第三十一話 「みゆきは今?さまよえる幻のクリスタル」(83/10/7)
  脚本・上原正三 監督・小林義明

 イガクリスタルと共に、
いずこともなく飛んでいった奥伊賀島の少女達の夢を見る伊賀電。

 その頃、マドーはシャリバンをタイムスリップさせ、
赤射出来ないようにしてからコダイビーストに倒させようと画策していた。

 電はおびき出され、比叡山焼き討ちの現場へ飛ばされてしまう。
 僧兵に命を狙われるも、調子の悪いタイムスリップ装置のおかけで、
1941年のモロッコ・カサブランカへと移された。
 マドーは直ちに電を追跡し、コダイビーストを送り込む。

 電は赤射が出来ず危ういところであったが、
またもタイムスリップ装置の故障で、
2601年のガマゴン星・ガマラ王国へ飛ばされた。
 王国兵に捕まった電は怪物との戦いを強制され、
何とか倒したものの、ガマゴン大王に食べられそうになる。
 飲み込まれる寸前、
制御できなくなっているタイムスリップ装置の部屋へもどされ、
さらに2983年の銀河系・X星へと移された。
 そこは電が夢で見た場所であった。

 イガクリスタルを見つけ驚く電。
 異星人達に襲われていた奥伊賀島の少女達を助けだし、
つかの間の再会をはたすが、再び比叡山へともどされてしまう。

 コダイビーストも追ってきて苦戦するも、
タイムゲートが開いたままであることに気づいた電は、
すばやくくぐり抜けて赤射し、現代へもどった。

 コダイビーストはシャリバンクラッシュで倒したが、
イガクリスタルと少女達の行方は再び分からなくなってしまった。


 「オゼバン談」

 青い靴下の少女は、
後にチェンジフェニックスを演じられた大石麻衣さんです。
 シャイダーの二代目ギャル2をやられるくらいまでは、
大内弘子と名乗っていたみたいです。
 みゆき以外の少女は何度か入れ替わっていますが、
最初から最後までいたのは大石さんと、
渡氏と同期の今泉ゆかりさんだけです。

 OPテロップにJACの益田哲夫氏の名前がありました。
 番組中の出演個所ははっきりしませんでしたが、
コンドールマン、スパイダーマン、
ハカイダー、アクマイザー3のイビルと、
個性的で印象深いヒーローのスーツアクターを務めた方です。
 益田氏は右利きなのですが、
ハカイダーの時はわざわざ左で銃を撃ち、
独特の雰囲気をかもし出していました。

 ファイトローは「コワコワ」と言っているだけで、
あれが会話として成立しているとは知りませんでした。
 字幕にはビックリ。
 もしかすると彼はファイトローのエリートなのかもしれません。
 少し小松政夫さんに似ています。

 僧兵に襲われそうになった電が、
「ちょっと待ってくださいよ。僕は宇宙刑事」と言いますが、
戦国時代の人にそう説明しても無駄のような……。

 渡氏は前話まではふき替えが多かったのですけど、
脚の具合が良くなってきたのか蹴りをバンバン入れています。

 ガマゴン大王に食べられそうになった電を引っぱってあげ、
信長軍に襲われていたら追い払ってあげる。
 コダイビーストはまれにみる人の良い魔怪獣でした。
 乳首があるのもおかしかったです。

 タイムゾーン発生装置の部屋は、
幻夢城ではなくマドー戦闘母艦の中だったみたいです。

 大葉氏の出演は無し。





  第三十二話 「幻夢じかけのオレンジと子守歌!」(83/10/14)
  脚本・上原正三 監督・小林義明

 リリィと共にショッピングに出かけた電は、
駐車場で三人組に襲われた。
 反撃すると男達はバイクで逃走してしまう。

 ジープで追跡すると、
「ギラギラスクール」という学校へたどり着いた。
 現れた先生に三人組のことを尋ねるも知らないと言われてしまう。

 オレンジにハイドエキスを添加した物を食べさせると、
人間は中毒症状をおこして獣性化する。
 マドーはハイドエキスを量産して全国の流通機構にばらまき、
獣性人を宇宙へ送り込もうとたくらんでいた。

 大山小次郎のマンションの隣の部屋に住む少女直子は、
スーパーでオレンジを万引きしたことを告げ口すると脅され、
ギラギラスクールへついていく。
 そこでハイドエキスの入ったジュースを飲まされ、
徐々に獣性化していった。

 誰彼となく襲うようになってしまう直子。
 マンションで暴れ、飛び出していった後を追っているうちに、
電はマドー一味に襲われる。
 ジキルハイドビーストを前に赤射、
操られていた少年少女達を正気にもどして逃がし、
シャリバンクラッシュで葬った。

 マドーの陰謀は潰え、
子供たちはまた元気よく学校へ通うようになった。


 「オゼバン談」

 とにかく汐路章氏の鬼気迫る演技がおそろしいです。
 ファイトローが身震いするのもよく分かります。
 ジュースを飲むシーンには鳥肌が立ちました。
 汐路氏は「宇宙刑事ギャバン」第27話でも校長役を怪演されています。
 怪人に変身しないほうが怖い珍しいかたです。
 里見八犬伝でも幻人役で大葉氏と共演されていますが、
あの役も怖かった……。

 小林監督のホラー演出は相変わらず凍りつきますね。

 この回のちびっ子ファイトローはやけにはしゃいでいました。

 直子の母親役の木村有里さんは、
「宇宙刑事ギャバン」第16話でも、
雨宮君を守る女ロボット役で出演されています。
(ハート形のおかしな眼鏡でした)
 上品なお母さんが似合うかたです。

 直子役の石井亜希子さんは、
「宇宙刑事ギャバン」第9話にも出演されていました。

 電はやっぱり白い靴下を愛用しています。
 しかし、またもやブーツを履いたまま部屋に入るシーンがありました。

 大葉氏の出演は無し。





  第三十三話 「瞬間旅行!幻夢城は怪奇の花ざかり」(83/10/21)
  脚本・高久進 監督・小笠原猛

 マドーは瞬間移動装置を使い、
グランドバースを手に入れようとたくらんだ。
 しかし装置は不完全でガラクタや札束などを集めてしまう。
 魔王サイコはそんな物はゴミだと宇宙へ捨てさせた。

 銀河連邦警察のパトロール艇は、
ただよっていたマドーが捨てた物を回収し、
参考のためにグランドバースへ転送する。
 札束は銀行から盗まれた物であった。

 電は公園で中学生にいじめられている幼い兄妹を見かけ助けた。
 出稼ぎに出たまま帰ってこない父を捜していると聞き、
一緒に捜してあげることにする。
 宇宙研究所の工事現場で働いているとの情報を得、
ジープで兄妹を連れていった。

 マドーの瞬間移動装置は、
宇宙研究所に保管されている隕石さえあれば完全な物になる。
 サイコはシュンカンビーストを送り込んで強奪させた。
 工事に携わっていた兄妹の父は、
魔界獣にケガを負わされ病院へ運び込まれる。

 マドーは隕石を装置に組み込み、
グランドバースを引き寄せて強奪を試みたが、
待機していたリリィが緊急誘導装置を使い事なきを得た。

 やがて兄妹の父は意識を取り戻す。
 看病していた千秋が兄妹を呼びに行くと、
目の前で兄妹が消えてしまった。
 瞬間移動装置の誤動作で幻夢城へ運ばれてしまったのである。

 マドー一味の手をのがれ、隕石を取り返し逃げ回る兄妹。
 再び誤動作によって地上へもどされるも、
マドーもまた追ってきた。

 電は兄妹を逃がして赤射し、シュンカンビーストを倒す。

 兄妹の父親は無事に退院し、
子供たちを連れて笑顔で帰っていった。


 「オゼバン談」

 札束を宇宙に捨てるとはマドーも随分気前のよいことです。
 第31話のタイムスリップ装置といい、
製作するマシンの詰めが甘く、よく壊れます。
 札束でいい技術者を雇うべきだったのでは?

 戦闘員のファイトローも子供のキックでやられる情けなさ。
 ちびっ子版がたくさん出て、かわいらしいのが救いでした。

 走りながらの赤射と、
スピード感のあるモトシャリアンの香車走りはかっこよかったです。

 ガイラー将軍は操作を知りもしないくせにいじって壊したり、
周りも見ないで剣を振り回して機械を破壊したりと、
この回あたりからオバカちゃんに拍車がかかってきました。

 24話のさなぎを敷き詰めたイラストが再登場。
 やっぱり気持ち悪いです。

 大葉氏の出演は無し。





  第三十四話 「総毛立つ幽鬼は死霊界への案内人」(83/10/28)
  脚本・上原正三 監督・小笠原猛

 魔王サイコはいつまでもシャリバンを倒せないことにいらだっていた。
 そんなおり死霊界から幻夢城へレイダーがやってくる。
 シャリバンなど赤子の手をひねるがごとしと、
レイダーは電に幻覚を見せて簡単に追いつめた。

 シャリバン討伐の全権をレイダーに与えようとしたサイコに、
ドクターポルターはもう一度チャンスをと願い出る。

 大山小次郎は鈴木家の子供たちを連れてキャンプへ行っていた。
 そこへヒャクメビーストが現れる。
 ドライブ中だった電は悲鳴を聞いて駆けつけ赤射した。

 魔怪獣だけでは心許ないとサイコはレイダーにも向かわせる。
 二人がかりで攻撃され苦戦するシャリバン。
 ヒャクメビーストはシャリバンクラッシュで粉砕したものの、
その場に崩れ落ちてしまった。
 しかし、レイダーはとどめを刺さずに幻夢城へもどってしまう。
 すでに屍同然と判断したのであった。

 電はグランドバースに収容され、
意識を失ったままリリィの看護を受けていた。

 死線をさまよいつつ夢の中で聖なる者に出会う電。
 差し出されたコンパスに導かれ歩いていくと、
分かれ道にたどり着く。

 すべての苦しみを捨て楽になれる死の国と、
今後の苦難を示唆する殺風景な生の国。
 電は死の国の誘惑をはねのけ、
イガ星再興に向けてあえて茨の道である生の国への道を選んだ。

 やがて電を待っていたかのように目の前にイガクリスタルが現れる。
 死霊をはね除けながら手を伸ばし、
イガクリスタルに触れたとき、電は意識を取り戻した。


 「オゼバン談」

 レイダーのスーッとすべるように歩く姿と、
耳に残る凍りつくような笑い方。
 当時の子供たちは眠れなくなったでしょうね。
 髪型はボクシングの大物プロモーター・ドン・キングふう。
 役者は安藤三男氏です。
 人造人間キカイダーのプロフェッサーギルなど、
強さは感じないのになぜか恐い不思議な雰囲気を持ったかたです。

 白骨の伊賀電が襲ってくるシーンはやりすぎでしょう。

 月子が出てくるのには驚きました。
 バード星で訓練を受けつつ元気に暮らしている姿が想像されます。
 ミミーと同じようなペンダントを身につけていたので、
なにかしら変身する能力を身につけているのかもしれません。

 千秋さんが歌が上手いのにもビックリ。

 舞台が夜であることを利用して、
赤射後のアップスーツがいつもよりよけいに光っています。
 豪華な「電子シャリバン」です。

 渡氏はこの回が自分の思った通りの絵になっていて嬉しかったそうです。
 撮影中抱いていたイメージ通りの演技でとても良かったとのこと。
 テーマがしっかりしていて、納得のいく芝居もでき、
自分でもときめくくらいだったとか。
 でも、バイクのシーンはちょっと不満だそうです。

 話がずれるかもしれませんが、
生の国と死の国の描写を見て、
つかこうへい氏の本で春田純一氏について書かれた一節を思い出しました。
「女優になるための36章・上巻」
(主婦と生活社刊、1995年8月7日初版発行)
 JACに一度でも興味を持たれたことがあるなら、
ぜひご一読ください。
 そして自分にどんな困難が降りかかってきても、
けして絶望することなどなく。
 たとえつらい選択となっても逃げたりしないで、
乗り越えていく勇気を持ちましょう(ほとんど自分に言っています)。

 大葉氏の出演は一ヶ所。
 二ヶ月以上ぶりで嬉しかったです。





  第三十五話 「倒れたら立ちあがれ電!愛は生命の輝き」(83/11/4)
  脚本・上原正三 監督・田中秀夫

 死の淵から奇跡の生還を果たした伊賀電。
 しかし、レイダーは屍同然と言い切った。
 そこで魔王サイコはワシビーストを送り電を襲わせてみる。
 電は赤射して反撃するも、
レイダーに苦しめられた記憶が甦り、自らの死体を見た。

 無抵抗になってしまったシャリバンを、
リリィがシャリンガータンクで救出する。

「伊賀電不調」の報を受け、
バード星からコム長官とマリーンがやってきた。
 電の意識を探ったコム長官は、
マドーが霊界と手を結んだことを知る。

 このままでは何度やっても勝てない。
 電は闘争本能を呼び覚ますためのサバイバルテストを受けたが、
結果はかんばしくなかった。

 マドーは電が不調であることを見逃さず、
子供たちを人質に取っておびき出した。
 攻撃を受けた電は赤射して応戦するも、
やはりレイダーに苦しめられる。

 幻覚攻撃の最中、
電は若くして亡くなった母の夢を見る。
 名も知れない野草にも、
自然の猛威に耐えて育つたくましい生命力があることを教えてくれた母。
 厳しい寒さや冷たい雪をはねのける人間になって欲しいと願っていた母。

「ここでくたばるわけにはいかない!」
 電は意識を取り戻した。
 しかし、いつの間にか磔にされており身動きがとれない。
 迫ってくるワシビースト。
 そこへ聖なる者が現れて励ます。
「諦めてはいけない。最後の力の一滴までふりしぼるのだ」

 シャリバンは全身に力を込め、磔台から逃れた。
 レーザーブレードが閃いたとき、ワシビーストは葬り去られる。

 ふらふらになりながら電はグランドバースへ帰還、
痛めつけられてはいたが、顔には満足げな笑みがあった。


 「オゼバン談」

 ワシビーストは21話のウツボビースト以来、
久しぶりに動物の名を冠した魔怪獣でした。

 リリィに助けられたシャリバンを見て、
ガイラー将軍が「卑怯者め!」と言いますが、
「お前がゆうな!」と言いたいです。

 コム長官とマリーンの乗る宇宙船はギャバンの頃とは違い、
随分すっきりとしたデザインになっています。
 すっきりしすぎて、ちょっとボロ過ぎ?
 バード星からだと距離がありすぎて、
人間電送装置が使えないのでしょうね。

 グランドバースを呼ぶときのポーズが覚えたい人は、
この回がいいかもしれません。

 母親の夢を見ている間、BGMとして、
「デジタルトリップ・宇宙刑事シャリバン・シンセサイザーファンタジー」
 が使われています。
 CD化されているかどうかは知りませんが、
中古レコード屋を丹念に捜せばカセットかLPが見つかると思います。

 笑う魔王サイコは珍しい映像でしょう。
 作戦が失敗すると怒ったりして感情が豊かでした。

 大葉氏の出演は無し。





  第三十六話 「風雲の宇宙海にイガ戦士団のZ旗あがる」(83/11/11)
  脚本・上原正三 監督・田中秀夫

 オルガナイザーのリタから電にメッセージが届いた。
「マドーに恨みをいだくベル姉弟が地球へ向かったから保護して欲しい」
 電はベル姉弟の宇宙船が着陸したとみられる場所へ急いだ。

 マドーもベル姉弟が地球へ来たことをキャッチしていた。
 魔王サイコは討伐のためにガイラー将軍と手下を差し向けたが、
ベル姉弟に一蹴されてしまう。

 マドーとの戦いに自信を持ったベル姉弟は、
保護に来た電の言葉を聞こうともしなかった。
 電は再び説得を試みるため姉弟のもとへ行き、
「隠れ家を探してくるから、ここを動くな」と言いきかせて別れる。

 だが、その間にベル姉弟はマドーに襲われ捕らえられてしまった。
 電は助けを求める姉弟のテレパシーをキャッチし、
駆けつけて赤射。ふたりを救出する。

 電のことを疑っていた姉弟は心を開き、
姉のヘレンは生い立ちを話し始めた。
 自分が十歳、弟のビリーが五歳の時に、
両親をマドーに殺され、以後宇宙戦士に育てられたと。

 ふとビリーの胸元にイガ獅子のペンダントが光っているのを見て驚く電。
 お守りとしてヘレンも同じ物を持っていた。
 ベル姉弟もまたイガ星の末裔だったのである。
 電はイガ星を再興するためにマドーと戦っていることを話した。
 姉弟は目を輝かせて聴き入った。

 マドーにやられた傷のせいで具合の悪いビリーのために、
電は水をくんできてあげる。
 しかし、その間にまたもやマドーに姉弟を捕らえられてしまった。

 抵抗すれば姉弟を殺すと言われ、
手出しもできぬままブンリビーストに痛めつけられる電。
 見かねたビリーはファイトローの銃を奪い電を助けたが、
ガイラー将軍の電光剣によって重傷を負わされる。

 すきを見て電は赤射。マドー一味を蹴散らし、
立ちはだかるブンリビーストを倒した。

 ビリーの容態は悪く、命の灯は消えようとしていた。
「イガ星へ行くんだろ、いっしょに再興しよう」
 電の言葉にうなずき、
「連れてってくれよな、俺も……」
 とイガ獅子のペンダントを差し出すビリー。
 電が受け取とると、
「姉さんを……」の言葉を残してビリーは息を引き取った。

「これ以上無茶をしないでくれ」
 ビリーの墓前でヘレンに頼む電。
 だが、ヘレンはマドーと戦うことを強く決意するのであった。


 「オゼバン談」

 ベル・ヘレン……。
 想い出の中で美化されているのかと思っていた彼女は、
一目惚れしたときと同じように輝いていました。
 男勝りのキレのいいアクションに、かわいらしい声、
リリーの存在を食いかねない強力なキャラクターです。
 伊賀電やリリーでさえ登場していない、
LDのジャケットを飾るだけのことはあります。
 いろいろと難しい事情はあるでしょうに、
あの写真を選んで下さったかたには御礼申し上げます。

 ヘレンについて聞かれた渡氏の言葉。
「ヘレンにくわれちゃって。あ、楽でいいやーて(笑)」

 後のワイルドさを強調するためか、
この回のヘレンはやけに色白メイクです。

 ビリー役は土家歩氏。
 アクションも頑張って、やんちゃな少年を好演し、
バイクロッサーギンとして特撮番組に携わっていくことになります。
 アルミホイルで止血されていたのを見て、
バファローダブラーになったダブルマンを思いだしました。

 ベル姉弟の宇宙船はマグマ大使にそっくり?

 ブンリビーストはビリーも言っていましたが、
まさに「魔怪獣」という言葉が似合います。
 合体しているほうが弱く見えるのが難点。
 なにかその時用の技があればよかったですね。

 渡氏はビリーが死ぬシーンを、
「太陽にほえろ!」でテキサス刑事が死んだ時の山さんの演技を参考にして、
自分なりにアレンジしたそうです。

 大葉氏の出演は無し。





  第三十七話 「不思議な毒花を熊狩りじいさんは見た」(83/11/18)
  脚本・高久進 監督・小笠原猛

 鳥や動物が凶暴になり人を襲っていると聴いた伊賀電は、
山を調べに向かった。
 山中に分け入った電は誤って熊狩り用の罠にかかり、
またぎのおじいさんに助けられる。

 隕石に乗って地球へ運ばれた惑星ガニメデスの花の実は、
動物たちを凶暴にさせる。
 その実を用い強い魔怪獣を造り出そうとたくらんだマドーは、
花の咲いている場所の捜索を開始した。

 またぎのおじいさんの孫である吾一少年は、
ガニメデスの花を獲ろうとしてクマビーストに襲われ、
崖から落ちてしまう。

 飼っていた犬が吠え立てているのを聴きつけ、
おじいさんが駆けつけた。
 再び山を捜索に来た電は、
ジープで二人を病院へ連れていってあげる。

 吾一の手術の最中、
おじいさんは電にガニメデスの花について語ってくれた。
 吾一が生まれて間もない頃、
吾一の両親は熊に襲われて死んだ。
 おじいさんは熊を仕留め、
胃の中に見たことのない花の実があるのを見つけ、
これが熊を凶暴にしたに違いないと思ったおじいさんは、
山をくまなく歩いて花が咲いている場所を見つけ焼き払ったという。

 マドーは電の目を引きつけているうちに吾一の病室へ押し入り、
孫の命を助けたければ花のありかを教えろとおじいさんに案内させた。

 電は吾一の犬の行く先に従い、おじいさんを追跡する。
 マドーは花を手に入れおじいさんを殺そうとしていた。
 その時、追いついた電は赤射して救出し、
クライムバスターで花を焼き払う。

 現れたクマビーストはシャリバンクラッシュで倒し、
山に平和が訪れた。
 吾一少年も無事に退院し、
おじいさんの跡を継いでマタギになることとなった。


 「オゼバン談」

 小次郎さんはどう説得してあの服を千秋に着せたのか謎です。
 マグマ大使の奥さんみたい?
 そこまでしてくれた千秋を熊が出た瞬間に置いて逃げる。
 やっぱり怖いですよね。
 そう考えると伊賀電一郎のとった行動のすごさが分かります。

 電のジーンズはブーツでふくらはぎの部分がピッタリしているため、
スリムかと思ったら意外に裾が広かったです。
 靴下はやっぱり白。

 前転しながら赤射してリリーを救うシーンは、
実にスムーズで完成度が高かったです。

「エルボーハンマー」は初登場?

 クマビーストの人間体は、ライダーシリーズ、バロム・1、スカイゼルなど、
数々のヒーローのスーツアクターを務めた中屋敷鉄也氏です。
 現在は哲也と改名し、舞台を中心に活躍されています。

 おじいさんの左目の脇の傷など、設定が細かいなと感心しました。
 あえて語らないところにも好感が持てます。

 犬も、おじいさんも、少年も、とてもいい味を出していました。
 イガ星がらみの話ではないのですが、
どこか心あたたまる話でホッとさせてくれます。
 犬好きな人はぜひ見ましょう。

 大葉氏の出演は無し。





  第三十八話 「乱心ささやきクーデター 暗雲の幻夢城」(83/11/25)
  脚本・上原正三 監督・小笠原猛

 レイダーはガイラー将軍に、
「ドクターポルターの支配下にいることはない、
 自分の力だけでシャリバンを倒せ」と催眠術をかけた。

 パトロール中にアシュラビーストに襲われている子供たちを目にした電は、
近くにあった小屋の中へ避難させる。
 マドー一味は小屋を囲み、
ドクターポルターの作戦通り一気に攻撃を仕掛ける予定であったが、
現場をまかされていたガイラー将軍は独断で作戦を変更、
シャリバンと一騎打ちをしてしまう。

 ミスアクマは当初の作戦通り砲撃で小屋を破壊したが、
シャリバンはバリアで子供たちを守り、クライムバスターで敵を退けた。

 幻夢城にもどったガイラー将軍は、
ドクターポルターの叱責を受け、魔王サイコに謹慎処分を言い渡される。
 レイダーはガイラー将軍の酒に怪しい薬を混ぜて酔わせ、
サイコに絡ませた。
 サイコは怒り、ガイラー将軍を投獄してしまう。

 電は助けた子供たちの学校へ招待され、
おかしとジュースでもてなされた。
 だが、子供たちと遊んでいる最中、突如めまいに襲われる。
 子供たちと先生はマドーが化けたものだったのである。

 襲われた電は赤射して反撃するも、
子供たちを人質に取られて身動きがとれなくなってしまった。
 アシュラビーストの激しい攻撃にのたうつシャリバン。
 危ういところへ、どこからともなくブーメランが飛来してくる。
 次々とマドー一味を打ち、持ち主の手にもどるブーメラン。
 それはシャリバンと同じイガ星の血を引くベル・ヘレンの物であった。

 共に戦うヘレンとシャリバン。
 子供たちはヘレンが逃がし、
アシュラビーストはシャリバンクラッシュで葬られる。

 同じ頃、隙を見て牢を抜け出したガイラー将軍は、
ドクターポルターに斬りかかっていた。
 サイコは光線を発してガイラー将軍を動けなくし、
自分の後継者を座らせる椅子の下敷きにする。

 レイダーは思惑通り、
ガイラー将軍とドクターポルターの分断に成功したのであった。


 「オゼバン談」

 レイダーが本性を現し、
マドーの内部分裂をはかる印象的な回です。
 簡単にひっかかってしまったガイラー将軍は間抜けに見えますが、
武人として一騎打ちをしたい気持ちは解る気がします。
 気合いが入っていたせいかなかなかの奮闘で、
剣客同士の果たし合いのようでした。
 かなりかっこよかったのに椅子の下敷き……。

 シャリバンプロテクション(バリア)がドーム状にもはれるのには驚きました。
 これがある限りドクターポルターの作戦でも失敗していたわけですから、
ガイラー将軍はあそこまで叱責されなくてもよかったのではないかと思います。

 小次郎さんと千秋は剣玉で遊んでいます。
 熊事件の和解はできたみたいですね。

 ベル・ヘレンの再登場に誰もが喜びますが、
この回はブーメランに注目して下さい。
 劇中では語られていませんが、
あれはまず間違いなくビリーが使っていた物です。
 それまでヘレンはブーメランを携帯していませんでしたから、
おそらく二週間で稽古に稽古を重ねたのでしょう。
 ビリーが死んでしまった後、
ブンリビーストに払い落とされた弟のブーメランを拾いに行き、
それを投げ続けるヘレン。
 日焼けした肌も身に課した稽古の厳しさを想像させます。
 そして、マドーに対し最初にたたき込んだのが、
弟のブーメランでした。
 ヘレンがどんな気持ちであの一投をしたかを想像すると、
ただシャリバンのピンチに駆けつけてかっこよかったというだけではなく、
また違った感想を持たれるのではないでしょうか。
 以後、ヘレンは最後の戦いまで、
このブーメランを腰に帯びています。

 ワイルドで男性顔負けのアクションの直後に、
女の子らしい笑顔で「お役に立てて嬉しいわ!」と言う。
 このあたりのギャップもヘレンの魅力ですね。

 電の靴下はまたまた白。

 大葉氏の出演は無し。





  第三十九話 「人形は知っている イガ戦士の心の傷を」(83/12/2)
  脚本・上原正三 監督・田中秀夫

 シャリバンと共に厳しい稽古に励むベル・ヘレン。
 訓練を終え一息ついたとき、
電はヘレンの首筋にひどい傷跡があるのを目にする。
 傷について聞いても曖昧な返事をするのみで、
ヘレンはもう一度稽古して欲しいと願った。
 電はヘレンが気負いこみ過ぎていることを心配し、
たまには心のやすらぎが必要だと諭す。

 大山小次郎と鈴木モータースの子供たちにヘレンを紹介し、
電はみんなでショッピングへ出かけた。
 その最中、千恵はピエロに人形をもらう。
 人形を見たヘレンは表情を一変させ、
人形を投げつけて走り去ってしまった。

 バイクで夜道を走るヘレンの前に再び人形が現れる。
 人形の名はローラ。
 幼なじみのジムが子供の頃にプレゼントしてくれた物であった。
 人形はヘレンに催眠術をかけ電を襲わせる。
 操られていることに気づいた電は赤射して人形を撃ち抜いた。
 人形はローラではなくドールビースト、
正体がばれるとすぐに行方をくらませた。

 正気に戻ったヘレンは電に斬りかかったことを悔い、
重い口を開き始める。

 マドーの宇宙戦士狩りに捕らえられたヘレンは、
厳しい拷問に耐え続けていた。
 業を煮やしたドクターポルターは、
ヘレンが大事にしていた人形に目を付け、
仲間のアジトをはかなければ人形を撃ち抜くと脅す。
 自分を痛めつけられるより辛かったヘレンは口を割り、
宇宙戦士の仲間でもあった幼なじみのジムを殺されたのだった。

「裏切り者よ私は」
 泣き崩れるヘレンに電は、
「自分を責めるのはやめろ!卑劣なのはドクターポルターだ」
 と怒りを燃やす。

 電はヘレンを元気づけるためリリィと共に川へ釣りに出かけた。
 釣った魚を焼いて三人で楽しい一時を過ごしていたところ、
宙に浮かぶ人形を見て、再び催眠状態となり走っていくヘレン。
 人形はヘレンを狙撃したが、危ういところを電が救った。

 ヘレンは銃を構え人形を撃とうとするも、
どうしても引き金を引くことが出来ない。
「ヘレン!忌まわしい過去を撃ち抜くんだ!」
 電の声にヘレンが人形を撃ち抜いた。
 ドールビーストに変身した人形を前に
電は赤射して応戦、シャリバンクラッシュでとどめを刺す。

 リリィは自分が作った人形をヘレンにプレゼントした。
 ヘレンは笑顔で受け取り「リリィちゃん」と名づけた。


 「オゼバン談」

 渡氏は髪をかなりすっきりさせ、
さわやかお兄さんになっています。

 ファンコレによると
村上潤氏がシャリバンのスーツアクターを務めた最後の回らしいです。
 ギャバンの頃から素晴らしいアクションを見せて下さり、
影響を受けた方も多いのではないでしょうか。
 この後はマシンマンのスーツアクターをやられました。

 渡氏によると、
村上氏のアクションは動いて、キメ、止めて、キメ、とキメがあるので、
声を入れやすかったそうです。
 当時、家が近く、
JACに入って最初にお世話になったのが村上氏だったとか。
 渡氏の部屋でいろいろな話をしたそうです。

 ドールビーストは気色悪さナンバー1。
 あれはちょっとやりすぎでしょう。
 首がもげて飛ぶと、かなりギョッとします。

 ドクターポルターは意外にも射撃がうまい?
 昔は黒ではなく白いシースルーの布をまとっていたみたいで、
ずいぶん印象が違います。

 両親や弟だけではなく、
幼なじみまでマドーに殺されていたヘレン。
 恨みを抱き復讐を誓う動機としては十分すぎるほどです。
 徹底したキャラクター作りも、
「宇宙刑事シャリバン」を名作にした理由でしょう。

 大葉氏の出演は無し。





  第四十話 「炎のカーチェイス 愛の絆を裂く大予言」(83/12/9)
  脚本・上原正三 監督・田中秀夫

 大山小次郎は大予言八郎の書いた「地球大噴火」という本を真に受け、
東京が大地震に襲われると信じ込み、疎開に行くと言い始める。

 大予言八郎は人々の恐怖心をあおっていた。
 その結果、街の人たちまで疎開を始めパニックになる。

「地球大噴火」の予言にはマドーが絡んでいた。
 恐怖と不安から他人を蹴落としてでも生き抜こうとする
人間同士の醜い争いを引き起こし、
征服をたやすくしようとたくらんだのである。

 大予言八郎に怪しさを感じた電は身元調査を始めた。
 連絡を受けたリリは尾行を開始するも、
どうしても尻尾をつかむことが出来ない。

 リリィは大予言八郎がマスコミに向けて発言している場へおもむき、
「この人はペテン師だ!」と挑発して事務所へ潜入した。
 大予言八郎は正体を現し、ヨゲンビーストに変身する。
 電はリリィのピンチに駆けつけて赤射、
サイコゾーンへ逃げ込んだ魔怪獣をモトシャリアンで追った。

 だが、油断した隙に磔にされ、身動きがとれなくなってしまう。
 光線を浴びせられ苦しみながら、
心の中でモトシャリアンを呼び続けるシャリバン。
 想いは届き、壁をぶち破ってモトシャリアンが現れた。
 身を盾にして光線の前に立ちはだかり、その場でスピン、
飛びかかってきたファイトローを蹴散らすモトシャリアン。
 ビームで手枷足枷を壊してもらったシャリバンは、
地震発生装置を破壊してモトシャリアンと共に基地を脱出した。
 そのまま幻夢界に飛び込みヨゲンビーストも倒す。

 人々のパニックを回避し、ワインを片手にくつろぐ電とリリィ。
 ふと思い出したように電はモトシャリアンの所へ行き、
ねぎらうようにワインをかけてやった。

 モトシャリアンはただのメカではなく、
共に闘う戦友、助け合う兄弟のように、
電にとってかけがえのない存在になっていた。


 「オゼバン談」

 大予言八郎役を潮健児氏がやられています。
 いつもは恐怖を感じさせる役が多いのに、
この回はわりとまともな人間の役だったので、
最初見たときは違う人かと思いました。
 演じる幅の広さには感心します。
 潮氏は役柄とは違いとても気さくで、
周りの人に気を使う人だったらしいので、
普段は今回のような声で話していたのではないでしょうか。
 それにしても大予言八郎という名は胡散臭すぎ(笑)。

 リリィを助けに来た電に最初に殴られたのは、
超電子バイオマン・ブルースリーの大須賀昭人氏でしょうか?

 シャリバンのスーツアクターが柴原孝典氏に代わったそうですが、
OPでは村上潤とクレジットされています(なんと最終回まで)。
 番組中にスーツアクターが代わったと気づいた人はすごい?
 私は当然気づかず、
言われてみると脚が少し細くなったかなと感じました。
 柴原氏はまだ慣れていないせいか、
本来ならシャリバンキックであるはずのシーンが普通のキックだったり、
スパークボンバーなどの技もありませんでした。
 しかし、シャリバンクラッシュの直前のにらみ合いで、
右脇構えをするのがかっこよかったです。

 モトシャリアンの出番は多いのですが、
いまいちスピード感が表現できていないように思いました。
 ジープに長々と併走されては……。
 まっすぐ、まっすぐ走り、強引な180度ターンもカッコ悪いです。
 でも、こんなバイクがあればかわいいですよね。

 大葉氏の出演は無し。



もどる

トップへ