第四十三話 「再会」(83/2/18)脚本・上原正三 監督・田中秀夫

 ボイサーが鬼首島のマクー総本部基地で熾烈な拷問に耐えていた頃、ギャバンは懸命に父を探していた。

 魔女キバ特製の自白剤で、すでに体はボロボロにされている。もう一度投薬されたら命はない。ボイサーは天を見上げ、一目会いたいとギャバンの名を呼んだ。

 バード星人特有のテレパシーであろうか、港にいたギャバンはその声を聞き取る。ドルギランで声のした方角へ向かうと怪しい島を発見した。

 砲撃されたギャバンはギャビオンで反撃し、マクーが制作していたホシノスペースカノンをスクーパーで破壊する。

 マクーの逃走後、人気の無くなった基地内を捜索したギャバンは、牢の中で倒れている男を見つけ、懐中時計のオルゴールをならした。聞き覚えのある曲に顔を上げた男は、瀕死の体に鞭を打ち、格子の前まではい寄ってくる。涙をこぼしながら自分を見つめる青年に男は口を開いた。「ギャバン……」万感の思いで言葉が見つからず、あとはただ格子ごしに手と手を取り合う父と子であった。

 ボイサーはドルギランに収容された。しかし、すでに体は限界まで痛めつけられており、ベッドの上で静かに息を引き取ってしまう。

 ギャバンは涙に暮れながらも、ボイサーの手のひらにレーザー増幅装置の設計図が記されていることに気づく。体温が下がると浮かび上がる特殊なインクで記されていたのだ。ボイサーは秘密を守るために歯を食いしばって生きていたのである。

 父が命がけで守った宇宙の平和をこれからは自分が守る。夕日に向かって誓うギャバンであった。


 「オゼバン談」

 この回を観ていただければ「宇宙刑事ギャバン」という番組が、単なる子供番組ではなかったことが解っていただけると思います。

 大葉氏は実生活でも千葉氏のことを尊敬しているため、本当に父と子のように見えますよね。

 JACに入会して十年以上努力した結果、自分が主役の番組に師匠をゲストとして呼ぶことができた。これ以上の恩返しはないでしょう。大葉氏の心中を察すると、また違う感動の涙がこぼれそうです。

 死別のシーンは、大葉氏と千葉氏の仕事の都合で二人一緒に撮影されていません。つまり代役を前に涙をこぼしているのです。これを一流と言わずして、何を一流と言うのでしょうか。


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