腐っていいともの時間がやってまいりました。 果てしなくゲーム世界を無視した出だしですが、作ってる本人たちがやってるので無問題です。 今日のレビューは、ミクロの決死圏くらいに狭〜い範囲の人にしか分からない語句を多量に含む危険性がありますが、さし当たって始めましょう。 ライアーソフトの『腐り姫』です。 なんかサブタイトルもありますが、どうせ本文に一度も出ないので無視して構わないでしょう。 さて、製作会社であるライアーソフトは、かつて遊演体という会社でした。 手紙をやり取りしながらストーリーが進む形態のRPG、いわゆるプレイ・バイ・メールの元締めだった会社さんですね。 ではゲームを手に取ってみましょう。 シナリオ・星空めてお この時点で、プレイ・バイ・メール出身者の私はオナニーを禁じられてしまいました。 気を取り直して続けます。 作画・中村哲也 この時点で、マジックのプレイヤーである私は勃起すら禁じられてしまいました。 大変困ったゲームですが、好き嫌いは死んだ婆ちゃんに怒られちゃうので頑張って続けます。 まずはパッケージから。 ごく普通の大きさの箱です。てか、こんなにでかいのに普通に見えてしまう所がメスカリン・ドライヴちっくな感じですけど。 中身はゲームCDと、なんだか妙に力の入った小冊子が入っています。 稲荷杜(とうかんもり)観光便覧とか書いてあります。 表紙カラーのつやつや印刷で、実に30ページ近くあるブックレットですね。 スタッフも相当頑張っています。 ゲーム世界である「とうかんもり」の観光ガイド、だそうですが。 「フィッシング」「レンタルボート」とかの細かい概要が載っているわけですが。 ほとんど全くゲームと関係ありません。 この時点で、腐り落ちた果実の匂いがしてきます。 旅行から帰った後の三角コーナーみたいな同人臭です。 婆ちゃん。俺、頑張る。 まあ一応、キャラクターの紹介なんかもちゃんと載っているんですね。 絵は独特の、どちらかというと個性的な感じです。 皮膚のてらてら感とか、好きな人にはハマるんじゃないでしょうか。 ただし。 マジックのプレイヤーにとっては目の毒です。 まるで真崎杏子やブラックマジシャン・ガールに囲まれているかのような怪しい感覚に陥ります。 中村哲也、恐るべし。 婆ちゃん。俺、頑張る。 このゲームは、『痕』なんかでお馴染みの、クリア後にシナリオが変化するタイプですね。 適度にやりこみ度があり、なかなかうまい構成です。 流れ的に民話テイストっぽく進みますが、田舎とはいえ現代の物語です。 雄大な自然の中での美術はけっこういい感じです。 このゲーム、立ち絵を使ってないんですよね。 全部背景で人物が動き回ってます。 こういうチャレンジャーな試みは素直に歓迎したいですね。 小冊子なんかいいから。 さて、ストーリーですけども。 謎の少女「蔵女(くらめ)」にまつわる謎。 以上終わり。 ……………。 いや、それ以外に言う事あんまりないんです。 だって、よくある記憶喪失ものだし。 んじゃ、ちょっと長いけど引用してみましょうか。 父親と妹が怪死を遂げ、記憶喪失となった主人公は、義母に連れられ、故郷の町へと戻る。そこで主人公は蔵女(くらめ)と呼ばれる、深紅の着物の少女と出逢う。 少女は自分の妹に瓜二つだった。 取り巻く家族や友人たちは、うわべでは彼の回復を望みながらも、罪の意識を心に潜ませている。蔵女はそんな人々の隙に取り入り、甘美な肉欲と狂気を与え、身も心も崩壊させていく。 記憶と現実の境界が揺らぎ、喪失感と、蘇る恐怖との狭間に葛藤しながら、やがて全ての記憶を取り戻し、赤い雪が降り積もるなか、世界が死の静寂に包まれるまでの4日間。 伝奇かと思ったらいきなりSFになってしまうんです。 正直、設定は悪くないと思うんですよ。 ただし、物語的にどうしても破綻しているんです。 ぶっちゃけ主人公とヤると腐るんです。 この民話的な話を力技のSFによってみずから壊し、主人公の設定をみずから壊し、あまつさえ「盲点」とかいう幕間のギャグパートによって、雰囲気までみずから壊しているんです。 今回のレビューの出だしが「盲点」のソレです。 聖心女子学院の文化祭に紛れ込んだオタクみたいに違和感があります。 本当、もったいないと思うんです。 面白くないわけじゃないんです。 ただ、これでは話が生きてこないんじゃないでSKY? 助けてポリアンナ。 いやいや。30過ぎの中年が幼女に頼っちゃいけませんね。 頑張って続けましょう。 このゲーム、テーマ的に家族も扱っているんですが。 主人公の血のつながらないお母さんが出てきまして。 芳野さんっていうんですけど。 なんか盲目の麗人なんですよ。 ブライトさんに分けてあげたいような目をしています。 でも、最初に見た時は、こいつ絶対ラスボスだと思っちゃいました。 だってむちゃくちゃ怖いんだもの。 けれど今では一番のお気に入りです。 嗚呼悲しき姉属性。 しかし。しかしですよ。 盲目である必然性が全くないのは困りものですね。 う〜む。 今回もまたひどい事を並べてしまいましたが。 私の見方が角度的にマニアックなのもありますが。 いい所だってたくさんあるんです。 えっちが非常に濃ゆいとか。 本人以外のセリフが出てても喘ぎっぱなしだったり。 話もえっちも相応にディープなので、まずはプレイしてご確認ください。 それでは最後に。 「残念ながら、この町に温泉はありません。出直してきてください」 そんな観光ガイドはねえ。 婆ちゃん。俺もう疲れたよ…。 back HOME |