第三十四話 「総毛立つ幽鬼は死霊界への案内人」(83/10/28)脚本・上原正三 監督・小笠原猛

 魔王サイコはいつまでもシャリバンを倒せないことにいらだっていた。そんなおり死霊界から幻夢城へレイダーがやってくる。シャリバンなど赤子の手をひねるがごとしと、レイダーは電に幻覚を見せて簡単に追いつめた。

 シャリバン討伐の全権をレイダーに与えようとしたサイコに、ドクターポルターはもう一度チャンスをと願い出る。

 大山小次郎は鈴木家の子供たちを連れてキャンプへ行っていた。そこへヒャクメビーストが現れる。ドライブ中だった電は悲鳴を聞いて駆けつけ赤射した。

 魔怪獣だけでは心許ないとサイコはレイダーにも向かわせる。二人がかりで攻撃され苦戦するシャリバン。ヒャクメビーストはシャリバンクラッシュで粉砕したものの、その場に崩れ落ちてしまった。しかし、レイダーはとどめを刺さずに幻夢城へもどってしまう。すでに屍同然と判断したのであった。

 電はグランドバースに収容され、意識を失ったままリリィの看護を受けていた。

 死線をさまよいつつ夢の中で聖なる者に出会う電。差し出されたコンパスに導かれ歩いていくと分かれ道にたどり着く。

 すべての苦しみを捨て楽になれる死の国と、今後の苦難を示唆する殺風景な生の国。電は死の国の誘惑をはねのけ、イガ星再興に向けてあえて茨の道である生の国への道を選んだ。

 やがて電を待っていたかのように目の前にイガクリスタルが現れる。死霊をはね除けながら手を伸ばし、イガクリスタルに触れたとき、電は意識を取り戻した。


 「オゼバン談」

 レイダーのスーッとすべるように歩く姿と、耳に残る凍りつくような笑い方。当時の子供たちは眠れなくなったでしょうね。髪型はボクシングの大物プロモーター・ドン・キングふう。役者は安藤三男氏です。人造人間キカイダーのプロフェッサーギルなど、強さは感じないのになぜか恐い不思議な雰囲気を持ったかたです。

 白骨の伊賀電が襲ってくるシーンはやりすぎでしょう。

 月子が出てくるのには驚きました。バード星で訓練を受けつつ元気に暮らしている姿が想像されます。ミミーと同じようなペンダントを身につけていたので、なにかしら変身する能力を身につけているのかもしれません。

 千秋さんが歌が上手いのにもビックリ。

 舞台が夜であることを利用して、赤射後のアップスーツがいつもよりよけいに光っています。豪華な「電子シャリバン」です。

 渡氏はこの回が自分の思った通りの絵になっていて嬉しかったそうです。撮影中抱いていたイメージ通りの演技でとても良かったとのこと。テーマがしっかりしていて、納得のいく芝居もでき、自分でもときめくくらいだったとか。でも、バイクのシーンはちょっと不満だそうです。

 話がずれるかもしれませんが、生の国と死の国の描写を見て、つかこうへい氏の本で春田純一氏について書かれた一節を思い出しました。「女優になるための36章・上巻」(主婦と生活社刊、1995年8月7日初版発行)JACに一度でも興味を持たれたことがあるなら、ぜひご一読ください。そして自分にどんな困難が降りかかってきても、けして絶望することなどなく。たとえつらい選択となっても逃げたりしないで、乗り越えていく勇気を持ちましょう(ほとんど自分に言っています)。

 大葉氏の出演は一ヶ所。二ヶ月以上ぶりで嬉しかったです。


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