「宇宙刑事ギャバン」の好評にあぐらをかくことなく、もっといいものを創るんだというスタッフの気迫が伝わってきます。しかしながら、ギャバンとシャリバンどちらが面白いかと議論している人がいるなら、それは愚かなことです。ギャバンがあるからこそシャリバンが成立し、シャリバンがあるからこそギャバンもより輝く。いわば鴻鵠(こうこく)の両翼のようなもので、二つで一つの作品、二つ揃ってはじめて飛翔する。と言っても過言ではないでしょう。間違いなく特撮史に残る傑作です。
回を追うごとに、あらためて自分が脚本家・上原正三氏の信者であることもわかりました。数々の作品を含めて上原氏が私の情操教育に与えた影響ははかりしれません。多感な時代にいい人、いい作品に出会えたことを嬉しく思います。
大葉氏のギャバン隊長役は有名なのですが、出ずっぱりの回を除くと意外に出演は少なく、時には二ヶ月、三ヶ月と間があくこともありました。それでいてこれだけ強烈な印象を残しているのはさすがだと思います。
この作品が初のレギュラー出演だった渡氏は、「伊賀電」という青年の成長と、「渡洋史」という役者の成長を一致させ、観賞後にすがすがしさを感じさせてくれました。渡氏のインタビューに、「「宇宙刑事」は敵がマスクをかぶっているか、味方がかぶっているかの違いくらいで、あとは「スターウォーズ」と同じ、いやそれ以上のスケールの作品」との発言があります(ええこと言わはるねえ)。潜在的な人気は相当あると思われますので、また元気なお姿を拝見させていただきたいものです。
「宇宙刑事シリーズ」は、まだまだ中途半端に古いため研究本もなく。最近ファンになった人には、朝日ソノラマのファンタスティック・コレクションでさえ入手が難しいそうです。そこで、同著と同じ体裁をとり、あらすじと見所を自分なりに紹介しようと思ったのが事の始まりでした。
「宇宙刑事シャリバン」に関しては、本来なら八月中に紹介を終えてしまう予定でした。しかし、私事ながら八月の末に祖母を亡くし、伊賀電の遭遇する数々の死別が見ていられず、記述が遅れてしまいました。ですが、その分これまでの鑑賞より胸に迫る感想を持ち、執筆に活かせた部分もあるのではないかとも思えます。
励まして下さった大勢のみなさんと「宇宙刑事シャリバン」という作品に応えるためにも、今後も人を裏切ることなく、伊賀電のような人間を目標に生きていきたいです。そうすれば、きっと祖母も喜んでくれることでしょう。
最後までおつき合いいただき、まことにありがとうございました。今後もまじめに取り組んでいきますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
(1999年10月11日)
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