『化物語』

2010.01.24




 こんなコーナーがあった事すら忘れていた豪腕はりーです。
 皆さん素敵なオタクライフを満喫されてますか。
 私は久々の自宅待機中というのも手伝って、嫁の留守中にエロ動画見放題という夢のパラダイスにおりますが書類上ではTOEICや各種資格と戦ってる事になってます。
 等身大ガンダム像だって真の敵はジオン軍ではなく強風でしたけど、それでも奴は我々に夢を見せてくれました。
 今度は私がその夢を壊す番です。
 そういうわけで、今回は『化物語』というアニメを取り上げてみました。

 この作品の原作は、西尾維新です。
 この時点で観る人と観ない人がはっきり分かれる人です。
 端的に言えば、中学二年生を過ぎた方と中学二年生未満の方には怖くて勧められないレベルの人だという噂ですね。
 そしてこの噂は誇張ではなく過小評価です。



 委員長とかそういう単語に過剰なまでの夢を見続ける30歳近くの男性、そんな感じで捉えておけば間違いないと思います。



 例えば私は西尾維新がわずか2歳の時からメイドさんが好きだと言い続けてきましたので、上記の文章は否定的に捉えたものでは決してありません。
 むしろ、誰もが夢から覚めるのに未だに寝ながら作品を書いているという事実に惜しみない賞賛を送るものであります。
 彼こそは永遠のドリーマーです。
 30歳近くの中学二年生みたいな企画でTBSが特番組めるレベルです。
 そして、彼の世界に共感できる限られた戦士だけが、彼のドリームランドに居住する事を許されます。

 そんな西尾維新の世界、『化物語』。



まさしく中二の神です。




 やたらと複雑な言い回しや誰も使わないような比喩を多用し、作品全体の5分の4くらいがそういうキャラたちのペダンチックな会話に終始しています。
 これをカッコいいと思ってしまったら相当な重症です。
 誰しも中二病ウイルスは持っているものですが、現実世界にまで持ち込んでしまうとほぼ100%の致死率となりましょう。
 強力な伝染病は隔離されるものです。
 この病気が悪化すれば学校や世間一般はもとより、親兄弟からも確実に隔離されるので孤独のまま一生を終えたい方には必須アイテムとなっております。
 そういう方の中には、リアル世界で友達がいる方もおられるでしょう。
 しかしその友達も心のどこかで絶対にそいつの事を気持ち悪がっているので、安心して一人っきりで人生を終える事ができます。

 誤解なきよう付け加えましょう。



現実世界に有り得ないものを楽しむのが
アニメの本来の姿だと思います。







よって中二は正しいんです。




 問題は、それを洒落でなく大真面目に現実世界に持ち込んでしまう事なんです。
 戦隊ヒーローの必殺技を実際にやると体を怪我します。
 中二な会話を実際にやると心を怪我するという事です。
 特にこの作品(というか一連の西尾作品)は危険度が高いので、コンプライアンスのために記載いたしました。

 内容に関してはほとんど上記で語り尽くしておりますが、この作品の面白さは間違いなくその有り得ない会話にあります。
 「面白さ」と書いておいて何ですけど、中二以外の方には全然面白くないどころか画面に向かってリモコン投げるレベルの会話ですので注意が必要です。
 「楽しみ方」と書き換えても良いでしょう。
 だらだらと続く笑えない漫才にツッコミを入れながら鑑賞する、これがもっとも正しい『化物語』の楽しみ方かもしれません。

 そしてもう一つ。



局部アップが異常に多いです。







目ですけど。




 これは天下の中二神・西尾維新には関係のない問題だと思われますが、ともかく演出がオサレ気取りで我々の体力を奪っていきます。
 演出のおかげで辛うじて紙芝居にはなっていないという点だけは評価できます。
 何しろ内容が中二の会話だけですから。
 されど疑問に思うのは、どうしてわざわざアニメなんかで放送するのか分からない点です。
 少なくとも第一話を観た限りでは、まともなアクションシーンはキチガイのヒロインが影の薄い主役の口にホッチキスの針を刺す所くらいでした。
 だったらサウンドノベルで事足りると思います。

 総じて、この作品の人気を支えているのは、中二病患者たちのある種の理想像を描いているからだと思うのです。
 中二病に多い症例として、わざわざ小難しいオサレ言葉を選んだり、ネットや漫画で拾い集めた(実体験の伴わない)知識を得意げに披露する点が挙げられます。
 それが画面の中では完璧な容姿でしゃべってるわけですよ。
 目指す場所は明らかに間違ってますけど、そういう事だと思います。

 さらにこの作品のキャラたちは、出てくる奴ら全員が中二病の末期を越えた超人です。
 これが意味する所はただ一つ。



あらゆる中二病患者が夢見た世界。






「中二言葉でしゃべれば、
必ず中二言葉で返ってくる」
という孤独じゃない中二世界。




 現代社会ではドクター中松政権くらい有り得ない、虚構の理想がそこにあります。
 痛すぎる会話を取ったら何も残りません。
 これこそアニメ、そしてこれこそ西尾維新です。

 そして最後に、私がずっと疑問に思っていた事を吐露して終わりたいと思います。
 この作品の冒頭です。



豪快なパンモロがあります。






パンモロです。






チラとかそういうレベルではありません。






画面いっぱいにパンツが広がります。






そして。






作品にはまったく何の関係もありません。






単なるパンツです。






これ以降、このシーンについては何の言及も繋ぎも絡みも、

そして一切のリアクションさえありませんでした。






意味不明なパンモロです。




 初代・機動戦士ガンダムの冒頭でいきなりパンモロを見せ、そして以後ずっと普通にガンダム放送したみたいな驚異的に浮いてるシーンです。
 演出家は一体、このパンモロで何を語りたかったのでしょう。
 まったく必要のないシーンでした。
 突然そんなもの見せられたからには「ああ、これはそういうアニメなんだな」と考えるのが普通だと思います。
 ところがぎっちょん。
 中身はただ痛い会話を繰り返すだけの、パンツとはまったく関係のないお話だったのです。



主人公は狂言回し、ヒロインはキチガイ。



ごく中二の二人は

ごく中二に会話し

ごく中二に終わりました。



たった一つ、中二でなかった所は。






冒頭は、パンツだったのです。






 繰り返しお伝えします。
 この作品は、パンツのパの字の右上の丸も存在しない内容なのです。
 なのになぜパンツが必要なんですか?
 もちろんパンツが見えれば嬉しいのは男の子として正常の反応ですけど、話の流れ的にそれは必然なんですか?
 パンツアニメなら分かりますし、例えば上記のガンダムでもルッグンの兵士にウインクを送るフラウ・ボウのパンチラに胸ときめかせた経験はあります(古い話で申し訳ありませんが)。



 しかし看板にステーキ描いてる店にいざ入ったらソバ屋でした。



って何だそりゃ。




 豪腕はこの際はっきり言いたい。
 蛇足で萌えてやるほど俺の心は乾いてないと。
 こういう悪質な客引きみたいな演出は、金輪際やめていただきたいです。
 出すんなら流れの中で自然に出して欲しい。

 そういう感じで今回、『化物語』の「化物」の部分には何一つ触れない感想でした。
 だって特に触れる必要なさそうだしね。
 中二病を極めたい天涯孤独な方にはお薦めの逸品です。
 実践した場合の効果は、その方ご自身がよく知っていると思います。





感想・突っ込み等お願いします。



BACK

HOME