第四十四話 「ドンホラーの首」(83/2/25)脚本・上原正三 監督・田中秀夫

 ギャバンはボイサーと民子を一緒に埋葬し、ミミーと共に墓前で手を合わせた。

 その頃マクーは、豪介、わかば、陽一、月子、小次郎、当山を拉致していた。

 戻ってきた烈はサンドルバの置き手紙に従い大岩山へ向かう。サンドルバは豪介たちを磔にし、罠を張ってギャバンを待ち受けていた。しかしギャバンはサイバリアンのレーザースピードで急接近し救出に成功する。

 サンドルバは魔女キバと共に魔空城へ逃げ帰り、ドンホラーの叱責を受け、勘当を言い渡された。サンドルバとキバはドンホラーとギャバンを戦わせようと企み、富士山麓に停まっているドルギランを魔空城で押しつぶそうと進言、ドンホラーに受け入れられる。

 魔空城はドルギランに向かって行ったがレーザーで逆襲された。その隙にサンドルバとキバは逃げようとするも、ドンホラーに捕まってしまい、ギャバンを討つしか生きる道はないと言われる。

 サンドルバはキバの妖術の助けを借りギャバンを苦しめた。ギャバンがとどめを刺されそうになったとき光球がさえぎり、コンバットスーツに身を包んだ男が現れた。「宇宙刑事シャリバン!」その声にギャバンは目を覚ましたように反撃、サンドルバとキバを倒した。

 ギャバンはさらにサイバリアンで魔空城内へ突入。ドンホラーと一対一の対決をし、宙を舞う首に苦しめられたがギャバンダイナミックで仕留めた。

 ドンホラーの死と共に炎上する魔空城。かくして宇宙犯罪組織マクーは滅びたのである。

 ギャバンは銀河パトロール隊隊長に昇進、地球担当はシャリバンに引き継がれた。


 「オゼバン談」

 この回の冒頭、捨て犬を見かけた烈が抱き上げて、「どうした? お前もひとりぼっちか? 俺が仲間になってやるからな」と言います。ちょっとしたことなんですが、もしこの言葉の最後が「俺が飼ってやるからな」だったらどうでしょうか? 子犬に対しても「仲間」という言葉を使うのは、弱者だからといって上から見下ろすのではなく、常に相手の目線に立っている烈の優しさをよく表現していると思います。脚本家の上原正三氏は天才でしょう。

 実寸サイバリアンがかなり長く映ります。登場の仕方はこのあとに現れるシャリバンにそっくりでした。

 シャリバンの名乗りポーズが信じられないくらいシンプルです。のちの大げさなものと比べると吹き出す人もいるかもしれません。一応覚えます?

 サンドルバとキバに喰らわせた、空中三回転後のギャバンダイナミック二連打も最高でした。

 この回の田中監督は、ドンホラーの首が飛ぶときの尾を引く合成を入れるだけで徹夜したそうです。妥協なき製作姿勢には頭が下がりますね。

 大葉氏は企画書を読んだ段階で「テーマは愛」と書かれていたことに感動したそうです。母は亡く、父は行方知れずの混血児の青年が、巨大な悪に挑んでゆく中で、弱いものに対してささげる愛。子供達や動物たちへの愛。そういったものが見ている方に伝わるような演技をしたいといつも考えていたとか。その姿勢は完璧に成功し、言葉の通じない外国の方にさえ伝わる最高の演技へと昇華されました。恥ずかしくて人には見せなかったそうですが、ご自身で脚本を書かれたこともあったそうです。ぜひ観たかったですね。


もどる