ジャンプの本気汁。


2006年 第52号
記・2006年11月30日(木)

※本来は日記に書くべきお話(思いっきり時事ネタ)なんですけど、
読者でない方もおられるのと、日記用のネタが多すぎるのでこっちに。





 寒い日が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
 もう12月。師走なんですな。
 大掃除の季節です。

 いらない『斬』や『OVER TIME』を整理して、新たな年を迎えましょう。
 という事で。

 読みました?
 今週号(52号)のジャンプ。

 「首切りジャンプ」本領発揮の号でした。

 いやもう切る切る凄いイキオイ。
 2作同時にバッサリです。
 アンケート至上主義の脅威。
 少しでも人気が落ちれば即座に首を撥ねるという、まるで北の将軍様みたいな雑誌です。

 う〜ん、ゲマトリア。

 ではここで、お亡くなりになった2作を振り返ってみましょう。
 まずは『斬(ざん)』。




奇跡のように続いた漫画でした。



 最近のジャンプは、この作品に見られるようなふくよかな同人臭のする漫画が必ず後ろから2番目に載っていて、地味な名物となっておりました。
 『ポルタ』もそうだし、『劣化ワンピース』もそうでした。
 一番後ろはジャガーさんの指定席ですから、実質この位置が最終ラインです。

 ここまで下がれば後は無く。
 崖っぷちのタワラの詰まり、カド番脱出を賭けた張り出し大関が7勝7敗で千秋楽。
 まさしくそんなスペースです。

 まるでラオウ対山のフドウ戦みたいなラインです。

 ここ数週間は、『斬』のためのスペースでしたね。
 いつ切られるか。
 漫画よりそっちの方が気になっていましたが、この度ようやく斬られました。



 そして『OVER TIME』。




ホントだよねえ。




 人気の秘密は、絵の上手さだけじゃないんだよ。
 そんな事を教えてくれた漫画でした(ジャンプにはすでに『ワンピース』という成功作があります)。

 『ヒカルの碁』と『アイシールド21』のイイとこ取りを狙って見事に外したその様は、商業誌におけるパロディの成功率の低さを物語っています。
 たまに『黒猫』みたいな全編パクリでも生き残れる場合がありますが、現状それは難しいと思います。

 だって太臓がいるからね。

 これくらい開き直らないと、生き残るのは無理なのかも知れません。
 太臓自体、決して安泰とは言えない地位にいますからね。

 そんなわけで。

 さようなら。そしてありがとう。



 そんなこんなで、いよいよ新連載が始まります。
 3週連続ですから、実に3本もの連載がやって来るわけです。

 2本消えて3本始まる。

 どう計算しても合いません。

 今後の動向が気になる所ですが。
 いやあ。

 みんな本気になりましたね。

 どこがどう本気なのか。
 今から、それを検証してみましょう。

 まずは新連載陣から見てみましょうか。



「DEATH NOTE」小畑氏の復活。

「シャーマンキング」武井氏の復活。



 この2大巨頭に加え、今風萌え漫画を挟むという3週連続攻勢。

 磐石の安心感を誇る凶悪な布陣です。

 「新」連載のくせに、まったくそれを感じさせません。
 良い意味で、ですよ。
 ジャンプは商業誌ですからね。



 特に新連載・第一弾『BLUE DRAGON ラルグラド』の作画に注目しましょう。
 描くはジャンプの至宝、『DEATH NOTE』『ヒカルの碁』『力人伝説』の小畑氏。
 こちらがその作品です。







 …ちゃんと小畑健と書いてありました。

 誤植かと思いました。

 おそらく原作の持つ雰囲気に合わせ、すでに完成されたあの絵柄を変えて来たのです。

 どれだけ向上心があるのでしょう。
 あまりに高くて首を吊りそうです。
 人間、ある程度まで来ると必ず「型」ができるわけですが、この人はあそこまで練り上げた「型」を簡単に捨ててるんです。
 人間、ある年齢まで来ると挑戦心が薄れてしまうわけですが、この人はまだまだ上り続けているのです。

 さらには(想像ですけど)。

 「いつでも戻れるぜ」という余裕…でしょうかね。このオーラは。

 ともかく。
 バリバリに本気です。

 個人的に現在のジャンプには、中堅が多く大黒柱が(一時期に比べて)若干少ないような印象を受けていたんですよ。
 そこへ持ってきて、この新連載ですよ。
 強力な柱となる可能性が見えてきました。

 『DEATH NOTE』の小畑を『ラルグラド』のNEW小畑が倒す。



 俺の名は小畑。俺を超える者は俺しかいない。



 …そんな痛快な事さえ考えてしまいます(コブラからパクッたんですけど)。

 まあ、されども。
 ここで当たれば3匹連続のドジョウですからね。
 期待感だけで買う馬券に当たり無し。
 まずはお手並み拝見と行きましょう。
 大変えらそうな事書いてますけど、立ち読みでなくちゃんと毎週買ってますから。



 そして、新連載第2弾は飛ばしてまず第3弾。
 武井宏之氏の帰還です。



 「ツンデコ」を描かせたら日本最強の漫画家が、第一線に戻ってきました。



 今度こそ、弥勒が目覚めるまで連載できるでしょうか。
 目覚めるかと思ったら「寝るぞー!」で終わりでしょうか。
 時に不条理さをもって読者をも突き放す、あの武井節(おいおい作者もツンデレだよ)は健在でしょうか。
 さらにかつての『シャーマンキング』全盛時のように、常にジャンプ前半のスペースをキープする「柱」となれるでしょうか。
 今後の活躍にぜひ期待したいと思います。



 これだけだと単なるアオリの文章なので、新連載第2弾、いわゆる萌え系統の漫画にも触れてみましょう。
 内容はまだ知らないので割愛しますが、こいつが来た事で起きるであろう重要な問題について…です。

 現状では想像するしかないんですが、こいつのおかげで確実に危機に晒されるポジションの漫画がありますね。

 そうです。
 この萌え漫画とモロガチで当たるこの2作。

 「To LOVEる」と「エム×ゼロ」ですが。

 すごい事になってますよ。



本気で潰しに来ました。



 何しろ、生き残りがかかってますからね。
 同時に2作も打ち切られた直後ですからね。
 来週は我が身と思えば、仕事も本気になるもんです。
 仲間意識は敵です。

 和気あいあいの職場関係など豚にでも食わせかねない本気の姿勢が伺えます。

 まずは「エム×ゼロ」。
 巷では「ぱんつの見えないいちご100%」と呼ばれています。
 この手の漫画のおそらく最大の売りであろう「露出」を、なぜか禁じ手にしている不思議な漫画なんですけど。

 打ち切り攻勢に、よほどの危機感があったのでしょう。
 このほど。
 ついに。
 実に連載29週目にして。



初ぱんつ来ました。


代理。





 コブシを解禁した坂本ジュリエッタみたいです。
 これで全国300万の無垢なる少年たちも満足でしょう。

 中身は単なる学園ドタバタコメディーなんですけど、ぱんつが見えりゃ何でもいいんですよ。こういう漫画の場合。



 一方『To LOVEる』なんですが。
 ぱんつが見えるというだけで人気の漫画です。

 なにせ、作画があの人です。
 30年近く前に吾妻ひでおや村生ミオが、20年以上前に三浦みつるや柳沢きみおが、そして10年以上前にあだち充や原秀則がやっていた事を寸分違わず正確にトレースしている漫画です。

 それだけにスタンダード。
 基本はやっぱり強いんです(←今回は褒めときます)。

 これで選択肢さえ30人くらいに増えたら、マガジンにおける赤松の地位が狙えるかも知れません。
 中身は単なる学園ドタバタコメディーなんですけど、ぱんつが見えりゃ何でもいいんですよ。こういう漫画の場合。

 今回のこの作品ですが。
 今まで海外ポルノみたいに大っぴらに見せる一方だった展開でしたが、なんと初の「恥じらい」を装備してきました。

 ぱんつは素晴らしい外装ですが、それを走らせるエンジンも重要です。
 ヨーロピアン・ボディにアメリカンV8エンジンを積み込んだ作品、いわゆる「デトマソ・パンテーラ」(←字ヅラもピッタリ)だったこの作品。

 恥じらいによって別次元の加速となるか。

 一発ネタっぽかったのが気にかかる所ではありますね。
 世の少年たちも涙がチチョリーナ。
 私にとってはどーでもいい話ですが。

 というわけで。



本気で潰しに来てますよね。これ。



 こういった現象は、実は前からありました。
 覚えておいででしょうか。
 テニプリの読者とは思想的にまったく相容れない、アンケート葉書の青い大票田を担う層。
 彼らの一番好きな漫画とは。

 そうです。
 もちろん「いちご100%」ですね。

 新連載潰しの法則というのがありまして。
 あの漫画は、アンケートでのポイント稼ぎのため、新連載とカチ合う時には必ずあるキャラが登場していました。

 ジョシュ・バーネット大喜び。

 覚えてます?



 「新人潰しの西野」と異名を取ったあのキャラを。



 計算ずくで出してたんでしょうかね。
 だとしたら、怖ろしく黒いですね。

 個人的には別にジャンプでぱんつ見んでもええわなぁとも思うのですが、危機感によってより良い雑誌になってくれりゃいいです。
 つの丸や尾玉なみえじゃ売れないんでしょうかね。



 …以上、どれが生き残るんだろうなぁ〜と考えつつ、会社で打ち込んだ文章でした。
 また機会があれば。



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