テーブルトーク用シナリオ「エクソダス」




◆世界観…ファンタジーであること
◆プレイ人数…ゲームマスター(以下GM)含め4〜6名が適当かと思われる
◆プレイ時間…おおむね3〜5時間程度


 ストーリーとしては、まんま「マッドマックス2」です(笑)。別にネタバレしても構いません。楽しくプレイしましょう。

ACT・1「蛮族襲来」
 プレイヤーキャラクター(以下PC)たちは、荒野を旅する途中で蛮族に襲われます。蛮族はPC+2の人数で、全員馬に乗っています。
 戦闘中、あるいは戦闘後、野生の馬の群れが見えます。どうやら、見事な毛並みの白馬が群れを統率しているようです。
 最低2人の蛮族を倒せば、蛮族は退散します。

 GM用情報…この蛮族の中に、中ボスがいます。中ボスは後程登場するので、死なせないようにうまく立ち回りましょう。ある程度の個性を強調するのがいいでしょう。
 馬の群れは、ちょっかいを出そうとしても逃げてしまいます。白馬はやはり後半になって再登場します。


ACT・2「閉じ込められた村」
 荒野を旅するPCたちは、丘の向こうにある村を発見します。バリケードで囲まれ、周囲には蛮族どもが無数にいます。
 どうやら、村と蛮族との間で、いざこざがあるようです。
 蛮族どもの中には、先ほどPCたちを襲った中ボスの姿も見えます。
 PCの視力が優れている場合、もしくは魔法などにより、村で精製している物品が予想できます。それは魔法の石とかの類のもの(いわゆる貴重品)で、蛮族どもはどうやらそれを狙っているようです。
 時間は夜です。GMは、ここで野営を指示しましょう。

ACT・3「逃避行」
 夜明けと共に、村に異変が起こります。バリケードが開き、早馬に乗った数名の村の若者が脱出します。
 蛮族の大部分がそれを追います。今なら、村に何とか進入できるでしょう。

 GM用情報…何が何でも進入させてください。小規模の戦闘は有り得ますが、チャンスは今だけです。貴重な物品が手に入ることなど、それとなく示唆してみましょう。

 村では手厚い歓迎を受けます。
 村長の話では、村人が脱出するには、馬がまったく足りないのだそうです。幼い子供や老人もいます。徒歩では、すぐに蛮族の餌食になってしまうでしょう。
 ここで、PCは例の白馬が率いる馬の群れを思い出すでしょう。その話をすると、村長はPCに仕事の依頼をします。
 内容は、「馬の群れを連れて村に帰る。その後、村人の脱出の手助けをする」です。報酬は、ここで精製している貴重な物品です。

 GM用情報…ぜひ受けさせましょう。PCは正義の味方であり、この村の希望なのです。
 この話をしている時に、物陰からのぞく目があります。PCがそれに気づいたら、「小さな女の子が去って行く」としてください。この少女はある秘密を握っています。


 午後になって、蛮族の首領が戻って来ます。明け方に逃避行を試みた若者たちが、縄につながれています。
 縄を持つのは、あの中ボスです。
 首領は村に向かって叫びます。彼らの命と引き替えに、村の解放を迫るのです。返答は3日後まで。一日遅れる毎に一人、若者の首をはねると言ってきます。
 仕事を決行するなら、今夜しかないでしょう。

ACT・4「少女の話」
 夜が更け、村人たちが眠る頃、例の少女がPCたちに話をしに来ます。
 それは馬の群れを統率している、あの白馬のことです。
 白馬はかつて、この付近を治める王の乗馬でした。国が崩壊し、蛮族たちがはびこる頃、柵を越えて逃げ出したのです。
 少女の祖父は馬屋の番人でした(今はもう蛮族の手にかかって死亡しています)。話が終わると、少女はPCに変わった形の笛を渡します。
 この笛は祖父の形見で、馬を集めるのに使用するそうです。その音は、人間の耳には聞こえません。
 最後に少女は言います。「あの悪い奴らをやっつけて。おじいちゃんの仇を討って」

 GM用情報…この白馬は、角を失ったユニコーンです。国が崩壊してからのタイムスパンにより、PCもその事実に気づくかも知れません。適当に匂わせる程度でいいでしょう。
 使用するシステムによっては、治癒系の魔法が使えたり、魔力の消費を肩代わりさせてもいいと思われます。


ACT・5「決行」
 小さな抜け穴から村を出られます。馬はもちろん通れません。気づかれぬように、そっと行動しましょう。

 GM用情報…もちろんチェックします。失敗したら、あの笛が役に立つでしょう。
 ここは、なるべく穏便に進めてください。もし大規模な戦闘になれば、PCたちは絶対に勝てません。人質も殺されます。
 馬の群れを探すには、蛮族たちから十分に離れる必要があります。だいたい昼前に群れは見つかります。


 PCが笛を吹くと、白馬を含めた馬たちが集まって来ます。白馬は笛を確かめ、頷いてしゃがみます。

 GM用情報…さあ、戦闘です。村では村長が騒ぎを起こし、蛮族どもの注意を引き付ける手筈になっています(引き渡しの条件について議論したり、村の動物のお尻を蹴って放ったり、適当に考えましょう)。

ACT・6「激戦の荒野」
 今にも若者の首がはねられようとしています。PCは間一髪で間に合います。白馬を先頭に、村に突入しましょう。
 二手、三手に分かれて、蛮族の戦力を分断するのがいいでしょう。
 村では、すでに脱出の準備が整っています。要塞のような巨大な馬車が馬の到着を待っています。これに馬をつないだら、正面から強行突破しましょう。

 GM用情報…この要塞馬車の屋根に、中ボスが取り付きます。肉弾戦でかっこよく倒しましょう。
 村長は逃げません。何本もの矢が体を貫いても、不敵に笑います。要塞馬車が出て行くのを見送ったあと、炎に関する呪文を唱えます。
 すると、蛮族どもを巻き添えに、村が盛大に爆発します。
 人質のうち一人は、助けることができません。勇敢に戦う村の女性が、それを見て悲鳴を上げます。彼女の夫なのです。
 戦闘の後半、彼女はPCの盾になります。生まれてくる子供に作ったおもちゃをPCの手に託し、笑って親指を突き立てて死にます。


ACT・7「大脱出」
 多くの犠牲を払ったエクソダスも、いよいよ大詰めです。PCが笛を取り落としたり、悪の首領が自分の馬に加速系の呪文をかけたり、いろいろと演出してください。
 要塞馬車は脱輪し、派手に横転します。PCや村人は投げ出され、荷物も散らばります。
 その中に、ユニコーンの角があります。また、古代の魔法の剣などが転がり出るのもいいでしょう。活用してください。
 また、勝利を目前にしたところで、逆に悪の首領がそれらのアイテムで復活するのもアリですね。
 この詰めのところだけは、多くを語りません。みなさんでぜひ自分なりの結末を見つけてください。
 すべての冒険者たちに栄光と勝利を祈りつつ、結びとさせていただきます。ありがとうございました。




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