第四十一話 「不死鳥よ!逆噴射の幻夢界へ舞いもどれ」(83/12/16)
  脚本・上原正三 監督・小西通雄

 グランドバースの戦闘データを見たレイダーは、
封じ込める自信があると魔王サイコに進言する。
 東京大要塞計画を成功させるには、
グランドバースを撃退しなければならない。
 サイコはレイダーに作戦を任せた。

 千恵と明は東京の地下鉄を調べに行き、
途中大山小次郎に会う。
 一緒になった三人は駅の出口を捜しているうちに、
男性が拉致されているのを目撃した。
 後をつけると突然異次元空間に迷い込み、
トンネルへと飛ばされる。

 地表に熱反応があるとリリィから連絡を受けた電は、
マドー戦闘機のルートではないかと思い現場へ向かった。
 そこでマドー戦闘機に襲われた電はトンネルへ逃げ込み、
小次郎たちと出会う。

 トンネルはマドー戦闘機の飛行ルートにされていた。
 三人を逃がした電は赤射してグランドバースを呼ぶ。
 地下鉄公団の理事長が拉致されたとリリィから聞いたシャリバンは、
奥多摩のマドー基地へ地下鉄ルートを使って運ばれたのだと判断。
 襲ってきたマドー戦闘機をグランドバースで駆逐した。

 だがグランドバースの活躍はそこまでであった。
 レイダーのエクトプラズムで視界をふさがれ、
武器の命中精度を落とされてしまったのである。
 マドー戦闘母艦の砲撃に退却するしかなかった。

 グランドバースの撃退に成功したマドーは、
網の目のようにめぐらされている地下鉄の通路を、
戦闘機の航路にしようとたくらむ。
 東京全体を要塞にしようというのだ。
 さらった理事長は脳手術を施し、
意のままに操るつもりであった。

 コム長官とマリーンの分析結果をもとに、
リリィはエクトプラズムを透視できるゴーグルの製作に取りかかる。

 電はマドーの基地に潜入して理事長を助け出し、
現れたアナホリビーストを赤射して倒した。

 空中戦に自信を持っているマドーは、
戦闘母艦で攻撃を加えてきた。
 シャリバンがグランドバースを呼ぶと、
レイダーは再びエクトプラズムを浴びせてくる。
 完成したプリズムゴーグルを用い、
シャリバンは新技プラズマジェッターでマドー戦闘母艦を粉砕。
 マドー基地はリリィがシャリンガータンクで破壊した。


 「オゼバン談」

 OPなどでも使っている2話のロープアクションなど、
使い回しのシーンが多いため、
電の衣装が前のバージョンにもどっています。
 撮影が押していたのでしょうか?

 小次郎の目の前で赤射したのは危なかったです。

 理事長は少しヒッチコック似。

 第1話からやられ役が確定していたマドー戦闘母艦ですが、
初めてまともに闘うことが出来ました。
 けど、やっぱり最後は……。

 挿入歌の「超次元戦斗母艦グランドバース」は二番を使用。

 アナホリビーストは脳味噌むき出し。
 穴を掘るとき砂をかぶって大変そうです。
 片手で地面をかいてすべる姿は滑稽でした。

 グランドバースの新技「プラズマジェッター」登場。
 でも、グランドバース最強の技は、バースビーム、
グランドバスター、プラズマカノンの同時発射だと信じます。

 この回もシャリバンの打撃必殺技は無し。

 大葉氏の出演も無し。





  第四十二話 「戦場を駈けぬけた女戦士の真赤な青春」(83/12/23)
  脚本・上原正三 監督・小西通雄

 一人訓練に励むベル・ヘレンをマドーが襲った。
 だが、力をつけているヘレンの前に苦戦し、
何とか両手の自由を奪うも、シャリバンに救出されてしまう。
 腕を上げたと電に誉められたヘレンは、
イガ獅子をあしらったZ旗を嬉しそうに見せ、
イガ星再興の夢を語った。

 ヘレンが襲われるのではないかと思ったリリィは、
発信器つきの指輪を作っていた。
 電は指輪をヘレンにはめてあげ、用心するように言う。

 魔王サイコにヘレンを倒す方法を尋ねられたレイダーは、
霊界より女剣士レイサを呼び寄せた。
 レイサはヘレンの後をつけ回したが、
背中にさえ隙を見いだすことが出来なかった。

 電は用意しておいた隠れ家へヘレンを案内する途中、
ダムの水面を見つめている思いつめた感じの女性を見かける。
 女性は二人の視線を感じると目をそらして立ち去った。

 ダムの脇の建物内にこしらえた隠れ家へ、
電はヘレン一人を残して帰る。

 イガ星へ行くことを夢見ながらZ旗を握りしめるヘレン。
 突如鳴った警報にモニターのスイッチを入れた。
 ダムの上にさきほど見かけた女性が、
花を抱え沈鬱な表情で立っている。
 自殺するのではないかと思ったヘレンは、
隠れ家を出て女性のもとへ行った。

 ここで婚約者を失ったと女性から聞き、
ヘレンは死んでしまったジムのことを思い出す。
 感傷にひたるヘレンに突然斬りかかる女性。
 女剣士レイサは正体を現した。

 ヘレンは発信器のスイッチを入れ、
すばやく戦闘服へ着替えた。
 剣を手に斬り合うヘレンとレイサ。
 ヘレンは隙をつき、銃でレイサを撃ち抜いた。
 勝負は付いたかに見えた。
 しかし、レイサは最後の力をふりしぼってエクトプラズムを吐き、
ヘレンを動けなくしてしまう。
 ムクロビーストの攻撃を受け、
ミスアクマ達の投げナイフをくらったヘレンは、
ついに力つきた。

 連絡を受けた電がジープで駆けつけたとき、
ヘレンは路面に横たわっていた。
 電はファイトローをジープでなぎ倒し、
ヘレンを抱きかかえる。
「シャリバン……ごめんね……」
 くちびるを震わせるヘレン。
 電はマドー一味をにらみつけると、
静かにヘレンを横たえ、走りながら絶叫した。
「ぅぁぁあああああああ! 赤射ぁーッ!」
 燃え上がるように電の体を覆うコンバットスーツ。
 赤い光球はマドー一味を次々とうち倒し、
やがて人間の形を取り戻した。
「宇宙刑事シャリバン!」
 いきなり剣を抜いたシャリバンは、
立ちはだかるものを次から次へと斬って斬って斬りまくった。
 最後の敵ムクロビーストもシャリバンクラッシュで粉砕し、
ヘレンの元へもどる。

 グランドバースに収容されたヘレンは、
瀕死の状態であった。
 励ます電の声にうっすらと目を開いたヘレンは、
電と共にイガ星へ行った夢を見る。
 ヘレンは首にかけていたイガ獅子のペンダントを差し出した。
 電が受け取り、手を握りしめたとき、
ヘレンの体から力が抜ける。
 電はヘレンにZ旗をかけてあげた。

 夕日を浴びながらジープで走る電。
 路傍に車を止め、ヘレンのペンダントを握りしめた。
「出てこい。出てこいマドー!」
 電の心に悲しみと怒りが渦巻いていた。


 「オゼバン談」

 宇宙刑事シリーズを通しても、
一番にあげる人は多いであろう変身シーン。
 熱のこもったすさまじさは、
怒りに全身が燃え上がっていくようです(赤いシャリバンならではの映像)。
 渡氏は映画「スーパーマン」で、
恋人を失ったスーパーマンが空に向かって叫ぶシーンを参考にしたとか。
 たしかに素晴らしい赤射で私も大好きです。
 しかし、なぜか語られることのない直後の殺陣にも注目して下さい。
 殺陣のパターンができていない初期で一度ありましたが、
「宇宙刑事シャリバン!」と名乗りをあげた後、
いきなり剣を抜いてザコキャラに斬りかかることがあったでしょうか。
 頭に血が上りきっている伊賀電をうまく表現できていると思います。
「こいつらをぶちのめしてくれ!」
 と誰もが思っているときに、
思った以上の行動をとってくれたシャリバン。
 何度観ても高揚するのはそのせいでしょう。
 ファンなら赤射シーンのみではなく、
そこまで含めて最高の演出だったと言うべきです。
 そうでないと小西監督や金田治氏に失礼だと思います。

 渡氏は本当は「赤射!」と叫ばず、
「ウォォォ」と獣的な叫び声をあげて赤い光に包まれたかったそうです。
 当日、現場には見物人が多くいたらしいですが、
渡氏の叫ぶ声の大きさに耳をふさいだくらいだったとか。
 渡氏いわく、とにかく叫んだそうです。

 伊賀電の衣装は白いブルゾンにもどっていました。

 ヘレンは最初から死ぬ予定で作られたキャラらしいですが、
それにしてもなぜ伊賀電はグランドバースに住ませてあげなかったのか、
モトシャリアンで駆けつけなかったのかは謎です。
 殺すためと言ってしまえばそれまでですが……。
(程度の低いツッコミになっているかもしれませんが、
 ヘレンファンということでご容赦ください)

 ヘレンの衣装替えも赤射並のスピードでした。
 どの衣装もよく似合っています。
 LDジャケットの写真にも感動しましたが、
内側のヘレンと電がZ旗を持っている写真もいいですよ。

 レイサ役の湖条千秋さんは宝塚出身。
(芸名は宝塚時代に友人が名づけてくれたのだとか)
 デンジマンのケラー役がTVデビューで、
マシンマンのレディーMなども演じられています。

 大葉氏の出演は無し。





  第四十三話 「母と子の愛の涙が天国への道に流れる」(83/12/30)
  脚本・高久進 監督・田中秀夫

 大山小次郎は子供たちを集めてキモだめし大会を催した。
 墓地にある古い花を最初に持って帰ってきた者に、
UFOの写真をやると言われ、子供たちは喜んで墓地へ行く。

 子供たちは声がする墓を不思議に思い近づくと、
とつじょ女性が飛び出して光線を浴びせてきた。

 高熱を出して寝込んでしまった子供たち。
 医者が診ても原因不明で、
奇病に不信感を持った電は、小次郎に墓地へ案内してもらった。

 電が一人で墓地の近辺を調べているうちに、
小次郎は白装束の女性を目にする。
 女性はレイカイビーストに変身し、
小次郎にも光線を浴びせて奇病に冒させた。
 もどってきた電も女性に襲われたが、赤射してしのいだ。

 リリィは墓地から生き返った女性について調べた。
 一家六人を乗せた車が岸壁から海へ飛び込んだときの運転手で、
一人だけ奇跡的に脱出したという。
 その後、死んだ五人に多額の保険金がかけられていたことが分かり、
保険金詐欺で逮捕、死刑が求刑された。
 判決が下される前に病死してしまった彼女は、
最近になって無実が明らかになったという。

 世の中に恨みを抱く女性が生き返り、
人々を病気にしている。
 背後にマドーの気配を感じた電は、
修学旅行に行っていて難を免れた女性の娘を探しに行く。

 マドーはレイダーの力で死霊界にいる霊をいっせいに生き返らせ、
人間社会を不安と恐怖の大混乱におとしいれようとたくらんでいた。
 霊をビーストの体内に宿らせれば最強のビーストが出来る。
 レイカイビーストはそのテストであった。

 娘の足取りがつかめない電は再び墓地へ行き娘を発見する。
 リリィから亡霊が暴れているとの緊急連絡を受け、
電は現場へ向かった。

 女性は世の中に恨みを持つ霊たちを呼び起こそうとしていた。
 罪のない子を苦しめるなと言う電に、
女性は子供たちを助けたければ抵抗するな、そうすれば助かる、
と電を無抵抗にしておいて岩場に叩きつける。

 苦しむ電のもとへ娘が駆けつけ、泣きながら訴えた。
「お母さんは悪くない、誰が何と言おうと私だけは信じている。
 だから、何の罪もないお友達を苦しめないで」
 女性は顔が穏やかになり、その場へくずれた。

 レイカイビーストから女性が抜け出すのを見た電は、
赤射して応戦、シャリバンクラッシュでとどめをさした。
 悪霊が消えるとともに奇病に冒されていた人たちも元に戻る。

 電とリリィは娘とともに女性の墓参りをした。
 女性は卒塔婆に「さようなら」の文字を記し、
優しい笑みを浮かべて空に吸い込まれていった。


 「オゼバン談」

 シャリバンの全話の流れの中で、
この回が一番違和感を感じました。
 ヘレンが死んだ次の回としてはつながりが悪すぎるのです。
「出てこい。出てこいマドー!」と叫んだ翌週のわりには、
戦闘への入り方があっさりしすぎています。
 マドーに対してどのような怒りをぶつけていくのかと期待していたところ、
全然関係のない話が始まり、当時も唖然とした記憶があります。
 母と娘の愛をよく描けていますが、
自分としてはヘレンの残したブーメランを電が投げつけるような、
熱いものが伝わってくるシーンを入れて欲しかったです。

 電が娘の前で赤射してしまいますが、
おそらく娘は泣き崩れていたのでしょう。

 この回はクライムバスターの発射回数がやけに多いです。
 第40話、第41話もそうですが、
クリスマスやお正月の時期ですからご容赦ください。

 再生怪人軍団が出てきて画面は派手でしたが、
やっぱり戦闘員並の弱さでした。
 ショーで使われたのか、ちょっとこ汚いです。

 大葉氏の出演は無し。





  第四十四話 「バラの香りに満ちた真夜中のシンデレラ」(84/1/6)
  脚本・上原正三 監督・田中秀夫

 アンコウビーストは大学の女子寮に忍び込み、
生徒達をガスで眠らせた。
 マドーはビーストビールスを吸入させ、
魔獣の心を持たせる実験場として、
電が踏み込むことの出来ない男子禁制の女子寮を選んだのである。

 テニスの試合を見に行った電は、
千秋の試合相手の鋭いサーブに驚き、
獣のような目の光りに怪しさを感じた。

 どんな練習をしているのか調べに行った電は、
女子寮ゆえに立ち入ることが出来なかった。
 そこで、リリィが潜入調査をするも、
アンコウビーストのガスを吸わされて意識を失ってしまう。

 もどってこないリリィを心配した電は女子寮へ向かったが、
とっくに帰ったと追い払われる。
 電は女子寮へ忍び込み、別の空間へ飛ばされて、
ベッドに横たわるリリィを発見した。

 アンコウビーストに襲われた電をリリィが蹴って救った。
 リリィはガスを吸っていなかったのである。
 リリィを逃がした電は赤射して、
シャリバンクラッシュでアンコウビーストを粉砕した。

 アンコウビーストが倒れると、
女子大生の獣性化も解け、元に戻ることが出来た。


 「オゼバン談」

 城東大学は第28話にも出てきました。
 はたして同じ大学なのでしょうか?

 超電子バイオマン・二代目イエローフォー役の田中澄子さんが、
クラシック好きの女子大生役で出演されています。
 OPにも名前が出ていますし、
これまでのものとは違い、誰にでも発見することが出来るでしょう。

 何百年後に地球全体が獣性化するとは少し気が長すぎます。
 マドーにそんな余裕があるとは思えません。

 リリィが息を止めてガスを吸いませんでした。
「宇宙刑事ギャバン」の頃からそうでしたが、
宇宙刑事にはやはり、
一時的に呼吸の必要を無くすことが出来る技術があるみたいです。

 女子大生の巫女集団に襲われる時から、
渡氏が少し足を引きずり気味に走っていらっしゃいます。
 どこかケガをされたのかもしれません。
 骨折した回と同じ様子なので、再び痛めたのかも。

 大葉氏の出演は無し。





  第四十五話 「オーディションの罠 ちびっ子大スター」(84/1/13)
  脚本・上原正三 監督・田中秀夫

 マドーの乗っ取りをたくらむレイダーは、
目障りなドクターポルターに悪夢を見せ混乱に陥れた。
 ドクターポルターは魔王サイコに休むよう言い渡される。

 シャリバンに倒された魔怪獣の悲鳴が耳につき、
寝つけないドクターポルターは、
レイダーのすすめで魔怪獣のために供養塔を建てることにした。
 生け贄の子供が霊の数だけ必要と聞き、
ちびっ子スターオーディションを開いて子供たちを集める。

 明と友達がいなくなったと聞いた電は、
近所を探し回ったが見つけることが出来なかった。
 リリィから怪しいオーディションが開かれているとの連絡を受け、
電は会場へ向かうも、すでに連れ去られた後であった。

 電は捜索を続けたが、
どうしても子供たちの足取りがつかめない。
 突如、どこからともなく不気味な声がして、
子供たちの居場所を教えてくれた。
 早く行かないと殺されると聞き、
声の主がレイダーと思いつつも電は急行する。

 供養塔に辿り着いた電はマドー一味を前に赤射、
子供たちを救出してリリィに逃がさせ、
自分はムクロビーストと戦い、シャリバンクラッシュでとどめを刺した。

 シャリバンの攻撃を受け、
フラフラになりながら幻夢城へ逃げ帰ったドクターポルターを見て、
レイダーの陰謀に薄々気づいていたサイコは、
椅子の下敷きにしていたガイラー将軍を復帰させ、
自分の周りを警護させることにした。


 「オゼバン談」

 ムクロビーストの扮した偽チャップリンが胡散臭さ満点。

 ドクターポルターの祈祷のときの顔がすごいことになっています。
 吉岡ひとみさんの熱演が光る!

 リリィが大型ブラスターで駆けつけますが、
衣装がこれまでで一番カッコ悪かったです。

「エルボーハンマー」は、
挿入歌では背面の敵への攻撃と歌われているのですが、
前回といい、今回といい、
正面へのただの肘打ちにしか見えません。
 後ろから羽交い締めしてきた敵に身をよじって肘を打ちつけ、
そのまま竹とんぼのように回転しながら脱出、
「スパークボンバー」へとつなげて欲しいです。

 柴原版「スパークボンバー」が初登場。
 しかし、回転シーンと腕を突き出すシーンが別撮りでした。
 キレも若干悪く、
柴原孝典氏はこの時点では苦手な技だったのかもしれません。

 その代わりなのか第43話に続き、
「クライムバスター」の発射回数がやたらと多かったです。
 子供たちを解放する直前のファイトローに放った五連射は、
かなりのかっこよさで真似したくなります。

 大葉氏の出演は無し。





  第四十六話 「誕生日の約束 大空の夢をえがく飛行雲」(84/1/20)
  脚本・久保田圭司 監督・小西通雄

 マドーは日本征服の拠点となる基地を北関東の山に建設していた。
 自分抜きで事を運ばれたことに怒ったレイダーは、
基地の上にマドーのマークを現し、
小型飛行機で空撮しているカメラマンに写真を撮らせる。

 基地を撮影されていることに気づいたマドーは、
戦闘機を発進させたが、
グランドバースのレーダーにキャッチされ退散した。

 逃げ延びた小型飛行機のパイロットとカメラマンは、
空港から現像所へ向かおうとしてマドー一味に襲われる。
 プレゼントビーストの光線を浴びたカメラマンは、
フィルムをパイロットに託した。
 パイロットは逃げそびれ、フィルムを奪われそうになったが、
駆けつけた電が逃がす。

 その後、パイロットは気を失い、
目を覚ましたときには夜になっていた。
 パイロットは息子の誕生日であることを思い出し家路を急ぐ。

 リリィはパイロットの身元を割り出した。
 航空写真会社に勤めていると聞いた電は、
バイロットがフィルムを持っていたことを思い出し、
マドーはそれを狙っていると判断する。

 サイコはフィルムを取り戻し、目撃者を消すよう指示した。
 ガイラー将軍はパイロットの家を割り出し、家族を人質に取って、
電話をかけてきたパイロットにフィルムを持ってくるよう要求する。

 電はパイロットを見つけ行くのを阻んだ。
 マドー一味も現れ、もみあううちに、
電はフィルムをすり替えて赤射した。

 その間にパイロットは家へもどり、
レイダーにフィルムを奪われてしまう。
 しかし、それは偽物であった。

 電はグランドバースにフィルムを持ち帰り、
リリィに同じ地形を検索してもらった。
 場所を特定した電はグランドバースで基地を破壊、
飛び出してきたマドー一味を赤射して蹴散らし、
プレゼントビーストを倒す。

 パイロットから模型の飛行機をプレゼントされた息子は、
友達といっしょに公園へ行き、
大空へ飛ばして父と同じ職業になることを決意した。


 「オゼバン談」

 レイダーはこれまで自分のことを「わし」と言っていたのに、
冒頭では「俺様」と言っています。

 カメラマン役としてJACの岡本美登氏が出演。
 19話では仮面怪人に殺されていました。
 プロフィールによると、このかたも愛媛出身で、
ニックネームは「おかぼん」、
好きな女性のタイプは「健康な人だったら」だそうです(いい人だ)。
 けっこう二枚目声ですよね。

 セスナ一機落とせないマドー戦闘機は悲しすぎます。

 子供に子供みたいな人と言われた小次郎さん。
 あの明るさは見習いたいものです。

 プレゼントビーストはビックリするほどかわいらしい魔怪獣でした。
 ドールビーストと並べると同じ製造元とはとても思えません。
 仮面ライダーとクモ男くらい違います。
 スタッフが気色悪すぎた魔怪獣に反省したのかも。
 頭の箱の中に何が入っているのかは謎ですが、
ユーフォービーストみたいな顔だったら油断した分ショックは大きいはず。
 でも、リボンが解きたくてしかたありませんでした。

 最後のシーンで、子供を見守る電が、
握った右手の親指を立てて(いわゆるサムアップ)、
リリィと上首尾を喜び合いますが、
現在、大葉氏もカメラを向けられると、
このポーズを好んでされるそうです(JAC笑いも健在とか)。

 大葉氏の出演は無し。





  第四十七話 「幸福をねがう兄と妹 火花散る正剣邪剣」(84/1/27)
  脚本・湯山晃行 監督・小西通雄

 登山に来ていた兄妹は突然の雨に洞窟へ逃げ込み、
たき火で暖をとった。
 不審な気配を感じ、
洞窟内を調べているうちに落とし穴にはまってしまった兄妹は、
地下の部屋へ辿り着き、台座にすえられた剣を手に入れる。

 電はマドーとの戦いの中に一時のやすらぎを得るため、
生まれ故郷の奥伊賀島へ行き、伊賀獅子の剣を目にする。
 聖なる者が現れ、
伊賀獅子の剣はイガ星の守り刀・聖なる剣であることを電に伝えた。

 兄妹が手に入れた剣は、
マドーに伝説として伝わる無敵のデビルの剣であった。
 マドーは古美術商に、
デビルの剣らしき物を持ち込んだ男がいるとの情報を得、動き始める。

 剣を売りたがっていた兄は、
二億円で引き取りたいと名乗り出た男に譲ろうとしたが、
妹は警察に届けてくれと哀願した。
 いったんは妹の願いを聞き入れた兄も、
こんなチャンスは二度と訪れないと剣の取引に応じることにする。

 兄がいなくなったので探して欲しいと妹に頼まれ、
電は取引先と思われる古美術商をジープで回った。

 兄は古美術商に剣を五億で引き取ってくれとふっかけ、
マドー一味に捕まってしまう。
 取引を名乗り出た男はケンキャクビーストだった。

 一足遅れた電は兄を連れ去った車のナンバーをリリィに連絡し、
追跡するよう指示、リリィは絵画館の裏へ入ったと報告する。

 兄はマドーに奪われそうになった剣を取り返し車で逃走したが、
妹を人質に取られ再び剣を奪われてしまう。
 ガイラー将軍の電光剣に吹き飛ばされ兄を
駆けつけた電が赤射して救った。

 デビルの剣を手に向かってくるケンキャクビースト、
必殺のシャリバンクラッシュまで受け止められ、
苦しんだシャリバンは聖なる剣を呼ぶ。
 聖なる剣は自らの意志でデビルの剣をはじき飛ばし、
ケンキャクビーストの胸に突き立った。
 チャンスとみたシャリバンは、
再びシャリバンクラッシュを繰り出しとどめを刺す。

 妹は約束を破った兄を許し、
もう一度兄妹力を合わせて夢の実現へ向け歩き出した。


 「オゼバン談」

 ミスアクマ1役の長門美雪さんはこの回が最後で、
次回より丸山千絵子さんが復帰します。
 ファンコレの記載は間違っておりますので、
スタッフ紹介などを引用している人はご注意ください。

 兄妹の夢である小さな食堂はロッテリアみたいです。

 ケンキャクビーストは、
マゲを結っているのに横はザンバラという面白い髪型。
 ショウリビーストに続いてシャリバンクラッシュを破ります。

 メカシーンが使い回されるのは、
予算上ある程度しかたのないことかもしれませんが、
ヘレンが死んだ回のザコキャラ斬りのシーンはやめて欲しかったです。
 印象深いだけにがっかりしました。

 聖なる剣はデビルの剣に比べると地味すぎのような気がします。
 第20話で獅子の石碑からの光線を受けて輝いた時のように、
エネルギーを注入して金色に光らせれば、
レーザーブレードとの二刀流もかっこよさ三倍になったことでしょう。
 光の残像を考えただけで美しいです。

 大葉氏の出演は無し。





  第四十八話 「ミミー」(84/2/3)
  脚本・上原正三 監督・田中秀夫

 銀河連邦警察バード星本部から、
緊急発信が全銀河の宇宙刑事に発せられた。
 コム長官の娘ミミーが、
宇宙海賊ベムサソリにさらわれたのである。

 銀河パトロール隊隊長のギャバンはベムサソリの本拠地を急襲した。
 しかし、そこにミミーの影はなく、ギャバンは別の星雲へ向かう。

 ベムサソリはミミーを連れて幻夢城へ行き、
魔王サイコより褒美を受けた。
 サイコはミミーを八つ裂きにしてバード星へ送ろうとしたが、
レイダーはガイラー将軍の子供を産ませてコム長官を苦しめた方がいいと進言、
サイコに受け入れられる。

 ガイラー将軍とミミーの結婚がグランドバースへ伝えられた。
 事実を知らされたコム長官は悩み苦しむ。

 宴の最中、ガイラー将軍は抜け出して、
ミミーが閉じこめられている部屋へ行った。
 柱に縛られたミミーを見て、
同情したガイラー将軍は鎖を解いてやる。
 ミミーは隙を見て逃走したが、再び捕らわれた。

 午後一時に婚儀が執り行われるとの通信を受け、
電はいてもたってもいられず、
幻夢城への通路を求めてジープで捜索に出る。

 婚儀が始まり、ガイラー将軍がミミーに指輪をはめようとしたとき、
レーザービジョンでインコに変身したミミーは出口を求めてはばたいた。

 ジープで走行中、助けを呼ぶミミーの声を聞いた電は洞窟に入る。
 ミミーはマドー一味に追われていた。
 赤射してミミーを逃がした電はマドー一味を蹴散らし、
ベムサソリをシャリバンクラッシュで粉砕した。

 ミミーが逃げてきた道は幻夢城へ通じるサイコゾーンのはず。
 シャリバンは必死になって探したが発見には至らなかった。

 ミミーが無事保護されたと知り、コム長官とギャバンは安堵した。


 「オゼバン談」

 ギャバン、ミミー、コム長官、マリーンと、
前作の貯金を有効利用したことが、
「宇宙刑事シャリバン」を名作にした理由の一つでしょう。
 いずれも演技の上手いかたを起用しており、
この回は苦悩するコム長官など見所が多いです。
「代わってやりたい」発言は当時も話題を呼び、
誰もがコム長官の花嫁姿を想像しました。

「宇宙刑事ギャバン」では、
マリーンはバード星ではヘルメットをかぶっていなかったのに、
本作ではかぶるようになっています。

 ドルギラン、サイバリアンとメカまで再登場して嬉しさ百倍。
 特にサイバリアンはモトシャリアンとは違いハンドルがきれるため、
バイクアクションが見栄えします。

 コム長官が手にしていたミミーの写真は、
トレーディングカード「宇宙刑事列伝」ナンバー92と、
同じ日に撮影されたみたいです。
 ミミーファンは必携、間違いなくみとれます。
 この回の叶和貴子さんは走るシーンが多くて大変そうでした。

 ギャバンのスーツにも柴原氏が入られたみたいです。
 このかたは剣技のキレが素晴らしく、
その才能を買われて村上氏の後を引き継いだのだと思われます。
(村上氏は素手のアクションが抜群でした)
 ベムサソリと手下二人の三人と幻夢界で対決しますが、
アクション、剣技ともに気合いが入っており、画面は華やかでした。

 クイックモーションの赤射あり。

 宴の最中ドクターポルターが微妙な表情をしています。
 ガイラー将軍が幸せになることが気に入らないのでしょうか?

 大葉氏の出演は二ヶ所。
 なんと前回の出演から三カ月以上間があいています。





  第四十九話 「ガマゴン」(84/2/10)
  脚本・上原正三 監督・田中秀夫

ミミーはみゆきの写真を見ながら念じ、
灯台が建っている岬の風景を目にする。
 リリィはミミーが描いた風景画と一致する地形を検索した。

 伊賀電はそこへ向かい女性の悲鳴を聞く。
 灯台の中では、みゆきたちが異星人に襲われていたのだ。
 電は飛びかかって異星人を撃退した。

 イガクリスタルは見失ったが、
聖なる者が導いて下さるというみゆきを連れて灯台を出ると、
突然みゆきは走り出し、洞窟の中へ入っていった。
 追っていった電と少女たちは、
イガクリスタルが光っているのを目にする。

 電はイガクリスタルの守りを少女たちに任せ、
コム長官へ報告するためいったんグランドバースへもどった。

 魔王サイコは全宇宙の惑星を支配下に収めようとたくらんでいた。
 そのためには光子エネルギー結晶・イガクリスタルを手に入れる必要がある。
 サイコはイガクリスタルを持ってきた者に大幹部の椅子を与えると約束した。

 エネルギー探知機を使って捜索を続けるドクターポルターの前に、
電が立ちはだかった。
 赤射してマドー一味を追い払うことに成功した電は、
イガクリスタルのもとへ行き守備をかためる。

 イガクリスタル強奪に失敗したドクターポルターとガイラー将軍に続き、
レイダーが出陣した。
 レイダーは呼び寄せておいたガマゴン大王の光に敏感な能力を使い、
イガクリスタルのある洞窟の入り口へ辿り着く。
 電は赤射してイガクリスタルを守ったが、
ガマゴン大王に奪われてしまった。

 ガイラー将軍はイガクリスタルを諦め、
シャリバンと一騎打ちをして手柄にしようと目論む。
 幻夢界に入りパワーアップしたガイラー将軍は善戦するも、
シャリバンクラッシュに倒れた。

 イガクリスタルを失い落胆するシャリバンと少女たち。
 聖なる者はなぜ守ってくれなかったのかというみゆきの問いに、
シャリバンは必ず取り返してみせるとしか答えられなかった。

 イガクリスタルを持って帰ったレイダーは、
約束通り大幹部の椅子に座ることとなった。


 「オゼバン談」

 みゆきたちの居場所のヒント、見事なデッサンと、
この回もミミーが大活躍。
 映れば映るほど嬉しい?

 チェンジフェニックスの大石麻衣さんがセリフをもらっています。
 立ち位置からいっても柿崎澄子さんの次の位置づけみたいです。
 OPでも一番上に名前がありました(大内弘子)。

 ガマゴン大王再登場、口元が笑っているのがおかしいです。
 いきなりマドーの女性陣を舐めまわすエロジジイぶりに唖然。
 笑い方もいかにもスケベそう。
 けど、イガクリスタルを奪って守りきり、
持って帰ったのはガマゴン大王です。
 彼こそ大幹部の椅子に座るべきなのでは?

 シャリバンとガイラー将軍の一騎打ちは激しさ満点。
 剣と剣の戦いはやっぱり興奮します。
 本気を出せばガイラー将軍も強いのですね。
 しかし、幻夢界ではガイラー将軍がパワーアップしたというよりは、
電光剣がパワーアップしたように見えました。

 本放送の時には、
「ソ連のアンドロポフ書記長死去」のニュース速報が入ったそうです。

 イガクリスタルを奪われたことが、
最終回への伏線となっていることも見逃せません。
 聖なる者は思慮深いのでした。

 大葉氏の出演は無し。





  第五十話 「海坊主」(84/2/17)
  脚本・上原正三 監督・田中秀夫

 ミミーは魔王サイコの絵を見ながら念じたが、
どうしても幻夢城へのルートを透視することは出来なかった。

 マドーはサイコの人工頭脳を数千倍にパワーアップするため、
イガクリスタル・エネルギー発生装置の開発を急いでいた。

 レイダーの幻夢城乗っ取り計画に気づいていたサイコは、
シャリバン討伐を命じ共倒れをはかる。
 レイダーは逆にチャンスと見てガマゴン大王とともに向かった。
 二人を監視していたミスアクマ2は、
気づかれてガマゴン大王に食べられてしまう。

 少女たちを見つけたガマゴン大王は、
早速襲いかかったが、駆けつけた電に邪魔をされた。
 レイダーは電が赤射するとサイコゾーンへ導き、
幻夢城へ向かわせる。
 サイコは幻夢界を発生させて阻んだ。

 シャリバンをガマゴンに任せ幻夢城へもどったレイダーは、
サイコの電子頭脳を破壊して身動きをとれなくした。

 一方、ガマゴン大王はシャリバンを苦しめていた。
 父と母の幻影を見たシャリバンは「負けてたまるか!」と奮起。
 聖なる剣を呼んで、
レーザーブレードとの二刀流でガマゴン大王を仕留める。

 ドクターポルターに催眠術をかけエネルギー発生装置を製造させ、
万年王国を築きあげようと目論むレイダー。
 突如、白いスーツを着たスキンヘッドの男が現れ、
魔王サイコを名乗る。
 男はサイコと合体して再び分離、
動けなかったサイコは意識を取り戻した。
 サイコは命を二分して男に持たせていたのだ。
 男はサイコラーに変身しレイダーを葬り去った。

 サイコラーは目障りなシャリバンをも消すため、電を襲った。
 電は赤射して応戦、シャリバンクラッシュで倒したが、
サイコラーはサイコから命を注いでもらい生き返る。
 サイコとサイコラーは同時に倒さないかぎり何度でも復活するのであった。

 双剣から光線を発しシャリバンを苦しめるサイコラー。
 リリィがブラスターで援護するも、
シャリバンは傷を負い動きがままならない。

 ファイトローも現れ危ういところへ、
オルガナイザーのリタとキースが助太刀に入り、
なんとか敵を退けた。

 リタとキースにイガ星の末裔がいることを聞かされた電は、
イガクリスタル奪還に向け決意を新たにした。


 「オゼバン談」

「ミミー」「ガマゴン」「海坊主」と、
知らない人が聞いたら何のこっちゃ分からないタイトルが続きました。

 マドー戦闘母艦は、
二千年前から同じ物を使っているみたいです。
 弱いのはそのせいもあるのでしょうが、
砲台の向きを見ても分かるとおり、
本来は地表を攻撃する爆撃用とみられるため、
魔王サイコの運用ミスもあると思われます。

 女性を舐めたがるガマゴン大王のエロジジイぶりはあいかわらずで、
食べられてしまったミスアクマ2には同情を禁じ得ません。

 小次郎さんの拳法にも注目。

 第一話からちらちらと意味ありげに出演していたスキンヘッドの男が、
ここにきてサイコの分身であったことが分かります。
 ファイトローの偵察要員であるとばかり信じ込んでいたため、
当時は驚かされたものです。
 ただ、最初からこの設定ではなかったみたいですので、
驚いたのも当然かも。
 一年間頭と眉をそり続けた山田一善氏は、
実生活では大変苦労されたのではないかと思われます。
 なかなか出来ることではありません。

 やはり聖なる剣にもエネルギーを注入して欲しかったです。
 ストーリー上において意味を持つ剣のほうが地味なのはかわいそう。

 リタ役のシェリーさんとキース役の高橋利通氏が再登場。
 シェリーさんはテンポのよいアクションで頑張っていらっしゃいました。
 高橋氏のキースは槍も使うようになっています。
 ちいさなおじさんムーアは戦死した?

 サイコとサイコラーは同時に倒さなければならない!
 こうしてギャバン隊長がやってくることになるのでした。
 ただ出すのではなく、意味のある登場のさせかたには感服します。
 さすが上原正三氏!

 大葉氏の出演は無し。
 次回まで我慢、我慢。





  第五十一話 「赤射・蒸着」(84/2/24)
  脚本・上原正三 監督・田中秀夫

 戦士サイコラー出現の連絡を受けたコム長官は、
自ら地球へおもむくとともに、ギャバン隊長に救援を依頼した。

 地球に到着したギャバンはシャリバンたちと合流し、
コム長官も交えサイコラーの戦力を分析、
幻夢城への通路の捜索に出る。

 魔王サイコはこの際二人の宇宙刑事を抹殺してしまおうと、
通路に誘い込むようドクターポルターに指示した。

 ジープで捜索していた電の前にマドー一味が現れる。
 大勢の敵に苦戦している電を四人のイガ戦士が救った。
 駆けつけたギャバンも助太刀に入ると、
サイコの化身・サイコラーが現れる。

 双剣より強力な光線が発せられるのを見て、
二人の宇宙刑事は叫んだ。
「蒸着!」
「赤射!」
 瞬時にコンバットスーツを身にまとい、
次々とサイコラーに攻撃を加えるギャバンとシャリバン。

 サイコは宇宙刑事たちを幻夢界に引きずり込んだ。
 パワーアップしたサイコラーに苦しめられるも、
シャリバンクラッシュとギャバンダイナミックの連打を浴びせると、
サイコラーは幻夢城へと退く。

「お前達は永久に幻夢界から出られない」
 サイコの不気味な言葉通り、進退きわまる二人の宇宙刑事。

 突如、聖なる者が現れ、
コンパスの導く先に幻夢城があるとの言葉を残して立ち去る。
 二人はコンパスに導かれ、サイコゾーンへ突入した。

 サイコラーはサイコに命を分けてもらい、
弱っていた体をもとにもどす。
 直後に宇宙刑事たちが現れた。

 サイコは人工頭脳をパワーアップさせるため、
エネルギー発生装置にイガクリスタルをすえ、
作動させるようドクターポルターに指示。
 すると装置は火を噴き、イガクリスタルは消えてしまう。

 ギャバンとシャリバンが現れたとミスアクマ1に聞き、
ドクターポルターはサイコのもとへ駆けつけた。

 ミスアクマ1とドクターポルターを倒したギャバンとシャリバンは、
サイコラーとサイコと対峙する。

「魔王サイコ、勝負!」
 シャリバンの声に応じサイコラーは双剣を投げつけてきた。
 飛び交う剣を払いのける宇宙刑事たち。
 シャリバンはクライムバスターで剣を撃ち落とし、
サイコラー、サイコと連射するも、
サイコには跳ね返されて我が身に銃撃を浴びてしまった。
 さらにサイコは光線を発射、
ギャバンとシャリバンを宙に浮かせ身動きをとれなくする。
 シャリバンは聖なる剣を呼び、
サイコに投げつけ、なんとか二人の宇宙刑事は脱出した。

 しかし、サイコは球体の人工頭脳で追撃してきた。
「お前達の負けだ!」
 放電攻撃にコンバットスーツの機能も狂い始める。
「負けるなシャリバン……」
 ぼやける視界の中、激励するギャバン。
「負けるものか……俺は負けんぞ!……」
 自分に言い聞かせるように、
シャリバンは落としてしまった聖なる剣に手を伸ばすが届かない。

 苦しむ二人の前にイガクリスタルが現れた。
 人工頭脳はイガクリスタルに電気を吸い取られてパワーを失い、
サイコラーとサイコもうなだれる。
 聖なる者はこの時のために、
イガクリスタルをマドーに奪わせていたのであった。

 自由を得たギャバンとシャリバンは再び剣をとりエネルギーを注入した。
「レーザーブレード!」
 二人は地を蹴り、サイコラーとサイコの胸を貫く。
「ギャバンダイナミック!」
「シャリバンクラッシュ!」
 続けざまに斬撃を浴びたサイコラーとサイコは同時に命を失い、
二度と復活することはなかった。

 二人の脱出と同時に幻夢城も崩壊する。

 イガ獅子の旗のもと、
イガ星へ行けることを喜び合うイガ星の末裔たち。
 コム長官はシャリバンをイガ星地区担当刑事に任命した。

 地球の動物とイガ星の末裔たちを乗せ航行するグランドバース。
 イガクリスタルはなくとも力を合わせて再興しようと、
四人のイガ戦士とみゆきはイガ獅子のペンダントを差し出した。
 電はそこへヘレンとビリーが遺した物を加えた。
 今後の協力を誓い合うように七つのペンダントを合わせると、
発光とともに聖なる者とイガクリスタルが現れる。
 電は聖なる者がイガ星の守護神であることを確信した。

 グランドバースの窓から小さくなっていく地球を見た電は、
コックピットにもどり操縦席に座った。

 短い命ながらも自分の礎をつくってくれた両親。
 志なかばに倒れたヘレンとビリー。
 地球で会った多くの人々。
 ともに闘ったリリィ。

 想い出を胸に秘め、電は心に誓った。
「子供たちの、笑顔があふれる星にしたい……。
 花が咲き乱れ、小鳥たちがさえずる星にしたい……。
 平和な惑星にしたい!」

「ワープ!」
 若者たちの夢を乗せ、グランドバースはイガ星へと旅立った。


 「オゼバン談」

 ミミーとギャバン、シャリバンとギャバン、
それぞれの再会のしかたが興味深いです。

 これまで作り上げてきたキャラを一人も無駄にしていない、
全員集合の大団円には文句のつけようがありません。
 ギャバンとシャリバンが協力して敵を倒す。
 無条件で興奮するシチュエーションでした。

 変身前の衣装が、電は上が白、烈は下が白でコントラストが美しいです。
 そこからダブル蒸着につなげられると鳥肌が立ちます。
 さらにサイバリアン、モトシャリアンの併走とサービス満点。
「ギャバンダイナミック」「シャリバンクラッシュ」の二連打は、
忘れることが出来ないでしょう。
 烈の赤ジムニーが出るのも嬉しい配慮。
 贅沢を言うならドルとグランドバースの共演も見たかったです。

 ギャバンのスーツには大葉氏自ら入られたとのこと。
 着ぐるみに入るのは好きなのだそうです。
 渡氏も入りたかったみたいですが、
撮影が忙しかったのか無理だったようです。

 シャリバンに剣で突かれ、
口裂け女のように顔が変わっていくドクターポルター、
てっきり反撃するのだと思ったら、そのまま爆発しました。

 ミスアクマ1は丸山さんだとアクションができるのがいいです。
 長門さんの時は剣を投げつけるか(ヘレンはこれでやられた)、
せいぜい一度斬りかかるくらいでした。

 電の回想シーンに流れるのがOPの二番なのにもセンスを感じます。
 イントロが旧バージョンなのもいいです。

 幼少時に両親を失いながらも、
世の中を恨むことなく心身共に健全に育った伊賀電。
 どんな困難にもくじけず、命がけで弱者を守り、
本当の強さと優しさを我々に伝え旅立った君。
 良き友、良き同僚、良き上司に恵まれた君を見ていると、
無二の親友が教えてくれた言葉を思い出します。
「桃李不言 下自成蹊」
 ももや すももは 黙っていても、下に自然に 小道ができる
 人徳のある人のところには自然にそれを慕う人びとが集まる。
 イガ星の再興? 君ならきっとやり遂げているさ。

 チェンジフェニックスの大石麻衣さんのセリフあり。

 スパイラルキックをなぜか一回目はギャバンキックと言っていました。

 最終回に爆発コントを見せる小次郎さんにも注目。





 「番組総括」

「宇宙刑事ギャバン」の好評にあぐらをかくことなく、
もっといいものを創るんだというスタッフの気迫が伝わってきます。
 しかしながら、
ギャバンとシャリバンどちらが面白いかと議論している人がいるなら、
それは愚かなことです。
 ギャバンがあるからこそシャリバンが成立し、
シャリバンがあるからこそギャバンもより輝く。
 いわば鴻鵠(こうこく)の両翼のようなもので、
二つで一つの作品、二つ揃ってはじめて飛翔する。
 と言っても過言ではないでしょう。
 間違いなく特撮史に残る傑作です。

 回を追うごとに、
あらためて自分が脚本家・上原正三氏の信者であることもわかりました。
 数々の作品を含めて上原氏が私の情操教育に与えた影響ははかりしれません。
 多感な時代にいい人、いい作品に出会えたことを嬉しく思います。

 大葉氏のギャバン隊長役は有名なのですが、
出ずっぱりの回を除くと意外に出演は少なく、
時には二ヶ月、三ヶ月と間があくこともありました。
 それでいてこれだけ強烈な印象を残しているのはさすがだと思います。

 この作品が初のレギュラー出演だった渡氏は、
「伊賀電」という青年の成長と、「渡洋史」という役者の成長を一致させ、
観賞後にすがすがしさを感じさせてくれました。
 渡氏のインタビューに、
「「宇宙刑事」は敵がマスクをかぶっているか、味方がかぶっているかの違いくらいで、
 あとは「スターウォーズ」と同じ、いやそれ以上のスケールの作品」
 との発言があります(ええこと言わはるねえ)。
 潜在的な人気は相当あると思われますので、
また元気なお姿を拝見させていただきたいものです。


「宇宙刑事シリーズ」は、まだまだ中途半端に古いため研究本もなく。
 最近ファンになった人には、
朝日ソノラマのファンタスティック・コレクションでさえ入手が難しいそうです。
 そこで、同著と同じ体裁をとり、
あらすじと見所を自分なりに紹介しようと思ったのが事の始まりでした。

「宇宙刑事シャリバン」に関しては、
本来なら八月中に紹介を終えてしまう予定でした。
 しかし、私事ながら八月の末に祖母を亡くし、
伊賀電の遭遇する数々の死別が見ていられず、記述が遅れてしまいました。
 ですが、その分これまでの鑑賞より胸に迫る感想を持ち、
執筆に活かせた部分もあるのではないかとも思えます。

 励まして下さった大勢のみなさんと、
「宇宙刑事シャリバン」という作品に応えるためにも、
今後も人を裏切ることなく、
伊賀電のような人間を目標に生きていきたいです。
 そうすれば、きっと祖母も喜んでくれることでしょう。

 最後までおつき合いいただき、まことにありがとうございました。
 今後もまじめに取り組んでいきますので、
ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

(1999年10月11日)



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