TOYOTA S800



第1章 ITO師匠が行った軌跡を辿る。

方針
 さて、どのようにして、S800を仕上げるかについて
まず、言えることは、この車はほとんど作り直しになるって言うことと、メーカからの外装、内装部品はまず出てこないって事です。

このことから、他の車から流用できるのは極力流用する。純正部品、年式の違いなどの細かい事は気にしない
(気にしていたら、いつまで経っても走れないし、お金がいくら有っても足らなくなる)
見ておかしくなかったらOKとします。

 私は、車を仕上げるときは、ゴム部品とメッキ部品は必ず替えるのですが、今度はそう言う訳にもいかないようです。
ゴムは再使用、メッキは再メッキで行きたいと思います。
エンジン関係
とりあえず、エンジンはOHします、調子が良くても悪くてもバラして組み上げます。
メタル、ピストン、ピストンリング、バルブステムなどは確認して再使用できるのは再使用します。
バルブフェース、シートリングは修正し、すり合わせします。
ブレーキ関係
ブレーキも、マスターシリンダー、ホイルシリンダーはOHします、マスターシリンダーインナーカップ、ホイルシリンダーカップは必ず交換、ブレーキシューは残量を確認します。ダメだったら交換
3 サスペンション関係
とりあえず、これもバラします、ブッシュ、ダストブーツ、関係は交換(これは、新品部品が出るかどうかわかりません)
それと、ボールジョイントも悪ければ交換(はたして交換部品が有るのやら?)
4  電装関係
さて、これはどこまで生きているのやら?今の時点でオルタネータが付いてますが、これはICレギュレータ内蔵の
オルタネータに交換したいと思います。

それと、イグニッションコイルはスバルの2気筒用の同時点火のヤツに交換します。
点火用のポイントは、フルトランジスターに交換(これは予定です、どの部品が使えるかは不明)
5 内装関係
シートがもうダメなので、シートの張り替えをしたいと思います。(もちろん外注)
Fウインドウのウエザーストリップ、その他のウエザーストリップは再使用か、または、ショップに有るものを購入?
(これが、結構高いんだな〜、ま〜有るだけましかも・・・・・?)
6 ボディー
車体です。車体はほとんどダメでしょう、ま〜とりあえず鉄で出来ているので、鉄板を切り貼りすれば何とかなるでしょう?後はパテ攻撃です。
(パテは良くないて言いますが、ちゃんと下の処理をすればそんなに簡単に浮いたりしません、どんな物にも言えますが、錆びの上から何をやっても一緒です。)
7 塗装
もちろんウレタン塗装です。さ〜て何色に塗ろうかな〜っと。
   

書類関係
 遂に、TOYOTA S800復活作戦開始〜〜!
車の状態は、こんな具合です、一見良さそうですが・・・・・・・
しかし、実際に車を見ると・・・・・・・・どこも、ここもボロボロです、F、Rウエザーストリップも硬化して硬そ〜

そして、問題が・・・・・・・・・・
書類
この車、書類関係が面倒くさそうです。
  • 所有者が亡くなっている
  • ナンバーが付いたまま、そのままにして有ったので職権抹消して有る
陸運事務所での話

この二点で非常に面倒くさい事になって、しまった。

所有者が亡くなった事で、この車の相続が発生している。
この車、財産になっているのです。

車の登録には、2種類あるそうです。まず、普通の行政の登録(税金などの件)、民事の登録(車の所有権を確認するため)

相続が発生ってことは、民事の件だとおもわれます。
どうやるかって〜と、まず、亡くなった所有者の相続人を捜す事から初めなければいけません
もし、相続人が何人かいた場合は、その人達を全員探さなければいけないようです。
S800の場合、相続人は1人で、県内にいらっしゃいました。(これは、助かりました。)
そして、相続人の印鑑証明、戸籍謄本、委任状が要ります。(何人かいらっしゃって、それが遠い所だったらまずダメしょう)

職権抹消の回復

職権抹消して有るので、それを回復しなければいけません
職権抹消とは、車を使わないでそのまま、廃車にもせずに税金も払わないと、5年だったかな?すると陸運事務所から
職権抹消しますよ〜って通知が行くそうです、それでも何もせず、ほったらかしにしてると職権抹消をされるそうです。
必要な書類
@  回復願い
回復願いって書類が有りますので、それを、相続人に書いてもらわなければいけません。
何で回復願いをだしたか、って事の顛末を書くのです、とにかく様式などはなく、陸運事務所の係の人が解る様に書いてくださいって事でした。
A  自動車検査証
これは、車検証ですね〜
B  ナンバープレート
これも、ナンバープレート
C  所有者の印鑑証明
所有者が亡くなっていますので、相続人の印鑑証明と所有者と相続人のつながりの分かる、戸籍謄本
D  車体番号の拓本
車体番号を、紙に写し取ります、車体番号に紙を敷いて鉛筆でこすります。番号が浮き出るでしょ
E  車両の写真
前、側、後面、(ナンバーが確認出来る様に撮る)
F  委任状
つまり、車の車検とかするときに印鑑をうつ委任状。

職権抹消の回復は二種類あります。
まず、再使用(ナンバーをそのまま使う場合)16条抹消に切り替える場合(ナンバーを切る、再登録)

税金

職権抹消して有る車のナンバーをそのままにする場合、は税金はさかのぼって三年分払わなければいけません。

車に付いているナンバーを切る、(使わない)場合は、抹消登録をする場合には、税金は掛からず、再登録するときに、登録月からの税金だけで済みます。

ですから、ナンバーを一回切った方が安く済みます。(ナンバーをこだわる人は、三年分ね〜)

作業
最初の状態


最初の状態はこのようになってました。



部品の取り外し(ボディだけにする、ドンガラ状態)
とりあえず、ウインカー、ヘッドライト、テールランプなどの外装品をはずし、シート、内張などの内装をはずします


今は、こんな具合です〜



で・・・このままで約半年・・・・・以上・・・・
遂に、こんな風に・・・・・・
これでは、いけないやらなければ・・・・・・TOYOTA S800復活作戦、再始動〜!
とりあえず、一段落ついたので復活作戦を、再始動する事にする

エンジンを降ろす
それでは、エンジンを降ろす事にする・・・・その前に〜
エンジンが生きているか?始動してみる事にしましょ〜
まず、バッテリーをつないで、イグニッションを・・・・・って、イグニッションスイッチは室内をバラした時に、取っ払ったのであった・・・あらら・・・・・しょうがない・・・・バッテリーから直に配線をすることにする。

セルモータは動くの〜?S端子に直に電源を・・・・シュル・シュル・シュル・・・・・OK〜
オイルさしにガソリンを入れて、キャブに直接チュ〜ゥって、チョ〜ク攻撃・・・・
セルを回して・・・・って・・・・・あら、かかんない・・・
次ぎ〜点火系の確認、ディスキャップを開けてセルを回してみる・・・・・ポイントに火花が飛んでない・・・って事は・・・
やっぱり・・・ポイントを磨いて、火花を確認し・・・セルを回して見る・・・・

シュル・シュル・・・・バォ〜〜ン・ボ・ボ・ボ・・カタカタ・・・・カタ・カタ・カタ
カタ・カタ・タペット音がうるさ〜い、このエンジンはラッシュアジャスター(油圧タペット)なはず・・完全にオイルが落ちているみたいですな・・・
オイルが回るまで、様子をみましょ〜、ん〜大分静かになりました。

エンジンが生きているって事が分かったので、いよいよエンジンを降ろします。
エンジンはこんな調子です。

お〜〜っと、その前にヒータを外さなくては・・・

これが、ヒータです

外しました。

ホントに、エンジンを降ろす
エンジンに繋がってる、燃料ホース、配線、チョークワイヤ、アクセルリンケージ、シフトリンケージ、スピードメータワイヤ、クラッチケーブル、エキパイなどを全〜部外し、いざ降ろすのだ〜〜!
エンジン、はミッションに2個、エンジン本体に2個のナットで止まってるのだ〜〜
ワイヤーを掛けて、工場のクレーンでウィィ〜ンってつり上げて・・・・・・・あっちこっちに引っ掛かるので、向きと傾きを調整しながら、エンジンをそ〜っと、おろします。

降りました、所用時間30分〜〜!エンジンを降ろす事自体は簡単ですけど・・・・・それまでの準備が大変〜

これが、TOYOTA S800のエンジンです。結構小さいです。

エンジン分解
エンジンの分解
エンジンに手を着けるのは、ボディーが有る程度済んでからと思っていたんですが、どうやらエンジンパーツも出るか出ないか怪しくなって来ましたので、エンジン内部の現状確認とパーツ発注の為にエンジンを分解する事にしました。
まずは、外観
フロントカバーが白いのは、車体をそのまま白に塗り替えてあるからです(マスキング不良)
エンジンNOとブローバイのホースから、ミニエースのエンジンと思われます

エンジンのシュラウド・オルタネータ・キャブレータ・セルモータその他、諸々の補器類をはずしますすると・・・
お〜フラットツイン〜

 上からです
クラッチカバーはこんな風です、今の車と違いレバー式です・・・今の車はダイアフラム式(右)

右がビートのクラッチカバーです
左の2Uのレバー式、レリーズベアリングが当たる所が薄くなってます・・・カバーの再使用は不可?

これがフライホイルを外した所、センターの穴にはミッションのインプットシャフトが入ります、中にニードルベアリング有り

5個のネジ穴がある所がクランクシャフトの一番後と言う事になります。

シリンダヘッドです
燃焼室はカーボンで真っ黒です・・・インテークバルブ・エキゾスートバルブは再使用、バルブフェースとシートリングを修正し、すり合わせをすればOKなはずです・・・でも新品が出るようですので、すかさず注文・・・エキゾーストのバルブガイドも出てきました。

ピストンです
・・スタンダードのサイズでした、つまりこのエンジンはOHをして無いって事になります

フロントカバーを外したところ
上のギアがクランクシャフトに、下の大きいギア(金属でなくベークライト製)がカムシャフトに付きます。

カムシャフトです
左がこのエンジンに付いてたヤツ、右のがS800のカムシャフト・・ミニエースのカムとS800のカムとでは、プロフィールが違います右のカムの山が丸いでしょ・・・つまり、カムの作用角が大きいって事で、オーバーラップが多い高速型のカムです

ピストンです
ピストンリングの下の方にカーボンが付いてます、かなり吹き抜けてたかも・・・しかし、エンジンをバラすと多かれ少なかれカーボンの付着はあるものです
2Uのピストンピンはサークリップを使ってある、フルフローティングタイプです、右下に見える小さな穴はバルブリフターが入るあなです、リフターは油圧でバルブクリアランスを0にするラッシュアジャスター式

コンロッド大端部
クランクシャフトのジャーナルに取り付く部分です・・・クランクシャフトのベアリングはボールベアリングを使用してあります、クランクベアリングが親メタルですので、これは子メタルと言う事ですね

メタルの状態は、ちょっと摩耗してるようです・・・メタルの下地の色が少し出始めてます・・・再使用不可かも?
メタルは、最近純正部品ででてきました・・・もちろん注文・・・2台分

クランクシャフトです
ここは、コンロッドが付く所です・・・摩耗はあるでしょうが?変な傷とかは無く綺麗なものです・・・もちろん再使用。

クランクケースです
カム・クランクシャフト・バルブリフターを取り外すと・・・ほ〜らガランドウのケースだけです。
 
と、、 ここまで済んだ状態でITO氏は2003年 6月19日(台風の風が荒れ狂う日に)永眠されました。
残された人間に「S800を宜しく〜」との無責任な1通のメールを残したままでです・・・・・・

このままで残しておいた方が良いのか、それとも組み上げた方が良いのか、、さんざん悩みました。
保管できたら本当は良いのでしょうが、剥がされた部品類や車体は朽ちていくのです。

GARA本人の旧車への起点と言うと大夫遡ります。
大体がバイク関連の改造やレストアが主で車関連はと言うと副に近かったです、壊れたら直すって言うレベルです。

どっぷりと車の板金からエンジン分解〜、エトセトラとなるとITO氏が、、に引きずり込まれたと言って過言ではなく思いはそこに帰ります。
何だかんだ言って週一で顔を合わせない日が無かったぐらいですから〜 どうにかして上げたいと言う気持ちで再編集しました。




ここに記述しておけば”責任”が発生しますから・・・・・・


 

 


戻る.  UPDATE 03/09/16


Copyright (c) 1998 Kenji Itou. All rights reserved.