『ザ・ヒル』



 こんばんは。
 毎度毎度うんこ映画を観続けてバターになりそうな豪腕はりーです。
 そろそろ嫁も何も言わなくなりました。

 最近うちのレビューも長文化が激しくなりまして、書くのがついつい面白くなってオチまですっかり書いてしまうのが定番となりつつあります。
 これじゃいけませんね。
 何より、これからうんこ映画を観ようというチャレンジャーたちの夢を奪ってしまうので(いねぇよ)。

 そういうわけで今回より、オチについては含みを残したままうんこの幻想だけを肥大させるという手法で行きたいと思います。

 「うんこを肥大」とか、私は気が狂ってるんですかね。
 どーでもいいですが。



 では今回の作品、『ザ・ヒル』をご紹介しましょう。
 なかなかカッコいいタイトルです。
 変にひねるより、こうしたストレートなタイトルの方がすっきりしていて良いですね。
 まあこれだけだと何の映画か分からないし、ジェニファー・ロペス狙いのスケベが勘違いして借りちゃうなんて事故も起こるかもしれません(こっちね)。

 しかし皆さん。
 そうではありません。
 そうでは無いのですよ。

 言葉の響きだけならサイレントヒルの兄弟かなどと思ってしまっても仕方の無いこのタイトル。
 果てしなく詐欺くさい匂いがします。
 うちのレビューを見てくださっている良い子の皆さんならもうお気付きでしょうが、この作品はロペスともコナミとも関係ありません。
 デイモン・ヒルもナポレオン・ヒルも関係ありません。
 要するに人名ではない。

 ヒルという英語をよ〜く考えてください。
 以下のような意味があるそうです。




hill
【名】

◆日本では「山」と呼ぶようなものもイングランドでは一般にhillと呼ぶ。
〈米俗〉《野球》ピッチャーズ・マウンド
1、hi'l、ヒル、《複》hills

Hill
【人名】
ヒル
◆ファミリーネーム
◆【語源】「丘」の意。Hillsという姓もあり、「丘の」「Hillの息子」などの意。
◆【例】George Roy Hill(映画監督)

HIL
【略】
=hole-injection layer
正孔注入層{せいこう ちゅうにゅう そう}




 最後の奴とか怪しそう。

 セイコー・チューニューソーですからね。
 テキサス・チェーンソーに似てますね。
 まず間違いなくレザーフェイスとは関係無いと思うんですが、その手の殺人鬼が出て来ないとも限りません。

 しかし最右翼はやっぱり一番最初の「丘」という解釈でしょう。
 おそらく映画の舞台となる場所を表しており、そこで何らかの事件が起きる。あるいは過去の因縁の土地である。
 ・・・こうした展開が考えられるでしょう。



そう思ってた時期が私にもありました。



 実はこれ、例によってうちの嫁が借りてきたDVDなのでパッケージが無いんですよ。
 だから中身は想像するしかないのです。
 本体にでかでかと書かれたカタカナの『ザ・ヒル』という文字は、この作品が丘陵に深く関係している事を物語っています。

 思えばこの時。

 英語の原題さえしっかり読んでおけば。

 そういうわけで。
 私のような犠牲者をこれ以上出さないため、まず最初にお伝えしましょう。





正体はこれです。












ザ・蛭。







まさか日本語とは。





 この発想の柔軟さは何でしょう。
 ザ・ウルトラマンに通じるものがあります。
 もしこれが座頭一とか座敷童とか財津一郎とかザクレロだったら言いにくい事この上なし、元広島の古葉監督が一瞬にして落語家に。

 THE・ひる。

 かつて、これほど間抜けなタイトルが存在したでしょうか。否。
 魂が抜けないように鼻をつまんで観る事をお薦めいたします。



 この作品の素晴らしさを伝える前に、まずは定番の「あらすじ」からご紹介いたしましょう。



レイククレスト大学の水泳選手が練習中に謎の死を遂げる。

引き上げられた水死体を見て、クラブの仲間は驚く。

全身の血が一滴残らず吸い取られたようにミイラ化していたからだ。

原因がまったく解明されない中、第二第三の犠牲者が出て、
大学は混乱する。



やがて、

突然変異によって巨大化した凶暴な吸血ヒルの群れ

が出現。

人間に襲いかかり、大学と街をパニックに陥れた…。





(以下はネットで拾ったアオリです)


 巨大化した吸血ヒルの大軍が人間を襲う不気味なモンスター・パニック・ホラー。
 画面狭しと蠢く巨大ヒルのリアルな造形と描写は圧巻だ。
 1954年製作、チャールトン・ヘストン主演の名作パニック・スペクタクル『黒い絨氈』(人食い蟻の大軍が登場!)以降、動物や昆虫の群れが人間を襲うモンスターパニックは定番になっているが、CGとVFXの進歩でますますクリーチャーデザインがリアルになっている。







どのツラ下げて。





 あのですね。
 リアルって2回言ったね?
 それがすでにリアルじゃないというこの矛盾。
 しかも名作『黒い絨氈』まで引き合いに出すとは何様でしょうか。殿様でしょうか。
 大体、『黒い絨氈』のアリは全部実写です。


実写よりリアルってお前。



 ここまで大仰に見栄を切ったんなら、そのリアルとやらを十二分に堪能しようではありませんか。
 そういうわけで入れてみましたよざ・ひる。
 1つのヒルだとあ・ひるでしょうかね。
 どうでもいいですねそんな事。

 何やら画面上、やたらスローな撮影でプールが映ってます。
 そして波しぶきを上げて泳ぐ一人のスイマー。
 色合いは大変美しいんですけど、残念ながら男です。
 不肖わたくし豪腕はりー、汚い男の裸など枯葉の下のダンゴムシくらいに興味がありません。
 もちろん綺麗な男の肌も同様です。
 せっかくのB級うんこホラーなんですから、ここで一発バカ巨乳でも出して点数稼げばいいのに。
 強く思った次第です。
 出したら出したでやっぱり文句を言うんですけど。

 ぜんぜん関係ありませんが、スイマーって睡魔に似てますね。
 それだけです。

 スイマーと闘うとかスイマーに襲われるとか言いますね。

 何十人もの北島康介が平泳ぎで襲ってきたら怖いですね。
 この映画よりそっちの方が怖そうですね。
 たぶん陸に上がっても無駄でしょう。その辺、北島とフライングキラーは同じ生物かもしれません。







スピード社の技術は世界一ィィィイイイッッ!!!





 いつになったら映画の話になるのでしょう。

 すみません。美女のシャワーシーンに慣れすぎた弊害です。
 恐怖はまだ入り口にすぎません。
 この映画の恐ろしい所は、実はこの冒頭部分ですでに明らかだったのです。

 作品のタイトルこそザ・ヒルですが、この映画の真の主役はこれです。





男の裸。






荒れ狂う男の裸。

乱れ飛ぶ男の裸。

沸き返る男の裸。

咽び泣く男の裸。

狂い咲く男の裸。

濡れ光る男の裸。

死に急ぐ男の裸。

宙に舞う男の裸。

水に浮く男の裸。



男だらけの
水泳大会です。


ポロリしそうで怖いです。








(参考:少年おすもう大会)





 ケツの割れ目までくっきりピッチリです。
 無敵のケツ人です。
 そういうのが好きな方には朗報です。
 何しろ登場人物の学生野郎どもが本当に無意味なくらい脱いで脱いで脱いで脱ぎまくります。
 小島よしおファンにも自信を持ってお薦めできます。

 ストーリーも何やら大変なフレーバーを放っていますよ。
 大学の水泳クラブの内情を扱ってるんですが、ステロイド剤の使用をめぐるダークな部分が見えてきます。
 ※参考 「アナボリック・ステロイド」
 ズルしてでも記録を出したい裸の男、そして正義を貫こうとする裸の男。
 不良の裸の男が気の弱い裸の男を悪の道に引き込もうとし、それを止める正義の裸の男。



裸の男が「俺のを飲めよ」と裸の男に迫ります。





川の水が白く濁りそうです。







赤いけど。





 ホモに目覚めたいならこの1本。
 アメリカ映画らしく、カラッと明るいヌードのオンパレードです(男の)。
 どういう層を狙ったとかいう問題ではなく、たぶん監督がナチュラルにゲイじゃねぇかと思ってしまいました。

 ヒルはどうしたんだ。
 どうでもいいや(笑)。



 ちなみにステロイドってのは筋肉増強の定番で、私の愛するプロレス界ではスーパースター・ビリー・グラハムの昔から暗躍していました。
 あっちでは普通にオリバみたいなレスラーがいます。
 ザ・グレート・ムタがハゲちゃったのは、毒霧とこれが原因だと思います。

 思えば、ホーガンもサベージもみんなハゲでした。



つまりステロイドはハゲの薬です。






本当です。






100%ハゲれます。






副作用で、筋肉が付いてしまう危険があります。





こんな感じで。





 この映画に出てくる裸のケツ人たちは、つまり服はおろか髪の毛までヌードになる過程にあります。
 果てしなく濃ゆい作品です。
 しかしアメリカ気質の爽やかさと綺麗な映像が相まって、うんこらしくない不届きな空気があるのです。

 ・・・認めません(笑)。
 この豪腕、伊達に100本以上のうんこ映画を観てるわけじゃ無いのです。
 裸のケツ人に負けてたまるか。
 うんこの証拠を掴んでやろうじゃないですか。

 「うんこを掴む」とか、私はキチガイですかね。
 どーでもいいですが。

 さあ、間違った方向に燃えてきました。
 相変わらず画面の中では上半身ヌードの水泳シーン(裸の男)なんですけど、ここでそろそろ行きましょう。
 この映画はホラーです。エイズに対する啓蒙映画ではありません。
 だから当然この裸の男は襲われます。
 襲って来るのは当然裸の男ではありません。




・・・はい出ました。







「画面狭しと蠢く巨大ヒル」











こんなの。








明らかに鍋つかみ。







「リアルな造形と描写」






「リアルな造形と」






「リアルな」








ザ・うし。





 東京コミックショーでした。

 日用品を上手に使って素晴らしい効果を上げています。
 これほど大胆に予想を下回ったのは初めてです。

 かつて『スター・ウォーズ』では、小惑星の群れの中に1個だけ「ジャガイモ」を混ぜて撮影したそうです。
 ハリウッドの素敵な遊び心ですね。
 今から30年も前の映画ですけど、私は未だにどれがジャガイモだったのか分かりません。

 かたや『ザ・ヒル』。

 出た瞬間に丸分かりの親切設計でした。

 人間の血を吸う上、なべも掴める便利なモンスターです。

 映画界にとってこの30年は一体何だったんでしょう。
 失われた時の重みでギックリ腰になりそうです。
 「夜空を見るたび奴の事を思い出せ」。
 名作『マッドマックス』のセリフです。

 我々は今後「鍋つかみ」を見るたび奴の事を思い出さねばならないのです。



 この脅威の生命体が、一体どんな悲劇を巻き起こすか。
 恐ろしいホラーです。




迫り来る鍋つかみ。







明らかに中身は人間の手である鍋つかみが。






裸の男のケツや股間を
ナデナデするのです。












もうやだこの映画。





 ホラーの名を借りたゲイ向け映画です。
 腐ってる女性にもお薦めします。
 なまじBGMに派手なギターとか本当に辛い。
 『バイオハザード』みたいな効果を狙って見事に外している所が非常にイラッとします。
 まあ巨大ヒルっつーても大きさは鍋つかみですから、単体では大した脅威ではありません。

 ・・・甘かった。
 なぜか被害者が逃げないんです。
 いや逃げようとしているフシはあるんですけど、鍋つかみでちょこっと掴まれたらもう悶えまくって愚息も昇天。



 鍋つかみのテクは凄いようです。



 まるでクリムゾンです。




 もうやだこの映画。





 水泳部のケツ人たちに合掌。

 単体でこれですから、軍団になるともう最悪です。
 特撮の技術も素晴らしい。
 一見ゴムでできたおもちゃのように見えますが、よ〜く見ればゴムでできたおもちゃです。
 引っ張ってる糸も見えます(本当)。
 思わずこれを思い出しました。








これのCMの方がまだクオリティは上でした。





 あらゆる場面が我々の常識を下回っております。
 もっとも素晴らしいのは男の裸です。
 30数年生きててこんな映画にブチ当たってしまうとは、おのれの不幸を呪いたくもなりましょう。

 しかもね。
 ヒルが巨大化した理由ってのがキュートですよ。
 ステロイドですって。

 我が目を疑った方も多いと思われますが、マジにドーピングです。


 長い長いドーピングの歴史で、体そのものが巨大化した選手は存在しません。


 こんなんで巨大化したらジャック・ハンマーの身長はビグザムを越えるはずです。


 大体、ステロイドってのは男性ホルモン類似物質ですよ。


 雌雄同体のヒルに何の効果が。


 うんこ映画に科学考証なし。
 分かっていただけに衝撃です。
 塩素をかぶれば目が治り、ステロイドを食えば巨大化するのがB級うんこの世界観。

 そして脱ぐのは男ばっかり。

 この映画の主役はセクシーなケツのようです。男の。
 みんなハゲてしまえばいい。



 え〜、なるべくオチや流れをボカシながら、衝撃のポイントだけ駆け足でご紹介しました。
 本当はこんなもんじゃありません。
 我が目を疑う愕然ポイントがあなたを待っています。
 当然それなりにグロいシーンも出てきますけど、正直私は笑っていいのか怒っていいのか分からない映画だと感じました。

 よって、この映画は以下のような方にお薦めします。



 ・休日を無駄にしても良い。

 ・金を捨てる覚悟がある。

 ・グロい映像が好き。

 ・男の裸が好き。

 ・ホモ。

 ・心のリミッターが固い。

 ・レビューに対して文句を言わない。

 ・鍋つかみが好き。




 すべて当て嵌まったあなたなら、きっと素敵な時間を過ごせるでしょう。
 レッツトライ。



いねえよ。





 うんこ映画における張り出し大関、『ザ・ヒル』。
 大体どうしてヒルなんかで勝負したんでしょう。
 かつて同種のウニョウニョ映画に『スクワーム』という、やたら大量のミミズやゴカイを注ぎ込んだ気持ちの悪い映画がありました。
 『ザ・ヒル』は、これの出来の悪いパチモンです。
 元が大した出来ではないのに更に劣化というパチっぷり。
 元は高圧電流で大発生というネタでしたけど、あれからもう30年経つのに何も学んでないのかお前は。

 生物パニック、特に数で押してくるネタはもう使い古されたのでしょうか。
 アリがあってハチがあって、クモに魚にヘビに鳥にゴカイに・・・。
 しかしわざわざヒルでなくても。
 まあ世の中探せばこんな恐ろしい作品もあるようですが、これは日本でのタイトルですからね。
 誰も手を付けようとしなかったネタで、あえて勝負した事は評価できます。
 その結果がこれだよ。
 そういう勝負が何を生み出すか、我々はすでに『ダイナソー・ファイター』で嫌と言うほど教えられているのでした。ちゃんちゃん。





<おまけの替え歌>






ヒルの街にガオーッ!



夜の水泳にガオーッ!



ダダダダダーンと鍋つかみ



バババババーンとステロイド



ビューンと死んでく
ケツ人 28人












back


HOME