第一話 「東京地底の怪要塞」(82/3/5)
脚本・上原正三 監督・小林義明
人々が平和で穏やかな暮らしをいとなんでいる地球。
その美しい星を植民地化し、
犯罪に満ちた世界にしようとたくらむ宇宙犯罪組織マクーが動き始めた。
マクーは手始めに建設中のスペースコロニーを破壊、
破片を地球へ落下させる。
爆発する石油コンビナート、まっぷたつに折れる超高層ビル、
街はたちまち大パニックとなった。
あいさつをすませたマクーは、あらゆる財宝と人材を手に入れるため、
地球上の秘密基地に武器や資材の運搬を始める。
銀河連邦警察は、その動きを察知し、
バード星本部から一人の宇宙刑事を派遣した。
バード星人の父と地球人の母を持つギャバンである。
「母のふるさとをマクーの勝手にはさせない」超次元高速機ドルギランで移動しながら、
両親の写真を納めたロケットを手に、決意を新たにするギャバン。
と突然、警報が鳴り響く。
地球での活動を邪魔されてはこまると、
マクーが二十機を超える戦闘機で襲ってきたのだ。
ギャバンはうろたえずギラン上部のレーザー砲を発射、撃退に成功する。
一息ついたギャバンを呼ぶ女性の声。
現れたのはコム長官の娘ミミーだった。
ギャバンのもとを離れたくないと、勝手に乗り込んでいたのである。
帰らせようとするギャバンを拒み、
ミミーはレーザービジョンでインコに変身、地球へ向かって先に飛んでいってしまう。
地球に到着したギャバンは、さっそくジープで調査に出かける。
ミミーとも合流し、ルポライター大山小次郎とも面識を交わした。
アバロン乗馬クラブの陽一少年は、
昨夜見たUFOを探しだそうとUFO少年隊を組織、
マクーの秘密基地を発見し、潜入する。
しかし、獣星人ダブルマンに見つかってしまい、あわてて逃げ出すが、
捕らわれて処刑が決まる。
あわやというところへギャバンがジープで駆けつけた。
戦闘員クラッシャーを次々となぎ倒し、子供たちを無事に救出。
だが、現れたシャコモンスターに襲われ、力の差を感じたギャバンは蒸着する。
光り輝くコンバットスーツを身につけたギャバン。
無敵の力を得、基地内の戦闘機、シャコモンスター、ダブルマンと次々と撃破、
マクーの陰謀を阻止した。
その後ギャバンは救出した陽一の縁で、アバロン乗馬クラブで働くことになる。
母の姓を借り、一条寺烈と名乗って、地球での生活が始まったのだ。
かくして、ギャバンとマクーとの熾烈な戦いがスタートしたのである。
「オゼバン談」
人が住める日本製のスペースコロニーが建設されているところを見ると、
この物語は実は近未来の設定だったのでしょうか?
コム長官とギャバンが会話している最中、
マリーンが右手を腰に当てています。
「前にならえ」の一番前みたいですが意味は不明です。
ミミーは第一話からかわいいです。
「ギャバン、あなたのいるところは私のいるところ」は名セリフですけど、
インコに変身して宇宙空間を飛んでいく姿には驚きました。
UFO探検隊の陽一が持っている箱形の機械(?)も用途不明です。
磁力探知機のようなものでしょうか。
自分で作ったのならすごいことです。
子供たちに簡単に基地を見つけられ、
潜入を許してしまうマクーには問題がありますね。
視聴者に教えるかのように、
蒸着ポーズの一つ一つをきっちりとっている烈が新鮮です。
サイバリアンは赤いキント雲?
番組当初のせいか、
レーザーZビームとシルバービームの使い分けがあいまいでした。
魔空空間では右耳からもエレクトロソナーのアンテナを伸ばしていました。
両耳に同じ機能があるみたいです。壊れたときの予備でしょうか?
初期のレーザーブレードはかなり短く、
ギャバンダイナミックで敵はまっぷたつになることが解ります。
(後に爆発するようになる)
大葉氏は「宇宙刑事ギャバン」が、
スポンサー、デザイン・設定の企画者104の方たちの念願の作品であったうえ、
放送が女の子向け番組の時間帯だったため、最初はすごく不安を感じていたそうです。
「バトルフィーバーJ」「電子戦隊デンジマン」以来のつきあいである吉川進プロデューサーにも、
「お前に賭けてんだぞ」と激励を受けたとか。
OPのサイバリアンに乗っているギャバンはシャリバンの渡氏とのこと。
第二話 「盗まれた日本列島」(82/3/12)
脚本・上原正三 監督・小林義明
50万トンタンカー・大日本丸が空へ消えた聞き、
マクーの気配を感じたギャバンは、ドルギランで調査を始める。
その頃、日本政府には脅迫状が届いていた。
「大量のダイヤモンドをロケットで打ち上げろ、
さもなくば東京上空で大日本丸を爆発させる」
追いつめられた日本政府は要求を受け入れた。
ダイヤモンドを手に入れたマクーは調子づき、
さらに富士山を譲渡せよと要求してくる
(日本一の山の所有権を手に入れ、
日本政府を意のままに操っていることを示すためであろう)。
アバロン乗馬クラブで馬の世話をしていた烈のもとに、
ミミーがその情報を持ってきた。
情報の確認のため烈は日本政府の施設へ潜入、マクーのたくらみを知る。
ただちにドルギランで取引場所へ飛び、マクーの悪事を阻止した。
邪魔をされたマクーは怒り狂い、大日本丸を東京へ飛ばす準備を始める。
マクーの秘密基地のありかとして、
東京周辺の小島が怪しいと思った烈は、調査をして発見。潜入した。
数々のトラップに襲われるも無事に回避し、
安堵していたところへガマラモンスターが現れる。
烈は蒸着して戦った。
やがて魔空空間に逃げ込んだガマラモンスターは巨大化する。
ギャバンはドルを呼び寄せて対決、勝利を得た。
一息つく間もなく大日本丸が移動を開始する。
無線操縦されていることに気づいたギャバンは、
エレクトロソナーで司令船を発見、
サイバリアンで追跡し、乗っていたダブルマンを倒した。
しかし、大日本丸は止まらない。
爆発まであと3分。
ギャバンはドルで追いかけ、すんでのところで捕まえる。
そのまま宇宙空間へ運び、スクリューアタック(尻尾による打撃)で破壊。
かくして東京の平和は守られた。
「オゼバン談」
「宇宙刑事シャリバン」でガイラー将軍役をやった栗原敏氏が、
ダブルマンとして登場します。
しかし、ダブルマンって空が飛べるんですね。
ドルギランに発見されまいと、
物陰に隠れるダブルマンとハンターキラーがかわいいです。
政府施設やマクー基地への潜入で大葉氏のアクションが爆発。
動きにくそうなウエスタンブーツもなんのそのでした。
マリーンの腰に手を当てるポーズはなくなっています。
コム長官とミミーは番組では初顔合わせのはずなのですが、
地球に居続けることは認めてもらえているみたいですね。
ドルは頭部にコックピットがあり、
「ドルダッシュ!」のかけ声でギャバンが外へ飛び出して鼻先に立つとか、
両手の平からも「ドルレーザー」を出せるとか、
忘れている設定もありました。
この回のスパイラルキックはドロップキックのように両足で蹴ります。
レーザーZビームも指先からだけではなく、手刀部分から発射したりして、
使い分けが明確ではありません。
エレクトロソナーの右アンテナあり。
登場したガマラモンスターは、
ベム怪獣の中で一番かわいいと思っているのは私だけでしょうか?
(顔色の悪いプレーリードッグみたい)
巨大化したガマラモンスターと戦う際、着ぐるみのドルが出てきます。
後ろ足がみょうにたくましく、こちらもかわいらしいので、
画面は微笑ましかったです。
ドルは大気圏内ではどうやって飛んでいるのでしょうか?
小さい翼で揚力を得、しっぽを振って進んでいる?
第三話 「大変だ!黒星博士のベム計画を阻止せよ」(82/3/19)
脚本・上原正三 監督・小林義明
犬とヤギの散歩をさせていた陽一とわかばの前に、
捕虫網を持った奇怪な老人が現れ、
わかばがよそ見をしている間にヤギを捕獲して立ち去った。
ミミーと共に乗馬を楽しんでいた烈は、
いなくなったヤギを捜している陽一とわかばに出会う。
老人が怪しいとの声に馬で追いかけた。
行く先でマクーは烈を襲ってきた。
蒸着して戦うも、すぐに相手はいなくなる。
ハンターキラーの「ギャバン、お前の父は地獄へ堕ちた」
という声だけが不気味に響いた。
ドルギランへ戻り、コム長官に父の話を聞くギャバン。
ハンターキラーは元々、
父ボイサーの要請でコム長官が派遣した宇宙刑事であり、
マクーへ寝返って以来、ボイサーは行方不明になった。
ギャバンは真相を知り、驚きを隠せない。
しかし、行方不明で死を確認した者がいないなら生きている可能性もある。
そう信じ、ハンターキラーへの復讐を誓った。
その頃マクーは地球上の生物を空気の薄い惑星でも生きられるよう改造し、
宇宙に転送するというベム計画の研究をしていた。
烈は地上での捜査を開始、
出くわした大山小次郎に怪しい老人の話を聞き、
未来宇宙食研究所へ向かう。
そこで見かけた黒星博士と怪しい老人の姿が重なり、
ミミーに身元を調べてもらった烈は、ますます博士に疑いを持つ。
一方、マクーはベム計画の動物実験を終え、
人体実験に移ろうと子供たちを捕獲し始めた。
わかばが怪しい老人に連れ去られたと知り、
烈とミミーは研究所へ潜入、無事に救出する。
怒った黒星博士はダブルマンに変身、
コンドルモンスターも現れ苦戦した烈は蒸着。
マクーの悪だくみを阻止した。
「オゼバン談」
東映空手映画などでおなじみの石橋雅史氏が、
黒星博士役で登場します。
大葉氏とは「バトルフィーバーJ」のヘッダー指揮官二代目役で共演していました。
劇中のボイサーの声は千葉さんではありませんでした。
インコから人間に戻るミミーをわかばがおもいっきり目で追っています。
しかし、捕まった恐怖から興奮状態にあったのか、
何を見たのかは分かっていないみたいです。
ミミーの乗馬服姿はよく似合っていました。
「レーザースコープ」と言うところから、
アップ用とアクション用の中間のスーツが出てくるのですが、
この中にシャリバンの渡洋史氏が入っているらしいです。
「寸づまりのギャバンになった」と後にご自身で自嘲しておられます。
クラッシャー(戦闘員)との戦いで大葉氏が、
正面の敵にバック転をしながら蹴りを入れます(サマーソルトキック?)、
鉄拳5あたりでプレイヤーキャラになるかも(ホントか?)。
第四話 「死を呼ぶ魔人兜」(82/3/26)
脚本・上原正三 監督・奥中惇夫
かぶった者に無敵の力を与えるという魔人兜を見つけるため、
宇宙考古学者・神永教授は探索を続けていた。
三つの玉から構成された光コンパスを使い、
ついに兜の眠る洞窟を発見する。
中に入ると、同じく魔人兜を狙っていたマクーに遭遇し、
一行は閉じこめられてしまった。
ただ一人、神永教授に同行していた大山小次郎が難を逃れ、
光コンパスをもって逃げ出す。
子供たちとハイキングに来ていた烈は、
命からがら逃げてきた小次郎を助けるため追ってきたマクーと戦った。
しかし、サソリモンスターには苦戦し蒸着、
無事に敵を退け、光コンパスは烈の手に渡る。
あせりを感じたマクーは、
ダブルマンを神永博士に変身させて烈に接近、
光コンパスを取り返した。
偽の博士を信じ込んでいる烈は、
毒の霧が吹き出している岩場へ言われるままに足を踏み入れてしまう。
たちまち意識を失い、脚を滑らせて転落する烈を、
インコになって別行動をしていたミミーが発見、
介抱の結果、烈は意識を取り戻す。
神永教授が偽物であることに気づいた烈は、
洞窟へ急ぎ問いつめた。
偽教授は開き直りダブルマンに変身、
現れたサソリモンスターと共に攻撃してくる。
烈はただちに蒸着、サソリモンスターを倒す。
だが、その間にダブルマンに魔人兜をかぶられてしまった。
ギャバンは危険を感じるも戦い抜き、敵を討ち果たす。
魔人兜の魔力は五千年の年月で効力を失っていたのである。
洞窟内に閉じこめられていた教授達は、
ドリルタンク・スクーパーで救出、
魔人兜は研究用に神永教授へプレゼントした。
戦い終わって夕日を観ながらくつろぐ烈とミミー。
そこをオートバイで駆け抜けるハンターキラー。
烈はすぐさまジープで追いかけた。
マクーの暗躍がある限り、
ギャバンにはデートをする時間もないのである。
「オゼバン談」
小次郎さんのヘルメットにビックリ、アメフトをやっていたのでしょうか?
クラッシャーを頭突きでやっつける際に役立ちました。
サソリモンスターに最初に殺されたのは、
JACの益田哲夫氏だと思われます。
美術さんが影をつけすぎたせいか、
ドンホラーが異様にマッチョな体つきになっています。
腹筋が「そんなに割れなくても……」といった感じです。
高次元戦闘車ギャビオンと、
ドリルタンク・スクーパーが初登場しますが、
ギャビオンは輸送機で終わります(サンダーバード2号の役目?)。
サソリモンスターはけっこう斬新なデザインですよね。
クリスタル風で格好良かった魔人兜は、かぶると小汚くなって残念。
かえって動きにくそう?
魔人兜を傷つけないように、
ギャバンダイナミックを袈裟斬りぎみにしたギャバンの配慮に注目。
ダブルマンの体を走る斜線を観ていれば解ります。
プレゼントされた魔人兜を、
嬉しそうに抱えて帰る神永教授がかわいいです。
第五話 「ミミーは泣く 猛毒コブラ弾が烈に命中」(82/4/9)
脚本・上原正三 監督・奥中惇夫
来日した世界的にも有名な平和主義者ジョー・スミス博士が、
ハンターキラーに狙撃された。
大山小次郎は烈にスミス博士のガードを依頼する。
烈は馬の世話を小次郎に任せ、乗馬クラブを後にした。
退院した博士を待ち受けるようにドクジャモンスターが現れ、
博士を拉致して逃げ去ろうとする。
ギャバンはサイバリアンで駆けつけ救出した。
その一方、ミミーはマクーの追跡を続け、秘密基地を発見する。
烈は潜入を試みるも、ハンターキラーに脚を狙撃されてしまった。
ミミーのジープで救われた烈だが、
弾にはコブラの200倍という、
ドクジャモンスターの猛毒が塗られていたのである。
血清も効かず、烈は危険な状態におちいった。
連絡を受けたコム長官は秘書のマリーンに特効薬を届けさせる。
二人の美女による手厚い看護で、烈は快方へ向かった。
元気を取り戻した烈はマクー基地へ再び潜入、
スミス博士がマクーの一味であることを知る。
飛び出した烈を見てスミス博士はダブルマンに変身、
またしてもコブラ弾を打ち込む。
しかし、立っていたのはコンバットスーツに身を包んだギャバンだった。
手には弾が握られている。発射と同時に蒸着したのである。
ギャバンによってダブルマンとドクジャモンスターも倒され、
世界中に武器を売りつけようとしていたマクーの陰謀は阻止された。
「オゼバン談」
旧紙幣の千円札、一万円札が時代を感じさせます。
乗馬クラブでの今月の給料は三千円でしたが、
(けして三千円固定ではない)
宇宙刑事としての報酬はいったいいくらなんでしょうか。
クリーニングだけはマメにしているみたいですが、
いつも同じ服を着ているところを見ると、
とてもお金持ちには見えません。もしかしてボランティア?
コブラの200倍の毒で即死しなかった烈はさすが宇宙刑事。
マリーンがおおげさに「ワープ」と言って宇宙船のスイッチを入れたところ、
100メートル(目測)ほどしか進まなかったのには吹き出しました。
看病中に見せたミミーとのやりとりもほほえましかったです。
大葉氏がやたらにもてる役だったので、
スタッフの間からやっかみの声が出たとか。
ご自身は照れてしょうがなかったそうです。
拳銃を撃たれてから「蒸着」と言い、ポーズを取って、
コンバットスーツを電送、装着し、
「宇宙刑事ギャバン」とポーズを取りながら名乗って、
弾をはじくのではなくつかむ。
このシーンは放送当時も少し笑いましたが、
あくまで蒸着タイムは0,05秒だという強い意志が伝わってきました。
銃弾を握った際、
アップになったギャバンの右手の人差し指に突起があります。
Zビームの発射口だとしたら細かい造形ですよね。
登場したドクジャモンスターは、
砂丘のような場所で小走りをしたり、
下の砂をすくってはかける(効くのか?)かわいいヤツです。
第六話 「魔空塾の天才たち」(82/4/16)
脚本・上原正三 監督・小林義明
地球の子供にマダコフードを食べさせ続けると、
獣星人ダブルマンになることが解り、
マクーは知力・体力に優れた子供を集めようとたくらんだ。
学校帰りに喧嘩をしていたアキラも、目をつけられた一人となる。
大天才塾に入り、成績を上げるだけではなく、
念動力まで身につけたアキラを見て、
わかばと陽一も塾へ通うようになった。
話を聞いて怪しさを感じた烈は調査に乗り出す。
にらんだ通り塾にはマクーが関わっており、
オオマダコモンスターに襲われた烈は、蒸着して子供達を救出した。
しかし、子供達の洗脳はすでに進んでおり、
ダブルマンの奏でる笛の音を聞くと再び塾に集まってしまう。
アキラは烈のビンタで目を覚ました。
いったんは帰宅したが、マダコフードが食べたいと暴れだし、
笛の音に誘われて塾の早朝特訓に参加する。
虐待を受けている子供たちのもとへ烈が駆けつけた。
蒸着の後、オオマダコモンスターとダブルマンを倒し、
子供達に笑顔が戻った。
「オゼバン談」
マッチョなドンホラーはやはり気持ち悪かったのか、
色白ドンホラーにもどっていました。
わずか二話でも元に戻すということは、
よほど評判が悪かったのでしょう。
「人造人間キカイダー」で、
服部半平役をやった植田峻氏がダブルマンとして登場します。
変身するときに「魔空教育家〜ッ!」と言ったりして、
やはりどこかひょうきんな役回りでした。
笛を吹くとギャバンが苦しむというマニアックな演出もあります。
烈の衣装は詳細に覚えていましたが、
靴下が白とは思いませんでした(アキラの家でわかります)。
みんなで履こう!
この回よりダブルガールが登場しはじめます。
第七話 「怪物がひそむ花びらに少女は口づけした」(82/4/30)
脚本・上原正三 監督・小林義明
バラ園の少女クミが毎朝銀行へ運ぶバラに、
サムライアリモンスターが潜り込んだ。
現金輸送車の金を強奪するためである。
その日の午後、
烈は乗馬クラブを抜け出し、捨て犬に餌をあげていた。
そこへクミが通りかかり、犬を一匹わけてもらう。
クミと別れた烈が職場へ戻ろうとしたとき、不審な人物を見かけた。
輸送車の金を強奪しているのである。
烈が飛びかかると、たちまち正体を現すマクー一味。
サムライアリモンスターも現れたので、烈は蒸着した。
戦いの末、マクーを退けるも行方を見失ってしまう。
その場に残されたバラを頼りに、烈は調査を始めた。
バラは子犬をあげた少女の家のものだった。
そこで不審な人物の影を見つけ、追いかける烈。
アジトを発見したが、またしても逃げられてしまう。
ドルギランで待機中、
現金輸送車が襲われたという通信をキャッチし、烈は急行した。
マクーはクミのバラ園へ逃げ込み、クミの両親を人質に取る。
ガスに目をやられた烈は、
バラ園を戦場にしてはいけないといったん逃げた。
しかし、マクーは執拗に追ってくる。
ついに烈は拳を握りしめた。
サムライアリモンスターとダブルマンは撃破され、
バラ園の少女に笑顔が戻った。
「オゼバン談」
ウルトラマンのハヤタ隊員でおなじみの黒部進氏が、
ダブルマン役として登場します。
烈に投げ飛ばされるアクションをふき替えなしでこなされていました。
メインダブルガールとなる東まり子さんも初登場。
宇宙刑事は事件現場にたまたま遭遇することが多いのですが、
警察無線などから情報を得て、
怪しい場所をパトロールしたりもしているのでしょう。
あとは天性の勘でしょうか。
蒸着の時にちゃんと目を痛めている仕草をする大葉氏の細かい演技にも注目。
存在を忘れていた技も出てきます。
「ギャバンビーム」線路に両手を当てると、ビームが伝わっていく技。
Zビームとシルバービームの同時発射?
「ギャラクティカクラッシュ」エルボーを入れながら、
敵の間をすり抜ける。
「ギャバン・フルパワー」胸に受けたモンスターの光線を、
かけ声とともに跳ね返す。
ダブルマンが騎馬戦風に攻めてくるのも意味不明で面白いです。
シルバービームが左の手刀部より発射されるようになりました。
着ぐるみのドルが再登場し「スクリューアタック」を見せてくれます。
ゴジラの尻尾打撃みたいな感じで、これはこれでカッコイイです。
着ぐるみのドルは下半身が出てこないだけで、
巨大化したモンスターとの戦いにはひんぱんに登場しています。
踊りながらディスコに行きたいと言うミミーの聴いている曲が、
シュガーの「ウエディングベル」というところに時代を感じます。
設定は近未来ではない?
第八話 「正義か悪魔か?銀マスク大ヒーロー」(82/5/7)
脚本・上原正三 監督・奥中惇夫
スペースマガジン社の雑誌にUFOの写真が掲載された。
マクーの戦闘機であることに驚いた烈は、
写真の撮られた剣山へ調査に向かう。
剣山には多くのUFOマニアが集まっていた。
そこへカエンザルモンスターが現れ、子供達を追い立てた。
烈は蒸着し、子供達を抱えて助け出す。
マクーはその写真を撮った上で子供達を誘拐し、
写真をマスコミにまわしてギャバンが連れ去ったことにした。
無実を証明するには子供達を助け出すしかない。
手がかりはないかと、烈は再び剣山へ向かう。
マクーは山間にあるダムの縁に子供達を立たせた。
ギャバンが近づくと突き落とし、
殺人犯に仕立てようとたくらんだのだ。
それに気づいた烈は、ジープだけを先行させ、
自分はダムの裏からロープでよじ登り子供達を救出した。
取り返そうとするカエンザルモンスターを前に蒸着。
ダブルマンとともに撃破する。
子供たちの証言でギャバンの嫌疑は晴れたことであろう。
「オゼバン談」
この回のダブルマンは6話の魔巣窟にいました。
白骨のモンスターにボカボカ殴られていてかわいそうだったです。
ダムの壁面をロープで登っていく大葉氏の姿が圧巻。
コンクリートの壁面のため足を引っかける場所もなく、
腕の力だけでよじ登っているように見えます。
クラッシャーは光線銃を装備していました。
基本的に宇宙刑事の乗り物はオートコントロールできますが、
まさかSUZUKIのジープまでとは……。
もしかしてあれもイクズス製?
「超次元高速機ドルギラ〜〜ン!」と呼ぶギャバンは珍しいです。
土星の輪にぶら下がるカエンザルモンスターなど、
斬新な映像もありました。
第九話 「美しい人形スパイ」(82/5/14)
脚本・上原正三 監督・奥中惇夫
細菌研究所の異変を知り、ギャバンが急行した。
しかし、潜入していたダブルマンには逃げられてしまう。
ねらいは強力な殺傷能力のある細菌・バシラスXOのデータだった。
細菌の発見者である杉本博士は、悪用から逃れるため、
塚原と名前を変え中学の教師をしていた。
マクーはその事を調べあげ、博士に細菌培養を要請する。
兵器として使用する腹なのである。
博士はもちろん拒んだ。
するとマクーは娘のナナエのことをにおわせ、
よく考えろと言って立ち去った。
その頃、ナナエは乗馬クラブで烈にサッカーを教わっていた。
しかし、博士が血相を変えてやってきて、
急用が出来たと言ってつれて帰ろうとする。
その時、いあわせた大山小次郎が博士の顔を思い出した。
地元で有名な天才少年だったのである。
小次郎が話しかけると、博士は杉本姓を否定して帰っていった。
博士のフルネームを聴いた烈は顔色を変える。
細菌研究所から盗まれたデータに関わる男の名前だったのである。
その夜、ダブルマンが博士の家に忍び込んだ。
細菌を培養しなければ娘の命は無いとおどし、
ついに博士に要求を飲ませた。
張り込んでいたインコのミミーは、
ダブルマンにおどされている博士を見て烈に知らせる。
烈は博士と家族が拉致されている廃工場へ向かい、
蒸着して救出に成功した。
培養施設も破壊し、ダブルマンも倒して、悪魔の兵器は消え去った。
「オゼバン談」
この回はダブルマンしか出てきません。
ベム怪獣が出てこないのは初めてのことでした(節約?)。
顔もどこか滑稽で弱そうだったです。
ギャバンとダブルマンによる、
古タイヤ置き場でのモグラたたき風やりとりが面白いです。
ダブルマンの顔を見ているうちに思いついたのかもしれません。
「超次元高速機ドルギラ〜〜ン!」有り(多分最後)。
少女が人形をギャバンに買ってもらったと聞き、
陽一が「宇宙刑事ギャバンかい? いいなあ〜」と言います。
8話で子供達を誘拐した嫌疑は晴れ、
名前が一般に浸透していたということでしょう。
第十話 「人間クラッシャー部隊を撃破せよ!」(82/5/28)
脚本・上原正三 監督・奥中惇夫
十七歳の少年でも人工筋肉を移植することによって、
大人の五倍のパワーを得ることが出来る。
マクーは少年達を鍛え上げ、
人間クラッシャーとしてギャバン抹殺にやくだてようと画策した。
ダブルマンを中心に、
優れた運動能力を持つ少年達が集められる。
出かけようとした烈のもとへ大山小次郎が現れた。
おいの高校球児が球速を160キロにしてやるとの甘言に乗せられ、
ついていってしまったと言うのだ。
いぶかしさを感じた烈は、二人でその場へ向かった。
集まっていた少年達はロードワークに出、
マクーロードに駆け込み、二人の前からいなくなる。
ロード内では、
ニジチョウモンスターの麻薬効果のある鱗粉が振りかけられていた。
少年達は幻覚を見ながら、
「人間クラッシャー」になる意識を植えつけられる。
どこを探しても見つからなかった少年達が、
実にさっぱりとした顔で、烈と小次郎の前に戻ってきた。
問いただしても、覚えていないらしい。
しかし、その夜から少年達は家庭内で暴力を振るうようになった。
噂を聞いた烈は、いよいよ本腰を入れて調査を始める。
インコのミミーの情報で、
少年達がしごかれているジムを発見した。
スポーツドクターに蹴りを入れるとダブルマンに変身、
たちまち正体を現すマクー一味。
蒸着して戦うも逃げられてしまう。
残された少年達は、
心を失ったように呆然とした顔で家に帰された。
しかし、すぐに家出をしてしまうのだった。
烈はドルギランで調査し、マクーの秘密基地を探し当てた。
基地内では今まさに人工筋肉の移植がなされようとしていた。
烈は蒸着して少年達を救出、
ニジチョウモンスターとダブルマンを倒す。
かくして少年達に穏やかな家庭がもどった。
「オゼバン談」
この回のダブルマンは鈴木その子ふうです。
逆回しを多用したスピード感のあるアクションが見ものです。
クラッシャーをなぎ倒しながらの蒸着は必見。
すでに蒸着ポーズを取っている烈に、
飛びかかっていくクラッシャーがいるのです。
変身中は直接攻撃をしないという、
ヒーロー物の掟を破る斬新な演出だと思います。
アクション監督の金田治氏は天才ですね。
スクーパーが再登場しますが、
やはりギャビオンは輸送車で終わりました。
「スタッチックショック」という、
静電気でショックを与えて正気にもどす技が出てきます。
大葉氏が最後に見せる「JAC笑い」には、今でもあこがれています。
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