『ELYSION』〜永遠のサンクチュアリ〜

(その2)









 さて、前回は何だか良く分からない枕と、主にメイドさんに対する無駄に熱い語らいで終了しました。

 レビューにあるまじき遠回りですが、どうかご容赦願いたく存じます。

 今回も飛ばします。
 皆さん、「ブレインデッド」というB級スプラッタ・ホラー映画をご存知でしょうか?

 こんばんは。
 私もあのイラストに騙された豪腕はりーです。

 いやあ騙されて良かった。
 この映画、カルト的な人気を博した作品でありまして。

 監督さんはピーター・ジャクソン。

 「ロード・オブ・ザ・リング」の監督さんです。

 別に驚く事じゃありません。
 あのジェイムズ・キャメロンだって、「殺人魚フライングキラー」とか撮ってますから。

 さてこの「ブレインデッド」。
 初公開時には、もう見ただけで情欲の炎が燃え上がる魅惑的な看護婦さんがパンフに描かれてまして。

 小さいけど、分かります?

 こんなんです。










 「この姉さんが一体どんな目に遭うんだろう」と、わくわくしながら観たわけですが。

 最後まで出ませんでした。

 単なる寄せ餌でした。

 私はこの時、世の中の世知辛さを知ると共に、期待は必ず裏切られるものだという貴重な教訓を学んだのです。
 内容はムチャクチャ面白かったんですけど。

 という事で『ELYSION』のお話です。

 「もう騙されないぞ」と思いながらも、シルヴィアーナさんには爆死寸前でありました。







 女教師女医さん人妻もそれぞれ素晴らしい。

 しかし、ここにぜひ加えたい。

 それは秘書です。

 日々進化を遂げる姉の系譜において、地味ながら重要なポジションを占めている秘書さん。

 キーポイントはインテリジェンスです。
 自動ドアみたいに簡単に股を開く凡百のエロゲーキャラとは、常に一線を画していただきたい。

 例えば、エロゲーにおける人妻というのは、人間の生きる糧として酸素よりセックスが上位に来る種族なんですけど。

 秘書さんは違います。

 そこにそびえるのは高く険しい山です。

 数々の苦闘の末に登りつめた山の向こうに見えるのは、さらに高い山であるべきなのです。

 人間は次の山を求める。

 好きとか嫌いとかの問題ではありません。



 これは正義です。



 いや、人妻も大好きなんですけどね。







付き合ってらんねーよ…。





 歴史上、この『ELYSION』を取り上げたすべてのレビューの中で、うちがもっとも回りくどい事は承知で続けます。

 ともかく、シルヴィアーナさんという天空に届く山に辿り着くためには、それまでのすべてのエンディングを見ておく必要があるわけです。

 すごい大変そうでしょ?

 だってこのゲーム、エンディングが21個もあるんですよ。

 その上操作性が悪いです。

 システム自体も地味に古臭さが漂っています。
 選択肢前の任意セーブができなかったり、実際に邸内を歩いてエンカウントする必要があったり、それをマウスでやるとなると猿でなくてもウンコを投げたくなります。

 もちろんキーボードでプレイした方がなんぼかマシですけど、それでも悪い物は悪いです。

 「操作性わりーよチクショウお前はゼノギアスか」などと言いたくもなります。

 しかし。
 ご安心ください。

 エンディングまでやらざるを得ないはずです。

 メインに登場する4人のメイドさん。
 彼女たちを攻略したくらいでは、この物語は真の顔を見せないのです。

 『ELYSION』というゲームを語るには、そこから先が極めて重要になります。

 誤解を恐れずに言ってしまうと、4人のメイドさんパートはゲームの前半戦です。
 それ自体、異様な完成度を誇る素晴らしいシナリオなのですが、ここで満足してはいけません。

 「俺とディアナの逃避行を邪魔すんじゃねーよお前はマリオクラッシュか」と投げ出す前に、どうか腰を据えてじっくりプレイしてみてください。

 それでは、ストーリーをご紹介しましょう。



今ごろかい!!




すんません!!




 ええと、主人公の名前は葛城遼一。
 拙作■外道狩り■の主役と同じ「カツラギ」ですけど、同じくらい自堕落です。
 軽口を叩く所まで一緒。
 こいつの方がはるかに洗練されてますけど。

 しかし、自堕落なのはちゃんとした理由があるわけで。
 恐ろしく巧みな伏線と共にいずれ語られます。

 さて。
 親父さんと同じ医学の道に歩んだ主人公でしたが、1本道のレール人生に嫌気が差して、一人ドイツでインターン生活をしています。

 そんな時に、悪友からの突然の誘惑が。

 地中海のある島で、破格の報酬付きの住み込み医師をやらないか、というものでした。

 あからさまに罠です。

 そこはまるで別世界。
 豪華絢爛たる豪邸、中世のような生活様式です。

 しかも屋敷には宝石のように美しいメイドさんがズラリ勢ぞろい。

 あからさまに罠です。



 しかしエサは美味しそうだ!



 これに釣られない男がいたら、ホモ1級に認定します。

 さらにですよ。

 1週間まったりと過ごした後で。

 なんと専属のメイドさんを選ぶ権利が与えられるという。








罠だ…。




 ええ、罠です。

 屋敷の主人は車椅子のマフィア。
 その真の目的とは?

 主人にかしずく美しいメイドさんたち。
 彼女たちがここにいる理由は?

 謎の秘書、占星術師のシルヴィアーナ。
 彼女に隠された謎とは?

 邸内のそこかしこで顔を出すファミリーの構成員たち。
 彼らは何が目的なのか?

 そして、神秘的なこの島。
 立ち入りできぬ場所、見捨てられた町。
 そこで一体何が起きるのか?

 さらには主人公自身の謎があります。
 あの皆既日蝕の日に、彼の身に何が起こったのか?

 凄まじい展開があなたを待っています。

 という事で。
 長きに渡ってお送りしたこの『ELYSION』レビュー。

 まだまだ続きます。

 もうしばらくお付き合いのほどを。






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