第十三話 「強さは愛だ 英雄たちの旅立ち」(83/5/27)
脚本・上原正三 監督・田中秀夫

 デビュー以来、すべての試合を1ラウンドKOで飾っているKOジョーの話を聞き、伊賀電は千秋と共に観戦しに行く。

 予告通り1ラウンドでKOしたジョーを見て、どこかひっかかるものを感じた電は、ジョーが所属している大銀河スポーツクラブへ向かった。

 レフリーとトレーナーがグローブをすりかえる話をしているのを聴き、やはり裏があると確信した電は、ジョーに殴りかかりパンチをくらってみる。だが、喧伝されているほどの破壊力はなかった。

 次の試合の日、会場に潜り込んだリリィは、試合後のインタビューの隙にジョーのグローブの入手に成功、グランドバースに持ち帰り調べた。グローブには拳を握りしめると鉄板のようになる繊維が仕込まれていた。

 電はジョーのもとへ行きグローブには仕掛けがあることを話す。しかし、ジョーはそれでもかまわないと答える。

 リリィの調査によると、ジョーは中一の時にガンで母を亡くしていた。金銭的に余裕がなく手術を受けさせることが出来なかったのである。以来、貧しい人でも手術を受けられる病院を作ることが、ジョーの夢になっているという。

 夢を叶えるために悪魔に心を売り渡してしまったジョーを救いたいと電はギャバン隊長に相談した。「本当の強さは優しさなんだ。愛なんだ。ってことを教えてやる必要がある」ギャバンの言葉に、電はもう一度ジョーのもとへ向かった。

 ジョーは夢のことなど忘れ、昼間から女をはべらし酒を飲んでいた。電はジョーを連れだして、物静かで争いごとの嫌いだった自分の父が、熊に襲われた見知らぬ母と子を助けるために熊と戦って力つきたことを話す。

「俺は本当の男の強さを見た。君の強さは本当の強さじゃない」電の説得も受け入れることが出来ず、ジョーは殴りかかってきた。何度も何度も地にはいつくばる電、しかし、そのたびに立ち上がる。いかなる暴力も電の信念を曲げることは出来なかったのである。電は拳を握りしめ、ジョーの腹部に強烈な一撃を入れた。たった一発で動きを止めるジョー。「わかったか、君はけして強くない。強くなんかないんだ」

 崩れ落ちるジョーを背に立ち去ろうとしたとき、ジョーのトレーナーが現れた。ボクサービーストに変身したトレーナーを前に電も赤射、シャリバンクラッシュで倒す。

 後日、電は街角でジョギングに励むジョーと出会った。「もう一度初めからやり直し、夢を実現してみせる。病院を建ててみせる」ジョーの決意のこもった言葉に、電もまたマドーのいない平和な地球にすることを誓うのであった。


 「オゼバン談」

 おもいっきり千秋と腕を組んでボクシング観戦に行く電は、どこから見てもつきあっているようにしか見えないのですが……。

 ボクサービーストの人間体として高橋利通氏が出演されています。だんだん写る時間が長くなっているのが興味深いです。あそこまで筋肉モリモリだと、かえって動きにくくなるのではないかと思われるかもしれませんが、さすがにJACの一員、敏捷な動きです。

 電の父親・電一郎役は上條恒彦氏。熊との戦いは、自然を愛し弱者を守る電の性格に強い影響を与えたエピソードとして、効果的に使われています。一人きりになった幼少時の電がどんな気持ちで成長していき、森林警備隊員となって自然を守っていたかを考えると涙がこぼれそうになります。

 この回からEDに二番も使われるようになりました。口ずさむのが習慣だったので、当時は驚いた記憶があります。しかし、いい歌ですよね。

 大葉氏の出演は一カ所。久しぶりなので髪の側面が伸びボリュームがあります。若干顔色が悪く、目の下にクマが出来ているうえに視線が鋭いため、顔が怖く見えます。もしかすると15話の拷問シーンの後に撮影されたのかもしれません。

 ミスアクマ2、ドクターポルターのレオタード姿あり。


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