『ザ・キャット』





…違います。








 何これ。



 腰が抜けた方も多いと思います。
 あんまりと言えばアンマリなこの映像。

 私なんか中古屋で射精するかと思いました。
 だって猫が車くわえてるんですよ。
 おいたのレベルを超えています。



 見た瞬間に買いでしょう。



 私が買わねば永遠に人の目に触れる事は無かったはずです。
 その方が幸せだったかもしれませんが、遺跡というのは発掘されるからこそ歴史を知る事が出来るのです。
 こんなんでも。

 世界中の猫好きたちの脳天に突き刺さる衝撃映像です。

 これが猫なら私はトムクルーズかもしれない。

 こんなもんがスリ寄ってきたら、反動で全弾撃ち尽くしてると思います。
 ぜひサンリオに商品化していただきたいですね。



 実はね。
 知人にも見せたんですよ。
 このパッケージ。

 のけぞってましたね。

 第一声がこれ。






 「うんこの臭いがプンプンするなぁ」




異臭というレベルでは無い。





 これだけ巨大だと日常からもう大変でしょう。
 ただでさえうんこの臭いで死にそうな所に持ってきて、縄張りなんか主張されたら生まれた事を後悔しそうですね。
 猫の小便って臭いんだよね。
 鼻にツンと来るどころの騒ぎではありません。

 餌だって大変ですよ。
 大量のネズミを一度に食ってエラで濾し取りそうな感じがします。

 というかね。



 こんなブサイクな猫見た事ねぇよ。



 もしこれがでっかいチャトランか何かだったら、軍部もさぞかし攻撃をためらった事でしょう。
 だけど安心。


 率先してミサイルとかバンバン撃っちゃうね私なら。



 いたずら猫には厳しいしつけが必要です。
 早く安楽死させないとこっちがやられます。

 そんなわけで今回のこの映画。
 凄いのはパッケージだけじゃないんです。
 例えるなら、そうですね。
 やたら凄い売り文句の防音シートを買ってみたら単なるプチプチだったみたいな。

 一気にブチブチ絞りたい気分になりますね。

 このやり場の無い怒りをレビューにぶつける前に、人としてせめてあらすじを紹介して死にたいと思います。





ある金曜の夜、法学生マリアが暮らすマンションで、
悪魔を呼び覚ます交霊会が執り行われた。

そこに一匹の猫がまぎれていた

とも知らず…。


その日からマリアの周辺で次々と惨殺事件が発生する。
被害者は首を引きちぎられ、肉片が飛び散り、
無残な醜態をさらしていた。
だが、なぜか時を同じくしてマリアの体に、
原因不明な激痛と、残虐な映像が襲うという、
謎の異変が起きていた。

徐々にノイローゼに陥るマリア。
そんな彼女に疑惑を抱いた人間がいた。
連続殺人事件を担当するハルド刑事は、
マリアが事件の鍵を握る重要な人物と嗅ぎつけていたのだ。
マリアは事件の真相を求め、交霊会に参加した老婆をつきとめる。

だが、恐怖に怯える老婆が告げたのは。

“悪魔のしもべの仕業だ”

ということだった…。








この企画が通る時点でおかしい。




 豪腕レビュー初の「デンマーク映画」です。
 デンマークの人は一体何を考えているのでしょうか。

 バイキングとしての誇りはどこへ行ったのでしょうか。

 古代の海を荒らし回ったデンマーク人たちは今、我々のまともな神経を荒らしに再びやって来ました。
 猫っぽい何かと共に。
 ハルバル父さんも泣いています。

 どうでもいいんですけど、皆さん。
 デンマークの何を知ってます?
 この国って知名度は高そうなんですけど、その実情はわりと知られていないような感があるんですよ。私。
 だからちょこっと調べてみました。







■デンマークの歴史■


         ・カヌート大王、北海帝国を築く。
         ・中世、カルマル同盟を築く。
         ・ドイツ三十年戦争、敗北。
         ・スウェーデンとの戦争、敗北。
         ・大北方戦争、敗北。
         ・プロイセン王国との戦争、敗北。
         ・ナポレオン戦争、敗北。
         ・第一次大戦、一応中立。
         ・第二次大戦、ナチスが占領。

         ・2001年、ザ・キャット。








涙が止まりません。





 デンマークの方々には失礼ですが、私は日本に生まれて本当に良かったと思いました。

 何しろこれだけボコボコにやられてるのに最後は猫にフルボッコですよ。

 泣きっ面に猫。
 もう手遅れでした。

 そんなアンデルセンとロイヤルコペンハーゲンの国、デンマーク。
 私はこの国の映画を観るのは今回が初めてですが、最初にこれというのが何か間違っています。



 初体験なのにウンコ食わされた気分ですね。




 それではDVDを挿入してみましょう。
 ・・・・・。











ちょっと見にくいんですが。

てか醜いんですが。

こんな顔のヒロイン。











菅原洋一!?





 こんなとこで何やってんすか菅原さん。

 しばらく紅白に出てないと思ったら、まさかデンマークでB級ホラーに出ていたとは。
 糸ヘンに半分と書いて「絆」と読みます(菅原洋一『絆』より)。

 いや、出だしから大変厳しい障害物が現れました。
 女性と呼ぶにはあまりにもぺヤングなその顔面。
 監督さんはどういう基準で女優を選んだのでしょうか。

 生まれた頃から四角い箱を被せて育てられたかのようなこの女優、まるでスケバン刑事II・少女鉄仮面伝説 もビックリの顔面凶器があなたの理性を襲います。

 ・・・あれ?



 よく見たらこれヒロインじゃねぇや。



 すんません、ヒロインちゃんと別にいました。
 こいつは単なるルームメイトでした。
 紛らわしいので菅原と呼びます。

 しかし正規ヒロインも我が国なら確実にデブとして処理されるでしょう。
 まるで女子プロレスラーのタッグチーム、ビューティーペアやクラッシュギャルズを彷彿とさせる堂々たる体躯です。

 こいつらがプリキュアのコスプレをしたら日本の文化も終わりです。

 まさに豪腕。

 その昔、ビューティーペアが日本中でフィーバー(死語)していた時代に「どこがビューティーだ」と投書してきた人がいますが、こいつらも負けず劣らず凄いです。

 顔のブツブツが丸分かりです。
 何しろ構図がドアップばっかりなので、見たくもないゴツい肌の毛穴の奥まで見えちゃいます。
 まさしく不毛の地。






さすがバイキング娘です。


火星を探索したバイキング1号もこんな感じだったでしょう。




こいつは今後ビッケと呼びます。




 デンマークって素晴らしい国ですね。
 どんなブサイクでも生きていける国なんじゃないかと思います。
 ただし慌ててパスポートを取るのはやめましょう。
 出てくる女性は全員こんなんばっかです。



 軽く失神しかけた所でストーリーを追いましょう。
 ぶっちゃけ簡単です。

 イカレポンチ(死語)のジジババ共が交霊会みたいな事をやっていたら、なぜか猫に霊が取り憑いてさあ大変という感じですね。
 生まれた事を後悔するのはこれで何度目でしょうか。
 これがデンマークに住む普段の老人の姿だったら、国民の税金をつぎ込んででも姥捨て山を作るべきです。



 しかし何と申しましょうか。
 化学兵器とか細菌とかを想像してたら、言うに事欠いてですか。

 現代ですよ?
 霊の力で街なんか破壊されたら科学はどうすりゃいいんでしょう。
 この国は敗戦から何も学んでいないのでしょうか。

 こんなんで巨大化するなら恐山ではイタコの被害が甚大です。



「…よぉぐ来たなぁ妙子ォ。おっ母のごど助けて…




デッビ〜ルッ!!!」






イタコアローは超音波。





 まあ何ですか。
 演出から脚本から、また出演者の質の点でも大変立派なB級ホラーです。

 そこに北欧の覇者としての威厳はありません。

 何しろ登場シーンの半分以上はドアップですから、観ているこっちもため息をつきたくなるんですよ。
 美女ならともかくビッケとババアと菅原です。
 原作者は漫☆画太郎かもしれません。

 またぞろ演出がね。
 例えばビッケが幻視するシーンで、食ってたサラダがいきなり猫の頭に化けるシーンがあるんですけど。



何の意味もありません。




 さらには体調を崩してザ・リアルゲロを吐いたりと、単にグロシーンの補強なんですよね。
 そんな事ばっかりやってるのに。

 いつまでたっても猫がデカくならない。

 こういう所がB級なんです。
 こういう所がうんこなんですよ。

 そして。






そこがイイんです。



言っちゃったよ・・・。




 さすがワゴンセールで500円。

 中古屋ではなんと『第三の男』の隣に並んでいました。





まさに火星人襲来。






オーソン・ウェルズに
謝れ。






 不肖わたくし豪腕はりー、今は幸せでいっぱいです。
 完ッッ全に元を取りました。
 5000円も出してどうせ1回しか観ないDVDを買うよりは、こうしてうんこをコネている方が幸せです。
 そういう観かたもあるのです。

 今回、ちょっと回り道をしていますね。
 いつもならストーリーを紹介してからうんこっぷりをコキおろすのですが、今回は先にうんこが出ちゃいました。
 お尻のガードも緩みっ放しです。
 括約筋を引き締めて、真面目に物語を追ってみる事にしましょう。



 ビッケの元に訪れた謎の老婆。
 実は上の階の老人たちに招かれた、交霊会の出席者だった。

 間違えて孫の家に来ちゃうあたり単にボケているわけですが、その不気味さにビッケも毛穴を震わせます。

 そして帰って来たルームメイト。
 ロンゲの菅原洋一だと思ってください。
 ビッケは菅原に、学業の不調や恋人への不信感をぶちまけます。

 「彼が最近冷たいの。でも信じたい」

 そこは長年付き添った友達です。
 そんなビッケに、菅原はこう言うのでした。






「あいつ他の女と
歩いてたよ」








待たんかいゴルァ!!!!





菅原、ドS説。



怪獣映画かと思ったら火サスでした。




 暑苦しい女どものドアップで胸焼けした上、油っこい女同士の掛け合いです。
 しばらく天ぷら食えません。
 そうこうしているうちに、今度は上階の交霊会です。

 猫ちゃん来ましたね。
 やっと真打ち登場ですよ。
 品種で言うとスフィンクスか何かのようですね。
 毛が短くて非常に痩せてる猫さんです。
 地味に可愛くは無いんですけど、こういうのがバイキング社会では流行っているのかもしれません。

 そして出ました化け物視点。

 モンスター物といえばコレですよ。
 今回やけにアッサリした画像ですが、変にいぢくって『ダイナソー・ファイター』になるより100倍いいです。



 部屋では3人の老人たちが手をつなぎ。
 先ほどの老婆やアインシュタイン顔の老人が、何やら不気味な呪文を唱えております。

 経典を開き。
 砂を撒き。
 妖しい首飾りを着用し。
 短剣を携え。
 無駄にニワトリの首をちょん切り。

 …その一部始終を見ていた者がいます。






こいつです。


ウソです。
猫です。




 老人たちの詠唱がクライマックスを迎える頃。
 砂の上のオブジェが勝手に動き出し、ある記号を描くのです。
 それは大いなる王…。



 意味が分かりません。



 第一、なんでババア共が交霊なんぞやってんのか、何の説明も無いんですよ。
 一応菅原の血縁者らしいんですけど、「おじいちゃんは変わり者なのよ」の一言で片付けられます。



 どんだけ変わってんだよお前の爺さん。




 私だったら医者に連れてきます。
 もしくは処分します。
 うちの爺さんも生前はボケちゃって大変でしたけど、さすがに霊を呼び出してどうこうは無かったです。

 おそらく、この時点で猫ちゃんがアレしたんでしょうね。
 ちっとも出ませんけどね。



 無情にも映画は続いてしまいます。
 上ではまさに交霊会の真っ最中、下のビッケと菅原は超常現象に悩まされるのでした。

 電話からは不気味なうめき声が聞こえて来たり。
 オーディオは壊れて同じ音を繰り返し。
 不意に電気が消えたり…。



 何の伏線でもありません。



 単なる効果です。
 今どき高校レベルの文化祭でもこの上を行きます。
 あまつさえ、明らかな悲鳴が響き渡ってもさして気にしない馬鹿女二人。






「ぐんない♪」とか言って寝てしまいます。



お前肉親だろが!!!!




 だって確実に通報レベルの騒動が聞こえるんですよ?
 受け身の練習でもしてると思ったんですか?
 肉親の悲鳴ですよ?
 なのに菅原は動かない。
 この時止めに入っていれば、きっと何人もの命が助かったでしょう。

 せちがれぇ。
 せちがれぇ都会だよデンマーク。
 糸ヘンに半分と書いて「絆」と読みます。



 菅原の風上にも置けない洋一です。



 爺さんたちの冥福を祈って続きを観ましょう。
 翌日です。
 あれだけ大騒ぎしたのにすっかり忘れている馬鹿女二人。
 ビッケはデートのようですね。

 この彼氏がまた夜中に電話しても「友達が来てる」だの何だの確実に浮気してるわけですが、ビッケはそんな彼氏を愛します。馬鹿だから。
 そうした微妙な修羅場の背後に迫る影。

 いよいよ猫が登場します…。



 ぜんっぜん姿見えないけどね。



 ちょっと皆さん、思い出してみましょうよ。
 あの素晴らしくも網膜焼けそうなパッケージを。








何度見ても凄い。




 ゴジラ相手に素手で勝てそうなその体躯は、どう見積もっても全長100メートルは越えそうです。
 怪獣界初の猫。
 しかしこのシーンでやった事は。






ワゴン車揺らしただけ。


そんなもんカーセックス
でも出来るわ。




 せいぜい熊かトラ並みだったようです。
 この表紙を描いた奴連れて来い。

 しかしまぁ、そんなもんが街に出たら人も死にますわな。
 今回の犠牲者はワゴン車の運転手と、駐車違反の切符切りのおばちゃん。
 もちろん警察も動き出しますよ。

 ビッケがトイレでザ・リアルゲロを吐いている時、目つきの鋭いその男は動き出す。
 刑事さんですね。

 言動・行動がもう病んでます。

 たまたま現場近くでビッケと目が合っただけで容疑者扱い。
 ちなみに女の細腕でこの殺戮は不可能です。
 デンマークという国に鑑識は存在しないのでしょうか。
 そしてこいつは警察学校で一体何を学んできたんでしょうか。

 その執着ぶりもキモさを通り越してもはや病気です。
 私が刑事ならこいつを逮捕します。
 ピッタリとビッケに張り付きながら、こんなセリフを言うんですよ。






「調子は? 悪そうだね」


「君の事が心配で」


「力になりたいんだ」







ストーカーの常套句
です。







キモさ爆発 カメラのさくらや。




 職権乱用とはこの事ですね。
 これじゃデンマークに行ってもおちおち道も聞けません。
 新ジャンル・ストーカー刑事です。

 今日も刑事という立場を利用して路地からビッケを真っ直ぐ見つめています。
 この国の治安が非常に危ぶまれるシーンです。

 そんなこんなで映画も中盤。
 いっこうに猫は大きくなりませんが、ビッケはビッケで彼氏のアパートに踏み込んだりそこで門前払いを食らったりと、まさに彼氏にティッシュのごとく捨てられようとしています。

 大変微妙な怪獣映画です。

 ホラーや怪獣の要素もグダグダのまま、まさか男女のグダグダを見せられるとは思いませんでした。
 そのくせビッケのノイローゼだけは流しソーメンのように加速して行きます。
 謎の幻視に加えて、今度は幻痛まで。
 向かいのアパートに住む夫婦の無残な死体のビジョン。

 その頃、猫は。

 いや当然そのビジョンは猫の体験なんですが、ではなぜ猫の体験をビッケが感じるのかは何一つ説明がありません。





それより猫が小さいです。









これくらいしか
ありません。




 しかも一瞬しか映らない。
 しかも大きさ元に戻ってる。

 そろそろ街を壊して欲しい。

 やり場の無い怒りに私のヘソも沸騰寸前です。



 ようやくビッケも我に返り、あの謎の婆さん(家を間違えたボケ)を探そうとします。
 あの日、何があったのか聞かなくてはならない。

 名前だけで簡単に家を特定します。
 ストーカー刑事よりよっぽど凄腕です。

 しかしそこには、もはや怯えたお迎え待ちの婆さんがいるだけでした。
 婆さんは言います。




「あれは、悪魔のしもべ…バルツァベル…」







悪霊の名前が出ました。

「バルツァベル」だそうです。

こいつが猫に取り憑いてるようです。







「あれをこの世に呼んでは
ならない…」








お前だろ。


お前はネジレ国会か。





 ここまで本末転倒だと田舎に帰って羊毛刈りたくなりますが、デンマーク人のセンスには完敗です。
 とりあえず婆さんは「ネジレ」と呼びます。
 呼びますが、出番はこれで終わりなので無意味でした。



 そういう事で、いい加減この話もシメてもらわないといけません。
 猫の様子がすっかり変になって(当たり前ですが)狼狽するビッケです。
 大好きな餌も食べず、奇妙な行動ばかりしてます。

 飼い主なら心配するのが当然ですが、ビッケはなぜか怖がるばかり。
 普通こういう場合は獣医さんに相談すると思います。
 しかしなんと。
 菅原に向かって吐き捨てましたよ。






「処分して」







こういう馬鹿がペットを
飼うのは間違いです。




 第一、猫に血とか付いてるんですよ。
 ぶっちゃけ人を食ったからなんですけど、それは画面を観ている我々だから知ってる事でしょう。

 まず怪我の心配をしろよ飼い主なら。

 こんなビッケは男に捨てられて当然です。
 私だったらバルト海に捨てますね真冬の。



 さっき爺さんを「処分します」とか書いた私が言うのも間違ってますけど。

 菅原の説得によって、ようやくビッケも猫を獣医に見せると約束します。
 菅原、初の得点です。
 優しそうな獣医さんも出てきまして。




 ここでもやっぱり「処分して」とかフザケた事を抜かすビッケ。





 ビッケでなくてビッチと呼びます。





 たかがB級ホラーで何故こんなに悲しい思いをしなくちゃならんのでしょう。
 確かにブサイクな猫ですけど、猫は飼い主を選べないんですよ。
 これ重要ですね。

 最初からうんこ映画を狙って選んでる私とは次元が違います。

 ここで猫が怒りの巨大化すれば面白かったんですが、かたくなに猫でした。
 私の指はもう配給会社に電凸する寸前です。

 いや、獣医もね。
 最初は優しい声でしたけど。

 安楽死用の注射をブスッと行きました。



 客が客なら医者も医者です。



 デンマークでは劇場公開されたんでしょうか。
 愛護団体にカチ込み食らったんじゃないでしょうか。
 今、普通に激情後悔とか変換しました。

 その通りです。



 …このようにして、北欧流の微妙映像は延々と続きます。
 今まで様々なうんこ映画を観てきましたが、この『ザ・キャット』はその中でも思い入れを拒絶された感たっぷりの感想となりました。
 なぜでしょう?
 そんなもん書くまでもないんですけど、ひとまず理由を述べてみます。

 まずは構図(アングル)の問題。
 アップばかりで引いた構図に欠けるんですよね。
 そんな汚ねぇ肌見たくもないわけでして、これは完全に演出面での敗北と見ます。

 ぶっちゃけ素人映画なんですよ。

 ストーリーを見せようとするあまり、何気ないシーンなどにまったく敬意を払っていない。

 絵に頼ってシナリオが大した事ないフリーゲームによく見られます。

 それと説明のアンバランス感が凄いです。
 ビッチの揺れる恋愛模様など怪獣映画なら耳かき1杯も必要ないのに、そんな所ばっかりグダグダと続いてしまうのも一因でしょう。

 また、婆さんたちの交霊会もね。
 何故やったんだかサッパリ分からんという点。



 そして最大の理由はやっぱり。






ぜんぜん怪獣映画じゃ
ねぇよこれ。








猫小せぇよ猫。







馬並みだよ。







『ザ・キャット』??







『ザ・ビッチ』でいいよ
もう。









『ザ・JARO』に『ザ・電凸』しちゃうよもう。




 いつになく激しい今日の豪腕、うんこ出すぎて異臭を放っておりますが、シメにこの映画の概要を書いておきましょう。

 まずは監督さん。
 「マルチン・シュミット」さんです。

 「マルチン」という響きがキュートでポップです。



 これしか監督してません。

 本国ではこれが4作目という事ですが、4作目にしてこれです。
 北欧の人はジャンプの編集なみに我慢強いんでしょうか。

 ちなみに。
 前の3作を日本において手に入れる事はまず不可能です。
 忘れましょう。



 そして主演のビッチですが。
 名前は「リヴ・コーフィックセン」。

 さすが北欧、言いにくい事この上なしです。



 これしか出演してません。

 『ザ・キャット』どころかキャットファイトに出ていそうな体型ですけど、この人はその後どんな人生を歩んだんでしょう。



 最後に菅原の事も書いておきましょうか。
 名前は菅原洋一ではなく「シャルロット・ムンク」だそうで。

 「ムンク」という苗字につい叫びたくなってしまいます。



 これしか出演してません。








全 滅 。




 どこまでもマイナーなこの映画、怪獣もホラーも突き抜けて出来の悪いサスペンスもどきになっている所が泣かせます。
 一応、原作もあるみたいですけど。

 デンマークでのベストセラー小説だそうです。

 バイキング衰退の答えがここにありました。
 ちょいと豪腕、デンマークまで書きに行ってきます。



 しかし凄いですね。
 ヘリコプターも軍隊も出ず、もちろん車をかじる事もせず、高いビルはまったく無傷で、出てきたのはストーカー気味の刑事とイカレたババアとビッチと菅原。
 猫は猫で最後まで単なる猫。
 一瞬だけ巨大化するも、せいぜい馬並みという素晴らしい作品です。

 バイキングだかガイキングだか知りませんが、とりあえずビッチは駄目という点でご納得いただきたい。


 ジャケット買いの怖さが凝縮していますね。
 まさに蓋を開けるまで分かりません。
 そんな認識を新たにしました。勉強になりましたね。

 とりあえず最後にミニどんでんがあるんですけど、ヘビに足を付けたらヘビではなくてトカゲです。
 悪くないアイデアだけに惜しい。
 結局、料理のやり方次第でどーにでもなるもんですなあ。


 私は好きですけどね。


 何しろここまで突っ込めたので満足ですよ。
 これ書いてるの12月20日ですが、クリスマスのプレゼントにこんな映画もらったら100年の恋もザ・ビッチですね。
 ソロで突っ込み、はっと我に返って手首を見るような聖なる夜に贈ります。



 …何が人喰いペットだ(笑)。



 人を喰ったような作品です。






とりあえず、今回からボタン付けます。





『KAT』2001:デンマーク

原作:スティーン・ランダストロップ
監督:マルチン・シュミット
脚本:マリー・卜ロル・ラーセン
撮影:ダーク・ブリュエル
視覚効果:アントン・リープ
特殊メイク:モートン・ヤコブセン

出演:リブ・コーフィクセン(ビッチ)
    シャーロット・ムンク(菅原洋一)
    ソレン・ピルマーク(ストーカー刑事)


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