第三十九話 「人形は知っている イガ戦士の心の傷を」(83/12/2)脚本・上原正三 監督・田中秀夫

 シャリバンと共に厳しい稽古に励むベル・ヘレン。訓練を終え一息ついたとき、電はヘレンの首筋にひどい傷跡があるのを目にする。傷について聞いても曖昧な返事をするのみで、ヘレンはもう一度稽古して欲しいと願った。電はヘレンが気負いこみ過ぎていることを心配し、たまには心のやすらぎが必要だと諭す。

 大山小次郎と鈴木モータースの子供たちにヘレンを紹介し、電はみんなでショッピングへ出かけた。その最中、千恵はピエロに人形をもらう。人形を見たヘレンは表情を一変させ、人形を投げつけて走り去ってしまった。

 バイクで夜道を走るヘレンの前に再び人形が現れる。人形の名はローラ。幼なじみのジムが子供の頃にプレゼントしてくれた物であった。人形はヘレンに催眠術をかけ電を襲わせる。操られていることに気づいた電は赤射して人形を撃ち抜いた。人形はローラではなくドールビースト、正体がばれるとすぐに行方をくらませた。

 正気に戻ったヘレンは電に斬りかかったことを悔い、重い口を開き始める。

 マドーの宇宙戦士狩りに捕らえられたヘレンは厳しい拷問に耐え続けていた。業を煮やしたドクターポルターは、ヘレンが大事にしていた人形に目を付け、仲間のアジトをはかなければ人形を撃ち抜くと脅す。自分を痛めつけられるより辛かったヘレンは口を割り、宇宙戦士の仲間でもあった幼なじみのジムを殺されたのだった。

「裏切り者よ私は」泣き崩れるヘレンに電は、「自分を責めるのはやめろ!卑劣なのはドクターポルターだ」と怒りを燃やす。

 電はヘレンを元気づけるためリリィと共に川へ釣りに出かけた。釣った魚を焼いて三人で楽しい一時を過ごしていたところ、宙に浮かぶ人形を見て、再び催眠状態となり走っていくヘレン。人形はヘレンを狙撃したが、危ういところを電が救った。

 ヘレンは銃を構え人形を撃とうとするも、どうしても引き金を引くことが出来ない。「ヘレン!忌まわしい過去を撃ち抜くんだ!」電の声にヘレンが人形を撃ち抜いた。ドールビーストに変身した人形を前に電は赤射して応戦、シャリバンクラッシュでとどめを刺す。

 リリィは自分が作った人形をヘレンにプレゼントした。ヘレンは笑顔で受け取り「リリィちゃん」と名づけた。


 「オゼバン談」

 渡氏は髪をかなりすっきりさせ、さわやかお兄さんになっています。

 ファンコレによると村上潤氏がシャリバンのスーツアクターを務めた最後の回らしいです。ギャバンの頃から素晴らしいアクションを見せて下さり、影響を受けた方も多いのではないでしょうか。この後はマシンマンのスーツアクターをやられました。

 渡氏によると、村上氏のアクションは動いて、キメ、止めて、キメ、とキメがあるので、声を入れやすかったそうです。当時、家が近く、JACに入って最初にお世話になったのが村上氏だったとか。渡氏の部屋でいろいろな話をしたそうです。

 ドールビーストは気色悪さナンバー1。あれはちょっとやりすぎでしょう。首がもげて飛ぶと、かなりギョッとします。

 ドクターポルターは意外にも射撃がうまい?昔は黒ではなく白いシースルーの布をまとっていたみたいで、ずいぶん印象が違います。

 両親や弟だけではなく、幼なじみまでマドーに殺されていたヘレン。恨みを抱き復讐を誓う動機としては十分すぎるほどです。徹底したキャラクター作りも「宇宙刑事シャリバン」を名作にした理由でしょう。

 大葉氏の出演は無し。


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