『Happy Planning』
〜しあわせの総和〜









【幸せ】
(名・形動)[文]ナリ
(1)めぐりあわせがよい・こと(さま)。幸運。幸福。




 …さっき財布の中を確認したら、所持金総額812円だった豪腕はりーです。

 普段、私たちが日常でよく耳にする言葉、【幸せ】。
 心の有り様を現す言葉ですね。
 相対的な言葉ではなく、絶対的な言葉だと思うのです。

 いや、どんなにひどい状況でも。
 思っちゃった奴が勝ち。
 それが幸せです。

 ご飯を放置したら一晩で刺激的なフレーバーが部屋中を駆け巡っても、いい勉強になったと思えたら幸せなんです。



 ちょっと捨ててきます。
 私はなんて不幸なのでしょう。

 さて、今回ご紹介するゲームですが。
 『JUNO』という今は亡きメーカー(こんなんばっかだな)が2004年に発売した、『Happy Planning』です。

 サブタイトルは〜しあわせの総和〜。

 「この世界における幸せの量は常に一定である」

 …そういう電波娘のお話です。

 トンデモです。

 この娘、メインヒロインなんですが。
 幼少時代からこんな不思議な思い込みを信じているため、年頃になった彼女はそりゃもう耳に聞こえるほどの電波を発信しています。



 彼女の主張はこうです。



「この世界における幸せの量は常に一定である」





「だから私が幸せになるには他人を不幸にしなければならない」







…すごいです。




 飢えた子供がバタバタ死ぬのは全部こいつのせいのような気がします。

 はっきり言えますけど、それは有り得ません。

 うちのご飯が腐ったのは断じてお前の幸せのためではない。

 単に蒸し暑かったからです。

 という事で。
 この手足の生えた迷惑を断罪するのは後回しにして、まずはゲームの概要から攻めて行きましょう。

 起動して最初に思ったのですが、かなり珍しいスタイルでして。
 縦書きなんですよね。
 ゲーム画面が本のページを模しています。

 これはなかなか面白いと思いました。
 形式がノベルタイプのADVなんで、雰囲気は出ていると思います。

 真ん中のタテ線が邪魔でしょうがないんですが。

 まあ、右クリックで全画面表示ですけどね。
 このタテ線は、無い方が良いかと。




ある方が良い例。




 序盤、王道パターンにより、主人公が舞台となる学校へ転入してくる所から始まります。
 ここでサラッと顔見せです。

 学園モノなんで、当然期待して良いでしょう。
 いやあ、思えば素晴らしい環境ですよね。

 同級生がいる。
 下級生がいる。

 先輩がいる。
 おんなきょうしがいる。

 男だらけの工業高校出身の私にとって、この環境は「一回いくら?」と聞きたい。
 男女共学というのはたぶんエロゲーのために開発された環境なんじゃないかと思います。
 真っ赤な嘘です。普通です。

 そんなこんなで、ヒロインたちのラインナップが分かりました。
 まさに王道。
 マカロニかお前はというくらいにヒネリがないです。

 いや、これでいいんです。
 これこそ安心の一揃い。
 ご紹介しましょう。

 電波は飛ばしてその親友がいます。
 罵倒系です。取り付く島もありません。

 そして定番、委員長出ました。
 正式には委員長ではないらしいんですけど、これは委員長です。
 頭の固さ、わけの分からない長広告など、委員長としての基準はまずまず満たしています。

 さらには高嶺の花の先輩ですよ。
 私にとってはお待ちかねキャラの一人なんですが、このビジュアルがすごい。

 「あらいぐまラスカル」のフィオリーナと同じくらいにものすごい不景気な顔をしています。

 そして、その胸。

 今まで数々の巨乳キャラを見てきましたが、こいつはケタが違います。

 上半身の85%くらいが乳です。








砂漠で生きて行けんじゃね?




 クラクラしながらも、目の前の圧倒的な現実を受け入れようとしてみます。
 幸せのために。

 まだ大丈夫です。これがあります。

 おんなきょうしです。

 おんなきょうしは女キョンシーなどと違って、健全で清純な僕らの下半身をイケナイ方向に持って行くためのランドマークです。

 それだけが存在理由です。

 エロゲーだったらそれでいいんです。
 そして見事に答えてくれました。

 酔った勢いで主人公にのしかかる。

 相撲取りは、相撲を取るのが仕事です。

 おんなきょうしはこれが仕事です。

 教師というのは性職であり、教えるのが仕事なんです。

 全国のおんなきょうしの皆さん。
 もっと激しく生徒と向き合いましょう。

















…しつこいよ。




 あと、なんか眼鏡イロモノの妹キャラがいたような気がしますが、別にどうでもいいので先へ。

 ストーリーの根幹に迫ってみましょう。



 主人公の名前は北原武流(きたはら・たける)。
 転入先の学園で、昔の幼なじみと再会する。

 しかし彼女は変わってしまっていた。

 数年間、行方不明となっていた彼女。
 その間に何が起きたのか。

 「愛の前にはすべてが許される」という考えに何の疑いもなく行動する彼女。
 そしてある事件が起き…。



 …こんな感じで、サイコサスペンス(つーか電波サスペンス)な展開になって行きます。

 一周3時間くらいの小粒な作品であり、一周すればおおまかな事情は分かります。
 すなわち何周もプレイするのはHシーンの補完以外の何物でもないわけで、実に正しいエロゲー本来の姿であるかも知れません。

 薄いですけどね。えっち。

 ただちょっと思ったんですけど、この作品、意外な所でけっこう頑張っているんですよ。
 サブキャラの造形なんですけど。

 普通にちゃんと作ってます(妹以外)。

 もちろんゲームなんでデフォルメはあるんですが、その辺の牛丼みたいなエロゲーによくあるあからさまにあざとい人気取りのキャラではないんです(妹以外)。

 まず、各々の立ち位置がしっかり描けています。

 いや別に巨乳補完とかツンデレ補完とかのエロゲー的立ち位置ではなく(そっちもありますけど)、このストーリーに対して絡んでくるのがごく自然の立ち位置なのです。

 ここは素直に評価したいですね。

 だいたいエロゲーというのはヒロインが5人も6人も出てくるのが普通なわけで、メインストーリーが1本だけならそんなに必要ないんです。
 特にこの作品は「○○ルート」などのヒロイン個人の別ルートの意味合いは薄いんです。

 ワンアイデア・ストーリーですから。

 にもかかわらず、サブヒロインたちがこの事件に対してそれぞれ重要な立ち位置を得ている。
 その上、重複していない。
 食い合っていない。


 このサイズの作品にしては、なかなかよくできていると思いました(妹以外)。

 正直な話。

 妹、ヘビ用の靴みたいなもんです。

 体長3メートルのトカゲに乗って夜中徘徊する。

 こいつのせいで、すべての雰囲気はぶち壊しでした。







食われちまえ。




 されどまあ、スタッフの方が異常にこいつを気に入っているみたいで。

 EDソングがあるのもこいつだけでした。

 うーん。きっと可愛い…のでしょうなあ。
 イチャイチャどころかイライラしながら見ていたんですが。

 言葉は似ているけど全然別ですね。

 グァテマラとフニャマラくらい別ですよ。

 他が小粒なりにも良い感じだったんで、まあ純粋に好みの問題とは思うのですが、これだけは残念でした。

 文章も、それほど上手なわけではないんですけども。

 同じ話を何度も見せられるんですけども。

 タテ線が邪魔なんですけども。

 それでも、これはそこそこ私の中で『当たり』のゲームでした。

 きちんとまとまっていて、新しい演出を試みた点を買いましょう。
 エロゲーにおいては良くある話で、エロゲーにしてはHが少ないんですけどね。



 ちなみに上記の砂漠でも生きていける巨乳なんですが。

 どうやら、自分の外見にコンプレックスがある様子です。

 当たり前です。

 たぶん日野レンジャーとかいすずエルフでないと、運転すらままなりません。

 …などと納得していたら。

 どうやら、事情が違うらしいです。

 「回り皆が自分の事を美人だと言ってくれるのに、自分ではそう思えない」

 こういう事らしいです。







どこ見てるんだよ…




 巨乳、君が正しい。






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