あったら苦労しません(笑)。
プロレス界では、一流の選手の多くは自分だけのオリジナル技を持っています。
そういうの欲しいですよね。
このオリジナルという所が重要でして、模倣ばかりしていて決め技に欠けるレスラーの事を「しょっぱい」と表現します。
別に舐めてみたわけではないです(たぶんしょっぱいですが)。
そういう隠語はどうでもいいとして、ここでは如何にオリジナルを出すか、その方策を考査したいと思います。
世の中には星の数ほどの面接指南書がありますが、本を読むのと実際に話すのとでは大違いです。
どうせ丸暗記なんてできないし、できたとしても逆効果になる事が多いんです。
なぜなら、そこには何もオリジナリティが無いから。
面接官は伊達に何人もの面接をやってるわけじゃありません。通り一遍の返答例など耳タコもいいところです。
そんな面接官と剣を交えるに当たって、敵に筒抜けの作戦のままで良い結果が出せるでしょうか?
ここでモノを言うのがオリジナルです。
あなたという人間は、おそらく世界であなた一人だけなのです。
あなたの人生までは指南書にはありません。あなた自身によって語られなければならないのですよ。
その場合どう戦うか?
ここでいくらでもオリジナルの話が湧き出てきたら合格です。そんな奴はとっとと抜けてもらって、我々は我々で考えてみましょう。
以下に、絶対に聞かれるであろう質問と、その返し方について実体験からご紹介します。
参考になれば幸いです。
■なぜ我が社を選んだか。
これ、絶対に聞かれます。就職以外の場合は経験が無いので分かりませんが、ともかく確実に聞かれる事の一つです。
答に関してはいくらでもネットに出てます。
私の場合は単に家から近いからとかそんな理由ばっかりですけど、正直すぎるのも考えもの。
よって適当にこう答えています。
「御社のホームページを拝読させていただいたんですが、まずは企業理念などを全部飛ばして最初に製品一覧を見まして(笑)。やっぱり一番気になる部分ですし、自分の持つ技術がどの辺りに生かせるだろうかなと。
いえ、いきなり理念を見たってカタチが見えないと判断のしようがありませんからね。
最初に目に付いたのがホームページのすっきりしたレイアウトです。若者風に言うとクールな感じ? ですか(笑)。
こう…必要以上に写真や文章を並べ立てない、と言いますか。自分もサイトを運営していた事がありますし、デザインに関しても学んだつもりなんですが、あえて情報を切り取るというのが如何に…怖いか。
これは相当に自信が無いとできないと思うんですよ。自社の製品に。
まずそこが印象に残りましたね。
…で、そうした製品を作っておられるのが、一体どういう方々なのか。非常に興味がありました。
以上が御社を選んだ理由のうちの一つですね」
ウソ800です(笑)。だって私、トップページしか見てませんしね。
でもここ数年、この手の質問にはみんなこれで答えています。
これが私のテンプレートで、そして数少ないオリジナル技なのです。
この返答の良い所は、基本どんな企業にも通用する事です。なぜなら色々と語っているようでいて実は理念にも製品にも触れていないからなんですよ。
ひどい事に、その会社を選んだ理由にすらなっていません。まあその辺は適度に付け加えて行くわけですが。
ただし、これをそのまま使用するのはあんまりお奨めしません。見ての通り結構ふざけてますからね。
これを通用させるために、この質問の前の段階に存在する自己紹介にて、こういう事を話せる雰囲気を作っておくのが重要だと思います。
上の記事で言いたかった事は、オリジナルでそれをテンプレにすると強い、という事。それが自分の技になりますし、いちいち企業に合わせて新しい答を用意しなくて済むようになりますからね。
ネットや本から事例をいくつか拾ってきて改造しましょう。
上の例でもホームページという単語を途中からサイトに変える、などの姑息なテクを使っています。自分なりにガンガン改造して気付けばオリジナル、そんな形が良いんじゃないかと思います。
特に上で出した質問と自己紹介、アピール点は大抵聞かれますから、それに併せて用意しておくと良いでしょう。
ただまあ、あんまりにも改造しすぎると、知らず知らずのうちに公道を走れないバケモノになっちゃう可能性があります。
面接というのはオオヤケの道です。
どこかで最低限の節度を保ち、浮いたセリフを使いすぎないようにする努力は必要でしょう。
ちなみに上の例では節度もへったくれもありませんけど、サイトという単語に引っかかって話が弾めば御の字です。
もちろん今では引越しに伴い閉鎖したとか何とか、適当な事を言って誤魔化してます。
そりゃあこんなサイトは見せられませんわ。人として。
ただし。用意した答に頼り切ってはいけません。
それを聞かれた時はスラスラ言えるのに、それ以外の質問だと長考したりシドロモドロだったり。これでは面接官が木下優樹菜でも気付かれます。
それを避けるために、ぜひアドリブに強くなりましょう。
アドリブとは、面接界のドロップキックです。
これができないレスラーはほとんどいません。そして名手ともなると、ドロップキック一発で流れを変えたり勝利を奪ったりできるのです(馬場やボブ・サップが有名ですね)。
要するに、基本でもあり必殺技にも成り得るのですよ。
観客はその威力、跳躍力、フォームの美しさを心の中で採点するのです。東京ドームに6万人の面接官がいるようなもんです。
だからこそ。
だからこそプロレスは素晴らしい、もといアドリブは素晴らしいのです。
さあ練習しましょう。
かつてアナウンサーの古舘伊知郎は、プロレスの実況をするために「目に見える全てのモノを実況して鍛えた」という逸話があります。
あの名調子はそんな日々の努力から始まったのです。
もちろん道の真ん中であの絶叫をされたら私なら通報しますが、彼は車の運転中にやっていたそうですよ。
そうした時間を有効利用するのもクレバーな手法だと思います。
「おおーっと! この閑静な住宅街に踏み切りの音が鳴り響いたぁーっ!」
…バカですね。
バカですが、愛すべきバカだと思います。そしてこのバカは見事に実況アナの地位を射止めたわけです。
猪木も言ってました。バカになれ。
すべての方が参考にできる事例では無いと思いますが、何がしかのヒントになれば幸いです。
私の場合は前途のテーブルトークRPGで鍛えられました。
他者と共にパーティーを組むこのゲームでは、自己主張と話を聞く耳の二つが重要です。
そこで気付いたのは、会話の下手な方や調和の取れない方、空気を読めない方の多くが他者が話している時に自分の言いたい事をスタンバイしてるという事実。
これでは駄目です。アドリブなんて不可能です。
言いたい事を言いたくて仕方ないから、他者の話の切れ目を虎視眈々と狙っているのです。だから他者の話を聞けないし、話題が変わってるのに言いたい事に固執するからズレてるんですよ。
私はいつも思うのです。
言葉は株です。発言の売り時を逃すと下落する一方です。
面白い話は皆が聞いてくれますし、つまらない話を押し付けるのは迷惑になります。言葉の株に価値があれば評価というお金が儲かりますし、空気の読めない言葉は一発で評価を下げるでしょう。
こちらが良い条件を提示しているのにいつまでも価値の下がった株に固執し、それを自分の期待値で売りつけられたら誰だって嫌な思いをするでしょう。
そういう事なのです。
皆さん。どうか「捨てる勇気」を持ちましょう。
その言葉を持ち続けるより、新しい言葉で勝負しましょう。
そうするとどうなるか。そう、捨てた事によって両手が空くので、新しい言葉をその手にゲットできるのですよ。
練習次第で素早くアドリブ対応する事が可能になります。
お笑い芸人を見ていると、ネタとフリートークで面白さが全然変わる連中もいます。
大抵フリートークの方がコケますが、これはとっさのアドリブというモノがプロでも難しいという事の証明だと思います。
逆にネタがコケるのは単なる天然です。
まあ中には「こんなんでプロかよ」などと思ってしまう消えて行った「ですよ」みたいな芸人もいますけど、ともかくアドリブというのは反射に近いですからね。
入念に練って作るであろうネタとは別モノです。
アドリブは、準備する事ができません。
面接の前日に用意するような代物では無いのです。
だからこそ、普段からの練習がモノを言います。運動不足の人間よりジョギングをしている人間の方が長く軽快に走れるのは当然なのです。
頑張りましょう。受かるために。
いつかそれはあなたの必殺技になるはずです。
柔道の授業でドロップキックを繰り出して先生に張り倒された豪腕からの贈る言葉です。
では次章にて、禁断の邪道技もご紹介しましょう。