目が 泣いている



国民的演歌歌手、五木ひろしの「再り会い」より。

ではまず、パッケージを開けてみましょう。
ちなみに底の方から開けると、こんな印刷が。

「こちら側から開けても内容に変化はありません」

…馬鹿です。

なんか、銀のエンゼルとか付いてます。

かっこいいカブトムシの写真がありますけど。

よく見ると、ツノがちんこです。

ゲームを始める前から果てしない疲労感が襲ってきますが、せっかくトップロードさんから借りた物ですので続けましょう。友情のために。

さて、内容はCDが1枚。
それとなぜかハワイの折り込み広告。

ハワイの折り込み広告です。

一瞬、我が目を疑いましたが、内容はこんな感じでした。


直送!
スクーノレ水着
$801(ハワイ)





……………………。








終わった…。




もはや気を失う寸前ですけど、友情のために頑張ります。

生きてきたから朝がある。
五木ひろしの「早春」です。

というか、この紙っきれが説明書らしいです。
裏に何やら細かい字でいっぱい書いてありました。


登場人物紹介。

従姉弟。

義妹。

…以上。



名前すら無い!?




※本書はハワイの新聞折込広告チラシの裏側を使用しているフリをしています。再生紙でもなんでもありません。

……………………。

急に故郷が恋しくなりました。

いや、まだまだ。
頑張りましょう。
友情のため。

しかし、パッケージを見た時から気付いていたんですが。
この主人公は危険です。

いや、思想が危険とか脳に何かわいてるとか、そういう類の危険さじゃないんです。
もちろんそういう危険さ全開ですけど。

何と言うか、絵がちょっと。

どこからどう見ても不動明です。

「デ〜ビールッ!」とか叫びそうです。


ダイナミックプロから訴訟を起こされても文句が言えません。
「似てる」「似てない」のレベルじゃありません。

どう見ても本人です。

胸に「A」のシャツ着てないだけです。

いつベルト抜いてパシンパシンやり出すか不安になります。

ただし、妹は平手の美樹ではないので、ちょこっとだけ安心しました。

さて。
このゲームは、ですね。

義兄妹つゆだくひきこもりアドベンチャーゲームという、どの角度から見てもキチガイの妄想みたいなゲームなんですけど。

その名に恥じない展開です。

何しろ家から一歩も出られない。
やる事ないからヤルだけ。

さらには、えっちの方向に持って行くための力技がすごいです。

「いいか、ここはハワイだ!」
「ハワイでは、水着なんか着て焼く奴は一人もいないんだぞ!」
「だからお前も脱ぐのだ!」

脳みその代わりにコロッケでも詰まってるんじゃないでしょうか。

そして、あっさりそれを聞き入れる妹。

コロッケ兄妹です。


辛抱我慢の イバラ道
ここで逃げだしゃ 負けになる



北島三郎「恩返し」より。

この辺からもう友情なんてどうでも良くなりますが、崩壊する一方の主人公が可哀想なんで続けます。デビルマン好きだし。

「いいか! ハワイでは、突然スコールが来る事もある!」

アロハ着せたままシャワーを浴びせる。

「大和魂を見せつけるのだ!」

ハッピ着せたままヤリまくる。

そうやって脳がとろけた頃、突然のように従姉弟の女の子が尋ねてきます。

まるで骨格標本に皮だけ貼ったみたいにやせ細ってます。

使徒そっくりです。

でも、狂人の主人公はそんな事お構いなしです。
無理やり巻き込んでハワイの悪夢は続きます。

服を隠し、あまつさえ寝てる間に陰毛まで剃ってしまいます。



犯罪です。











世の中には、3種類の人間しかいません。
いい奴と、悪い奴と、こいつらです。

これを書いている現在、夏はすっかり過ぎ去ってしまいましたが、私の部屋は暑苦しくて仕方なくなってしまいました。

もし、何かの間違いでこの作品を手に取る事があったら、この芸術的なまでに頭の悪い連中をひたすら突っ込んでプレイする事を勧めます。

税抜き3980円ですから。

最後がちょっと尻切れトンボでしたけど、値段に見合った内容です。
馬鹿ゲーならこれです。

シナリオの幕間に出てくる「百物語」も、小休止的な工夫がされています。
ほとんどはちっとも怖くない都市伝説ですが、やり込み要素を担っていると思います。

全部で40個しかないですけどね。

その辺は大人の事情なんでしょう。
頑張ってコンプリートしてください。

ところでこの作品、特筆すべきは安い値段らしからぬシステム周りの良さ。

ここだけは満点です。

立ち回りの軽さとユーザーフレンドリーの設定で、ほとんどストレスがありません。

セーブなんか無駄に100ヶ所もあります。

多少データが分かりにくいですが、一応「ひきこもり○日目」とかでセーブできます。

最後の方はもうこんな感じです。

「ひきこもりまくり」
「ひきこもりすぎ」

「ひきこもりの末期」
「ひきこもりの限界」


…すでに日数すら分からなくなります。
怖ろしいゲームです。

確かに、えらく選択肢の多いゲームですからね。
100個あれば何とかなるでしょう。



A・ハワイのために
B・ち○このために



…こんなんばっかですが(笑)。






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