リプリーは出ません。 『エイリアン』シリーズと言えばこの人。 シガニー・ウィーバー姐さんですね。 全米はおろか日本においても、この人の顔を知らない方は少ないでしょう。 こんばんは。 ブルネットの長身というだけで御飯おかわり豪腕はりーです。 何と言いますか、この人の場合。 形容詞に大変困る女優さんではないかと思います。 美人? 綺麗? 妖艶? 可愛い? 男勝り? 肉体派? 演技派? 母性? クール? 豪腕? …どれもが当てはまるような感もあり、また微妙にズレてるような感もあるんですよね。私が思うに。 ぶっちゃけエイリアンの人と説明するしかないような気がするんですよ。 この『エイリアン』を禁句にされると、非常に説明が難しいわけで。 言うなれば、この人。 ひたすらシガニー・ウィーバーである。 シガニー・ウィーバーという種類の一個の生物なんです。 そういう個性の持ち主なんでしょう。 んで、出演作もたくさんありますね。 『エイリアン』シリーズ以外でも、例えば『ゴーストバスターズ』とか。 サスペンス物の『コピーキャット』とか。 毎回のように変なモノに襲われる女優です。 しかし、リプリーは強いのです。 彼女の出世作である『エイリアン』シリーズも、4作を数えるわけですが。 最初は震えながらも機転を利かせて戦っていましたね。 この頃は単なる「リプリー航海士」でしたっけ。 2作目からは鉄砲ばんばん撃って強い強い。 4作目なんか素手で鉄の扉をぶち壊す暴れっぷりで、年代を追うごとに実はお前がエイリアンだろというような成長を見せているわけであります。 この人の強さの秘密は、一体どこにあるのでしょう。 外見的には、例えばグレース・ジョーンズみたいな薬物臭ぷんぷんの超筋肉というわけでもなく。 ユマ・サーマンみたいなカミソリの切れ味+お色気でもない。 とりあえず長身ではありますが。 空手の試割りに使えそうな平べったい胸のどこに、そんなパワーが潜んでいるのでしょう。 私、じっくりと考えてみました。 考えに考え抜きました。 そして出た結論。 これ以外に理由というのがまったく思いつきません。 ひどい理由のような気がしますが、世の中には天才だから年を取らない司令官とか司会者だから年を取らない黒人のガキとか猪木だから負けない猪木とかいますから。 そういうわけで、もはやリプリーは『エイリアン』シリーズの顔であります。 そこへ持ってきてこの映画。 ふざけるのも大概にしろと言いたくなります。 この気持ちは映画の感想を期待したのにぜんぜん関係ねえだろという皆様の心の叫びかも知れません。 ともかくそれほど大変な映画です。 そういう時は、もう一方のシリーズである『プレデター』に目を向けてみましょう。 エイリアンに比べると日本では若干マイナーですが、『プレデター』の1作目の主演はカリフォルニア州知事さんです。 いわゆるシュワちゃんですね。 この人に関しては有名ですから、今さら語るのもアレです。 されど。 この人の出演作でまず話題に出るのは『ターミネーター』ですよね。 なぜか決して『バトルランナー』とか『ツインズ』とかは出ないんです。 この『プレデター』についても、上記2作よりは多少有名といった程度ではないでしょうか。 だからといって映画の出来が悪かったわけではない…と思うんですよ。 アポロも出てたし。 何より熱帯雨林の中を「光学迷彩の怪物」が忍び寄るという、視覚的にもアクションにおいても見所のある映画でした。 というわけで。 今回の『エイリアンvsプレデター』。 マジかよ・・・。 シガニー姐さんとシュワちゃん抜き。 これでSF界2大凶悪生物と対峙しなくちゃならない人類。 始まる前から終わっています。 映画のキャッチコピーは『どちらが勝っても…人類に未来はない』でした。 まったくその通りだと思います。 ハタ迷惑な事この上ないです。 では、ようやくストーリーを紹介いたしましょう。 巨大企業ウェイランド社に、謎の熱源が南極大陸の地下深くで発生しているという衛星データが送られてくる。 この企業の経営者で億万長者のチャールズ・ビショップ・ウェイランドは現地調査を決断。 さっそく環境問題専門家で女性冒険家のレックスら各分野の専門家を招集する。 やがて問題の場所に辿り着いた調査団は、そこで巨大ピラミッドを発見。 しかし調査を進める彼らは、その後恐るべき真実を知る。 なんとそこは、プレデターが100年周期でクイーン・エイリアンに卵を産ませ、人間を生け贄にして育てたエイリアンたちと若いプレデターたちを戦わせる“成人の儀式”を行なう場所だったのだ…。 ・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 出てけ。 そんなもんヨソでやれヨソで!!!! なんでわざわざ地球くんだりまで来て成人せにゃならんのや。 グレート・サスケ呼ぶぞ。 こういう乱痴気騒ぎを起こす馬鹿のせいで地球の成人式はグチャグチャだ。 大迷惑です。 たかが成人式で自前の土地も利用できないような種族は種族として成人していません。 「異星人」と「成人」。 読みは似ていますが全然違います。 障害物競走と生涯仏教僧くらい違います。 こんな素敵に大迷惑な連中と関わってしまうのは、歴史調査官とか発掘屋とかの寄せ集め冒険野郎軍団。 ウェイランド社の社長と共に、南極へと向かうのです。 このウェイランドの社長さん。 演ずるは、ランス・ヘンリクセンです。 出ましたビショップ。 『エイリアン』シリーズのファンなら、もちろんご存知。 サイバーダイン(いい奴の方)ですね。 ただしこの時点ではまだ人間です。 彼を元に、その後のサイバーダイン産業が花開くんでしょうなあ。 そんな読みのできるシーン、ファンならつい「ニヤリ」もののシーンが、この映画にはたくさん出てきますよ。 社長がペン先で広げた指の間をカタカタやるシーンなんて、それだけで嬉しいじゃありませんか。 今までさんざ悪口を言いましたけどね。 なかなか良くできたオマージュである、そう考えれば、これはこれでファンの事を考えた映画なんじゃないかと思いますよ。 監督さんはポール・W・S・アンダーソン。 ものっそいコアなオタクの監督です。 代表作が『バイオハザード』ですからね。 外見からして工業系オタクフレーバーぷんぷんの監督さんです。 脚本もこの方なんですけど、まるでゲームのような展開が持ち味と言えるかも知れません。 今回の『エイリアンvsプレデター』ですが。 シナリオ作成の「きっかけ」となる出来事が、映画『プレデター2』の中ですでにあったそうです。 私、慌ててDVDを再確認してみました。 確かに出てますよ。 プレデターは狩猟民族。 襲った相手の頭蓋骨をコレクションしているわけですが。 そのコレクションの中に。 エイリアンの頭蓋骨も入ってるんです。 どう考えても骨があるのはおかしいんですが、ともかくこれがストーリーの決め手となったようであります。 プレデターは、エイリアンと繋がりがあったのです。 奴らを狩っていたのです。 最強の狩猟民族と最凶の寄生生物。 ついに両者が地球を舞台に雌雄を決する時が来たのです。 さあ、ここでいよいよ。 見所を語ってみましょうか。 謎の熱源を探りに、調査団が南極へ到着します。 そこは100年前、某国の捕鯨基地があった場所なのですが。 全員が謎の失踪を遂げた土地でもあるのです。 なぜそうなったのかは、我々はもちろん知っているわけです。 お前らもそうならんように注意してくれと祈るしかない中で。 地下2000フィートに埋まる巨大なピラミッド。 アステカやエジプトなどの古代文明の流れを汲む、未発見の超古代文明である事は明白です。 この発見に色めき立つ調査団。 他社に出し抜かれないうちに、地下へ潜って調査を始めるのですが…。 中には謎の石室。 内部から腹を裂かれた生贄たち…。 私なら、この時点で逃げ出しますけどね。 妊娠させられちゃうわけですから。 ゴムを付けても無駄ですから。 ここから、怒涛の展開が待っています。 突っ込み所も多いんですけど。 狩猟民族プレデターがわざわざ地球の暦に合わせてくれる親切っぷりとかあるんですけど。 石櫃にあったプレデターの武器。 例の肩に装着するアレです。 レーザーサイト付きの凶悪な銃器ですが。 「それは泥棒だ」 お前が言うな。 さあ困ったプレデターさんたち3人集。 「ボクのだよ〜!」と地球人たちを追いかけますが。 ピラミッドの内部が動いて迷宮状態。 地球人は分断され。 そして最悪。 「ゴゴゴゴ…」という地響きと共に。 両雄並び立たず。 宇宙規模の肉弾戦です。 プレデターの手裏剣が。 エイリアンの凶器の爪が。 すごい展開です。 すごい迫力です。 エイリアンの尻尾を掴んでのプレデター式ジャイアントスイング。 目茶くちゃカッコイイですよ。 エイリアンの、飛び散る酸性の血液。 プレデターの外装が煙に包まれ。 逆転につぐ逆転。 この続きは、ぜひあなたの目でご確認ください。 …と、いつもならここで締める所ですが。 重要なポイントだけ、ちょこっとお話しちゃいましょう。 この映画に出てくる要素として。 「敵の敵は味方」というのがあります。 人類と異種族との、極限の状況下における極限タッグが見られます。 これを美しいと見るか甘々と見るかで、この映画におけるエンディングの印象も変わってくると思うのです。 私はもうキスシーンでもベッドシーンでもやりゃええねんと思いました。 ここは異論もあるでしょうね。 とりあえず心を空にして、素直に公認凶器デスマッチを堪能するのが、この映画の楽しみ方だと深く感じる次第です。 シガニー姐さんもシュワちゃんも出ませんけどね。 なぜ出ないのか、よく考えると分かりますね。 あの二人が同時に出ると異星人を食っちゃうからでしょうね。 そういう時は。 脳内にて、楽しい想像をしてみましょう。 『ターミネーターvsリプリー』。 マーブルコミック辺りで実現しないかなと。 『ALIEN vs PREDATOR 』2004:米 監督&脚本:ポール・W・S・アンダーソン 製作:ジョン・デイビス/ゴードン・キャロル/デヴィッド・ガイラー/ウォルター・ヒル 製作総指揮:ウィック・ゴッドフレイ 撮影:デヴィッド・ジョンソン/キース・パートリッジ 音楽:ハラルド・クローサー クリーチャー原案:ダン・オバノンほか 出演:サナ・レイサン(レックス/偽リプリー) ラウル・ボヴァ(セバスチャン/偽インディ) ランス・ヘンリクセン(ウェイランド/ビショップの元) back HOME |