C72参戦記 豪腕はりーと愉快な仲間たち その1・出だしからもうブチキレ編 |
「何やら不穏な空気を感じますぅ…」 「お前が来ねぇのが悪いんだろーがこの腐れアマ!!!」 「あうぅ、すびばぜん先輩…」 「おかげであたしゃ一人でゲームどころか人としての大事な何かを切り売りする羽目になったんじゃねーか! すましてっと風穴開けるぞコラ!」 「そんな…巨乳鉄砲のレヴィの声で怒られてもぉ…」 「お前も来るって聞いてたから、わざわざ3人分のおにぎり作って来たってのに…」 「先輩っ…! おにぎりなんて…作れたんですかぁ!?」 「…知ってるか? 地雷は踏むと爆発するんだぞ?」 「やっぱ神様っているんですねぇ〜。私には必要ないですけどぉ」 「それ聞いて安心した」 |
閑話休題。 ガラにもなく小芝居をやりたくなったんですよ。 それはいいとして。 ぽか〜ん… …そもそもの始まりからお話しましょう。 時は8月19日、いよいよ出陣の朝という事で昨夜から一睡もしてない腫れた目で向かう先は、ご存知東京ビッグサイト。 いわゆるコミケですね。 コミケといえば世界最大のフェスティバルしかしギネスには絶対に載らないサイレントマジョリティーの百姓一揆です。 凄いですね。 ここまで平和だと誰もこの国を侵略しようとは思いません。 この島に生まれてよかった。 私たちは、この平和を守らねばなりません。 そんな想いは砂漠に浮かぶ蜃気楼です。 平和なんて抜かすのはこの口ですか? 強襲揚陸艦でノルマンディーに上陸する兵士たちを平和と呼ぶなら平和でしょう。 いいですか。 これは戦争なんです。 押し寄せる兵隊たちを椅子2個分のスペースで迎え撃たねばならないのです。 右手に持つは千円札、左手には吉祥寺なら照明弾より明るく輝く素敵なイラストの入ったうちわを掲げ、数万人の悪鬼どもがおのれの情欲を満たすために押し寄せて来るんですよ。 本来なら88ミリ砲でカモ撃ちです。 だけど持ち込み禁止なんです。 我らの武器はこの、たった1枚のCDのみ。 ごめん嘘。 こっちが本当。 悪い。また勝手に使っちまった。 思えば前回は冬の寒い時期でした。 それでも会場内は実に熱かった。 おそらく100メートル先のウサギでも見逃さない弓矢の名人みたいな目をした凶悪な狩人たちが数万人も集まれば、そりゃ地球温暖化にも拍車が掛かります。 ましてや今は東北でも熱中症が出るくらいの夏。 汗だけがやけに冷たい開始前です。 しかもその上。 約束した時間にメイドさんが来ていない。 …我々の失敗は約束されたようなもんです。 |
「主人待たせるメイドがどこの世界にいるんだよ」 「2次元ですよぅ」 「そりゃメイドの格好しただけの単なる馬鹿だろ。一発目から約束破ってどーすんだお前」 「にゃう? まるで自分はちゃんと来てたみたいな言い方ですねぇ先輩?」 「そ、それはだな…。あ〜、別にあたしゃ約束した訳じゃ無かったし…」 「はや!? だったら昼過ぎに来ても許されると、そう申されるわけですかぁ!?」 「だ、だから飯まで作って…」 「すごいな〜先輩、尊敬しますよぅ〜。 きっと自分の子供にもそうやって教えるんでしょうねぇ〜」 「うるせえなこの腹黒! 真夏の一般入場がどれだけ辛いか知ってんのか!?」 「でも、並んでる間は私服だから平気でしょう?」 「うちのブースの責任者は、最後までこっちの私服をコスプレだと思ってたらしい」 「馬鹿な主人を持つとメイドは苦労しますねぇ…」 |
…だって網タイツなんだもん(笑)。 それはともかく、荷物受け取りのリミットは午前9時。 8時半の時点でまだ駅前です。 危険度で言うと新宿二丁目をチャック全開で歩くようなもんです。 出だしから思わぬ方向へハッテンしつつあります。 仕方が無いので、コミケにおける我が師匠・百戦錬磨の軍人あ〜る氏と共に、サークル入場のゲートへと向かいます。 んどどどどどどど… この門を作ったのはミケランジェロでしょうか。 望みどころか光もこだまも在来線もありません。 ユダヤ人の記憶に眠る悪夢のような光景です。 しかしみんな表情は晴れやかだ。 これから始まる酒池肉林の饗宴に想いを馳せているんでしょうか。 競馬場によくいる赤鉛筆耳に挿したオッサンみたいな十代の青年とかが平気でいます。 行きの電車でもそうでした。 明らかに空だと分かる巨大なバッグを手にした人生ラグナロク風味の方とか。 早くもすっぱい奴とか。 少数派ながら、可愛い彼女を連れた色男も混ざってます。 明らかにデートコースを間違えてます。 そんな素敵な人たちと共に、豪腕とあ〜るのはぐれ馬鹿殉職派の旅は続きます。 ほんとに旅みたいなもんですよ。 右を向けば身長180センチの筋肉質のハルヒとかが歩いてます。 彼がハルヒなら私はジョニー・デップかも知れません。 ここで大きな地震でもあったら、未来の人は歴史に何を思うのでしょうか。 大量に出土するであろう副葬品が心配です。 かく言う私も、相当にひどい格好をしております。 どこの流しですかこのギグバッグ。 ここは高円寺じゃないんですから。 コミケで「音」は禁止なので、正義感あふれるスタッフの目つきが早くも戦闘モードです。 中身は看板用のポールだけどね。 古来より、ギターケースの中身はコミケの看板かM16と決まってますからね。 もちろん長物も禁止につき、呼び止められたら中身抱えてロデオドライブの覚悟で行ったんですけども。 お咎めは一切ありませんでした。 ただし次回からもこの手が通用するとは限らないので、調子に乗ってスキーバッグで代用とか考えない方がいいでしょう。 |
「結局、荷物の受け取りは間に合ったんですかぁ?」 「間に合ったって。段ボール抱えてロデオドライブする寸前で」 「なぁんだ。じゃあ別に私たちがいなくても平気だったんじゃないですかぁ」 「誰のせいでフィールドをねじ伏せたと思ってんだ?」 「看板って、どんなのですかぁ?」 「これがまた大変でさぁ…」 |
「これは恥ずかしい…」 「…そーいうのも必要なんだよ」 「前回が洗濯物干しで、今回はマトイですか…」 「高さは3メートルを超えるらしい」 「すごい遠くから、こんなモノを見られちゃうって事ですよねぇ…」 「東館じゃおそらくNo.1の高さだろーね」 「そんなとこだけNo.1なんですねぇ〜」 「何しろ、あまりに高すぎてブース前に立つと見えない」 「バカですねぇ〜」 |
バカですよぉ〜。 そんなとこだけ自信を持ってバカですよぉ〜。 しかも本来は四角い枠に四面びっしり恥ずかしいポスター下げる計画だったんですから。 文化大革命より酷い計画ですから。 通行の邪魔ですから。 お前一人でコミケやってんじゃねぇですから。 しかもですよ。 バカですねぇ〜。 はい、これらのセッティングを終えたのが10時の手前。 トバグチまで来てます。 ふと見れば、大手さんに並ぶ列がとっくに完成しています。 相変わらずのレミングっぷりを見せ付ける地獄兵団です。 何とかね。 塩の錠剤が必要なほどに必死になった甲斐あって、一応の格好は付きましたよ。 サンプルの提出も終え、いよいよ戦闘準備が整いました。 メイドさん来てないけどね。 もうマジ勘弁して欲しい。 |
「…申し訳ございませんお客様…」 「うむ、次から気を付けなさ〜い」 |
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