これほどまでに前番組からのバトンタッチがスムーズであった作品があったでしょうか。

「宇宙刑事ギャバン」第42話に森林警備隊員として登場した伊賀電は、バッファローダブラーに襲われて重傷を負うも、ギャバンの手でバード星に送られ、最先端の医術で完治、宇宙刑事の適正を認められて訓練を受け始めます。そして、最終回である第44話に、ギャバンのあとを引き継ぐ宇宙刑事シャリバンとして戻ってくるのです。

 ギャバンのコンバットスーツにも驚きましたが、赤いメタリックカラーのシャリバンも実に美しい造形でした。初登場時の印象はギャバンと互角です。

 主役の渡洋史さん(当時二十歳)は若さにあふれ、一生懸命さが常に画面から伝わってきました。役柄である伊賀電と重なり、回を追うごとに成長しているようで、観ていてすがすがしかったです。

 大好きな大葉さんも隊長に出世して登場している。これを観ないわけにはいかないでしょう。

 そして、もう一人。この作品を観ていた人なら、忘れられないかたがいますよね。大輪の花火が夜空にドンと開いた。そんな女優生活でした。お元気でいらっしゃるとうれしいのですが……。

 役者以外でも、OPやED、レーザーブレード、シャリバンクラッシュなど、ギャバンをさらに洗練した感じで、制作者の方々の「よりよい物を作ってやる」という気概が感じられました。

「宇宙刑事ギャバン」の後番組としては申し分のないものであったはずです。しかしながら、宇宙刑事シリーズ自体がそれまでの子供番組より対象年齢を高く設定してあったのですが、この番組では少々上げすぎたのか、子供たちが怖がって観なくなり、ギャバンの頃より視聴率が下がったらしいです。

 確かにビースト(怪人)やレイダーなど、子供なら目をそむけてしまいそうなデザインでした。

 後半のストーリーも小さな子供には少し難しかったのかもしれません。その分、大きなお友達には面白かったのですが……。

 なにはともあれ名作であることにかわりはない、「宇宙刑事シャリバン」についても振り返ってみましょう。


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