第五十一話 「赤射・蒸着」(84/2/24)脚本・上原正三 監督・田中秀夫

 戦士サイコラー出現の連絡を受けたコム長官は、自ら地球へおもむくとともに、ギャバン隊長に救援を依頼した。

 地球に到着したギャバンはシャリバンたちと合流し、コム長官も交えサイコラーの戦力を分析、幻夢城への通路の捜索に出る。

 魔王サイコはこの際二人の宇宙刑事を抹殺してしまおうと、通路に誘い込むようドクターポルターに指示した。

 ジープで捜索していた電の前にマドー一味が現れる。大勢の敵に苦戦している電を四人のイガ戦士が救った。駆けつけたギャバンも助太刀に入ると、サイコの化身・サイコラーが現れる。

 双剣より強力な光線が発せられるのを見て、二人の宇宙刑事は叫んだ。「蒸着!」「赤射!」瞬時にコンバットスーツを身にまとい、次々とサイコラーに攻撃を加えるギャバンとシャリバン。

 サイコは宇宙刑事たちを幻夢界に引きずり込んだ。パワーアップしたサイコラーに苦しめられるも、シャリバンクラッシュとギャバンダイナミックの連打を浴びせると、サイコラーは幻夢城へと退く。

「お前達は永久に幻夢界から出られない」サイコの不気味な言葉通り、進退きわまる二人の宇宙刑事。

 突如、聖なる者が現れ、コンパスの導く先に幻夢城があるとの言葉を残して立ち去る。二人はコンパスに導かれ、サイコゾーンへ突入した。

 サイコラーはサイコに命を分けてもらい、弱っていた体をもとにもどす。直後に宇宙刑事たちが現れた。

 サイコは人工頭脳をパワーアップさせるため、エネルギー発生装置にイガクリスタルをすえ、作動させるようドクターポルターに指示。すると装置は火を噴き、イガクリスタルは消えてしまう。

 ギャバンとシャリバンが現れたとミスアクマ1に聞き、ドクターポルターはサイコのもとへ駆けつけた。

 ミスアクマ1とドクターポルターを倒したギャバンとシャリバンは、サイコラーとサイコと対峙する。

「魔王サイコ、勝負!」シャリバンの声に応じサイコラーは双剣を投げつけてきた。飛び交う剣を払いのける宇宙刑事たち。シャリバンはクライムバスターで剣を撃ち落とし、サイコラー、サイコと連射するも、サイコには跳ね返されて我が身に銃撃を浴びてしまった。さらにサイコは光線を発射、ギャバンとシャリバンを宙に浮かせ身動きをとれなくする。シャリバンは聖なる剣を呼び、サイコに投げつけ、なんとか二人の宇宙刑事は脱出した。

 しかし、サイコは球体の人工頭脳で追撃してきた。「お前達の負けだ!」放電攻撃にコンバットスーツの機能も狂い始める。「負けるなシャリバン……」ぼやける視界の中、激励するギャバン。「負けるものか……俺は負けんぞ!……」自分に言い聞かせるように、シャリバンは落としてしまった聖なる剣に手を伸ばすが届かない。

 苦しむ二人の前にイガクリスタルが現れた。人工頭脳はイガクリスタルに電気を吸い取られてパワーを失い、サイコラーとサイコもうなだれる。聖なる者はこの時のために、イガクリスタルをマドーに奪わせていたのであった。

 自由を得たギャバンとシャリバンは再び剣をとりエネルギーを注入した。「レーザーブレード!」二人は地を蹴り、サイコラーとサイコの胸を貫く。「ギャバンダイナミック!」「シャリバンクラッシュ!」続けざまに斬撃を浴びたサイコラーとサイコは同時に命を失い、二度と復活することはなかった。

 二人の脱出と同時に幻夢城も崩壊する。

 イガ獅子の旗のもと、イガ星へ行けることを喜び合うイガ星の末裔たち。コム長官はシャリバンをイガ星地区担当刑事に任命した。

 地球の動物とイガ星の末裔たちを乗せ航行するグランドバース。イガクリスタルはなくとも力を合わせて再興しようと、四人のイガ戦士とみゆきはイガ獅子のペンダントを差し出した。電はそこへヘレンとビリーが遺した物を加えた。今後の協力を誓い合うように七つのペンダントを合わせると、発光とともに聖なる者とイガクリスタルが現れる。電は聖なる者がイガ星の守護神であることを確信した。

 グランドバースの窓から小さくなっていく地球を見た電は、コックピットにもどり操縦席に座った。

 短い命ながらも自分の礎をつくってくれた両親。志なかばに倒れたヘレンとビリー。地球で会った多くの人々。ともに闘ったリリィ。

 想い出を胸に秘め、電は心に誓った。「子供たちの、笑顔があふれる星にしたい……。花が咲き乱れ、小鳥たちがさえずる星にしたい……。平和な惑星にしたい!」

「ワープ!」若者たちの夢を乗せ、グランドバースはイガ星へと旅立った。


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