第四十三話 「母と子の愛の涙が天国への道に流れる」(83/12/30)脚本・高久進 監督・田中秀夫

 大山小次郎は子供たちを集めてキモだめし大会を催した。墓地にある古い花を最初に持って帰ってきた者に、UFOの写真をやると言われ、子供たちは喜んで墓地へ行く。

 子供たちは声がする墓を不思議に思い近づくと、とつじょ女性が飛び出して光線を浴びせてきた。

 高熱を出して寝込んでしまった子供たち。医者が診ても原因不明で、奇病に不信感を持った電は、小次郎に墓地へ案内してもらった。

 電が一人で墓地の近辺を調べているうちに、小次郎は白装束の女性を目にする。女性はレイカイビーストに変身し、小次郎にも光線を浴びせて奇病に冒させた。もどってきた電も女性に襲われたが、赤射してしのいだ。

 リリィは墓地から生き返った女性について調べた。一家六人を乗せた車が岸壁から海へ飛び込んだときの運転手で、一人だけ奇跡的に脱出したという。その後、死んだ五人に多額の保険金がかけられていたことが分かり、保険金詐欺で逮捕、死刑が求刑された。判決が下される前に病死してしまった彼女は、最近になって無実が明らかになったという。

 世の中に恨みを抱く女性が生き返り人々を病気にしている。背後にマドーの気配を感じた電は修学旅行に行っていて難を免れた女性の娘を探しに行く。

 マドーはレイダーの力で死霊界にいる霊をいっせいに生き返らせ、人間社会を不安と恐怖の大混乱におとしいれようとたくらんでいた。霊をビーストの体内に宿らせれば最強のビーストが出来る。レイカイビーストはそのテストであった。

 娘の足取りがつかめない電は再び墓地へ行き娘を発見する。リリィから亡霊が暴れているとの緊急連絡を受け、電は現場へ向かった。

 女性は世の中に恨みを持つ霊たちを呼び起こそうとしていた。罪のない子を苦しめるなと言う電に、女性は子供たちを助けたければ抵抗するな、そうすれば助かる、と電を無抵抗にしておいて岩場に叩きつける。

 苦しむ電のもとへ娘が駆けつけ、泣きながら訴えた。「お母さんは悪くない、誰が何と言おうと私だけは信じている。だから、何の罪もないお友達を苦しめないで」女性は顔が穏やかになり、その場へくずれた。

 レイカイビーストから女性が抜け出すのを見た電は、赤射して応戦、シャリバンクラッシュでとどめをさした。悪霊が消えるとともに奇病に冒されていた人たちも元に戻る。

 電とリリィは娘とともに女性の墓参りをした。女性は卒塔婆に「さようなら」の文字を記し、優しい笑みを浮かべて空に吸い込まれていった。


 「オゼバン談」

 シャリバンの全話の流れの中で、この回が一番違和感を感じました。ヘレンが死んだ次の回としてはつながりが悪すぎるのです。「出てこい。出てこいマドー!」と叫んだ翌週のわりには戦闘への入り方があっさりしすぎています。マドーに対してどのような怒りをぶつけていくのかと期待していたところ、全然関係のない話が始まり、当時も唖然とした記憶があります。母と娘の愛をよく描けていますが、自分としてはヘレンの残したブーメランを電が投げつけるような、熱いものが伝わってくるシーンを入れて欲しかったです。

 電が娘の前で赤射してしまいますが、おそらく娘は泣き崩れていたのでしょう。

 この回はクライムバスターの発射回数がやけに多いです。第40話、第41話もそうですが、クリスマスやお正月の時期ですからご容赦ください。

 再生怪人軍団が出てきて画面は派手でしたが、やっぱり戦闘員並の弱さでした。ショーで使われたのか、ちょっとこ汚いです。

 大葉氏の出演は無し。


もどる