うたの☆プリンスさまっ♪
   -Amazing Aria- & -Sweet Serenade-


 『うたの☆プリンスさまっ♪』のその後を描いた、「キスよりすごい音楽をアンコールだよADV」。 Amazing Aria(以下AA)の攻略対象は、一十木音也、聖川真斗、四ノ宮那月、愛島セシル、シャイニング早乙女、 Sweet Serenade(以下SS)の攻略対象は、一ノ瀬トキヤ、神宮寺レン、来栖翔、月宮林檎、日向龍也のそれぞれ5人。 AAは前作から半年、SSはそのひと月半後という短い期間で発売されていますが、 改善すべきところは改善しつつ、前作の魅力はそのままで楽しませてくれる、優秀なファンディスクでした。
 まず、前作で多くのユーザーをがっかりさせたであろう絵。残念ながら立ち絵は以前のままですが、 イベントCGは格段に美しくなりました。萌えを阻害しないどころか、何倍にもしてくれる美麗なイラスト!  それでこそイベントCGだ!
 システム面でもいろいろと改善されて、遊びやすくなっています。 バックログやシステム画面を開いてもBGMがリセットされることはなくなり、 タイトル画面からのチャプター選択への直行や、ミニゲーム中の一時停止とリトライも可能になりました。 音ゲー部分の難易度は前作よりも若干易しく設定されていますが、 その一方で前作の上を行く難易度の「Proモード」も用意されている親切仕様。 また、「Proモード」以外にもやり込み要素は増えています。 ミニゲームの結果によってその後のシナリオが多少変化するようになったほか、 ショートストーリーを読むことができる「メモリアル機能」が加わりました。
 さらに本作がファンディスクとして優れているのは、前作を大切にして作られている点。 キャラにブレを感じることがありませんでした。 シナリオにおいても、 前作に続いて攻略対象となっているキャラクターのルートは前作を補完するように、 本作で新たに攻略対象となったキャラクターのルートは前作で明かされていた設定と矛盾しないように、丁寧に作られていたと思います。 特に前者のルートでは、前作で引っかかったり気になったりしていた部分がきっちり拾われていてスッキリ。見事な補完でした。 「メモリアル機能」のショートストーリーに、前作のエピソードに関するものがあったのも嬉しかったです。
 そんな優秀なファンディスクである本作ですが、あえて不満点を挙げるなら、相変わらず台詞がクサいです。 でも、あのクサさはもはやうた☆プリの大事な個性のひとつであって、変えてはいけない部分なのかもしれない……とも思う。 文句をつけるのは筋違いなのかもしれませんね。 さらに今回のファンディスクでは、台詞だけでなくキス音にも異様に力が入っているため、こっぱずかしさは本編以上。 これでもかというくらいイチャイチャしています(笑)。 特にSSは強烈過ぎて、そういうシーンではほとんど音声を聞かずに進めてしまいました。
 ともあれ、お話そのものはキャラクターたちの成長を描いた「いい話」ばかり。 中でも早乙女編はどのエンディングも本当に美しくて、大好きです。

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