第三十八話 「乱心ささやきクーデター 暗雲の幻夢城」(83/11/25)脚本・上原正三 監督・小笠原猛

 レイダーはガイラー将軍に「ドクターポルターの支配下にいることはない、自分の力だけでシャリバンを倒せ」と催眠術をかけた。

 パトロール中にアシュラビーストに襲われている子供たちを目にした電は、近くにあった小屋の中へ避難させる。マドー一味は小屋を囲み、ドクターポルターの作戦通り一気に攻撃を仕掛ける予定であったが、現場をまかされていたガイラー将軍は独断で作戦を変更、シャリバンと一騎打ちをしてしまう。

 ミスアクマは当初の作戦通り砲撃で小屋を破壊したが、シャリバンはバリアで子供たちを守り、クライムバスターで敵を退けた。

 幻夢城にもどったガイラー将軍は、ドクターポルターの叱責を受け、魔王サイコに謹慎処分を言い渡される。レイダーはガイラー将軍の酒に怪しい薬を混ぜて酔わせサイコに絡ませた。サイコは怒り、ガイラー将軍を投獄してしまう。

 電は助けた子供たちの学校へ招待され、おかしとジュースでもてなされた。だが、子供たちと遊んでいる最中、突如めまいに襲われる。子供たちと先生はマドーが化けたものだったのである。

 襲われた電は赤射して反撃するも、子供たちを人質に取られて身動きがとれなくなってしまった。アシュラビーストの激しい攻撃にのたうつシャリバン。危ういところへ、どこからともなくブーメランが飛来してくる。次々とマドー一味を打ち、持ち主の手にもどるブーメラン。それはシャリバンと同じイガ星の血を引くベル・ヘレンの物であった。

 共に戦うヘレンとシャリバン。子供たちはヘレンが逃がし、アシュラビーストはシャリバンクラッシュで葬られる。

 同じ頃、隙を見て牢を抜け出したガイラー将軍は、ドクターポルターに斬りかかっていた。サイコは光線を発してガイラー将軍を動けなくし、自分の後継者を座らせる椅子の下敷きにする。

 レイダーは思惑通り、ガイラー将軍とドクターポルターの分断に成功したのであった。


 「オゼバン談」

 レイダーが本性を現し、マドーの内部分裂をはかる印象的な回です。簡単にひっかかってしまったガイラー将軍は間抜けに見えますが、武人として一騎打ちをしたい気持ちは解る気がします。気合いが入っていたせいかなかなかの奮闘で、剣客同士の果たし合いのようでした。かなりかっこよかったのに椅子の下敷き……。

 シャリバンプロテクション(バリア)がドーム状にもはれるのには驚きました。これがある限りドクターポルターの作戦でも失敗していたわけですから、ガイラー将軍はあそこまで叱責されなくてもよかったのではないかと思います。

 小次郎さんと千秋は剣玉で遊んでいます。熊事件の和解はできたみたいですね。

 ベル・ヘレンの再登場に誰もが喜びますが、この回はブーメランに注目して下さい。劇中では語られていませんが、あれはまず間違いなくビリーが使っていた物です。それまでヘレンはブーメランを携帯していませんでしたから、おそらく二週間で稽古に稽古を重ねたのでしょう。ビリーが死んでしまった後、ブンリビーストに払い落とされた弟のブーメランを拾いに行き、それを投げ続けるヘレン。日焼けした肌も身に課した稽古の厳しさを想像させます。そして、マドーに対し最初にたたき込んだのが弟のブーメランでした。ヘレンがどんな気持ちであの一投をしたかを想像すると、ただシャリバンのピンチに駆けつけてかっこよかったというだけではなく、また違った感想を持たれるのではないでしょうか。以後、ヘレンは最後の戦いまで、このブーメランを腰に帯びています。

 ワイルドで男性顔負けのアクションの直後に、女の子らしい笑顔で「お役に立てて嬉しいわ!」と言う。このあたりのギャップもヘレンの魅力ですね。

 電の靴下はまたまた白。

 大葉氏の出演は無し。


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