辛い物は勘弁で 最近、自分でも多少は料理するようになって、気付いた事がありまして。 辛子に相当する香辛料がひとつもないとか、あるいはラー油が蓋も開けられていないといった事なんですけど。 そういうわけで、こんにちは。 辛い物が一切食べられない豪腕はりーです。 私を知る方は皆さん意外とおっしゃいますけど、こればっかりは仕方がありません。 駄目なものは駄目なんです。 結婚していた当時、女房はカレーをまず中辛で作成し、私は生卵を落として甘口に、女房はスパイスを入れて辛口にして食べていたもんです。 現在、努力の甲斐あって、ごく普通の中辛カレーくらいなら食べられるようになりました。 こんな程度で努力も何もあったもんじゃないのは重々承知しております。 されど。駄目なものは駄目なんです。 人間の味覚というのは大変不思議でありまして。 こんな私でも、熱い物なら全然平気なんです。 家系あたりの油ぎとぎとラーメンでも、出てきた瞬間にスープごくごく飲める程度なんですけど、それでもやっぱり辛い物だけは駄目なんです。 おかげで今の所、私よりも早くラーメンライスが食える人間に出合った事がありません。 何一つ自慢にならない事は重々承知しております。 たぶん、川越市内で15人くらいしかいないのではと思います(←微妙)。 まあ、世の中、たかが辛い物が食える程度ですごい得意気な方もおられるんで、どっちもどっちなんですけど。 仲間内で唯一、私よりも食うのが早そうな奴がいるにはいますが。 そいつの本職が女子プロレスラーなんで、詳しい情報は避けておきます。 こんな私なんですが、もちろん興味だけはあるんですよ。 物理的に食えないのは仕方のない事ですけど、食べてみたいという欲求は常にあります。 やっぱりうどんにも七味を入れずに邪道扱いされてしまっても、とりあえず挑戦心だけは失わずに生きて行きたい。 とはいえ私の別の知人みたいに、ファミレスでタバスコのおかわりを頼むレベルにまでなろうとは思いませんが。 一回のパスタに私の一生分のタバスコを使い切る人間なんて、正直その舌を信じる気にはなれません。 皮膚科の医者にさじを投げられた奴ですからね。 内臓系ではなく皮膚科という所が無駄なポイントですね。 という感じで。 ミクロ粒子あふれる反骨心に身を包んだ私は、かつて元・女房とカレー専門店に行ってみた事があるんです。 吾妻ひでおバリにインド人あふれる店内にて、私が頼んだのは3色カレー。 一回の食事で3種類カレーが食えるという、全温度チアーみたいな素敵なカレーです。 色もとっても綺麗です。 なんか、赤と緑と黄色っぽいのがありまして。 …大失敗です。 まるで何かの罰ゲームです。 一口食うたびに、スーパージョッキーの熱湯風呂みたいに身悶えする私。 網で焼かれるスルメもかくやの私を見て、元・女房も笑いを通り越してマジ心配視線になってました。 いや、このカレーね。 元・女房も同じ物を頼んだんですけど。 なんか全然普通の中辛カレーだったみたいなんですよ。 「ちょっと辛いかな〜」とか言って平気で食ってやがるんですよ。 別にこの人が特別辛さに強いわけじゃないんです。 私の舌が悪いんです。 なんで私は泣きながら昼メシ食ってるんでしょう? たかがカレーを相手に人類の存亡をかけた戦いをしている気分だったんですけど。 そして負けたんですけど。 川が見えた頃には、本気でヤバイと思いました。 いや、普通の中辛なんですけどね。 …まあ、これだけなら単なる間抜けな話でして。 恐怖は伝染するという、まるで悪魔を憐れむ歌みたいな展開がありました。 私たちの隣のテーブルに、ソロでどこぞの兄ちゃんが入店されまして。 たぶん同じカレーを頼んだらしいのですが。 地獄の触手から必死に逃れようとしている私を、ちらちらと横目で伺っていたようなのです。 そりゃ〜目立ちますわな。 そんな私の様子を見て、店員さんにこう言ってました。 「あの…。甘くしてもらえます?」 …うわ〜、兄ちゃんごめん! 大丈夫なんだよ。君ならきっと平気だよ。 いや普通の人なら平気なんだよ。 あんたのすぐ隣で山海塾みたいな意味不明の踊りやってて本当にごめんね。 それを聞いた店員さんも律儀に頷いていたけど、悪いのは全部私の舌なんで申し訳ない。 というわけで、見ず知らずの兄ちゃんを恐怖のズンドコまで落としてしまったこの私。 激辛に悶えながら必死に笑いを堪えるという、忘れ難い経験をしてしまったのでした。 アホほど子供でごめんなさい。 今では、ちょこっとだけ大人の味覚になりました。 それでもやっぱり、汁が真っ赤に染まるまでうどんに七味を入れるのはどーかと思います。 ダシの味が分かるんでしょうか。 されどお酒はなぜか辛口派の豪腕はりーでした。 全然豪腕じゃないですね。ちゃんちゃん。 back HOME |