2008年12月13日

豪腕面接

誰も書かなかった面接対策




■序章・ウォーミングアップ■


 はい、また訳の分からん記事でこんにちは。
 今の所30回くらいの面接を受けている豪腕はりーです。
 結果の分からないものを除くと基本的に全部受かっているので、そうした経験を記事にできないかと思って無謀な試みに走ってみました。
 特に入社面接について扱いたいと思います。
 わりと前からそういう場面でのコツ的なものを質問される事が多かったので、この記事がお役に立てれば幸いですけどたぶんEDなみに勃たないと思います。
 その理由は後述しますが、あくまで以下は豪腕個人の印度象もとい印象としてお楽しみ願います。

 印象度と印度象って似てますね。


 インドゾウは関係ありませんが。
 ひとまず面接時に必要なものとか忘れ物チェックとか、そういう役に立ちそうな情報はすでに他サイトさんで犯り尽くされてるのでそっちを参考にしましょう。
 ここではあんまり語りません。
 私自身や知人が経験した、ちょっとした技法やテクニックなどをご紹介したいと思っております。

 ただし。
 それを使ったからって100%合格するとか札束風呂に入れるとかはたぶん無いのでご了承願います。
 面接ってのは水モノもいいとこです。
 我々全員が毎回同じ面接官に当たるんならともかく、前の会社で優しそうな面接官だったのに今度の会社ではカール・ゴッチのヒゲを生やした西川のりおみたいな奴に当たったりして大変です(実話)。
 そう。こと面接において、データというのはさほど意味を持たないのです。
 よって毎回ぶっつけ本番になるのは避けられないのですが、面接を想定した練習を積んでおく事は必要ですし効果もあります。
 では一体どうすれば良いか?
 まずはスパーリングパートナーを探す事です。

 いや、真面目なお話ですよ。
 ご安心下さい。実は私たちの日常にいくらでも存在するのですよスパーリングパートナーが。

 次節にて、その方法を実践します。




■1章・スパーリング■


 正直タイトルがかなり駄目なんですが、言ってる事の意味は伝わるかと思います。
 スパーリングは実戦を想定した練習です。まあ殴り合ったり関節を取り合ったりするわけです。
 本当にその通りやってる方はノアの入団テストを受けてもらうとして、一般人である我々はどのようにこれを行えば良いでしょう?
 実は簡単です。うってつけの相手がいます。
 彼らは日本全国どこにでもいて、いつ何時でも我々の話を必ず聞いてくれます。
 そして電話やメールではなく面と向かって話してくれる。これが大きいんです。
 さあ、そんな彼らにぜひ一肌脱いでいただきましょう。


 別に謎の組織でも何でもありません。
 彼らの正体は警察官です。
 交番やら駐在所にいる、あの制服のおまわりさんの事を私は書いておるわけです。
 一体何の事やらと思われるかもしれませんが、これは私の実体験です。そして確実に私の場合は面接の役に立ちました。

 本気で彼らとスパーリングすると色々と大変ですから、ここでは面接のためのスパーリング方法を記載いたします。
 やろうと思えば今日からできます。毎日でもできます。
 ただし毎日お付き合い願うと確実に不審人物としてマークされるので、程々にすることをお奨めします。彼らもそれほど暇では無いです。

 まずは準備です。
 準備と言ってもほとんどやる事はありません。デパートやら銀行やらの名前を1つ2つ知ってればOKです。
 まさかここで脱落する猛者はいないでしょう。ここで駄目なら面接以外の何かで生きる道を模索しましょう。
 んで、彼らのいる場所に向かいましょう。おそらく交番にいると思います(当たり前)。
 首尾よくおまわりさんに会えたら、そこでこう聞くのです。

 「○○銀行って、この辺にありますか?」


 これがなぜスパーリングになるかは簡単です。
 彼らは公僕であり、基本的に我々市民の味方です。頼りになるし経験も豊富です。
 そして、彼らは制服を着た権力の象徴です。けっこう怖い人もいますよね。
 わずかでも彼らと話す事で、気付けば勝手に度胸が付くという算段なのですよマジに。

 これ、冗談みたいですけど本当です。
 だからこそ警察官なのです。デパートの受付に座ってる綺麗なねーちゃんでは駄目なのです。
 いや個人的には後者の方が相当に好きなんですけど。
 特に話下手な方には受付嬢の方が優しいから話しやすいと思いますが、こと面接前に限ってはこの優しさがアダになる。
 私が警察官を推す理由はここです。

 もちろん彼らも忙しい身ですから、すでに知ってる場所を聞いたり検挙率の低下を説教したりするのは避けましょう(後者の方はここを読む必要は無いです)。
 出かける前にネットなどで行く先を調べる事はよくあります。
 その際、まず交番の場所を調べるという癖を付けると良いでしょう。
 そして行ったら道を聞く。これでOKです。
 こうする事で、面接当日に迷ってしまうという最悪の結果をも回避できます。まさに一石二鳥なのです。

 当然、ただ聞くだけでなく自分からも話すようにしましょう。
 「歩いてどれくらいですか?」
 「その近所にホームセンターってありますかね?」
 「ありがとうございました。助かりました」
 特にお礼は言いましょう人として。おまわりさんもきっと良い気分になるでしょう。


 出かける先がルーチンになってて、今さら知らない場所に行きたくないという方も多いです。
 いや出かけましょうよ。
 面接というのはある程度の社交性を求められるものです。それを一切絶つ覚悟なら、そもそも面接に出向かないで良いと思います。
 たまには違う店でラーメンでも食べましょう。おまわりさんは、1軒のラーメン屋さんでも親切に地図を広げて探してくれます(実体験)。

 あの時のラーメンは正直ゲロマズだったけど(笑)、一緒に探してくれてありがとう。

 そしてさらに。
 こうしてスパーリングを求めるという事は、必ず行動しているという事実。これの積み重ねが大きいんです。
 普通は行きたい先があって警官に道を聞きますが、なんか警官と話すために行く先を探すような羽目になってます。
 それで良いのです。
 行く先を探す、すなわち調べて行動する行為。それは初めての場所に行くという事であり、そして面接会場ってのは大抵初めて行く場所ですからね。
 「初対面のちょっと怖い人」と話す練習を積めると共に、「初めて行く場所」について何がしかの経験を積める。私がこの方法をお奨めするのは、そうした理由によるものです。

 一石三鳥越えですよ。本当に。


 おまわりさんも多忙なので、こういう事してると悪いかなぁとも思いますけどね。
 でも警官に道を聞くのはネットや電話帳で調べる行為と同じです。そして彼らはそれが仕事ですからね。
 ネットや電話帳よりも市民に近く、そして便利な存在になっていただきたく存じます。いつもありがとう。

 次章では、上記以外の方法を実践しましょう。




■2章・腹筋背筋大胸筋■


 もうタイトルについてはいいです。
 さて、スパーリングのメニューは出しました。次は腹筋です(逆です)。
 本当にやっちゃうと健康に良いわけですが、今回はメンタルに良い方向で見てみましょう。

 おまわりさんに毎日付き合ってもらうのは大変ですから、ここでは日常的に可能なトレーニングに関して書きましょう。
 毎日の事なので、まるでオナニーのように簡単な方法が良いですね。  大丈夫です。あるんですよ。

 以下は、いきなり交番に行く勇気が無い方への文章です。
 上の章を実践できるくらいの方なら屁をこくより簡単です。
 そうでない方も多いんです。
 私自身の体験ではありませんが、私の知人は以下を実践する事によって変わりました。
 この章ではまず「声を出す事に慣れる」、そこから徐々に階段を上って行きたいと思います。いくつかざっとご紹介しましょう。


 まずラーメンを食べましょう(突然)。
 のけぞらずに聞いてください。
 ラーメン屋さんに行ってラーメンを食べたら、そこで必ず「ごちそうさん」と言いましょう。
 別に大きな声じゃなくて良いです。会計の時、バイトの兄ちゃんに聞こえる程度で良いでしょう。
 本当は厨房にいる親父さんに聞こえるくらいの声が理想ですが、最初のうちは小声で十分。慣れると勝手に出るもんです声ってのは。

 んで、ここからが重要です。
 値段を復唱するのです。
 「580円ね」などと確認してから払いましょう。
 小声で良いです。ここではまず「声を出した」という事実こそが重要なのです。

 居酒屋、レストラン、喫茶店などでは率先して幹事を行う必要は全然ありませんが、挑戦するのは素晴らしいです。
 そして注文時にも多少のテクニックがあります。
 それはメニューを閉じるという事。
 閉じたまま、暗記した料理の名前を「声に出して」伝えましょう。
 同時に「相手の目を見る」練習にもなりますよ。
 間違えたって気にしない。その時はメニューを開いたって良いんです。また3万分の1くらいの確率でウエイトレスと仲良くなれます。

 以上のテクニックは、本屋さんとかコンビニでも使えます。
 ともかく会計の時は一言で良いから声を出しましょう。
 毎日未知の相手と会話する。それを積み重ねてこそ弱点克服の第一歩です。
 気負わず適度に行きましょう。


 卒業の時期が近づくと、学校で擬似面接みたいな事をやると思います。
 あれはあれで非常に価値があると思いますが、それだけでは不安な方も多いと思います。
 よって自分で企画しましょう。
 えらい事を書いてますが、実はぜんぜん大した事ではありません。
 これも私自身ではなく知人の経験ですけど、彼の場合は親戚に頼ったり中学時代の恩師にお願いしたそうですよ。

 要するに、使えるものは何でも使っちゃう作戦ですね。
 直接会えなければ電話で話すだけでも効果はあると力説しておりました。
 たまには伯父貴の声でも聞こう。そう感じた豪腕であります。

 ただこの辺は、会計で声を出すより面倒ですね。相手の都合もありますからね。
 そういう場合に代替になるような方法を考えましょう。
 オフ会なんかどうですか?
 ちょっと勇気を出して行けば、弱点克服と同時に同好の士と友達になれます。
 もしかしたら彼女ができるかもしれません。
 我が「アンダーカヴァー」2によるオフ会の女性出席率は、なんと9割以上を誇ります。
 そのうち9割くらいはうちの嫁なんですが。
 ぜんぜん関係無かった事をお詫び申し上げます。


 さて、それではいよいよ自在に声を操りましょう。
 私は赤の他人と一緒でも緊張しないタチなのですが、やっぱり以下の経験が大きいと思っています。
 それはテーブルトークRPGです。
 どんなモノかはググるなり何なりしていただくとして、どういう世界でどういう効果があるかを見てみましょう。

 まず、ネットや公民館で告知を見ましょう。
 色々なサークルがあると思いますが、適当に選んじゃって構いません。
 初心者には絶対に優しくしてくれます。
 ここは私を信じていただくしかないのですが、ちゃんと理由もあります。へヴィなプレイヤーは、初心者に自分の知識を知ってもらうのが嬉しいんですよ。
 もし万が一不快な思いをされたら、グランドマスターみたいな責任者がいます。
 彼らはより良いサークル運営のため、我々の声に耳を傾けるのが仕事です。だから感じた事は何でも伝えてみましょう。きっと力になってくれます。

 それでも駄目なら私にメールを下さい。必ず何とかします。

 楽しく遊んで自己主張も可能になり、対人観察力や判断力も磨けて、さらに経験点まで貰えるのだから、これは非常に良い方法だと思います。
 実際テーブルトーカーで面接が苦手そうな方はあんまり見かけません。
 やがて自分でゲームマスターするレベルになれば、もう面接なんて何も怖くなくなります。
 そうなったらぜひご連絡願います。うちもマスターは少ないんです(笑)。


 ここまですべて実践された方にはもう何も言う事はありません。
 他にも様々な方法があると思います。
 少なくとも、不良品を見つけたら即電話でGOみたいな方にはヌルい記事かもしれません。
 でも、面接ってのは独特の緊張感がありますからね。

 次章では、質問の実例を挙げてみましょう。




■3章・必殺技■


 あったら苦労しません(笑)。
 プロレス界では、一流の選手の多くは自分だけのオリジナル技を持っています。
 そういうの欲しいですよね。
 このオリジナルという所が重要でして、模倣ばかりしていて決め技に欠けるレスラーの事を「しょっぱい」と表現します。
 別に舐めてみたわけではないです(たぶんしょっぱいですが)。
 そういう隠語はどうでもいいとして、ここでは如何にオリジナルを出すか、その方策を考査したいと思います。


 世の中には星の数ほどの面接指南書がありますが、本を読むのと実際に話すのとでは大違いです。
 どうせ丸暗記なんてできないし、できたとしても逆効果になる事が多いんです。
 なぜなら、そこには何もオリジナリティが無いから。
 面接官は伊達に何人もの面接をやってるわけじゃありません。通り一遍の返答例など耳タコもいいところです。
 そんな面接官と剣を交えるに当たって、敵に筒抜けの作戦のままで良い結果が出せるでしょうか?

 ここでモノを言うのがオリジナルです。
 あなたという人間は、おそらく世界であなた一人だけなのです。
 あなたの人生までは指南書にはありません。あなた自身によって語られなければならないのですよ。
 その場合どう戦うか?
 ここでいくらでもオリジナルの話が湧き出てきたら合格です。そんな奴はとっとと抜けてもらって、我々は我々で考えてみましょう。

 以下に、絶対に聞かれるであろう質問と、その返し方について実体験からご紹介します。
 参考になれば幸いです。


 ■なぜ我が社を選んだか。

 これ、絶対に聞かれます。就職以外の場合は経験が無いので分かりませんが、ともかく確実に聞かれる事の一つです。
 答に関してはいくらでもネットに出てます。
 私の場合は単に家から近いからとかそんな理由ばっかりですけど、正直すぎるのも考えもの。
 よって適当にこう答えています。

 「御社のホームページを拝読させていただいたんですが、まずは企業理念などを全部飛ばして最初に製品一覧を見まして(笑)。やっぱり一番気になる部分ですし、自分の持つ技術がどの辺りに生かせるだろうかなと。
 いえ、いきなり理念を見たってカタチが見えないと判断のしようがありませんからね。
 最初に目に付いたのがホームページのすっきりしたレイアウトです。若者風に言うとクールな感じ? ですか(笑)。
 こう…必要以上に写真や文章を並べ立てない、と言いますか。自分もサイトを運営していた事がありますし、デザインに関しても学んだつもりなんですが、あえて情報を切り取るというのが如何に…怖いか。
 これは相当に自信が無いとできないと思うんですよ。自社の製品に。
 まずそこが印象に残りましたね。
 …で、そうした製品を作っておられるのが、一体どういう方々なのか。非常に興味がありました。
 以上が御社を選んだ理由のうちの一つですね」

 ウソ800です(笑)。だって私、トップページしか見てませんしね。
 でもここ数年、この手の質問にはみんなこれで答えています。
 これが私のテンプレートで、そして数少ないオリジナル技なのです。
 この返答の良い所は、基本どんな企業にも通用する事です。なぜなら色々と語っているようでいて実は理念にも製品にも触れていないからなんですよ。
 ひどい事に、その会社を選んだ理由にすらなっていません。まあその辺は適度に付け加えて行くわけですが。

 ただし、これをそのまま使用するのはあんまりお奨めしません。見ての通り結構ふざけてますからね。
 これを通用させるために、この質問の前の段階に存在する自己紹介にて、こういう事を話せる雰囲気を作っておくのが重要だと思います。


 上の記事で言いたかった事は、オリジナルでそれをテンプレにすると強い、という事。それが自分の技になりますし、いちいち企業に合わせて新しい答を用意しなくて済むようになりますからね。
 ネットや本から事例をいくつか拾ってきて改造しましょう。
 上の例でもホームページという単語を途中からサイトに変える、などの姑息なテクを使っています。自分なりにガンガン改造して気付けばオリジナル、そんな形が良いんじゃないかと思います。
 特に上で出した質問と自己紹介、アピール点は大抵聞かれますから、それに併せて用意しておくと良いでしょう。

 ただまあ、あんまりにも改造しすぎると、知らず知らずのうちに公道を走れないバケモノになっちゃう可能性があります。
 面接というのはオオヤケの道です。
 どこかで最低限の節度を保ち、浮いたセリフを使いすぎないようにする努力は必要でしょう。

 ちなみに上の例では節度もへったくれもありませんけど、サイトという単語に引っかかって話が弾めば御の字です。
 もちろん今では引越しに伴い閉鎖したとか何とか、適当な事を言って誤魔化してます。
 そりゃあこんなサイトは見せられませんわ。人として。

 ただし。用意した答に頼り切ってはいけません。
 それを聞かれた時はスラスラ言えるのに、それ以外の質問だと長考したりシドロモドロだったり。これでは面接官が木下優樹菜でも気付かれます。
 それを避けるために、ぜひアドリブに強くなりましょう。


 アドリブとは、面接界のドロップキックです。
 これができないレスラーはほとんどいません。そして名手ともなると、ドロップキック一発で流れを変えたり勝利を奪ったりできるのです(馬場やボブ・サップが有名ですね)。
 要するに、基本でもあり必殺技にも成り得るのですよ。
 観客はその威力、跳躍力、フォームの美しさを心の中で採点するのです。東京ドームに6万人の面接官がいるようなもんです。

 だからこそ。
 だからこそプロレスは素晴らしい、もといアドリブは素晴らしいのです。
 さあ練習しましょう。

 かつてアナウンサーの古舘伊知郎は、プロレスの実況をするために「目に見える全てのモノを実況して鍛えた」という逸話があります。
 あの名調子はそんな日々の努力から始まったのです。
 もちろん道の真ん中であの絶叫をされたら私なら通報しますが、彼は車の運転中にやっていたそうですよ。
 そうした時間を有効利用するのもクレバーな手法だと思います。

 「おおーっと! この閑静な住宅街に踏み切りの音が鳴り響いたぁーっ!」

 …バカですね。
 バカですが、愛すべきバカだと思います。そしてこのバカは見事に実況アナの地位を射止めたわけです。
 猪木も言ってました。バカになれ。
 すべての方が参考にできる事例では無いと思いますが、何がしかのヒントになれば幸いです。


 私の場合は前途のテーブルトークRPGで鍛えられました。
 他者と共にパーティーを組むこのゲームでは、自己主張と話を聞く耳の二つが重要です。
 そこで気付いたのは、会話の下手な方や調和の取れない方、空気を読めない方の多くが他者が話している時に自分の言いたい事をスタンバイしてるという事実。
 これでは駄目です。アドリブなんて不可能です。
 言いたい事を言いたくて仕方ないから、他者の話の切れ目を虎視眈々と狙っているのです。だから他者の話を聞けないし、話題が変わってるのに言いたい事に固執するからズレてるんですよ。

 私はいつも思うのです。
 言葉は株です。発言の売り時を逃すと下落する一方です。
 面白い話は皆が聞いてくれますし、つまらない話を押し付けるのは迷惑になります。言葉の株に価値があれば評価というお金が儲かりますし、空気の読めない言葉は一発で評価を下げるでしょう。
 こちらが良い条件を提示しているのにいつまでも価値の下がった株に固執し、それを自分の期待値で売りつけられたら誰だって嫌な思いをするでしょう。
 そういう事なのです。

 皆さん。どうか「捨てる勇気」を持ちましょう。
 その言葉を持ち続けるより、新しい言葉で勝負しましょう。
 そうするとどうなるか。そう、捨てた事によって両手が空くので、新しい言葉をその手にゲットできるのですよ。
 練習次第で素早くアドリブ対応する事が可能になります。


 お笑い芸人を見ていると、ネタとフリートークで面白さが全然変わる連中もいます。
 大抵フリートークの方がコケますが、これはとっさのアドリブというモノがプロでも難しいという事の証明だと思います。
 逆にネタがコケるのは単なる天然です。
 まあ中には「こんなんでプロかよ」などと思ってしまう消えて行った「ですよ」みたいな芸人もいますけど、ともかくアドリブというのは反射に近いですからね。
 入念に練って作るであろうネタとは別モノです。

 アドリブは、準備する事ができません。
 面接の前日に用意するような代物では無いのです。
 だからこそ、普段からの練習がモノを言います。運動不足の人間よりジョギングをしている人間の方が長く軽快に走れるのは当然なのです。
 頑張りましょう。受かるために。
 いつかそれはあなたの必殺技になるはずです。
 柔道の授業でドロップキックを繰り出して先生に張り倒された豪腕からの贈る言葉です。

 では次章にて、禁断の邪道技もご紹介しましょう。




■4章・場外乱闘■


 えらい事になってきました。
 真面目に書いてはおりますが、ここから先はちょっと違います。
 この章では、自己紹介で何にも言う事が無いという悲しい答を無くすため、どうにかして戦ってみたいと思います。

 さて、趣味や自己アピールに関しても様々です。
 よく指南書にはウソを付かないとか書いてありますけど、それは立派なアピール点をすでに持ってる方の場合。
 24時間耐久オナニーとかはさすがに言えません。
 そう、けっこう耳にするのは「特にアピールする事が無いよう」という悲鳴です。
 大丈夫。何とかなります。
 まずは右手を休めて一緒に考えましょう。

 「学生時代に打ち込んでいたものは?」
 「キーボードです」
 はい、よく聞くギャグですね。
 指南書ではどんな人間にも探せばきっと何かある、それを昇華させようとか何とか書いてあります。
 とても勇気の出る言葉ですが、そうやって探した結果何も無かった時の衝撃ってのはエアバッグでも防げません。
 困りました。どうしましょう。
 そんな時はちょっと指南書さんにあっちを向いてもらって、禁じられた呪術を行いましょう。

 そう。デッチ上げです。

 我ながらひどい事を書いてますけど、以下は自己責任にてお読み下さい。
 もちろん奨励はしませんよ? これは禁じられた呪術ですからね?


 さすがにエロゲーはまずい。
 しかしエロゲーをガンガンやってるなら、泣きゲーとかもプレイ済みでしょう。
 最近はシナリオの良いエロゲーも増えたそうですし。
 だったらそれを使わない手はありません。早い話がエロゲーと悟られなければ良いのですよフッフッフ。

 これから書く文章は、さすがに実体験ではありません。だから結果も分かりません。
 でも、何となく逝けそうかな〜という雰囲気でお送りいたします。
 試した結果玉砕どころか親を泣かす結果になっても、当方では責任を持てませんのでご了承下さい。

 例えばそのエロゲーが、欧州のマイナーな映画だったら?
 「趣味は映画鑑賞です。大作ではなくて単館上映系の」
 そして、あまり知られていないであろう映画監督名、いや映画監督ですら無い適当な名前を上げ連ね、もっともらしいタイトルを付けて「泣きゲー」を語る…。
 こんなミエミエの技が通用しますか?
 させるんです。あなたの未来が懸かってます。


 最悪なのは、面接官も映画に詳しかった場合です。
 特に同志が増えたと勘違いされたり、適当に選んだその監督にはそんな作品無いでしょうなどと喝破されたり。
 まだまだ。大丈夫です。
 だってあなたのその趣味は最近始めたばかりだし、その映画はその監督が有名になる前の作品とでも言い抜けましょう。
 今はもう疎遠になった知人に借りたモノですよね? だから現存しないんですよきっと。
 そして、あなたの嘘を見抜くほど映画に詳しい面接官なんてそうそういないはずです。
 見抜かれるとしたらあなたの態度が怪しいからです。
 堂々と話せばいいんです。素晴らしい作品なんですから。

 映画に詳しくも無いのに映画の話を振られると、窮地に陥りそうな気がしますよね?
 まだまだ頑張りましょう。あなたにとっては真実です。
 そんな時のために、魔法の呪文を一つお教えしましょう。

 「名前は聞いた事があります」

 ここだけは実体験ですが、この言葉に何度救われたか分かりません。
 本当に、本当に便利な魔法の呪文です。何しろこれを唱えたら、後は相手が勝手に教えてくれるのですよ。
 劣勢に絶たされたら、この言葉で切り抜けましょう。やがてチャンスは必ず来ます。

 また、攻撃されたら逆に尊敬しちゃうのも手ですよ。
 だってあなたはその趣味を始めたばかりなのだから、ぜひ教えを請いましょう。
 ここでさっきのテーブルトーカーの心理が適用されればバンバンザイです。
 コアなマニアは教えたがる。ここに活路が見出せるかもしれません。


 …などと書いてはみたものの、実際にこれをそのまま実行する猛者だったら普通に話しても受かりそうな気がします。
 この章だけはしょせん机上の空論なので、無邪気に信じて手首切ったりしないようにお願いします。

 しかしよく考えたらこれ、アピール点でも何でもないですね。
 単なる趣味の話になってしまいました。
 そこで真面目に考えてみましたけど、ご安心を。ありましたよ。
 特にアピール点が無い方でも絶対に持っているモノがあります。
 それを使うしか無いでしょう。
 それはぶっちゃけ自分の体であり、ここでアピールすべきは「健康」というワードです。

 引きこもりの末に登校拒否で中退とかまで来ると、さすがに誤魔化しきれないかもしれません。
 そこまで逝っていないのなら何とかなるでしょう。
 つまり、私は健康である。会社を休んだりしない。丈夫に生んでくれた両親に感謝している。そういう事です。
 考えてみたら私もけっこうこれアピールしてましたっけ。入社した週にいきなり有給使いましたけど。
 まあ、何も無いよりはるかにマシですよ。

 ただし、言っちゃったからには頑張って真実にしましょうね。
 世の中に楽な仕事なんて存在しません。あらゆる仕事は面倒くさいです。とっとと悟って、そういうモノだと開き直ればけっこう頑張れるものですよ。
 面接ってのは入っちゃったもん勝ちですけど、せめて入ったからには義理を果たしましょう。世の中はそうやって回っているのですから。

 お前が言うな感バリバリですね。失礼しました。

 後は親会社の営業などを名乗って面接官の情報を聞き出し、それを興信所に持ってって身辺情報から弱みを握(この記事は削除されました)

 え〜、そういうわけで。つらつらと書き連ねた「豪腕面接」ですが。
 次章にて締めといたしましょう。




■終章・そして次期シリーズへ■


 いよいよお別れの時間がやって参りました。
 気付いたら面接の練習というより引きこもりから脱出する方法みたいになっちゃいましたけど、ともかくどんな形にせよ何かのお役に立てれば望外の幸せであります。
 正直今まで述べた方法をすべて実践したとしても、面接に受かるかどうかは分かりません。
 一石三鳥だか何だか偉そうな事を書いてしまいましたが、それはあくまで私・豪腕はりー個人の経験であります。
 実際に受けるのはあなたなのです。
 ですから常に研鑽を重ね、肝心の試合で失敗しないように心がけてください。

 試合じゃないね。
 すげーナチュラルに書いてて自分でも驚きました。

 例えば減点法によって判断する面接官(多いと思います)と当たった場合、いかに減点を少なくするかが勝負です。それにはまず間違わない、緊張しない、アガらない事が重要です。
 ではどうやって緊張を抑えるか? それは自信を付ける事です。
 ならば自信を付けるには? もちろん普段からの練習ですよ。
 流した汗は裏切らないのです。
 すべての練習はすなわち経験です。経験は後になって役に立ちます。役に立たない経験なんてありません。もしそう感じるなら、それはあなたがまだ役に立てていないだけなのです。

 ちなみに、おまわりさん相手に本当に汗を流すとアクリル越しに親と面接する羽目になりますので、ゆめゆめ気を付けましょう。


 後はもう神頼みくらいしか無いです。
 緊張しないおまじないとか、効く方は相当に効くらしいですよ。
 私が知っているのは両手の親指を強く握るという奴。手を握ったり開いたりも効果があるみたいです。
 また30分くらい前に現地に行き、歩き回る事で緊張を鎮めると良い、と知人が申しておりました。
 この手の話はネットにいくらでも転がってるので、納得が行くまで調べてみましょう。

 家を出る前、いつまでもネクタイの結び目を気にしていると危険ですよ。
 カレーうどんやスープパスタは跳ねるから危険ですよ。
 トニックシャンプーは髪質によってフケが出るから危険ですよ。
 鏡は上向き加減で見ないと鼻毛のチェックができませんよ。
 もし忘れ物をしても、その事自体を忘れた方が良いですよ。途中で買えるならともかく、悔やんだ所で忘れ物は戻ってきませんよ。

 んで、一通りチェックしたら、勇気を出して家を出ましょう。その扉はあなたの未来に繋がっているはずです。
 行ってらっしゃい。気を付けてね。
 帰ったら一緒に祝杯をあげよう。楽しみに待ってるから。





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